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「内容『は』謙虚に受け止めるべし」~2020.6.20 プレミアリーグ 第30節 ブライトン×アーセナル レビュー?

 スタメンはこちら。

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目次

【前半】
アーセナルのずらし方

 ブライトンは4-2-3-1、アーセナルは4-3-3ということで噛み合わせとしては割とバッチリの両チームの陣形。というわけでまずは両チームともビルドアップの狙いはどうずらすか?である。

 わかりやすく移動を始めたのはアーセナルの方。左右でアシンメトリーに動き出す。右は最終ラインのムスタフィが大きく開き、SBのベジェリンが内に絞る役割。大外はペペが高い位置で張る。セバージョスはハーフスペースを高い位置でフラフラ。ベジェリンの前方にいる並びである。

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 左の後方はコラシナツが位置どることが多かった。というわけでビルドアップの時はベジェリン以外の3人で横並ぶイメージである。多かったのはインサイドハーフで起用したサカが外に開く動き。この動きに合わせて、オーバメヤンが内に絞ったり、ラカゼットが空いた位置でポストに落ちてきたりなどを見せる。コラシナツが高い位置を取った時はサカがSB的に後方からアシストも可能。ということで、SB経験を積んだサカが移動しつつ幅を取るのが左サイドの動かし方である。

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 そして、フリーマンとして後方で受けるのがアンカーのゲンドゥージ。ボールサイドに寄っていく動きで、マークマンがいない状況で受けてボールを前に進める。アンカーにゲンドゥージを起用しているのは、このボール保持においてパサーとしてもドリブラーとしても動けると踏んだからだろう。彼がフリーで受けることで、縦に速くチームに推進力をつけたり、大外への展開をしたりなど、攻撃のスイッチを入れてもらう役割を求めたはずだ。素早く出し手にリターンを出すことで、出し手をフリーにすることも可能である。

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 どうでしょうか?このように書いてみましたがアーセナルのボール保持、うまくいっている感がありますか?文字にしてみると結構うまくいってる感があるなという印象は確かにあるかもしれない。

 ただし、実際にはこの試合のアーセナルのボール回しを「非常に効果的」と形容する人はあまりいないだろう。自分もそこまではうまくいっていないと思う。大きな要因となるのは一度配置についてからのオフザボールの質の低さである。特に前線の選手の動きが規定されていないように見えるパターンが多い。なので、ブライトンのプレッシャーが弱いバックライン付近ではボールはよく回るが、前に行くフェーズでその優位を維持できていないのである。ペペにパスを出すときが割と顕著で、ここにフォローがあまりにもないのが気になる。そりゃアイソは強いけど連携も欲しい。ペペにボールが出るときは割とペペ一択の時が多い。

 守ってる側に選択肢を迫るアクションは欲しいところ。例えば、高い位置を取るセバージョスは裏抜けのアクションがもっとあってもいいはず。プレイヤーの特性の問題もあるだろうが、選手とチームとしてほしい役割がマッチしていないように見えた。

 この試合でいえば、ゲンドゥージ+大外ワイドの選手の組み合わせや、オーバメヤン&サカなどの連携は目についたが、3人以上が絡んだ崩しの頻度は低かった。

 ゲンドゥージを使った形は中断明けの新たな定型だろうか。「サイドで人数かけて相手を集める⇒ゲンドゥージが受ける⇒手薄な逆サイドに振る」の流れは1つの形になっていた。31分のラカゼットが迎えた決定機は良かった。ストライカー2枚が内に入る形だし、インからワイドに開いたサカを捕まえられなかった。前半追加タイムも同じような形があったし再現性もそこそこ。もうちょっと頻度ほしいのと、逆サイドのペペでも連携で勝負できる場面を作れればよかったのだけど。

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【前半】-(2)
人もボールも捕まえられない

 プレッシングについてもアーセナルは難があった。CBが大きく開き、GKが間に入るボール回しをするブライトンに対して、アーセナルはラカゼットが追いかけまわす役割。ただし、ペペやオーバメヤンは気まぐれ。前に出ても後続のケアが続かず簡単にかわされるし、低い位置まで下がるとラカゼットが無駄走りになる。特にペペの側は同サイドのセバージョスが守備で広い範囲を賄えるタイプではない。特にこちらのサイドは連携が取れてなかったように思う。

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 引くということは、サイドで閉じ込めるのかな?と思いきや、高い位置でのスリーセンターのスライドはイマイチで、簡単に間をつながれてずるずる下がってしまう場面も目についた。どこに追い込むべきかがあまり見えてこないプレッシングになってしまっている。スリーセンター、PA手前では謎にスライドする意識が強くて、バイタルをあけてしまうことが多いのに!!19分のシーンのようにペペもオーバメヤンも前から詰めて、蹴らせて回収が理想の流れだろうか。

 中盤のプレスの機能不全で、CFの無駄走りと頑丈ではない最終ラインはだいぶ負荷がかかっている様相である。ブライトンの後方から裏への長いボールに関しても、フリーで出せるのでブライトンのFWとアーセナルのDFのよーいどん!になる。超決定的に効いている!ってわけではないけど、チャレンジしてみる価値はあるかな?という50:50感があったのは事実。痛ましいレノの負傷シーンも、中盤でのフリーの選手からの裏抜けからである。ゾーンで追い込む意識の共有も、ボールホルダーを捕まえる意識もアーセナルはやや弱いように思えた。

 前半はスコアレス。0-0での折り返しとなった。

【後半】
徒然なるままに思ったことを書く

 後半の頭の2つのカウンターはシンプルによかったと思う。3人リンクするとやっぱりこれだけできるんだなと思うし、オープンな局面以外でももう少し複数人がリンクする状況は欲しい。オーバメヤン+サカだけじゃなくて、もうひと味。ラカゼットのポストも、セバージョスのスルーパスも十分に「もうひと味」になる。

 それにしてもセバージョスの使い方は難しい。でも、高い位置を取るよりは低い位置で出し手として機能したほうがいいんだろうな。同サイドで高い位置に走れる選手がいれば、スルーパスは一級品だし。後半はベジェリンに出したパスも良かったし。前半のように、高い位置でボールが出てくるのを待つよりはよかった。CBがもっと持ち上がれれば別だろうけども。

 先にも触れたけど、この試合ではサイドで人数多めでボールを回しつつ、ゲンドゥージが登場して逆サイドに展開!って形が多かった。おそらく、再開後に試している形なんだろう。ゲンドゥージの役割はアンカーじゃなくてもできそうだし、セバージョスでもできそう。でもどちらを起用しても中盤での強度が足りなくなる!って気はするので、トーマスが欲しくなる気持ちはわかる。

 現状では低い位置でぶっ放せるジャカ+持ち場を守れるようになったトレイラ+中盤で前を向いてパスを打ち込む役割(ゲンドゥージ、セバージョス、エジル)とかがいいんだろうか。決勝弾のシーンとかを見ると、ゲンドゥージのアンカーの危うさは感じるし、中断明けは割と誰が出ても中盤のカバーリングの意識が低いので、割とジャカとトレイラのありがたみは感じている。属人的でいいんですか!?といわれるとつらいところだけど。

 あちらが立てばこちらが立たず!ってのはアーセナルの中盤の組み合わせを考えるときによく思い浮かぶ言葉。だけど、最近はCFにも当てはまる。これだけ中央での打開をCFのポストに頼るのならば、ラカゼットは必須なように思う。でもフィニッシャーとしては割とスランプ。エンケティアの方が今はフィニッシュワークに可能性を感じるけど、ポストには不満が残る。

 オーバメヤンやペペがフィニッシャーになれるならラカゼットでもいいや!って部分はあるけど、アーセナルは中盤にも得点力がないので、ポストやって最終局面に顔出して点とって!まで求めないといけないのは難しい。アルテタも「ゴール前に行くまでに力を使いすぎている」って言ってたけど、ここのタスク調整はかからないんだろうか。中盤で前向く人を作って、そこから薄いサイドに展開!っていうのをアーセナルは始めたように思うけど、相変わらずそこにはCFのポストが重要な役割を果たしている。

 あと、エジルの陰に隠れてマルティネッリがドロンしているのも気になりますよね。

 試合は負けました。

あとがき

 後半はレビューになってなくてごめんなさい!!どうしてもモペイが出てくるとテレビをぶっ壊したくなるので、見直す気力が起きませんでした。というわけで中断後のアーセナルの思うところをつらつらと書いてみた。ダビド・ルイス+ジャカという長距離砲不在の中で新しいところには挑戦している点は評価できるけど、先に進んでいるか?といわれると微妙なところ。時間を前に運んだ先でもっと多人数がリンクする場面が見たい。

 プレッシングの連動のなさは攻撃面以上に気になる。でもここに来てコロナの陽性反応のせいでコンディション面が!みたいな話も出てきているし、特殊な環境下だから仕方ない部分ももちろんある。試合自体も制御が難しい方向に行ったのは確かだし。でも、これじゃまだまだ負けるよ。

 現実的には5位も難しい勝ち点差になってきた。アルテタは残りのシーズンの使い方をどうするのだろう。今更「アルテタに即時の結果を求めるぜ!」なんてフロントが言い出さなきゃいいけどね。

試合結果
2020/6/20
プレミアリーグ
第30節
ブライトン 2-1 アーセナル
アメリカン・エキスプレス・コミュニティ・スタジアム
【得点者】
BHA:75′ ダンク, 90+5′ モペイ
ARS: 68′ ペペ
主審:マーティン・アトキンソン

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