3-1-6による支配力アップで古巣凱旋を飾る勝利
年内最後の代表ウィーク明けはマレスカのキング・パワー・スタジアム帰還からスタート。チェルシーが先陣を切って昇格組のレスターと相対する一戦だ。
序盤からこの試合のチェルシーには変化が見えた。後方の陣形は3-1型。カイセドをアンカーにして、3人のCBキャラクターを並べる形に。明確にカイセドの相棒は定めず、降りるパルマーなどその前にいる2列目やジャクソンが柔軟に中央のスペースを使うイメージとなった。このポジションバランスとネト→フェリックスの入れ替えの相関についてはもう少し見たいところである。
攻撃のルートとして増えたのはサイドからのワンツーを活かしての抜け出し。ワイドの選手をフェリックスやエンソがサポートすることで抜け出すアクションを生み出し、速いクロスで折り返す形を延々と狙うのがこの日のチェルシーのスタンス。オフサイドに終わったが、マドゥエケがネットを揺らしたシーンなどは方向性をきっちり示すタイプの崩しだ。
守備でもエンソが明確に1列前にいるなど、ハイプレスでレスターのショートパスを封殺。二次攻撃においては左のククレジャ、バディアシルを軸に出足の良さを活かしたボール奪取で波状攻撃に繋げる。攻守において、より支配的に攻撃を進めるテストのように見受けられた。
狙い通り、20分まではチェルシーは完全にレスターに息をさせないままの展開。ファエスとのタイマンに勝利したジャクソンが先制弾をもたらすなど、ここまでは完璧な流れと言っていいだろう。
レスターは20分過ぎから少しずつボールを持てるように。特に効いていたのは左のエル・カンヌス。時には2人に囲まれながらもボールを逃すことで苦しい展開の中からチャンスを作りだす。チェルシーはこちらのサイドの相手の囲み方に少し甘さが見られた。
20分のカウンターを機にボールを持つ時間を作れるようになったレスター。エル・カンヌスとヴァーディが時間を作りつつ、敵陣に攻め込む機会を増やす。非保持でも4-4-2からエル・カンヌスが1列前に入ることでチェルシーの3バックを捕まえる形をとる。強気の守備に中盤も連動して応答。高い位置でのボール奪取が見られるように。
それでも時折見られる軽いパスや繋げそうな時間帯にもゴールキックをいきなり蹴り出すハーマンセンのプレー選択などでリズムを掴みきれず。ボールを奪った後のチェルシーのファストブレイクも刺さる寸前までは行ったが、リードをさらに広げられないままハーフタイムを迎える。
後半、チェルシーはハイプレスに出ていく前半と同じスタート。レスターも前半に怪しさを見せていたチェルシーの右の守備ブロックを重点的に狙うことで対抗する。チェルシーはクリスチャンセンをどう捕まえるかに難儀するが、クリスチャンセンもまたボールプレイヤーではないので、特に与えられた時間を使うことができずに悩ましいという流れだった。
時間が経つとチェルシーは保持の時間を取り戻すように。だが、攻撃の本命はレスターのパスワークを引っ掛けてのカウンター。ホルダーの横にサポートをつけて追い越すことの積み重ねで前に進もうとするレスターに対して、ボールを奪って一気に前に進んでいく。出口になっているのは中央のフェリックスと右のマドゥエケが多かった。
押し込む機会を増やすチェルシーは順当に追加点。左のククレジャのクロスの溢れにボックスに入り込んでいたエンソが押し込んでゴール。今季初ゴールを決める。
選手交代で店じまいを図るチェルシーに対して、レスターは交代で入ったマヴィディディを軸になんとか攻め筋を探っていく。その攻め筋探しが実ったのは後半AT。リードへのラストパスを通してラヴィアのファウルを誘発する。このファウルで得たPKをアイェウが仕留めて1点差に。アイェウはこれで今季あげた3得点が全て後半ATに記録したものだ。
しかし、反撃もここまで。チェルシーは複数得点のリードをきっちり活かしての逃げ切り勝利。マレスカの古巣凱旋試合を飾った。
ひとこと
チェルシーの3-1-6は狙いと人選がマッチしていて面白かったが、さすがにカイセドの負担が重たい気もする。ただ、支配力を高めるという一手としては有効だと思うので、少なくともこの試合くらい力量差があるチームに対しては悪くないオプションになる可能性がある。
試合結果
2024.11.23
プレミアリーグ 第12節
レスター 1-2 チェルシー
キング・パワー・スタジアム
【得点者】
LEI:90+5′(PK) アイェウ
CHE:15‘ ジャクソン, 75′ エンソ
主審:アンディ・マドレー