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「Catch up Premier League」~Match week 17~ 2024.12.21-12.22

目次

アストンビラ【7位】×マンチェスター・シティ【5位】

設計されたブロックとカウンターがシティを翻弄

 徐々に負のスパイラルを抜け出しつつあるビラとダービーで悪夢のような試合を演じてしまったシティ。対照的な両チームは序盤から勢いの差が見える展開に。早々にセットプレーからビラがチャンスを作る。

 シティはゆったりとしたボール保持をスタート。グバルティオルが攻撃に参加するか否かで3-1-6と3-2-5の間を取っていたという印象。ビラは縦方向を極端に圧縮したブロック守備。バックスにボールを持たせるのはOKで、サイドにボールをつけられるのもOKというスタンスだった。

 ストーンズからの対角フィードで外からを狙っていくシティ。ビラは大外に対しては入ったらきっちりとマークにいき、ここからのトランジッションを狙う形。これくらい後ろに重心をかけていても特にカウンターに問題はないということだろう。むしろ、シティの最近の弱みであるトランジッションを攻略できるようにきっちりとしたデザインすら感じた。

 ビラの速攻のキーマンは2人。ロジャーズとティーレマンス。特にシティのCBが出て行ってマークをする仕組みになっていたティーレマンスはマークが遅れることが多く、ここからサイドに攻め上がるマッギンからチャンスを作っていく。

 先制点もティーレマンスを起点としたところから。シティは同数受けが仇となり、最終的にはデュランにゴールを破られてしまうことに。

 ロジャーズはむしろ停滞した局面からでも試合を動かせる強みが。狭いスペースに入っていくようなアクションから相手を何枚も剥がして強引に打開するアクションが効いていた。

 シティは強引なルイスとフォーデンのパス交換からチャンスを作るが状況としてはビラはよりタフ。4-4-2のブロック守備は捕まえるところのイメージがわいておらず、ハイプレスも苦しいものがあった。

 後半も展開としては変化はなし。押し込んでいくシティに対して、ビラはカウンターにフォーカス。ティーレマンスのパスかロジャーズのドリブルのどちらかが起点となり、一気にカウンターから攻め込むきっかけを作る。

 そして、そのロジャーズが2点目をゲット。途中からはシティの守備陣があまりロジャースからボールを奪えることを信じられないという感じ。文字通り止めることが難しい存在となっていた。

 終盤にフォーデンのゴールで1点を返したシティだが反撃もここまで。完全に設計されたブロックとカウンターに翻弄されたシティがまたしても勝ち点を落とすこととなった。

ひとこと

 ビラのカウンターの設計はめっちゃお見事。

試合結果

2024.12.21
プレミアリーグ 第17節
アストンビラ 2-1 マンチェスター・シティ
ビラ・パーク
【得点者】
AVL:16′ デュラン, 65′ ロジャーズ
Man City:90+3′ フォーデン
主審:ピーター・バンクス

ウェストハム【14位】×ブライトン【9位】

後半にほんのり動いた重い扉

 勝ちきれずに均衡する展開が続く中位勢。連勝すればすぐにジャンプアップが見込める位置にいる両チームの一戦だ。

 ウェストハムは今節も元気にハイプレス。高い位置にプレスに出ていき、後方はラインを上げることで強気の姿勢を体現する。ブライトンは2-3のビルドアップを軸に変形。後方から出手に専念しているエストゥピニャンは非常に珍しい光景だった。

 後方に人数をかけていくブライトンはなかなかその先を見据えることができずに苦戦。さらにはこの日はプレスに回っても不振。サリーからCBが運ぶアクションを入れ込んでいくキルマンのドリブルに対して押し込まれる機会を与えてしまう。

 というわけでフィーリングが良かったのはウェストハムのほう。セットプレーからファーポストに詰めていたり、中盤を横断してSBのオーバーラップを促したりなど、厚みのある攻撃を繰り出す。ただし、こちらもアタッキングサードで決めてのある攻撃を繰り出すところまでは至っていない。

 劣勢のブライトンは中盤のサリーからサイドに迂回をするが、こちらもアタッキングサードでは決め手を作ることができず。サイドに流れるジョアン・ペドロに託すという光景は徐々にお馴染みになりつつある。

 それでもなかなかシュートまでは辿り着けず。前半はスコアレス。重い展開でハーフタイムを迎えることに。

 そして、後半もその重い展開は継続するかのような立ち上がりの数プレーに。だが、そんな予感とは裏腹に試合は早々に動く。先制したのはブライトン。セットプレーから最後はウィーファーがゴールを沈めてブライトンが前に出る。

 しかしながら、ウェストハムも7分後には同点弾を手にする。ボーウェンがカウンターでのキャリーかrシュートまで持っていく形を作り、最後はクドゥスが仕上げて同点。ブライトンは対応の後手が目立ち、確実に被害を広げてしまった。

 以降もウェストハムは押し込む展開を作りつつ、押し込まれたクドゥスとボーウェンのカウンター。緩急を使い分けながらゴールに迫っていく。

 ブライトンは三笘とミンテというWGの突破力を活かすような戦い方に。サイドからの押し下げとアヤリなどCHのミドルで押し込むフェーズを作り出す。勢いに乗ることができればハイラインも刺すことができる。まずはこのチームは保持からなんだなと感じる内容だった。

 ファーガソンの投入でさらにクロスを早めた感があったブライトンだが、押し込む時間を増やしてもこじ開けることはできず。試合はドローで幕を閉じることとなった。

ひとこと

 少し両チームともアタッキングサードの解決策提示に苦しんだ印象。ドローは妥当なように思える。

試合結果

2024.12.21
プレミアリーグ 第17節
ウェストハム 1-1 ブライトン
ロンドン・スタジアム
【得点者】
WHU:58′ クドゥス
BHA:51′ ウィーファー
主審:ロベルト・ジョーンズ

イプスウィッチ【18位】×ニューカッスル【12位】

別格の強度で圧倒

 まずはハイプレスでスタートしたイプスウィッチ。だが、そんな強気のスタンスは早々にニューカッスルによって破壊。好調のマーフィーの右サイドのラインブレイクにより、イサクのゴールが早速生まれることになる。

 マンツーで人を捕まえる守備から始めたいイプスウィッチだが、引き続き守備では苦戦。幅を広くボールを動かしていくニューカッスルに対して、なかなか活路を見出すことができず。保持で一方的に左右に揺さぶるニューカッスルが完全に主導権を掌握。トナーリのミドルから更なるゴールに迫っていく。

 序盤は即時奪回から押し込んでいたニューカッスルだが、少しずつプレスは落ち着く流れに。20分くらいからは4-5-1でブロックを組んでイプスウィッチにボールを持たせるフェーズに入る。

 イプスウィッチはライン間で前を向く選手を作ることができればここから一気に加速できるが、そのスペースはタイト。デラップがいない分、裏のスペースへの抜け出しは割引。ボールを動かしていくうちにプレスを強めるニューカッスルに対してボールを回し続けるのもしんどいという感じ。コンパクトなブロックに対してのアプローチが見えてこなかった。

 そんなイプスウィッチを尻目に順調なニューカッスルは追加点をゲット。ゴードンの旋回から押し下げるとマーフィーがミドルシュートを放ってリードを広げる。前半終了間際にはムリッチの地雷的なパスミスが刺さり、イサクにこの日2点目のゴールを献上する。

 3点のリードを許すイプスウィッチだが、まだまだ試合は諦めないという様相。高い位置からのプレスを後半の頭から行うことでニューカッスルに圧力をかけていく。

 しかし、ニューカッスルもカウンターで応戦。前半からシャープさが際立っていたゴードンとイサクのコンビからのカウンターでイプスウィッチの前がかりな姿勢を制している。

 後半頭の4点目もまさにこの形。ゴードン→イサクのラインでの加速に成功し、ここからゴールまでの道筋を作っていく。

 4点のリードという状況においても希望の光が消えずに戦い続けられるというのはシンプルにイプスウィッチのすごい部分ではあると思う。3点ビハインドで迎えた後半に失点を重ねれば心が折れてしまってもおかしくはない。

 しかし、ニューカッスルがそのプレスに屈するかは別の話。強度の面で別格であることを示し続けた90分。ニューカッスルが貫禄の大勝でポートマン・ロードを制圧した。

ひとこと

 イプスウィッチ、いつもだったら刺さりそうなところも全く効かず。きっかけすら見つからない展開だった。

試合結果

2024.12.21
プレミアリーグ 第17節
イプスウィッチ 0-4 ニューカッスル
ポートマン・ロード
【得点者】
NEW:1′ 45+2′ 54′ イサク, 32′ マーフィー
主審:スチュアート・アットウェル

ブレントフォード【11位】×ノッティンガム・フォレスト【4位】

伏兵としての幅を見せたフォレスト

 リーグ上位の得点数を誇りながらも、大量の失点も喫しているブレントフォード。今節の相手はより堅実なスタイルで上位に肉薄しているフォレスト。今季のプレミアを代表する伏兵だ。

 フォレストのフォーメーションは3-4-3。今季のベースである4-2-3-1とは異なるフォーメーションを組む。ブレントフォードの4-4-2に対しては保持でズレを作れる形。3バックを軸に保持の安全地帯を作りつつ、序盤はウッドにボールを当てるという慎重な方向性だった。

 序盤は強引に噛み合わせるハイプレスに出ていったブレントフォードだったが、5分もすればプレスは沈静化。フォレストはゆったりとボールを持つ局面も出てくるように。

 動きがあったのは左サイド。ライン間に絞るアンダーソンがブレントフォードのCHの背後を突く形から縦パスを受ける。左サイドのハドソン・オドイとアンダーソンは位置関係を変えながらライン間のハーフスペースを狙っていく。よってブレントフォードは徐々にハイラインで強気に潰しにいくことで対抗する。

 ブレントフォードは保持に回るとサイドからのキャリーの目を探る。フォレストのWBを外に張るWGでピン留めしつつ、シャドーを前に引き寄せるパス回しで縦を広げていく。このシャドーの背後からボールをキャリーすることができていた。

 成果が出たのはフォレスト。左サイドからの再三の攻撃が成就。ハースペースの侵入で左サイドから折り返したクロスを何度も放つと、ゴールシーンでは逆サイドから侵入したアイナが決定的な仕事をしてみせた。

 リードを奪ったフォレストは後半もペースを掌握。ゆったりとしたポゼッションから押し込んでいき、敵陣でプレーするための基盤を整えていく。

 得点はそうした振る舞いと関連が薄めのロングボールから。処理をミスったルイス-ポッターを尻目にエランガが左足でカウンターを沈める。

 後半頭はなかなかカウンターからのスピードアップを図ることができなかったブレントフォード。2点目を奪ったフォレストは5-4-1ブロックできっちりと引くことを選択したため、自動的にブレントフォードはボールを持つ側に回ることとなる。

 押し込まれるフェーズで危うい場面もあったフォレストだが、セルスのファインセーブでブレントフォードに反撃のきっかけを許さない。最後まで5バックで城壁を築いたフォレストに対しての抵抗を見せたブレントフォードだったが、決壊させることはできず。堅く戦ったフォレストが上位をキープする勝ち点3を手にした。

ひとこと

 初手のシステム変更から仕掛けていたフォレスト。幅の広さと強度を見せた90分だった。

試合結果

2024.12.21
プレミアリーグ 第17節
ブレントフォード 0-2 ノッティンガム・フォレスト
G-techコミュニティ・スタジアム
【得点者】
NFO:38′ アイナ, 51′ エランガ
主審:マイケル・オリバー

クリスタル・パレス【15位】×アーセナル【3位】

得点先行のレアケース

 レビューはこちら。

 ミッドウィークはきっちりとした迎撃が機能しなかったパレス。基本的にはカップ戦と同じくプレータイムが多いメンバーを中2日で起用し、高い位置からのプレスでアーセナルを追い込んでいく。

 そのカップ戦で手応えを掴んだジェズスに早々に先制点を奪われるのは想定外だっただろう。しかしながら、プレッシング自体は十分に機能。キーマンになったのはミッドウィークは途中からの出番となった鎌田。久しぶりのリーグ戦での先発起用となった鎌田はウーデゴールのチェイシングとバックスへのプレスを両立。パレスのプレスからのショートカウンターのチャンスを構築する。

 いつもであれば、アーセナル相手に何度もプレスからチャンスを作るのは難しい。だが、この試合におけるパレスのサイド封鎖と高い位置へのプレスの思い切りの良さは抜群。高い位置からのチェイシングから繰り返しチャンスを作る。

 自陣からの攻撃も機能。ロングボールからCHのセカンド回収にかける形も悪くなかったし、自陣からのキャリーで左サイドにオーバーロード気味に流れてくるサールの同点ゴールも良かった。シュートは完全にサリバを出し抜く一撃だった。

 ビルドアップとプレスの両面が機能しないアーセナル。右サイドで奮闘するサカも負傷してしまい苦しい展開。それだけに得点を決めたジェズスの貢献度は高い。セットプレーからの二次攻撃で見事なミドルを沈めて再びリードを奪う。

 さらにはサカに代わって右サイドに入ったマルティネッリのクロスからアーセナルは追加点をゲット。またしてもジェズスが難しいボールを枠内に飛ばし、最後はハヴァーツがこぼれ球を仕留める。

 巻き返したいパレスは高い位置からのチェイシングで後半をスタート。アーセナルをもう一度飲み込み、2点のリードがセーフティでないことをアピールする展開に。

 再び試合のコントロールを失ったアーセナルを救ったのはまたしてもゴール。ガブリエウがパレスのラインの乱れを見逃さず、トロサールのラインブレイクを呼び込むフィードを送る。この一連の攻撃からアーセナルはマルティネッリが追加点を奪う。

 このゴールでさすがに連戦の疲労が出たパレス。以降はプレスを自重し、まったりとしたブロック攻略に移行することになっていく。

 仕上げとなったのはライス。ブロックを切り裂くドリブルを見せつつ、トドメとなる5点目をゲット。素晴らしいミドルでゴールパフォーマンス通りに試合を”眠らせる”こととなった。

 カラバオカップに続き、パレスを制したアーセナル。3試合ぶりの勝利でチェルシーとの勝ち点差を縮めた。

ひとこと

 非常に珍しい得点先行でアーセナルが流れをパターンの試合となった。

試合結果

2024.12.21
プレミアリーグ 第17節
クリスタル・パレス 1-5 アーセナル
セルハースト・パーク
【得点者】
CRY:11‘ サール
ARS:6’ 15‘ ジェズス, 38’ ハヴァーツ, 60‘ マルティネッリ, 84’ ライス
主審:サイモン・フーパー

エバートン【16位】×チェルシー【2位】

前節の再現成功

 前節はアーセナルを封じて足止めを喰らわせたエバートン。舞台をロンドンからマージーサイドに移し、同じく上位のチェルシーを封じることができるかを問われる一戦となる。

 エバートンはそのアーセナル戦を踏襲するフラットな3センターでチェルシーを迎撃。きっちりとブロック守備を固める。

 アーセナル戦とのもっとも大きな違いは天候だろう。フリーキックのボールすら止まってくれない強風が試合開始直後から吹き荒れている。開始直後には風に加えてものすごい豪雨も。これで試合は完全に荒れ模様での開催となった。

 当然ボールを持つチェルシーには苦しい展開。一方のエバートンもロングボールに関しては風下。安易に押し流されるキックを蹴るわけにはいかない。

 その分、エバートンはプレスで応戦。3-2-5でのポゼッションを行うチェルシーを中盤で封殺し、ショートカウンターからファウルを奪ってセットプレーでチャンスを作っていく。

 前半の中盤以降は押し下げる形を作ることができていたチェルシーだったが、エバートンのリトリートでのブロック構築も間に合っている。そんなチェルシーの光となっていたのは右サイドのネト。彼の抜け出しからのチャンスメイクはエバートンの守備ブロックに刺さりそうな雰囲気はあった。

 しかしながら、それ以外の打開のルートが見つからないチェルシー。即時奪回も刺さらず、自作自演のピンチを招きながらのファインセーブを見せたピックフォードの壁にも阻まれ、前半は得点を決めることができなかった。

 序盤ほど荒天ではなくなったが、依然として風は強い状況が続いていたこの試合。後半に風上に立つことができたエバートンは少しずつロングボールを増やしていく。エンジアイのチャンスメイクからのハリソンの決定機はサンチェスのセーブで防がれるが、後半はエバートンが前半以上に攻め筋を作っていく。

 一方のチェルシーはきっちり押し込みながら勝負。オープンさを志向するエバートンに対して、ライン間のパーマーからの加速でブロック守備を切り崩しにかかる。

 押し込まれるエバートンだったが、リンドストラムの投入で右サイドの馬力を回復。縦に進むルートを開通させることで反撃に出るための手段を確保。チェルシーに対抗する。

 しかし、堅実なセーブを続ける両チームのGKの牙城を最後まで崩すことはできず。試合はスコアレスドローで幕を閉じることとなった。

ひとこと

 エバートン、前節の完全再現完了。再びロンドン勢をシャットアウトしてみせた。

試合結果

2024.12.22
プレミアリーグ 第17節
エバートン 0-0 チェルシー
グディソン・パーク
主審:クリス・カヴァナー

マンチェスター・ユナイテッド【13位】×ボーンマス【6位】

雑さ先行でダービーの勝利を打ち消す完敗

 前節はダービーに勝利。ここから上昇気流に乗っていきたいユナイテッド。今節はホームに戻り、4位争いを視野にれているボーンマスとの一戦だ。

 ユナイテッドの守備は非常に慎重なものだった。シャドーのディアロは攻め上がりが持ち味のSBのケルケズをケアするように自陣に下がる。3-2-5気味に組むボーンマスの前線に対して同数で受けたくな方のかなと推察することができるが、その分前線のプレスがルーズに。

 ボーンマスはこの状況を活かしてポゼッション。自由にボールを持つことができるバックラインからショートパスでの組み立てにトライ。ディアロの手前のスペースでもアダムスが流れて受けて、ディアロにプレスに来るように促すなど、マークが浮いた分をプレスとの駆け引きに活用しながら勝負を仕掛けていた。

 ユナイテッドの守備はコンパクトさとスイッチが入った時の抑揚が大事なのだが、この試合ではスイッチが入る部分をそもそも見せることができず。どのようにボールを奪い、どこから前に進むのかのイメージがわかないまま試合が進んでいく。

 保持に回ってもユナイテッドはテンポを掴めず。相手を食いつかせるフェーズなしに裏に蹴ってしまうので、シンプルにボーンマスのバックスとの徒競走の様相を呈していた。この形ではクリーンな形でボールを薦めるのは難しい。いつもよりボーンマスはプレスに出ていく頻度は少なかったが、プレッシャーのかかっていないフェーズでもユナイテッドはショートパスを見るなど、タッチが安定しなかった。

 押し込むボーンマスは順当に先制。セットプレーからザークツィーのマークを外したハイセンが先制ゴールを決めてリードを奪う。

 リードして以降はユナイテッドは反撃を視野。この日はプレスがあまりかからなかったボーンマスに対して、左右のサイドから押し込んでブルーノのミドルを放つなど少しずつチャンスを作る。

 前半の終盤はリードで畳み掛け、カウンターやセットプレーからでもチャンスを作るユナイテッド。だがゴールを奪い切ることはできず。試合はボーンマスのリードでハーフタイムを迎える。

 後半、反撃に出たいユナイテッドだが、オナナの不安定な飛び出しなど危ういシーンもちらほら。プレスに出ていく意識が前半よりも上がっていることは買うが、ボーンマスのルートをきっちり潰しきれなかった分、普通に交わされてしまう場面も多かった。

 そうした中で徐々に目立ってくるのがプレーの雑さ。左サイドからのクライファートの仕掛けに対して、マズラヴィがあっさりとタックルでPKを献上。大雑把な対応でボーンマスの追加点を許す。

 さらに酷かったのは3点目。ブルーノの工夫のない縦パスがカットされて、メイヌーがこぼれてきたボールを丁寧さを欠いたコントロールで失うなど雑なプレーの連鎖。左サイドの背後をワッタラに取られてしまい、最後はセメンヨに仕留められる。

 抜け出しからなどいくつかビッグチャンスを迎えたユナイテッドだが、ケパのファインセーブを前にシャットアウトされてしまい反撃のきっかけを掴むことができない。ボーンマスはこの試合の守備がソリッドというわけではなかったし、結構中盤やサイドがさらされる守り方をしているのだが、ユナイテッド側も淡白な攻撃で機会を潰してしまった印象だ。

 試合は結局そのまま終了。ボーンマスがオールド・トラフォードを完全制圧。ユナイテッドのダービーの勝利を打ち消す完勝だった。

ひとこと

 ユナイテッド、個人的にはパフォーマンスが危険水域に入ったなという感じ。ちょっと何をしたいのかが見えない。

試合結果

2024.12.21
プレミアリーグ 第17節
マンチェスター・ユナイテッド 0-3 ボーンマス
オールド・トラフォード
【得点者】
BOU:29′ ハイセン, 61′(PK) クライファート, 63′ セメンヨ
主審:クレイグ・ポーソン

フラム【8位】×サウサンプトン【20位】

相手なりのフラム

 ラッセル・マーティンがチームを離れ、就任したのはイヴァン・ユリッチ。この試合のベンチには間に合わなかったが、新政権の一歩目となる試合となる。

 序盤から試合は強度の高い展開に。互いにプレスを掛け合うスタートとなり、ボールを持っている方がその対応に問われることとなった。

 保持に回った際の解決方法に両チームの個性が見えた。フラムは明らかにプレスの強度に対応。少なくとも、簡単にボールを奪われるようなコントロールの乱し方はしていなかった。攻撃のきっかけになりそうだったのはSBのオーバーラップ。マンツー気味に守備にくるセインツに対して、ポジトラのテンポのよさを活かす攻め上がりは確実にアクセントになっていた。

 サウサンプトンはより直線的。ゴールに迎えるような抜け出しが刺さればチャンスになる。だが、当然そうした機会は稀。基本的にはフラムが保持ベースでサウサンプトンの守備ブロックを崩せるかの勝負だったようになった。

 少し不可解だったのはサウサンプトンのディブリング。結構この試合でフリーになる機会もあったが、起爆剤になれなかった。周りが呼応しないのもあるだろうが、本人のキレも怪しいところがあった。そういう状況なので相手に引かれてしまうと動かすことができないというのがサウサンプトンの苦しいところだった。

 後半も試合展開としては前半の継続。まったりとしたハイプレスから相手のポゼッションを伺っていく。フラムが狙うギャップは前半と同じ。SBの攻め上がりのトランジッション強度を浮かす形での攻撃が軸となる。

 サウサンプトンはアーチャーが一発でひっくり返す裏抜けを見せるなど反撃の片鱗を見せる。その流れからハイプレスの勝負に出るが、サイドの圧力が不十分。再びフラムに押し込まれる形に。

 終盤の主役になったのはトラオレ。ファーへのクロスでウィルソンの決定機を演出したり、あるいは密集の狭いスペースに突っ込んで行ってもチャンスを作れそうな予感が。そういう意味では少しいつもとテイストの違うチャンスメイクだった。

 交代選手で終盤にアクセントをつけることに成功はしたフラムだったが、最後のところを打ち破ることはできず。フラムはホームでサウサンプトンにドローという上位争いを争う上では手痛い結果を残すこととなった。

ひとこと

 ちょっと慎重に戦いすぎた感のあるフラム。相手次第で結構テンションが変わってしまいやすいなという印象だ。

試合結果

2024.12.22
プレミアリーグ 第17節
フラム 0-0 サウサンプトン
クレイブン・コテージ
主審:ティム・ロビンソン

レスター【17位】×ウォルバーハンプトン【19位】

ファジーなロングボールが解決策として上回る

 前節はセント・ジェームズ・パークで完全に制圧されてしまったレスター。ファン・ニステルローイ就任以降、初の黒星からのリカバリーを図るための節となる。今節はホームにウォルバーハンプトンを迎えての一戦だ。

 レスターのボール保持は3-2-5と3-1-6の合いの子という感じのスタート。まずはきっちりとウルブスの2トップの脇を取ることで前進のルートを確実に抑えていく。

 フリーの選手を作ることができたら、当然最後の仕上げはヴァーディの抜け出し。ジョゼ・サにはギリギリの対応を強いることができていた。ただし、ウルブスも動き回るレスターの選手に対して人についていくことはできていたので、クリーンにヴァーディに背後を取られる頻度自体はそこまで多くなかった。

 ウルブスの保持は3バックベース。2トップの脇に立つ形でボールを持つ。ショートパスへの偏重はそこまででもなく、ロングボールをベースとした前線へのフィードが多めの展開だった。

 どちらのコンセプトもはっきりしていたが、結果を出したのはウルブス。後方からのややファジーなロングボールから先制ゴールをゲット。味方と重ねるような抜け出しで奥行きを作ったゲデスが角度のあるところからゴールを決める。

 このフィードはレスターに対して効果が抜群。下がった前線の選手もフィードを蹴っ飛ばしていたのでおそらく狙いだったのだろう。後方からのフィードからさらに追加点。ドハーティからのリカルド・ゴメスのゴールで2点目を奪う。

 エル・カンヌスとマヴィディディの左サイドからショートパスで繋ぎながら反撃を狙いたいレスターだが、さらにゴールを決めたのはウルブス。またしてもゲデスがサイドの裏を取ると、折り返しをクーニャが仕留めて前半で3点のリードを確保する。

 後半、レスターは保持での機会を増やしつつ、ウルブスのブロック守備に対しての解決策を模索していく。生命線の左サイドからの解決を狙っていくが、なかなか相手を剥がすところまでは至らない。

 ウルブスは後半はそこまで強引にゴールを狙いに行かない攻め筋。ゆったりとボールを回していく形で時間を使っていく。そうした中で前半に見せた裏への駆け引きを時折見せていく。

 終盤にのびのびとした攻撃を見せていたのはウルブス。ファストブレイクを中心に交代選手が追加点を狙う流れから再び鋭さが出てくるように。

 更なるゴールこそ決めることができなかったウルブスだったが、この試合は完勝。レスターは前節に続く大敗となった。

ひとこと

 前線のプレーの引き出しの差がそのまま点差に繋がった感があった。

試合結果

2024.12.22
プレミアリーグ 第17節
レスター 0-3 ウォルバーハンプトン
キング・パワー・スタジアム
【得点者】
WOL:19‘ ゲデス, 36’ リカルド・ゴメス, 44‘ クーニャ
主審:アンソニー・テイラー

トッテナム【10位】×リバプール【1位】

急造DFラインを圧巻の6得点で破壊

 2位のチェルシーは直前の時間帯の試合はドロー。またしても隣人にライバルチームの足止めのアシストを受けたリバプールはトッテナムとのアウェイゲームに挑む。

 序盤からペースを握ったのはリバプール。トッテナムが好みそうなハイテンポなゲームに堂々と乗っかり、インテンシティの高い展開でトッテナムを苦しめる。特に厄介だったのはトッテナムの左サイドに対するハイプレス。グレイ、スペンスという即席左サイドユニットに対してジリジリと圧力をかけてミスを誘発すると、ここから一気にショートカウンターで攻め込むことに成功する。

 リバプールの攻撃のストロングも同サイド。サラーを軸にアレクサンダー=アーノルドが絡む攻撃で一気に畳みかけに行く。両サイドはロングボールを収めることで攻撃の起点としても機能。トッテナムのバックスが中央への縦パスに対してアプローチが遅れることもあり、サイドにいい状態でボールを付けることが出来る。サイドに展開した後はシンプルなハーフスペースのオフザボールとの掛け合わせで定点攻撃でも攻め筋を作っていく。

 トッテナムもサイドからチャンスを作るべく長いボールを当てていくが、こちらはやや苦し紛れ感が先行。背中を向いてもなんとかできそうなクルゼフスキはともかく、ソンは丸投げではなかなか攻撃の手段としてはしんどいものがあった。

 サイドアタックに加えて、定期的に低い位置で発生するトッテナムのミスからチャンスを手にするリバプール。多くのチャンスをフイにしつづける嫌なムードを何とかしたのがディアス。クリーンな抜け出しから仕留めるゴールでようやく先行する。

 ゴールを決めたことで試合を動かしたリバプールは立て続けに追加点。トッテナムは中盤での潰しからのショートカウンターで1点を返すが、リバプールは前半終了間際に追加点を奪い、2点差をキープ。反撃の姿勢をとっている最中にトッテナムがぶんなぐられたところでハーフタイムを迎える。

 後半も大きく展開は変わらず。ハイラインを志向する両チームの中で利益をより多く得続けるのはリバプール。特にサイドからの裏抜けは電車道になっており、ダイレクトで抜けきるパターンとサイドのホルダーをピンとして、後から追い越す選手をラインブレイカーとして最終ラインを壊すパターンの2つで延々と攻撃を仕掛けていく。

 後半は左サイドを起点としたショボスライの前線への飛び出しが猛威を振るったリバプール。立て続けの2ゴールでさらにリードを広げる。

 クルゼフスキやソランケが意地を見せるトッテナムだが、終了間際にディアスが再びゴールを決めたリバプールとの点差はなかなか縮むことはなし。急造DFラインでは撃ち合いに耐えることが出来ず、テーブルの一番上でクリスマスを迎えるリバプールとは対照的に、トッテナムはクリスマスをボトムハーフで迎えることとなった。

ひとこと

 今の布陣で撃ち合ったらこうなるだろうし、それ以外の策がないのもわかるはわかる。

試合結果

2024.12.22
プレミアリーグ 第17節
トッテナム 3-6 リバプール
トッテナム・ホットスパー・スタジアム
【得点者】
TOT:41‘ マディソン, 72’ クルゼフスキ, 83‘ ソランケ
LIV:23’ 85‘ ディアス, 36’ マック=アリスター, 45+1‘ ショボスライ, 54’ 61‘ サラー
主審:サム・バロット

今節のベストイレブン

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