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「逆境だからこそ怖い」~2019.11.5 J1 第32節 浦和レッズ×川崎フロンターレ プレビュー

全文無料で読めます。

目次

Fixture

明治安田生命 J1リーグ 第32節
浦和レッズ(11位/勝ち点36/9勝9分13敗/得点31 失点44)
×
川崎フロンターレ(4位/勝ち点51/13勝12分5敗/得点50 失点29)
@埼玉スタジアム2002

戦績

近年の対戦

図2

直近5年間の15戦で浦和の5勝、川崎の6勝、引き分けが4回。

浦和での直近10試合の対戦成績(ゼロックスを除く)

図3

浦和の5勝、川崎Fの3勝、引き分けが2回。

Head-to-Head

Head-to-Head①
【おなじみのミッドウィーク】
・公式戦における両チームの対戦は過去45戦で浦和が21勝、川崎が16勝、引き分けが8つ。
・ミッドウィークでの対戦は2017年開幕以降で7回目。

 過去45回の対戦成績は浦和がわずかに優勢。昨季はダブル達成、一昨季はACLで大逆転勝利、今季の前半戦の大槻監督就任初陣ながら等々力で勝ち点を獲得するなど、浦和からすれば近年の川崎戦にはいいイメージの方が多いかもしれない。

 近年のこのカードの特徴といえばミッドウィーク開催の多さ。17年、18年のリーグ戦は4試合ともミッドウィークという異例さ。今年は回避したかと思いきや最後の最後で日程変更がかかり、おなじみのミッドウィークにスライドである。おかげさまで試合見に行けることになったぜ。ちなみにここ2年のミッドウィーク6試合の成績は共に3勝とがっぷり四つである。

Head-to-Head②
【逆境のカード】
・この対戦における直近5回の引き分けはすべて1-1。
・片方がボトムハーフの順位で迎える対戦は過去5回あるが、ボトムハーフのチームが負けたことはない。

 全8回の引き分けのうち、6回の引き分けが1-1というこのカード。ちなみにスコアレスドローは過去に一度もない。ジリジリしながら得点も楽しめるカードとなっている。

 この対戦は片方がボトムハーフにいる場合、ボトムハーフ側のチームの方がはるかにいい成績を残している。5戦で4勝1分。ちなみに過去5回のうち、ボトムハーフ側の立場を4回経験しているのが浦和。今回もボトムハーフ側での試合になるがこれいかに。

Head-to-Head③
【難所埼スタ】
・浦和ホームでの試合(ゼロックスを除く)は過去21戦で浦和の12勝、川崎の6勝、引き分けが3つ。
・直近6回の埼スタでの対戦で川崎が浦和相手に複数得点を挙げたのは一度だけ。

 埼スタでの試合になると、浦和有利の様相はさらに強まる。得点が多い川崎の攻撃陣も直近6回の埼スタでの浦和戦で複数得点を挙げたのはわずかに一度。大観衆の声援の前にやや委縮気味である。

Head-to-Head④
【ACL+11月=?】
・11月の埼スタでの対戦は過去3回あるが、3回とも浦和は川崎に勝てていない(D1L2)。
・浦和ホームの試合で浦和が無得点に終わったのは2017年が唯一。

 というわけで最後の項は川崎に有利なデータを並べてみた。「11月に強いのはわかるけど、下のデータは何が有利?」と思うかもしれない。2017年の埼スタでの対戦は記憶に新しいファンも多いはず。小林悠のゴールで先制したものの、死ぬほど攻め込まれまくった上に家長がめっちゃ退場しそうという展開で前半からずっと俺はおなか痛かった。この年と今年の共通点といえば、浦和がACLで決勝まで勝ち進んでいること。というわけで川崎には二度目のクリーンシートが期待できるかも・・・?

【浦和レッズ】

選手情報

・武富孝介は右足中足骨疲労骨折で今季絶望。

Match Facts

浦和のMatch Facts①
【ホームゲーム】
・ホームで今季4勝。これより少ないのは磐田と松本だけ。
・トップハーフとのホームゲームは今季勝ちなし。

 圧倒的な雰囲気でファンを後押しすることでおなじみの埼玉スタジアム。しかし、今季のリーグ戦ではわずかに4勝。得点数もこれより少ないのは松本だけ。そして勝利を挙げている4勝はいずれもボトムハーフ。トップハーフの川崎をホームに迎える今節はどうなるだろうか。

浦和のMatch Facts②
【苦戦はわかりやすく数字に】
・昨年同時期と比較して得点は14減少、失点は10増加している。
・ミッドウィークのリーグ戦は今季2戦2分。

 苦戦しているリーグ戦ははっきりと数字に表れている。得失点差で言えば24悪化。オリベイラ→大槻政権に移行してもリーグ戦に限れば一向に数字は改善しなかった。

 ちなみにミッドウィークの今季の試合は2回。鹿島、広島そして今回の川崎といずれもACL出場組との対戦。2回はいずれもドローだったが、3回目の今回の結果はどうなるか。

浦和のMatch Facts③
【逆境には強い】
・後半追加タイムでの得点はリーグ2位。
・ビハインドから得た勝ち点はリーグで最多。

 ここまでネガティブなデータが多かったが、浦和が侮れない相手であることは川崎側は重々承知。等々力での森脇の土壇場の同点ゴールは川崎サポを奈落の底に突き落としたし、なんなら友人のFC東京サポもトラウマが想起されてしまった。森脇恐るべし。

 何も浦和が土壇場に強いのはその試合だけではない。ビハインドから得た勝ち点はリーグ最多。そして、後半追加タイムの得点はリーグ2位と絶体絶命の局面に強い。ちなみにだけど、後半追加タイムの得点ランキングは得点数ワースト4のうち、3チーム(磐田、鳥栖、浦和)がトップ3に入っている。追いかける局面が多いチームとはいえ、ちょっと驚き。前線は能力があるのに、そこに届ける仕組みがうまくいかないのだろうか。

浦和のMatch Facts④
【川崎に強い両ストライカー】
・杉本健勇は先発した直近4試合の川崎戦で4得点に絡んでいる(2G2A)
・興梠慎三はこのカードにおける最多得点者(9)

 前半戦と同じデータを引っ張ってきてごめんなさい。でも、それだけ特徴的。今季絶不調だった杉本は先発出場では好成績。埼スタ+杉本健勇というだけで若干頭が痛くなる人も川崎サポの中にはいるだろう。

 エースの興梠はこのカードの最多得点者。ただし、彼が得点できなかったときの所属チームの戦績は悪い。得点を決めると6勝4分1敗だが、決められないと4勝5分15敗。彼の得点の有無は大きく勝敗に関わってきそうだ。

【川崎フロンターレ】

選手情報

・車屋紳太郎、谷口彰悟、家長昭博は出場停止から復帰。
・守田英正は復帰予定。
・中村憲剛は前十字靭帯損傷のためシーズン終了。
・馬渡和彰と藤嶋栄介は離脱中。

Match Facts

川崎のMatch Facts①
【停滞だが得意なアウェイ】
・アウェイでの公式戦は直近10試合で1勝。
・アウェイ戦での戦績はリーグ首位。

 延長にもつれた天皇杯の岡山戦を引き分け扱い、ルヴァンカップを中立地とカウントすれば、直近10試合で勝利したのは湘南戦のみ。しかしながら序盤の貯金を活かして、アウェイゲームでのリーグ順位は堂々トップ。得点数も30は最多。ちなみにアウェイは残り3試合と消化試合も少ないので、アウェイ優勝という隠れタイトルは実は大本命だったりする。

川崎のMatch Facts②
【火曜日は得意】
・火曜日のリーグ戦は過去9戦で1敗しかしていない。
・今季唯一のミッドウィークの試合は敗戦している。

 過去の火曜日の試合を見ると、戦績は良好。半分の試合で勝利を挙げている。ただし、今季唯一のミッドウィークのゲームはアウェイで広島に敗れている。ちょうど停滞感を感じていた時期の記憶とダブるのは嫌な感じだが、最終盤に向けて嫌な思い出を払しょくしたいところだ。

川崎のMatch Facts③
【カギを握るのはこちらもエース】
・2015年以降の浦和とのリーグ戦は勝利した試合はすべて小林悠がゴールかアシストを決めている。
・浦和は鬼木監督が2番目に多く敗れている相手。

 興梠の得点の有無は浦和の勝率を左右すると紹介したが、小林悠も似たような業を背負っている。2015年以降は得点に絡まないと浦和には勝てないというジンクス。初の栄冠に手が届いたルヴァンカップの舞台もこの埼玉スタジアム、そして小林のゴールが生まれている。鬼木監督にとってはC大阪に次いで敗戦数が多い相手だが、エースの得点はグッと勝利を引き寄せることになりそうだ。

川崎のMatch Facts④
【ブラジル人も相性がいい?】
・レアンドロ・ダミアンは今季浦和戦にて2戦ともゴールを挙げている。
・マギーニョは今季先発したアウェイゲーム3試合で2得点に絡んでいる。

 埼玉スタジアムでのデビュー戦でゴールを決めたのがレアンドロ・ダミアン。華々しい助っ人のデビュー戦ゴールで今年の川崎は幕を開けた。そして等々力での浦和戦でもゴールを決めたダミアン。今のところ浦和戦は全得点を決めているが、二度あることは三度あるだろうか?

 そして広島戦に続き先発が予想されるマギーニョ。出場時は得点に絡む確率はかなり高い。粗も目立つマギーニョだが、最後まで走り切れる走力と攻撃参加は魅力。終盤まで気を抜けない試合で必ずや頼りになる局面は出てくるはずだ。

予想スタメン

画像3

展望

■シャドーの守備の役割は?

 まず、この試合の展望を話す上で考慮しなければいけないのは、浦和の過密日程である。ACLという大目標と残留というノルマを両輪で回さなければいけない浦和。この試合の後に中4日で迎えるACLの方が1試合の重要度で言えば上。となると、メンバーを読むのが難しい。おそらく大まかなシステムは変えないだろう。5バックで臨むはずだ。

 メンバーを多少入れ替えていた広島戦と鹿島戦を見ると、中盤の構成はおそらくCHが2枚で臨むはず。シャドー2枚は1枚がアタッカーとして振る舞える選手(ファブリシオ)で、もう1枚がMF的に振る舞える選手(長澤/柏木)の組み合わせである。

 浦和の試合を見る上で難しかったのは、このシャドーの守備の役割である。基本的には初めから捕まえに行こうとするわけではない。ボールがサイドに渡った時に初めてダッシュで捕まえにいく。しかし、プレスが後方と連動しているわけではなく、例えばWBが同時にパスコースを塞ぐように前に出てくる動きはあまり見られなかった。特にファブリシオの動きは不規則で読みづらい。強いて言えば中央を切っているのだろうが、ボールホルダーはフリーで外にも裏にも出せる状況だ。

 逆サイドは長澤が出てきた場合には出足はいいものの、後方のプレスが連動していないという問題は据え置きで、今度はDF-MF間のスペースが空いてしまう。直近の試合では柴戸とエヴェルトンという運動量自慢を2枚中盤に揃えていたとはいえ、川崎相手に後追いでスタートしたプレスをカバーする動きをするのはハードである。

図4

 というわけで川崎としては相手が空けたところを突けばいい流れになると予想。WBが出てきたときのスライドもやや遅いので、WBの裏から相手の3バックを釣り出す動きも有効そうである。

■広く使う陣形を利用

 浦和のボール保持はパスの距離が長いのが特徴。ただし、グラウンダーのものはややパススピードが遅く、相手の陣形を動かすのにはあまり大きな効果を生み出してはいなかった。浮き球の長いレンジのパスの方が有効で柏木や岩波、西川から出てくるボールには警戒が必要。これによりワイドで数的優位を作っての崩しがパターンとして多かった。運動量豊富なCHの攻撃参加もプラスワンとして有効。ただし、ピッチを幅広く使う傾向があるので、途中で相手の守備に引っ掛かった場合はカウンターで強烈なしっぺ返しを喰らう可能性はある。出し手としても受け手としてもスコアラーとしても高いアベレージを出せる脇坂の起用はハマるかもしれない。

 数的優位を作るには起点が必要。鹿島戦では中央で起点が作れずに苦労したが、これは興梠のスタメン復帰で解決しそうだ。川崎としては、前線だけ張り切ってプレスに行ったところを長いキックで外されて、興梠を軸に押し上げを許してサイドを数的優位で攻め落とされるパターンを最も回避したいところだ。

参考
transfermarkt(https://www.transfermarkt.co.uk/)
soccer D.B.(https://soccer-db.net/)
Football LAB(http://www.football-lab.jp/)
Jリーグ データサイト(https://data.j-league.or.jp/SFTP01/)
SANSPO.COM(https://www.sanspo.com/)

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