Fixture
プレミアリーグ 第14節
2024.12.4
アーセナル(2位/7勝4分2敗/勝ち点25/得点26 失点14)
×
マンチェスター・ユナイテッド(9位/5勝4分4敗/勝ち点19/得点17 失点13)
@エミレーツ・スタジアム
戦績
過去の対戦成績
過去5年間の対戦でアーセナルの6勝、マンチェスター・ユナイテッドの2勝、引き分けが2つ。
アーセナルホームでの戦績
直近10回の対戦でアーセナルの6勝、マンチェスター・ユナイテッドの2勝、引き分けが2つ。
Head-to-head from BBC sport
- アーセナルには史上初のマンチェスター・ユナイテッド戦4連勝の可能性。
- ユナイテッドは直近9試合のアーセナルとのプレミアのアウェイゲームで7敗を喫している。
- ユナイテッドの直近4試合のアーセナル戦の勝利はいずれも異なる監督で達成されている。ジョゼ・モウリーニョ(2018.04)、オーレ・グンナー・スールシャール(2019.01)、マイケル・キャリック(2021.12)、エリック・テン・ハーグ(2022.09)。
スカッド情報
- ガブリエウ・マガリャンイス、ミケル・メリーノ、トーマス・パーティ、リカルド・カラフィオーリはセッションでの出場可否の判断が必要。
- 冨安健洋は引き続き欠場。
- 日曜の試合で予防措置をとったブルーノ・フェルナンデスは起用可能。
- リサンドロ・マルティネス、コビー・メイヌーは累積警告による出場停止。
- レニー・ヨロにはプレミア初めてのスカッド入りの可能性。
Match facts from BBC sport
- 勝てばエミレーツでの公式戦500勝。
- 今季初のリーグ戦3連勝を狙う。
- いわゆる”トップ6”との対戦は2023年4月のシティ戦以来、15戦無敗。
- 前節のウェストハムの5点を含め、プレミアにおける直近11得点のうち8得点は前半に記録している。
- ミケル・アルテタは監督としてのプレミアでのユナイテッド戦において9戦6勝。2020年1月にこのカードで初勝利を収めている。
- 5試合以上ユナイテッドと対戦しているプレミアの監督の中でアルテタ(67%)は最も高い勝率を誇っている。
- ブカヨ・サカはプレミアのユナイテッド戦で3ゴール、2アシスト。ユナイテッド戦でこれより多くゴールに関与しているアーセナルの選手はティエリ・アンリ(12)だけ。
- サカとカイ・ハヴァーツはプレミアで5得点を記録しチームリーダー。合計10得点のうち、8得点はエミレーツで生まれている。
- 昨季の開幕以降、アーセナルはCKで20得点を決めており、ガブリエルはうち5得点。それぞれチームと個人としてリーグハイを記録。
- 今季初めての連勝がかかる。
- 直近7試合のミッドウィークのプレミアリーグで6勝。38得点を記録している。
- 直近18試合のロンドンでのゲームで2勝。どちらの勝利もフラム相手に後半ATでの決勝点を決めた試合。
- レスター戦のビクター・クリスチャンセンのオウンゴールを除き、リーグにおける直近7得点はアマドゥ・ディアロ(4)かブルーノ・フェルナンデス(3)によってアシストをされている。
- マーカス・ラッシュフォードはルベン・アモリム就任以降の2試合のリーグ戦で3得点。それ以前の11試合では1ゴールだった。
予習
第11節 レスター戦
第12節 イプスウィッチ戦
第13節 エバートン戦
今季ここまでの道のり
予想スタメン
展望
アモリム型の特徴と現在地は?
内容は改善、得点と勝利を重ねて上昇気流に乗るアーセナル。リバプールとの勝ち点差はなかなか縮まらずにもどかしい状況ではあるが、そもそもリバプールの強さを恨むで済ませていいほど勝ち点を積んでいないのが今のアーセナル。人事を尽くして天命を待つという言葉があるが、人事をきっちり尽くし切ってからでなければ恨む資格すらない。
今節の相手はマンチェスター・ユナイテッド。ちょうど1週間前に対戦したスポルティングの前指揮官のアモリムが代表ウィーク明けから指揮を執っており、この試合が4試合目の公式戦の指揮となる。
戦績としてはここまで3戦で無敗。初戦のイプスウィッチ戦は引き分けで終わったもののそこからホームの連戦は連勝。特に直近のエバートン戦は4-0の快勝。ここまでは得点力不足に苦しんでいたユナイテッドだけに、大量得点での勝利は士気があるものといえる。
もちろん、就任から間もなく準備期間もなかったので現状はチームを構築しながら前に進んでいるフェーズといえる。基本的なシステムはスポルティングで採用していた3-4-2-1をトレースする格好だ。ここまではまんべんなくスカッドの各選手にプレータイムを与えており、目先の成績以上に選手の出来ることの見極めといったテストを重視している傾向が強い。
そのため、スタメンは少し読みにくい。オナナ、デ・リフト、マズラヴィ、ディアロ、ダロト、ブルーノまでは確定だろう。
CBの残り1枚は本来であればリサンドロ・マルティネスが務めるはずだが、この試合では出場停止。エバンス、マグワイアのどちらかから1人をピックすることになる。ヨロのぶっつけはさすがに考えにくいだろう。
リサンドロ・マルティネスと同じくメイヌーが出場停止のCHはカゼミーロとウガルテが基本線。前節ベンチ外だったエリクセンが復帰すれば、彼も選択肢に入ることになる。
ブルーノの相方であるシャドーはガルナチョをややラッシュフォードがリード、CFはホイルンドと前節開幕戦以来のゴールを決めたザークツィーが一騎打ちという形。プレータイム管理を重視するなら前者がスタメンと考えるのが自然だ。
保持においては誘引ビルドが基本的な方向性として強くある。3バックを起点として自陣側にプレスを引き寄せる形で、相手のプレスをおびき寄せ、そこからひっくり返す形でスピードアップすることで、高くなったDFラインの背後を攻略するのがアモリムのやり方である。
前線のアタッカーはスピードがあるので基本的にはあっているやり方だと思うのだが、懸念も垣間見える。1つはワイドアタッカーのフィニッシュ性能。ホイルンド、ザークツィーといったCF陣が背負って起点となる意識が高い分、ワイドのアタッカーが抜け出してフィニッシャーやラストパスを出すことが多い。
ただ、ワイドアタッカーはいずれもフィニッシュワークの精度に難がある。ラッシュフォードは問題ないだろうが、SBのダロトに加え、ディアロやガルナチョといったWGタイプの選手たちは抜け出した後のプレーの質の改善が求められることになる。
もう1つの懸念はテンポをコントロールするべき中盤の存在感が薄いこと。現状では裏へのルートが見えると早く蹴ってしまう傾向にあるため、中盤を飛ばしてとにかく前線にガンガン入れていく機会の数勝負になっているところが大きい。中盤でタメを作りながら相手を動かす緩急を入れないと、後述する守備にしわ寄せが来ることになるだろう。
守備においては5-2-3のフォーメーションがベース。特徴となるのは前線が3枚で積極的にプレスをかける一方で、バックラインは5枚をフラットに並べる陣形を維持するということ。シャドーの背後をカバーするのはCHが基本線で、稀にワイドのCBが降りる選手を潰しに出てくるという感じだ。
そのため、全体の陣形を縦にコンパクトにすることは必須。だが、ここに関しては理想に比べてかなり現実は未達だなという感じ。前線が後ろの様子を気にせずに前からプレスをかけるとあっという間に陣形が間延びし、中盤で相手に好き放題やられてしまうこともある。
CHは丸投げできるほど広範囲を潰せるクラッシャーはいない。組み合わせで言えばウガルテとカゼミーロなのだろうが、前者はトッテナム戦で丸投げされた時の無理の効かなさを露呈(そもそもチームの無秩序さがひどかった試合なので彼自身のパフォーマンスは二の次なのだけど)したし、カゼミーロは無理なタックルが増えるとあっという間に警告を受けてしまう。
イプスウィッチ戦ではリサンドロ・マルティネスがいないことで機動力のあるバックスが不在となっていた分、相手の2列目のアタッカーに後手を踏みまくっていた。今回のアーセナル戦も同じ状況なだけに守備時にコンパクトな陣形を維持できるかは重要なポイントになる。
救いなのは最後方に構えるオナナのパフォーマンスが絶好調なこと。至近距離でもお構いなしの超反応とミスがなくなった判断で今現在のプレミアにおいてはナンバーワンを争えるほどのパフォーマンスを見せているといってもいい。アーセナルは逆に彼を乗せる前に先制点を奪い取りたいところだ。
後方可変と右サイドの二本槍の強み
保持においてはスポルティング戦の水準を維持することが出来れば大きな心配はいらないと思う。バックスで5-2-3のシャドーを釣り、その背後をカバーするCHの周辺のスペースを使うというアモリムのユナイテッドの守備のメカニズム攻略は今季アーセナルがひたすらやり続けていたこと。ライスorメリーノとウーデゴールがいれば左右のサイドどちらでも簡単に実装することが出来る。
現状の出来では前線さえ引き付けてしまえば、陣形が間延びするというのがユナイテッドの守備なので、ビルドアップ隊はきっちりと自陣に前線を引き付けてから中盤にスペースを与える前進をしたい。彼らが志向する誘引ビルドアップをそのままお返しするイメージだ。初めは丁寧にシャドーの背後をつくことで確実に前進し、慣れてきたら中央のスペースに降りるハヴァーツも縦パスの選択肢に入れて一気に前進を試みたい。
絶好調の右サイドはオープンな状況ではもちろんのこと、ブロック守備を組んだ状態でも攻略を見込むことが出来る。リサンドロ・マルティネスの出場停止により、左のCBはスクランブルの選手起用が見込まれる。このポジションの前後のスペースを活用することで混乱を招くことが出来れば、右サイドから鋭い折り返しのクロスを上げることが出来る。アーセナルの攻撃のストロングサイドとユナイテッドの守備の懸念があるサイドが重なっているイメージだ。
非保持においてはサイドの守備で後手を踏むことはなるべく避けたいところ。スピードが豊かなアタッカーがサイドの裏をサボらずに狙うため、一気にシュートまでもっていってユナイテッドが開始早々に当たりを引くというシナリオも充分に考えられる。
その一方で一回減速をかけてしまえば攻撃が詰まることも充分に考えられる。サイドに流れるギェケレシュにそうしたように、なるべく距離を取りながら内と外の関係性を変えないことを最優先に考えたい。
注意したいのはユナイテッドのWBやシャドーはスポルティングの選手以上に上下動を強度高く繰り返すことが出来ること。枚数は十分にかけられるので、減速に成功したとしても後方から走ってきた選手によって新たなパスコースを切り拓かれる可能性はある。中盤より前はプレスバックをサボらない選手を起用したい。
縦に速い攻撃は下準備の分だけ確度が上がると思っている。その点は今のアーセナルの方がユナイテッドよりも完成度が高い部分。この点を押し出すことで誘引ビルドアップのメリットを一方的に享受する展開に持ち込みたい。