MENU
カテゴリー

「Catch up Premier League」~マンチェスター・ユナイテッド編~ 2024-25 season

マンチェスター・ユナイテッド、24-25シーズンの歩み。

目次

第1節 フラム戦(H)

理想的な自己紹介でユナイテッドがオープニングを飾る

 24-25のプレミア開幕を告げる一戦はオールド・トラフォードから。ユナイテッドがホームにフラムを迎える試合である。

 立ち上がりからボールを持つ機会が多かったのはユナイテッド。2人のCBに加えて、カゼミーロもしくは片方のSBが入る形で3バックに変形する。カゼミーロが落ちる時はメイヌーをアンカーとする3-1-6、どちらかのSBがバックスに入る時は3-2-5。ビルドアップの枚数を流動的に変えながら相手を動かしていく。

 フラムは冷静な対応。バックラインには無理にプレスに行かず、縦と横にコンパクトな守備でユナイテッドを迎え撃つ。ライン間へのパスは厳しく挟み込みをしていたし、サイドに人を多くかけるユナイテッドの攻撃に対しても4-4-2の陣形を大きく崩さないまま圧縮することに成功していた。

 保持に転じた際には右サイドのトラオレを使ったカウンターが軸となる。スピードはさすがであるが、仕上げのところが物足りないといういつものトラオレらしい陣地回復であった。

 自陣からのビルドアップではショートパスを軸に降りてくる中盤に縦パスをつける場面がしばしば。ユナイテッドはフラムと同じく4-4-2で構えることが多かったが、降りていく選手にはかなり積極的についていく。フラムは背中にマークを背負っているマーカーにもボールをつけてしまうため、保持での安定感はかなり怪しいものがあった。バックスの中でこの人にボールを預けておけばOKという人はおらず、レノのパスミスから決定的なピンチを迎えることもあった。

 しかしながら、縦パスの刺す場所としてはムニスは別格。ユナイテッドのCBが捕まえきれない9番にボールを届けることができれば左右への展開からクロスまで視野に入れることができそうなフラムの攻撃であった。

 優勢だったのはどちらかといえばユナイテッドだろう。しかしながら、前線のポジションを自在に入れ替える効果は限定的。22分のマズラヴィの瞬間的な列上げや、34分のルキッチを釣り出してのワンツーでの中央突破など単発で効きそうなものはあったが、外に流してファーにラインを下げるようなクロスを狙う形はフラムが十分に対応できるものであった。逆にいえば、パリーニャがいなくなったフラムがそれだけきっちりと締めるところの優先度を決めながら対応できたということだと思う。

 後半も保持でユナイテッドが解決策を探る立ち上がり。ハイプレスに出ていき、フラムの自陣でのミスを探るなど保持と非保持の両面で得点を狙っていく。

 前半よりも存在感を増したのは左の大外のラッシュフォード。大外で起点となることでマウントのボックス内の侵入やメイヌーのミドルを誘発する。

 フラムのベースとなるのはトランジッション。前半より前がかりになったユナイテッドに対して、カウンターから時には数的優位の場面を作るときも。しかしながら、ペレイラやトラオレなど個々の判断がカウンター完結の障害になり、攻め上がり時の数的優位を思ったようにシュートにつなげることができなかった。

 トランジッション局面が増えることでユナイテッドも前線の交代を行うが、交代した選手がなかなか存在感を示すことができず。アタッキングサードのクオリティで難を抱える両チームは徐々にジリジリとした展開を迎えることとなる。

 そうした状況で一発回答を見せたのは新加入のザークツィー。自陣深い位置まで下がることで前進のスイッチを入れたブルーノに連動するように中盤に下がりサイドに展開すると、遅れてボックス内に入りワンタッチで貴重な先制点を決める。

 フラムのバックスはファーの山なりのクロスもグラウンダーの速いクロスにもどちらにもかなりシャープに対応していたが、ボックス内にマクトミネイという最終兵器がいたこともあり、遅れて入ってきたザークツィーへのチェックが間に合わなかった。

 以降はユナイテッドがきっちりと時間を使ってゲームクローズ。新加入ストライカーがいきなり結果を出すという理想的な形で開幕戦を飾ることとなった。

ひとこと

 ゴールの場面はザークツィーらしい中盤での関与とフィニッシャーとしての両面の働きが見える。オールド・トラフォードの観客への自己紹介としてはかなり理想的なものだった。

試合結果

2024.8.16
プレミアリーグ 第1節
マンチェスター・ユナイテッド 1-0 フラム
オールド・トラフォード
【得点者】
Man Utd:87‘ ザークツィー
主審:ロベルト・ジョーンズ

第2節 ブライトン戦(A)

左サイドからお膳立てした2得点でブライトンが開幕連勝を飾る

 第2節の幕開けを飾るのは開幕戦で勝利したチーム同士の一戦。ブライトンとユナイテッドのゲームである。

 アンカー役のウィーファーは欠場したが、ギルモアが中央に入ってもブライトンの仕組みは第1節と全く同じ。サイドに広くビルドアップを行いながら、WGとIHが出口になることで対応する。第1節と少し味変をした部分があるとすれば、右サイドに流れるなどジョアン・ペドロの行動範囲が広がったこと。左右均質なイメージを受けたが、この試合は右サイドに偏重する意識はあったかもしれない。

 それでも立ち上がりはユナイテッドの方がほんのりペースを握った感もあった。高い位置からのプレスから立ち上がりに不安定なブライトンのビルドアップに漬け込むことができていたし、逆にユナイテッドの保持ではハイプレスを左右に動かしながら外し、大きくスライドするブライトンのSHを外して前進する。

 トランジッション局面で光っていたのはメイヌー。プレスバックでの自陣でのカバーとプレス耐性の両面で格別のプレーを見せていた。その分、前線の出来はやや計算外。特に右の大外のディアロの出来はブレーキになってしまった感。カットインドリブルのキレがなく、パスの判断も悪い。ロストした後のファウルも含めて典型的な波に乗れないストライカーだった。

 その前線の切れ味でゴールを決めたのがブライトン。右サイドに流れたペドロのクロスが逆サイドまで届くと、三笘→ウェルベックのラインから先制点をゲット。アシストのクロスの軌道とインサイドの動き直しの両面で素晴らしいゴールだった。

 ブライトンはゴールをきっかけにヒンシェルウッドが内側に絞るなど左サイドの旋回をビルドアップに加えることでユナイテッドのプレス隊を翻弄。前半終了間際には立ち上がりにあったプレスの手ごたえをユナイテッドは感じることができず。時間の経過とともにペースはブライトンに流れていった前半となった。

 後半、左サイドからの崩しからスタートするなどブライトンのフィーリングは引き続き良好。ミルナーの抜け出し、ウェルベックとペドロの連携からのラインブレイクなどから前進し、ボックス内ではマグワイアの対応の甘さもあり決定機を迎えることができていた。

 しかし、ユナイテッドもカウンターで応戦。ザークツィーを交代で投入した効果は前節同様すぐに出た感じはしなかったが、中盤からの加速で同点に追いつく。メイヌーとマズラヴィのコンビネーションからディアロのラインブレイクに成功。この日は対面の相手とのフィーリングが良くなかったディアロだが、ヒンシェルウッドが全力で戻って対応しなければいけなかった分、このシーンでは切り返しが刺さった。

 このゴール以降もブライトンのバックスを晒すことでユナイテッドはゴールに迫る。ファン・ヘッケはかなり根性での対応を強いられる展開に。ユナイテッドはディアロを軸としての右サイドの崩しからガルナチョがネットを揺らすがザークツィーがアクロバティックなオフサイドでゴールを無効化してしまう。

 終盤の展開はフラット。保持からブライトンも再び押し返して得点の匂いをさせるように。勝負を決めたのはセットプレーの流れからの左サイドのアディングラを起点とした崩し。ユナイテッドの守備陣がボールに全集中した分、ファーで余ったジョアン・ペドロがガラ空きになり、土壇場の決勝点を手にする。

 開幕戦白星対決を制したのはブライトン。連勝で勢いにのり、次節はエミレーツに乗り込むことになる。

ひとこと

 ブライトン、普通に90分間ずっとユナイテッドと互角以上に渡り合っている。ややWGのタスク過多は気になるけども、型を固めながら結果も出せているのはいいことに違いない。

試合結果

2024.8.24
プレミアリーグ 第2節
ブライトン 2-1 マンチェスター・ユナイテッド
アメリカン・エキスプレス・コミュニティ・スタジアム
【得点者】
BHA:32‘ ウェルベック, 90+5′ ジョアン・ペドロ
Man Utd:60′ ディアロ
主審:クレイグ・ポーソン

第3節 リバプール戦(H)

充実な結果の上で懸念が出るということは

 長期政権後の新監督は一般的に成果が出ない貧乏くじとされている。しかしながら、スロットのリバプールは開幕から好調をキープ。連勝スタートでファンもひとまず不安からは解放されている。今節の対戦相手はファーガソン以降、まだリーグタイトルを取り戻すことが出来ていないユナイテッドだ。

 互いにバックラインから小気味よくパスを入れていくスタート。ユナイテッドはカゼミーロが最終ラインに入るところからマズラヴィが列を上げる形に変形。リバプールの4-4-2気味の陣形の間を取りながら前進をしていく。

 一方のリバプールはロバートソン以外の3人にマック=アリスター、グラフェンベルフを絡める形でビルドアップを行っていく。ポゼッションで優位だったのはリバプールの方だろう。ユナイテッドのプレス隊は中盤をケアしつつ、リバプールのバックスにプレスに行くが、これをあざ笑うかのようにリバプールは滑らかに縦パスを入れていく。中でもグラフェンベルフの列上げと時折左サイドのやや低い位置に顔を出すショボスライの気づかいは目を見張るものがあった。

 またインサイドでルートを作れなかった場合には、リバプールには両サイドに対角のパスを出せばいいという保険もある。ディアス、サラーを向こうに回しておいて「保険」呼ばわりはあまりにも贅沢だが、中央のパスルートが仮に開かなくても即詰みにはならないということである。

 ハイプレスに出ていけなくなったユナイテッドに対して、リバプールのプレスは勢いを増すように。インサイドに差し込むことを狙うリサンドロ・マルティネスのパスミスは何とか咎められずに済んだが、直後のカゼミーロのパスミスからリバプールは先制ゴールをゲット。ファーで合わせたディアスが完全にフリーになっていた光景に、先日のブライトン戦のジョアン・ペドロがフラッシュバックしたユナイテッドファンもいたかもしれない。

 勢いに乗るリバプールは前半の内に追加点。同じくカゼミーロのところを咎めることに成功すると、今度は中央からディアスが正確なショットでオナナの守るゴールを射抜く。ポゼッションで主導権を握り、押し下げてからのハイプレスで仕留めるというプランでユナイテッド相手に優位に試合を進める。

 ユナイテッドは2失点に絡んだカゼミーロを下げてコリア―を投入。チャレンジ枠で後半に挑む。前線への飛び出しなど見どころが全くないわけではなかったが、後半もリバプールの保持をベースに強度の高い展開が見られるようになると、少しずつおいていかれるようになったのは否定できないところだ。

 リバプールはメイヌーを捕まえたところからカウンターに成功。サラーが3点目を仕留めて完全に試合は決着ムードとなる。

 しかし、リバプールが盤石だったかといわれるとそういうわけでもない。終盤はボールを運ぶことができたユナイテッドに対してのクロス対応が非常に甘かった。ユナイテッドのアタッカー陣の精度には助けられたが、より競っている展開であれば致命傷になっていてもおかしくはない。ファン・ダイクとコナテにしては珍しい終盤の出来だなと思った。

ひとこと

 多くの人が想像するよりも上を行っている出来なのは間違いないリバプール。盤石でない部分はまだあるので、そこを伸ばしつつ安定感をどこまでつけていけるかだろう。特に後ろの迎撃のパフォーマンスは監督交代の影響が少ない部分だと思うので、ここは早急に目途を立てたい。といってもクリーンシートなんだけど。充実な結果が出ている上で懸念が出ているという時点で上々の滑り出しだろうなと思う。

試合結果

2024.9.1
プレミアリーグ 第3節
マンチェスター・ユナイテッド 0-3 リバプール
オールド・トラフォード
【得点者】
LIV:35’ 42‘ ディアス, 56‘ サラー
主審:アンソニー・テイラー

第4節 サウサンプトン戦(A)

内容の改善はスコアに反映されず

 連敗で開幕3戦を終えたサウサンプトンは4-4-2にシフトチェンジ。再起を図ってユナイテッドの胸を借りる一戦に挑む。

 総じて、この4-4-2は悪くなかった。序盤はユナイテッドの圧力に対して蹴っ飛ばすばかりだったが、ユナイテッドの圧力が弱まってからはスムーズな前進が可能に。3バックの際はやや目的化していてミスの引き金にもなっていたCBの複雑な移動もなくなり、かなりシンプルになった。

 そうした中でウゴチュク、ダウンズのCHコンビが移動しながら互いにパスコースを作り、ユナイテッドの4-4-2の2トップを外すことができていた。SBも好調。菅原とウォーカー=ピータースは2トップの脇に立つことでビルドアップの出口になっていたし、アタッキングサードではWGを利用しての抜け出しから高い位置でフリーになることもしばしば。

 もちろん、大外ではブレアトン、ディブリングのコンビが好調を維持。ディブリングはダロトを置いていくことでPKを獲得したが、アーチャーが仕留めきれず先制のチャンスを逃す。オナナは素晴らしい仕事をした。

 ゆったりとしたポゼッションをしていたユナイテッドはサウサンプトンがペースを握ってからは押され気味。カウンターでWGを軸にした形から反撃を狙う時間が続く。だが、アーチャーがPKを外したタイミングでユナイテッドの攻撃は加速。ラッシュフォードとザークツィーの2人で敵陣に運ぶと、セットプレーからデ・リフトが仕留めて先制。ピンチの直後のチャンスを得点に変える。

 サウサンプトンのサイド攻撃は相変わらず好調だったが、仕留めきれないとユナイテッドの反撃が飛んでくるというのがこの試合のお決まり。サイドからのクロスに中央でバタバタしたサウサンプトンのチャンスの直後に、セットプレーからラッシュフォードが技アリのシュートを決めて追加点。内容的には手応えあるサウサンプトンだったが、要所のセットプレーで揺さぶってくるユナイテッドに対して、失点を重ねる前半となった。

 ビハインドとなった後半のサウサンプトン。前半の焼き直しをするかのように、ボール保持からリズムを整えていく。前半以上に目立っていたのは、鋭いグラウンダーのパスを中央に刺す意識を見せていたラムズデールであった。

 しかし、ユナイテッドは2点のリードを得ている落ち着きを見せて反撃。自陣でゆったりとボールを持ち、余裕を持ってひっくり返す。より深い位置まで進撃していたのはユナイテッドの方。復活のエリクセンが高い位置で確実性の高いカウンターに導いていく素晴らしいパフォーマンスを見せていた。

 勝負に出たラッセル・マーティンの4枚替えもボール保持からユナイテッドが平定。サウサンプトンは徐々にパフォーマンスが萎んでいく。

 追い討ちとなったのはステーフェンスの退場。これで試合は完全に決着。ユナイテッドの保持を追いかけ回すモチベーションがなくなったサウサンプトンは以降の時間無抵抗に。ユナイテッドは仕上げにガルナチョが3点目を仕留めて難なく逃げ切り勝利を挙げた。

ひとこと

 サウサンプトン、前節に比べれば抜群に良くなっているけども、スコアにはその改善は反映されなかった。まずはこのパフォーマンスを継続することだろう。

試合結果

2024.9.15
プレミアリーグ 第4節
サウサンプトン 0-3 マンチェスター・ユナイテッド
セント・メリーズ・スタジアム
【得点者】
Man Utd:35‘ デ・リフト, 41‘ ラッシュフォード, 90+6′ ガルナチョ
主審:スチュアート:アットウェル

第5節 クリスタル・パレス戦(A)

効いてる動きを繰り返せずスコアレスドロー

 前評判の高さとは異なり、なかなか今季は勝利が掴めないパレス。前節サウサンプトンを下してアウェイ連勝を狙うユナイテッドと対戦する。

 前節はかなり慎重な入りだったパレスだが、今節は高い位置から積極的なプレスに出ていく。奪ったら縦という形も徹底。マテタへの長いボールからチャンスを作っていく。立ち上がり直後のデ・リフトはかなり冷や汗をかいたことだろう。

 だが、パレスはマテタへのロングボール以外に前進の手段が皆無。降りるエゼは潰されてしまい、エンケティアは存在感が薄くボールを受けることができずに苦戦する。

 さらにはバックスの連携不足も露呈。一つずれを作られるとラインが簡単にガタガタになってしまうという苦しい状況であった。つまり、ユナイテッドからすると縦パスを入れてパレスのバックラインの誰かを引っ張り出せればチャンスになるということ。オフサイドにかからない裏抜けからチャンスを作るユナイテッドがパレスのゴールに迫る中盤戦に。

 だが、ヘンダーソンのセーブやクロスバー連打などシュートの精度に欠けるユナイテッドはこのチャンスを活かすことができない。チャンスの数では優位に立ったユナイテッドだが、セットプレーのデ・リフトを含めてネットを揺らすことはできなかった。

 パレスはきっかけが見つけられない状況であったが、大外を起点にする手数をかけた攻撃が前半終盤にほんのり見られるように。後半に希望をつなぐ形でハーフタイムを迎える。

 後半、パレスは2枚替えを敢行。下がるのはマテタとウォートン。タクティカルな判断であるならば驚きの交代であった。これにより前線で体を張る役目はエンケティアに回ってきた感があったが、マテタに比べると収めることができずに苦戦。パレスは前半の最後のペースを手放してしまう。

 後半もユナイテッドの有効打の基準は同じ。クリスタル・パレスの最終ラインからを人を釣り出し、その背後に侵入できるかどうかであった。ザークツィーとブルーノの2人はこの原則を守りながらボックス内への侵入を試みることができた。

 だが、徐々にユナイテッドは個々人の突破に頼る力押しにシフトしてきた感がある。交代選手のパフォーマンスがそういった点では迫力が物足りなかったため、ユナイテッドの勢いは少しずつ停滞するように。

 一方でパレスは交代選手を有効活用した感がある。サールはオフザボールの動きでユナイテッドを押し下げていたし、ヒューズはサイドから押し下げられた局面から前線への飛び出しで存在感を発揮。終盤にかけて得点の機会をフラットに引き戻す。

 だが、オナナという最後の牙城は強力。こちらも最後の一山を越えることができないままタイムアップ。試合はスコアレスドローでの決着となった。

ひとこと

 ユナイテッドはもっと愚直にパレスの仕組みを壊すことにフォーカスしたかったところ。ホイルンドが収まらないのとかは仕方ないけども、もう少しこの日効いてる攻撃を繰り返したかった。

試合結果

2024.9.21
プレミアリーグ 第5節
クリスタル・パレス 0-0 マンチェスター・ユナイテッド
セルハースト・パーク
主審:デビッド・クート

第6節 トッテナム戦(H)

あまりにも遅すぎる目覚め

 いわゆるビッグ6の中で突き抜けられない戦いが続く両チームの一戦。だが、この試合においてはくっきりと立ち上がりから両チームの明暗が分かれたと言っていいだろう。

 トッテナムの高い位置からのプレッシングを基調とするハイテンポなプレーにユナイテッドは完全において行かれてしまった感がある。3分のジョンソンのゴールシーンはファン・デ・フェンの持ち上がりを止めに行くのが遅れたウガルテとデ・リフトにも問題はあるし、守備がスライドできていないのに何故か逆サイドがフリーになるという不思議さもあるゴールだった。

 失点前のシーンではブルーノがキャリーを怠ったところからトランジッションが発生。運んで欲しいところを運ばずに、豪快なドリブルで敵陣に侵入されたという一連の流れも切ないものだった。

 失点したユナイテッドはカウンター勝負にフォーカス。縦に速い展開で巻き返しを狙う。だが、保持者にタメが効く人がおらず攻め上がりの時間は作れないし、スプリントしながらのプレーになるためパスの精度が落ちるという苦しい循環。かといって自陣でのポゼッションをすれば横パスからトッテナムのプレスの餌食になってしまう。

 トッテナムからすると、速いテンポを仕掛けられてもサイドの低い位置に流れるソランケとマディソンに預けることができるので、プレス回避は心配なし。さらには先制点以降も左サイドのハーフスペースをウガルテを軸に攻略することができていた。あとは決めるだけという決定機を逃してしまったのがトッテナムの前半の唯一の心残りだろう。

 ユナイテッドは自陣でのデ・リフトやダロトのパスミスでリズムをさらに悪くすると、40分過ぎにはブルーノが一発退場。さらにはメイヌーも負傷交代に見舞われることに。悪い状況は前半にさらに悪くなり、ハーフタイムを迎えることとなったユナイテッドだった。

 後半、ユナイテッドはカウンターをベースに10人での戦い方を提示する立ち上がり。しかしながら、トッテナムは早々にひっくり返すことに成功。右サイドへのロングボールを起点にしたラインブレイクで一気に押し下げると、右サイドからの折り返しをアクロバティックにクルゼフスキが仕留めて追加点をゲット。ユナイテッドは交代で入ったカゼミーロの対応がエラー。前半で入ってきたマウントの余計なイエローしかり、入ってきた選手が士気が下がるようなプレーをしてしまうと苦しい。

 2点目が決まったところでユナイテッドはようやく目を覚ました感がある。前線は高い位置からプレッシャーに行くなどアクティブさは11人以上と言ってもいいくらいだった。

 CKから押し下げる機会を作るとユナイテッドは一気に攻撃に打って出る。ゴールに押し込むことはできないが、前線でも少しずつチャンスを得て、数的不利を感じさせない時間を作る。

 だが、終了間際にトッテナムは追加点。押し込まれる陣形を跳ね返すように攻撃に打って出ると、3点目を奪取。試合を完全に決める。

 10人で2点差になりようやく目を覚ましたユナイテッド。それでもスコアを動かすことはできず、0-3での完敗を喫した。

ひとこと

 入りが全てだと思う。火事場になってからようやく覚悟が見えるのでは遅すぎる。

試合結果

2024.9.29
プレミアリーグ 第6節
マンチェスター・ユナイテッド 0-3 トッテナム
オールド・トラフォード
【得点者】
TOT:3′ ジョンソン, 47′ クルゼフスキ, 77′ ソランケ
主審:クリス・カヴァナー

第7節 アストンビラ戦(A)

ブレイクスルーを見出せないスコアレスドロー

 ともにミッドウィークにタフな試合を戦った両者。リーグ戦では先週勝利を逃しており、代表前に勝ち点3を積み上げたいという意識は強いだろう。

 ボールを持つのはビラ。ミドルブロックに構えるユナイテッドに対して、バックラインからボールを動かしていく。キャッシュ、コンサ、トーレスが3バックを形成し、ユナイテッドの2トップの脇から縦にボールを差し込んでいく。特にコンサからのボールはチャンスメイク。ユナイテッドはCBがタフなチャージができず、ロジャーズに決定機を許す。

 しかしながら、ビラはコンサが負傷。再びパスを仕掛けるルート探しに奔走することになる。ユナイテッドのサイドを動かしながらチャンスを伺うが、ラインを揺さぶる背後へのアクションが少なく、ライン間がコンパクトな状態を緩和することができず。ユナイテッドのバックス。特にCBのタイトさが徐々に増していく。エバンスはよりビラの得点の匂いがしたトランジッション局面でもチャンスを潰すことができていた。

 ユナイテッドの攻撃は縦に早くという流れ。今週TLでチラホラ見かけたブルーノ論争だが、この試合でも縦への速さは健在。なかなかパスが刺さりきらない。ただ、スローダウンした際のブロックを攻略する手段が乏しいのも事実。終盤はダロトがオフザボールでギャップを作りに行ったが、ブルーノメソッドがそれなりに上位に君臨するのも納得という攻撃の内容だった。

 後半の頭も前半と似たようにアストンビラの保持ベースでスタート。ユナイテッドは前半と同様に機を見たいハイプレスでアストンビラ陣内でプレッシャーをかけていく。だが、ボールを奪い切ることはできず。同様にビラもこのプレスをひっくり返すことで決定機を作ることはできなかった。

 ミドルゾーンで加速する局面自体は増えた後半だったが、肝心のゴール前での決定機はあまりない展開。早い攻撃の中で互いのアタッカー陣のミスとバックスの優れた対応が連鎖する。

 どちらかといえばチャンスがあったのはビラの方だろう。だが、終了間際のフィロジーンの決定機はダロトのブロックにあってしまい、仕留めることが出来ない。

 試合は結局そのまま終了。後半は前半に輪をかけてなかなか決定機を作れない堅い展開に対して、ブレイクスルーを見つけることができないままタイムアップを迎えることとなった。

ひとこと

 ユナイテッドはこれで得点数が5。サウサンプトンに次いで少ない得点数だ。

試合結果

2024.10.6
プレミアリーグ 第7節
アストンビラ 0-0 マンチェスター・ユナイテッド
ビラ・パーク
主審:ロベルト・ジョーンズ

第8節 ブレントフォード戦(H)

CFに帰還した大きな柱が逆転勝ちを牽引

 現在の順位は14位。ユナイテッドに求められるのは一刻も早い勝ち点3である。しかしながら、序盤はその思いとは裏腹にうまくペースを握ったのはブレントフォード。ハイプレスでの高い位置からのプレッシャーでユナイテッドを敵陣まで押し込んでいく。

 一方、保持ではショートパスからの前進にこだわる姿勢を見せるブレントフォード。構える方針で受けるユナイテッドだったが、ダロトが飛び込んではピンチを迎えてしまうなど不安定な状況はここでもという感じであった。

 しかし、そんなユナイテッドの救世主になったのは縦パスをきっちり収めてくれる前線の起点。スターターにようやく戻ってきたホイルンドを軸としたコンビネーションから左右に大きく振ることでチャンスを作る。もちろん、ホイルンドと繋がった選手が直接ゴールに向かってもOK。大外で仕掛けの機会を待つガルナチョとインサイドからの抜け出しを狙うブルーノとラッシュフォードという攻め筋でユナイテッドはアタッキングサードでチャンスを作っていく。

 ブレントフォードも保持の仕上げには左WGのルイス-ポッターが関与。両チームとも左サイドは仕上げになる。だが、ガルナチョも含めてなかなか試合を決めるようなワンプレーを見せることができない。

 時間の経過とともに押し込む機会を増やしたのはユナイテッド。ホイルンドというボールの預けどころを活かして、ブレントフォードを自陣に押し込む。ブレントフォードはカウンターのカラーが濃くなるように。プレスラインは一旦下げてブロックを組むことを受け入れる。

 だが、先制点は引いて受けるブレントフォードが仕留める。セットプレーからピノックが豪快なゴール。ユナイテッドとしては治療のためデ・リフトがいない間にゴールを決められたという不満が残る1点となった。

 しかし、後半にすぐさまユナイテッドは追いつくことに成功。ホイルンドを軸としたコンビネーションは後半も健在。押し込む機会を作っていくと、ラッシュフォードからのボールをガルナチョが仕留めて試合を振り出しに戻す。中央で作ってサイドで仕上げるという連携が完成した瞬間であった。

 さらにユナイテッドはそのまま追加点をゲット。今度はホイルンドがブルーノとの連携で中央をこじ開けることに成功し、リードを奪う。

 最後はブレントフォードにボールを渡し、ブロックを組んで守り切ることでミッションコンプリート。攻め筋を完結させたユナイテッドがホームで勝ち点3を手にした。

ひとこと

 ホイルンドを軸とした連携は抜群。大きな戦力が帰ってきた。

試合結果

2024.10.19
プレミアリーグ 第8節
マンチェスター・ユナイテッド 2-1 ブレントフォード
オールド・トラフォード
【得点者】
Man Utd:47‘ ガルナチョ, 62’ ホイルンド
BRE:45+5’ ピノック
主審:サム・バロット

第9節 ウェストハム戦(A)

ロンドンで旅を終えたテン・ハーグ

 不安定な成績が続く両チームの一戦。立ち上がりの展開も互いに非常にバタバタとしたもの。高い位置でのハイプレスを掛け合う形で相手のバックラインに襲いかかる。

 特にプレスに強い意識を見せていたのはウェストハムの方。ソレール、ロドリゲスのジャンプから人を捕まえにいく形でマンツー気味のプレスにいく。仮に抜けられたとしても前線は根性のプレスバックでなんとか間に合わせる形をキープ。でて行った時にひっくり返されるリスクを運動量で潰す。

 マンチェスター・ユナイテッドはフリーランでマンツーのプレスを回避。特に相手のCHを前と後ろに開かせるようなフリーランを仕掛けることで他の誰かが中盤の中央を使えるような設計がなされていた。中央のスペースに立つことが多かったのは少ないタッチで裏に抜けるガルナチョをアシストしてあげられる選手。特にホイルンドとブルーノがこれに該当する。マンツーでやや後手を踏んでいたウェストハムは徐々にリトリートの成分を増強して構えるようになる。

 しかし、マンチェスター・ユナイテッドの前進は縦パス+裏抜けの縦に速い設計。ウェストハムの前進も左のエメルソンからアントニオに縦パスを当てて一気に進んでいく形だったので、徐々にオープンさが出てくるという流れだった。

 チャンスが多かったのはマンチェスター・ユナイテッドの方だろう。一番インパクトが大きかったのは抜け出したダロトの決定機逸だろうが、前を向いて仕掛ける機会が多かったガルナチョももう少し大きな成果を残したかった感もあった。それでも押し込みながらセットプレーでチャンスを作るマンチェスター・ユナイテッドが相対的には優勢な形で前半を終える。

 後半も縦に速い展開からスタート。中盤でのワンタッチ裏抜けからチャンスを作りアップテンポな展開を作り出す。

 後半はウェストハムが押し込む展開を作っていく。先制点は敵陣でのカットから。ガルナチョ→ブルーノのパスをカットし、右サイドからのカウンターを発動。ボーウェン、イングスと繋ぎ、サイドはHT3枚替えの一角であるサマーフィルが仕留めて先制する。

 それでもマンチェスター・ユナイテッドはガルナチョの左サイドからのクロス連打で反撃。拙いボックス内の対応を見せたウェストハムに対して、最後はカゼミーロが押し込んで同点に追いつく。

 一進一退の攻防となった試合は微妙なPKで決着。デ・リフトの信じられない表情を意に介さず、ボックス内での接触はOFRの末にPKが宣告される。これをボーウェンが仕留めてウェストハムが後半追加タイムにリードを奪う。

 試合はこのまま終了。試合後にテン・ハーグは解任の憂き目に。ロンドン・スタジアムでの敗戦でテン・ハーグのマンチェスター・ユナイテッドは幕を閉じることとなった。

ひとこと

 まぁ、あのPKをOFRされるのは気の毒ではあるが、試合を通してどっちに転がってもおかしくない展開にしてしまったのは正直マンチェスター・ユナイテッドという看板を考えると力不足だなとは思う。

試合結果

2024.10.27
プレミアリーグ 第9節
ウェストハム 2-1 マンチェスター・ユナイテッド
ロンドン・スタジアム
【得点者】
WHU:74′ サマーフィル, 90+2′(PK) ボーウェン
Man Utd:81′ カゼミーロ
主審:デビッド・クート

第10節 チェルシー戦(H)

局地戦特化の後半は痛み分けに

 ロンドン・スタジアムでの悲劇的なPK判定による敗戦の末、ついにテン・ハーグ解任に踏み切ったユナイテッド。アモリム就任が決まっている中でファン・ニステルローイ暫定監督の元、チェルシーとの一戦に挑む。

 序盤は激しいトランジッションの中でスタート。中盤でのデュエルを行いながら、主導権の綱引きを行っていく。しばらく時間が経つとボールを持ったのはチェルシーであった。バックスにプレスをかけないユナイテッド相手に落ち着いてポゼッションをするように。

 チェルシーの保持に少し変化があったのは微妙な配置。ベースとなる形は3-2-5で固定。変化があるのはどこに誰が立つかである。いつもであれば右サイドに立つパルマーが左のハーフスペースに。右にはSBのグストが列を上げて出て行く。

 左のパルマーは少し微妙な感じもしたが、降りるアクションをするアクションは前節から引き続き良好。ボールを引き出しユナイテッドのプレスの隙間から前進していく。ただ、痛かったのは右のマドゥエケが1on1の状況からゴールに向かうのに苦戦したこと。仕上げの部分でチェルシーは難をかかえる。

 ボールを持つ基本はチェルシー。しかしながら、ユナイテッドも徐々にプレスでリズムを作っていくように。相手を捕まえるスライドに慣れていくようになり、チェルシーの前進を阻害していく。

 ユナイテッドは前線のレーンを入れ替えながらのカウンターも繰り出していくように。チェルシーは前線のFW-MF間のコンパクトさをあまり維持できておらず、即時奪回の機会を見出すことが出来なかった。

 後半、チェルシーはパーマーが右サイドに移動。いつも通りの位置に入りながら攻撃にs中する。だが、後半もマドゥエケが仕留められないのは同じである。

 後半は両チーム激しいデュエルでオープン化。両チームとも相手をきっちりと捕まえる迎撃プレスを繰り出すことで局地戦の様相を増やす。

 一進一退となった後半に輝きを放ったのはカゼミーロ。ボックス外からの正確なクロスがサンチェスの飛び出しの遅れを誘発。PKをうばいとるのに大きく貢献する。

 先制したユナイテッドだったが、4分後にチェルシーは同点に。カイセドの枠外からの豪快なシュートであっという間に試合を振り出しに戻す。

 終盤はさらなるゴールを狙ったものの両チームこれ以上に得点は生まれず痛み分け。局地戦に特化した試合は引き分けに終わった。

ひとこと

 チェルシーサポーターがやたらとOTに苦手意識があったようだが、この日もその傾向は健在だった。

試合結果

2024.11.3
プレミアリーグ 第10節
マンチェスター・ユナイテッド 1-1 チェルシー
オールド・トラフォード
【得点者】
Man Utd:70’(PK) ブルーノ・フェルナンデス
CHE:74‘ カイセド
主審:ロベルト・ジョーンズ

第11節 レスター戦(H)

左サイドの詰まりを解消し、ファン・ニステルローイの最後を飾る

 高い位置から相手を捕まえにいく積極的なスタートとなったのはレスター。ユナイテッドのバックスに対してプレスをかけていく。ただし、プレスの足枷になったのはトップの役割。アイェウ、エンディディの2人はユナイテッドの中盤をケアしつつ、前に出ていく役割になっていたのでユナイテッドのCBを捕まえきれないことも。

 特に浮くことが多かったのはリサンドロ・マルティネス。中盤とCBを往復するレスターの2トップを尻目に、外側で受けることでキャリーに成功する。割を食ったのはブオナノッテ。自分の前に登場するマルティネスとマーカーのマズラヴィの葛藤に悩まされる場面が出てくるように。

 よって、徐々にレスターはバックラインにプレスにいかない場面を作るように。そうなると、今度はレスターの保持に悪影響が出てくる。ボール奪取位置が後ろになるため、ヴァーディ抜きで前進するにはなかなかにしんどいものがある。

 なんとか左のファタウとアイェウの裏抜けから敵陣でプレーするチャンスを作るレスター。だが、先制点はマンチェスター・ユナイテッド。ディアロが陣地回復に成功したところからの流れで左サイドを攻略。左サイドで相手の目先を変えるアシストも披露。ブルーノのミドルのコースを埋めるべき、スマレはディアロに釣り出されることとなった。

 ユナイテッドは後方の左サイドからのキャリーは安定していたが、前線ではやや動き出しのところが噛み合わない感があった。それでもその左サイドから追加点をゲット。2人のCBを惹きつけたホイルンドの背後から出てきたブルーノがオウンゴールを誘発する。

 レスターは1-0の段階でアイェウとンディディがデ・リフトを挟み撃ちにすることで大チャンスを作り出す。だが、この前半唯一の決定機はオナナが落ち着いて対応。レスターは前半にスコアを動かすことができなかった。

 後半はレスターの保持が中心となってスタート。右サイドから横断する形からチャンスを狙っていく。だが、左サイドで横断を完了させてもなかなかそこから仕上げることができない。

 一方のユナイテッドは左サイドからのカウンターが中心。だが、パスのズレやコントロールの甘さから十分なチャンスに持っていくことができない。

 チャンスを作れない状況が続く後半。どちらもチャンスを作れないならば、リードしている方が有利である。結果を出したのもユナイテッド。左に入ったガルナチョがミドルで仕上げて追加点。ようやく外から得点に絡んだガルナチョによって、試合は完全に決定づけられてしまった。

 すでに勝敗は決していることを悟っているのか、追加点以降は何も起きない状態で試合はそのまま終了。ユナイテッドがファン・ニステルローイの指揮最終試合を白星で飾った。

ひとこと

 ようやく、ユナイテッドは2桁得点に到達。アモリム就任で欧州カップ戦出場権争いに食い込めるか。

試合結果

2024.11.10
プレミアリーグ 第11節
マンチェスター・ユナイテッド 3-0 レスター
オールド・トラフォード
【得点者】
Man Utd:17′ ブルーノ・フェルナンデス, 38′ クリスチャンセン(OG), 82′ ガルナチョ
主審:ピーター・バンクス

第12節 イプスウィッチ戦(A)

大枠の提示に終始した初陣

 アモリムのプレミアの監督キャリアのスタートはポートマン・ロードから。今季ここまで唯一ホームチームが勝利をしていないスタジアムで就任初陣を飾るための一戦に挑む。

 ユナイテッドは早々に先制。縦関係をブルーノとスイッチする形で前進することで独走。ラッシュフォードの先制点をアシスト。2分でアモリム体制の初ゴールを決める。

 このゴールのようにサイドからスピードを生かした突破力勝負での前進が多かったユナイテッド。ディアロは対面のスモディクスがマークを離してくれることもあったし、逆サイドのガルナチョはシンプルにスピードでトゥアンゼベを苦しめる。

 守備で少し手応えのなかったイプスウィッチはユナイテッドの3バックに枚数を合わせる形で修正。そこから前線の守備をCHを封鎖しつつ、ワイドのCBにプレスに行く両睨みに変更。マズラウィはやや持たせつつ、エバンスに強くプレスをかけてボールを奪い切りに行く。

 こうなるとユナイテッドの左はやや厳しさが先行。個々が分断されるようになり、ガルナチョのヨーイドンのスピード勝負に傾倒する。降りてくるハッチンソンをケアするためにカゼミーロとエリクセンの左右を入れ替えたことも保持面での影響を考えるとマイナスに作用したかもしれない。

 イプスウィッチは保持に回ればそれなりに手応えがある状態だった。ユナイテッドとしてはなるべく静的にシャドーとCHが相手のバックスと中盤を監視することでバックスを楽に守らせたいところだが、時間の経過とともにその秩序は乱れるように。先に述べたハッチンソンがその立役者でこちらも機動力に差がある対面のエバンスを苦しめる。ユナイテッドの中盤はカバー範囲が広いわけではないため、狭く位置をとるイプスウィッチの2列目は比較的自由にパスを受けた後のプレーを選択できる状態だった。

 苦しい状況をオナナに救ってもらうシーンが続くユナイテッドだったが、43分のハッチンソンのシュートにはディフレクトがかかってさすがのオナナも対応できず。イプスウィッチはHT前に同点に追いつくことに成功した。

 ユナイテッドの後半の頭のボールの動かし方は理想的だった。エリクセンのサイドフローでマンツー気味のイプスウィッチの守備に対して解決策をきっちりと提示し、ラッシュフォードのポストから逆サイドへの展開で押し込んでいく。

 前半は少しノッキング気味だった左サイドのビルドアップもより動き直しに長けているウガルテの登場で改善する。しかしながら、イプスウィッチもそのウガルテにきっちり食いついていたし、ユナイテッドの前線にはなかなか自由を与えなかったため、展開としては急激にユナイテッドに傾くことはなかった。

 むしろ、前線の馬力からのチャンスメイクも光っていたイプスウィッチ。デラップの推進力は簡単に止めきることが出来ず、後半もオナナのファインセーブによって救われるシーンが数多く出てくる展開となった。

 ホイルンド等の交代選手も奮闘していたが決定的な働きを見せることはできず。試合はドローのまま終幕し、アモリムは初戦を勝ち点3で飾ることはできなかった。

ひとこと

 まずはこんな感じのことをやりたいのだなという大枠の提示となった一戦。もう少し、中央を覗く機会は増やしたいし、次節はイプスウィッチよりも全然動いてくれないであろうエバートンとの一戦なので、どう転がるかが今から楽しみだ。

試合結果

2024.11.24
プレミアリーグ 第12節
イプスウィッチ 1-1 マンチェスター・ユナイテッド
ポートマン・ロード
【得点者】
IPS:43′ ハッチンソン
Man Utd:2′ ラッシュフォード
主審:アンソニー・テイラー

第13節 エバートン戦(H)

元気のないエバートン相手にようやく見られたゴールショー

 アモリムのユナイテッドはホームでのリーグ戦初陣。迎えるのは相性が抜群のエバートンだ。

 エバートンはボールを持たせることを選択。2トップは中盤のケアを優先することでユナイテッドのバックスにポゼッションを許す。

 ユナイテッドは持たされた状況でもいくつか解決策を持っていたように見えた。ザークツィーのポストやWBの裏抜けなどいくつかの形からサイドにいい状況でボールを届ける。ただ、WBのプレー精度が低く、フィニッシュまで繋げないという点で苦悩するという展開だった。

 一方のエバートンも悩みは同じ。中盤でボールを引っ掛けてカウンターに出ていく場面はあったし、スピードに乗ってゴールの近くまで持っていくことはできた。だが、肝心のフィニッシュやラストパスのところでタッチが乱れてしまい、こちらも効果的な動かし方ができない。

 どちらも前進のところは計算が立つ中で、徐々にリズムを掴んだのはエバートン。DF陣は後方の出足の良さを武器に攻撃に出て行っていたし、ポゼッションからユナイテッドの中盤を動かして縦にパスを刺すなど相手を動かしながらの前進もできていた。

 しかし、スコアを動かしたのはユナイテッド。困った時のセットプレーでラッシュフォードの遠目のシュートがディフレクトして先制ゴールをゲット。さらにはこの試合ではなかなか刺さらなかったプレッシングを成功させて、そのままザークツィーのゴールで2点目を決める。ユナイテッドはハーフタイムを前に複数得点のリードを得る。

 後半頭の1つ目のプレーでユナイテッドはさらに追加点。エバートンのロングボールの跳ね返しからカウンターを発動。右サイドからの攻め筋を最後はラッシュフォードが仕留める。

 これで勝利の足場を完全に固めたユナイテッド。だが、累積警告でメイヌー、リサンドロ・マルティネスを次節のアーセナル戦で出場停止で欠くことが決まるなど、どことなく落ち着かない展開を続けてしまう。

 それでも正気を取り戻したユナイテッドは保持からゆっくり支配に移行。プレスで深追いしてこないエバートン相手に時計の針を進めていく。ディアロの好守からザークツィーのゴールを生み出して点差は4点に。

 いいところのないエバートンとは対照的にホームでのリーグ戦初戦を対象で飾ったユナイテッド。ミッドウィークのアーセナル戦に弾みをつけた。

ひとこと

 得点が少ないチームなので大量得点で勢いをつけられたのはいいこと。相手の歯応えのなさに助けられた部分もあるが。

試合結果

2024.12.1
プレミアリーグ 第13節
マンチェスター・ユナイテッド 4-0 エバートン
オールド・トラフォード
【得点者】
Man Utd:34′ 46′ ラッシュフォード, 41′ 64′ ザークツィー
主審:ジョン・ブルックス

第14節 アーセナル戦(A)

無敗のアモリムはエミレーツでストップ

 レビューはこちら。

 ここまで3試合無敗となっているアモリムのユナイテッド。彼らにとってエミレーツへの遠征はここまでの試合の中で最も大きな挑戦になるだろう。

 ボールを持つのはアーセナル。コンパクトなユナイテッドの守備を広げつつの前進を狙っていきたいところだが、この日は前と後ろの接続役が不調。ビルドアップ隊とフィニッシャー隊を行き来するウーデゴールのボールタッチが乱れやすく、右の大外のサカにボールを渡すトーマスのパスもカットされてしまう。隙間でボールを受けようとするジンチェンコは悪くなかったが、左サイドはそれ以上のものを見せることができなかった。

 一方のユナイテッドも保持に回ると後方に人数を揃えたビルドアップを敢行。大外のマラシア、ダロトとGKのオナナを活用し、アーセナルのハイプレスを広げつつ、マズラヴィでライン間の前進を狙っていく。

 大外のWBのダイアゴナルランとホイルンドのポストがアタッキングサードの主役だったユナイテッド。序盤はこの動きは効いていたが、時間の経過とともにアーセナルの守備陣は対応が慣れるように。サリバとラヤの背後のケアとライスとトーマスのホイルンドの挟み込みによって、アーセナルはチャンスを封殺する。前半は両チームともチャンスが少ない展開となった。

 アーセナルは後半、大外から背後に斜めのランを行うことでチャンスを作る。前半よりはトーマスのパスのフィーリングは良くなった。一方のユナイテッドも右にディアロを入れてジンチェンコとぶつけることで対抗。1on1で攻め切れるポイントを作りにいく。

 押し込む頻度を増やしたのは保持の基盤を整えたアーセナル。すると、得意のセットプレーから先制。ニアに入り込んだティンバーのゴールで試合を動かす。

 このゴールを受けてユナイテッドは前線にアタッカーを投入して4-4-2に移行。足元でボールを受けるケースが増えたことにより、アーセナルのDFとのマッチアップで優位が作れるかが争点となった。ディアロとジンチェンコ以外はその点で勝算は見えて来なかったし、そのジンチェンコも交代で下がってしまうと反撃のきっかけは一気にぼやける。

 ラッシュフォードの不用意なCK献上から更なる追加点を仕留めたアーセナル。苦しい内容ながらも2つのセットプレーで差をつけての勝利。アモリムのユナイテッドに土をつけた。

ひとこと

 ガブリエウがいなくてもセットプレーは強力だった。

試合結果

2024.12.4
プレミアリーグ 第14節
アーセナル 2-0 マンチェスター・ユナイテッド
エミレーツ・スタジアム
【得点者】
ARS:54′ ティンバー, 73′ サリバ
主審:サム・バロット

第15節 ノッティンガム・フォレスト戦(H)

お呼びでないオープンすぎる展開

 前節、アモリム体制でついに初めての敗北を喫したユナイテッド。今節敗れると一気に星取りの見栄えが悪くなってしまう。マンチェスター行脚となっているフォレスト相手になんとか勝利を飾りたいところだ。

 だが、そんな思いを挫くようにいきなり先制したのはフォレスト。セットプレーで飛び込んでくるミレンコビッチをリサンドロ・マルティネスが捕まえきれず、先制点を許してしまうことに。

 ボールを持ちながら反撃を狙うユナイテッド。4-2-4でWBにボールを入れさせないように外切りを行うフォレスト。仮に越えられてしまっても素早いリトリートで帰陣。特にサイドの枚数は後手を踏まないように戻りが厳命されていた。

 そのため、ユナイテッドは大外とハーフスペースの連携を軸にブロック攻略といういつもと異なる風情に。正対できるディアロがいる左サイドが主戦場となる。

 もう1つ、右サイドで見られた変化はフォレストのMFの前後のラインを跨ぐような短い縦パスが入るようになったこと。同点ゴールとなった場面においてもこのパスが起点となり、前を向いたウガルテに合わせるようにホイルンドとガルナチョが同時に異なるレーンで背後を取ったのが決め手となった。

 以降も左右のサイドから押し込み続けるユナイテッド。チャンスは作れているがセルスのセーブやアンダーソンの戻りなどから得点を許してもらえず。対するフォレストは押し込まれながらセットプレーを中心に追加点を虎視眈々と狙う展開だった。

 後半頭にいい入りを見せたのはユナイテッド。シャープに攻撃に出て、高い位置からの回収で支配的な展開を目指す。しかし、バックスにミスが発生。ブルーノとヨロの連携ミスからボールを奪うと、ギブス=ホワイトが凄まじい回転のミドルで勝ち越す。

 このゴールを機に試合はサイドをスピーディに崩すオープンな展開に。ユナイテッドもサイドの奥を取ることでチャンスを作っていたが、フォレストはWBの背後を突くことでよりクリティカルにゴールに迫る。そして、右サイドのギブス=ホワイトから2回目のクロスをウッドがファーで仕留める。

 前線にラッシュフォードを入れて追撃態勢に入ったユナイテッド。中盤のデュエルを制してのカウンターをブルーノがミドルでゲット。ディアロはややもたついたが、見事にブルーノがリカバリーを決めた。

 1点差に迫られたフォレストはモラートを投入し、5バックに移行。サイドのケアを入念にすることでユナイテッドにブロック攻略への誘いをかける。

 この陣形変更で試合のオープンさはガタ落ち。前線のアタッカーを続々と投入したユナイテッドはなかなか相手を動かすことができない。

 フォレストがゴール前に組んだブロックに穴を開けられないまま試合は終了。ユナイテッドは手痛い連敗を喫することとなった。

ひとこと

 ユナイテッド的には後半頭のオープンな展開はお呼びではないなという感じ。支配力はまだまだ足りない。

試合結果

2024.12.7
プレミアリーグ 第15節
マンチェスター・ユナイテッド 2-3 ノッティンガム・フォレスト
オールド・トラフォード
【得点者】
Man Utd:18′ ホイルンド, 61′ ブルーノ・フェルナンデス
NFO:2′ ミレンコビッチ, 47′ ギブス=ホワイト, 54′ ウッド
主審:ダレン・イングランド

第16節 マンチェスター・シティ戦(A)

不可解なシティのロングボール

 ともに前節は勝つことができず。ともに文脈は違えど、なかなか不調を脱却できないまま迎えるマンチェスター・ダービーとなった。

 序盤はシティの保持でスタート。左のSBにはヌネス、中央ではグバルディオルの列上げ。CBの位置にはウォーカーとディアスがストッパー役として入る。ユナイテッドの非保持はディアロとホイルンドを前に残す5-3-2ベースだ。

 シティの崩しの主役は左サイド。ドクにボールを集めつつ、こちらのサイドに人を置くことでクロスまでの道筋を描いていく。ドクの強引さは悪くないものではあったが、パスの際にはわりと最短ルートを取りにいくため守備側にやたらと狙われてた感がある。

 ユナイテッドはカウンターベースでの立ち上がりとなったが、時間経過とともにボール保持の時間を増やしていく。シティの4-4-2での守備ブロックであれば、十分に動かして勝負に出る価値があると思ったのだろう。

 ユナイテッドはトランジッションでもチャンス。ウガルテのボール奪取がとても冴えていたが、同サイドで裏抜けを見せていたディアロがことごとくオフサイド。ちょっとあまりにも間が合わないなという感じのオフザボールのクオリティだった。

 強度が両チームともなかなか上がらないジリジリとした展開だったが、セットプレーで試合を動かしたのはユナイテッド。デ・ブライネのクロスのディフレクションを生かして、グバルディオルが先制ゴールを叩き込んで見せた。シティが前半にリードを奪って後半を迎える。

 後半、反撃に出たいユナイテッド。ボールを持ちながらシティのブロックを攻略していきたいところだが、右サイドの抜け出す連携は相変わらず取ることができず、苦しい状況が先行する。

 シティが時間経過とともにボールを持つようになるが、何も前触れのないところからボールを急に裏に蹴って失ってしまうなどとにかくらしくない。長いボールを使うケースは当然あるのだけども、基本的にはそのままゴールが見えるようなデ・ブライネ-ハーランドラインの速攻がベース。相手の陣形が動いていないところでとりあえず入れるということはあまり普段はしない。

 シティの保持のメリハリのなさによって、ユナイテッドは決定機を迎える。ドクのマイナス方向のミスからブルーノが得点機を迎えるが仕留めることができず。

 だが、ここで力を発揮したのはここまで連携面での不備が先行していたディアロ。ヌネスのパスミスから生じたピンチはエデルソンがうまく処理したように思えたが、ピンチをなんとかしたかったヌネスがディアロに突っ込んでしまいPKを献上してしまう。

 これで流れは完全にユナイテッド。レアンドロ・マルティネスからのファジーなところに落とすフィードに唯一反応したのはディアロ。ヌネスから逃げて、エデルソンが取れないところに出てきて角度のあるところから劇的なゴールを決める。

 終盤の劇的なゴールで逆転勝ちを決めたユナイテッド。低調さが際立つシティを下し、劇的な勝ち点3を手にした。

ひとこと

 シティ、ネガトラ強度はともかくとして保持でヘニョヘニョな感じになっているのはいくらなんでも不可解。グアルディオラのチームじゃないみたい。

試合結果

2024.12.15
プレミアリーグ 第16節
マンチェスター・シティ 1-2 マンチェスター・ユナイテッド
エティハド・スタジアム
【得点者】
Man City:36′ グバルディオル
Man Utd:88′(PK) ブルーノ・フェルナンデス, 90′ ディアロ
主審:アンソニー・テイラー

第17節 ボーンマス戦(H)

雑さ先行でダービーの勝利を打ち消す完敗

 前節はダービーに勝利。ここから上昇気流に乗っていきたいユナイテッド。今節はホームに戻り、4位争いを視野にれているボーンマスとの一戦だ。

 ユナイテッドの守備は非常に慎重なものだった。シャドーのディアロは攻め上がりが持ち味のSBのケルケズをケアするように自陣に下がる。3-2-5気味に組むボーンマスの前線に対して同数で受けたくな方のかなと推察することができるが、その分前線のプレスがルーズに。

 ボーンマスはこの状況を活かしてポゼッション。自由にボールを持つことができるバックラインからショートパスでの組み立てにトライ。ディアロの手前のスペースでもアダムスが流れて受けて、ディアロにプレスに来るように促すなど、マークが浮いた分をプレスとの駆け引きに活用しながら勝負を仕掛けていた。

 ユナイテッドの守備はコンパクトさとスイッチが入った時の抑揚が大事なのだが、この試合ではスイッチが入る部分をそもそも見せることができず。どのようにボールを奪い、どこから前に進むのかのイメージがわかないまま試合が進んでいく。

 保持に回ってもユナイテッドはテンポを掴めず。相手を食いつかせるフェーズなしに裏に蹴ってしまうので、シンプルにボーンマスのバックスとの徒競走の様相を呈していた。この形ではクリーンな形でボールを薦めるのは難しい。いつもよりボーンマスはプレスに出ていく頻度は少なかったが、プレッシャーのかかっていないフェーズでもユナイテッドはショートパスを見るなど、タッチが安定しなかった。

 押し込むボーンマスは順当に先制。セットプレーからザークツィーのマークを外したハイセンが先制ゴールを決めてリードを奪う。

 リードして以降はユナイテッドは反撃を視野。この日はプレスがあまりかからなかったボーンマスに対して、左右のサイドから押し込んでブルーノのミドルを放つなど少しずつチャンスを作る。

 前半の終盤はリードで畳み掛け、カウンターやセットプレーからでもチャンスを作るユナイテッド。だがゴールを奪い切ることはできず。試合はボーンマスのリードでハーフタイムを迎える。

 後半、反撃に出たいユナイテッドだが、オナナの不安定な飛び出しなど危ういシーンもちらほら。プレスに出ていく意識が前半よりも上がっていることは買うが、ボーンマスのルートをきっちり潰しきれなかった分、普通に交わされてしまう場面も多かった。

 そうした中で徐々に目立ってくるのがプレーの雑さ。左サイドからのクライファートの仕掛けに対して、マズラヴィがあっさりとタックルでPKを献上。大雑把な対応でボーンマスの追加点を許す。

 さらに酷かったのは3点目。ブルーノの工夫のない縦パスがカットされて、メイヌーがこぼれてきたボールを丁寧さを欠いたコントロールで失うなど雑なプレーの連鎖。左サイドの背後をワッタラに取られてしまい、最後はセメンヨに仕留められる。

 抜け出しからなどいくつかビッグチャンスを迎えたユナイテッドだが、ケパのファインセーブを前にシャットアウトされてしまい反撃のきっかけを掴むことができない。ボーンマスはこの試合の守備がソリッドというわけではなかったし、結構中盤やサイドがさらされる守り方をしているのだが、ユナイテッド側も淡白な攻撃で機会を潰してしまった印象だ。

 試合は結局そのまま終了。ボーンマスがオールド・トラフォードを完全制圧。ユナイテッドのダービーの勝利を打ち消す完勝だった。

ひとこと

 ユナイテッド、個人的にはパフォーマンスが危険水域に入ったなという感じ。ちょっと何をしたいのかが見えない。

試合結果

2024.12.21
プレミアリーグ 第17節
マンチェスター・ユナイテッド 0-3 ボーンマス
オールド・トラフォード
【得点者】
BOU:29′ ハイセン, 61′(PK) クライファート, 63′ セメンヨ
主審:クレイグ・ポーソン

第18節 ウォルバーハンプトン戦(A)

手応えありのウルブスが不均衡な後半を制する

 監督交代にも関わらず調子が上がらないアモリムのユナイテッド。今節はこちらも直前で監督交代し、初陣で勝利を挙げたウルブスのホームに乗り込む一戦だ。

 ともにプレスは中盤スタート。相手のバックラインには無理にプレスに行かない慎重な形での立ち上がりとなった。

 そうした戦況においてより手応えがあったのはウルブスの方だろう。スライドしながらの5バックはユナイテッドのボールの動かし方に対して完全に先手を取っていた感があり、彼らのパブリックイメージに近い堅い守備組織の再建に期待を抱かせるものとなっていた。

 保持においてはパスのレシーバーが捕まってはいるものの、絶好調のクーニャには問題はなし。反転から前進のきっかけとなり、ファストブレイクもしくはファウル奪取で起点となることができていた。ポストプレーからの左右に振るアクションを作り出すなど、味方を活かすプレーも盤石だった。

 ウルブスのブロック守備が堅いことを悟ったユナイテッドは別ルートの構築を模索。ハイラインからのボール奪取という切り口から反撃を狙う。だが、ボールを奪い切ることはできず。ブロック攻略のきっかけも掴むことが出来ないまま試合はハーフタイムを迎える。

 後半は展開が定まる前にブルーノが退場。ユナイテッドはほぼ45分を10人で戦うことに。

 ウルブスは10人のユナイテッドに早々に強襲。セメドがロングボールに競り勝ち、ラーセンにクロスを入れてネットを揺らす。オフサイドをギリギリ取れたのでことなきを得たが、ユナイテッドとしてはいきなり冷や汗をかいた場面だった。

 ウルブスは一方的にボールを持つ展開。ユナイテッドを押し込んでいくとCKを直接しずめる形でクーニャが先制ゴールを奪う。ユナイテッドとしてはオナナに対するオブストラクションを取ってくれないのかと文句を言いたくなるところだろう。

 ビハインドとなったユナイテッドは3枚を交代するが布陣は変えずに5-3-1をキープ。ウルブスの引き付けてのファストブレイクによってさらに術中にハマった感があった。ハイプレスの獰猛さも含めてウルブスには2点目を奪い取りにいく気概を感じられた。

 綱渡りのハイライン対応となったユナイテッド。なんとか終盤まで望みを繋いでいたが、99分にヒチャンのゴールでウルブスがトドメ。後半に数的優位を活かしたウルブスが勝利を手にした。

ひとこと

 先制点の取られ方は気の毒だったユナイテッドだが、10人だと流石に勝ち筋が見えてこない感じ。

試合結果

2024.12.26
プレミアリーグ 第18節
ウォルバーハンプトン 2-0 マンチェスター・ユナイテッド
モリニュー・スタジアム
【得点者】
WOL:58′ クーニャ, 90+9′ ヒチャン
主審:トニー・ハリントン

第19節 ニューカッスル戦(H)

見えなかった逆境への抵抗

 ダービーの勝利を勢いに繋げられないマンチェスター・ユナイテッド。連敗でキャプテンを欠く今節はニューカッスルをホームに迎えての一戦だ。

 だが、この逆境に対して抵抗する意志は全く感じられない立ち上がりとなった。5分のイサクの先制点はユナイテッド目線で言えば何もかもが酷いものだった。クロスがややディフレクトしたとはいえ、最重要人物のイサクを2人のCBで監視しながらフリーで飛ばせるのはどうかと思うし、そもそも左に展開される前の右サイドでのニューカッスルのパス交換はあまりにもブロックの外と中を自由に出し入れさせすぎだ。

 以降も試合はニューカッスルの独壇場。先制点で見せた強みはそのまま前半のニューカッスルの優位となっていた。アンカーのトナーリが右に流れることによるブロックに対する出し入れ、主に左サイドでの1on1、そしてボックス内の空中戦。後ろ2つの要素はそのまま2点目のジョエリントンのゴールに色濃く反映されている。

 マンチェスター・ユナイテッドとしてはまずはできることをきっちりやりたいところだろう。CHの可動域が狭いのは仕方ないのだから、前線がもう少しパスを通されるゲートを制限したりとか、DFが後方から潰しに行くとかそうしたフォローが欲しいところ。

 リサマルの潰しとか、ザークツィーの交代に伴うエリクセンのシャドーへの移動など細かいところで言えば、失点以降に改善は見られたと言えるだろう。時に後者は保持においてはホイルンドの裏抜けを使った決定機の創出のフリになったり、あるいは中盤での組み合いでの劣勢の解消になったりなど効果があったように見えた。反撃の機運を可視化するためにも終盤のカゼミーロの決定機は決めておきたかったところだ。

 後半、マンチェスター・ユナイテッドはボール保持の成分を増やすスタート。前半同様にニューカッスルはWGのマーフィーにサイドの低い位置を埋めてもらうが、ライン間の管理は前半の方がタイトだった印象。ライン間で押し込むマンチェスター・ユナイテッドは左サイドからのクロスでマグワイアが決定機を迎えるが、これはネットを揺らすことができない。

 64分のマンチェスター・ユナイテッドの交代策は前線のエネルギーを注入するのと引き換えに、エリクセンを中盤に戻して中盤の守備の負荷を上げる交代。前へのプレスの勢いは担保できたが、中盤の守備の負荷は戻った印象。この時間帯はニューカッスルの保持の時間が再び増えたが、2点差を追いかける上では仕方ないということなのだろう。

 ニューカッスルの反撃を掻い潜りながらゴールに向かうマンチェスター・ユナイテッド。しかしながらゴールをこじ開けるほどの勢いを見せることはできず。試合はニューカッスルが前半のリードを守り切って勝利した。

ひとこと

 交代で持ち直した感があったのは救いだが、マンチェスター・ユナイテッドのタイムリミットは刻一刻と迫っている。

試合結果

2024.12.30
プレミアリーグ 第19節
マンチェスター・ユナイテッド 0-2 ニューカッスル
オールド・トラフォード
【得点者】
NEW:5′ イサク, 19′ ジョエリントン
主審:サイモン・フーパー

第20節 リバプール戦(A)

ついに引かれたアモリムのベースライン

 追手であるチェルシーとアーセナルは共に引き分け。リバプールはホームに宿敵を迎える一戦で首位固めを狙う。

 序盤に保持で押し込むのはリバプール。ミドルブロックを組むユナイテッドに対して、サイドにボールを付ける形とライン間にボールを差し込む形を使い分けながら勝負を仕掛けていく。

 クローズドに試合を進めたいユナイテッドだが、ライン間の管理はやや甘め。リバプールは中央にパスを差し込むとカウンター気味に攻撃を加速させてアタッカーに仕上げの局面を作る。サイド攻撃においても遅れてボックスに入るガクポが決定機を迎えるなど完全に主導権はリバプールのものだった。

 一方的にペースを握られるユナイテッドだったが、左サイドからほんのりとカウンターを打つと徐々にペースを掌握。まずは非保持でライン間をコンパクトに維持することに成功し、リバプールの保持からの攻略プランの1つを封じる。

 おそらくはこの前半の中盤~後半の途中までの非保持でのコンパクトさはアモリムがベースで持っておきたい守備スタイルなのだろうと思う。ライン間をコンパクトに維持し、1つ外されてもシュートは打たせない陣形をキープ。リバプールの攻撃を徐々にシャットアウトしていく。

 後半もリバプールの狂ったリズムは戻すことができず、非保持でのユナイテッドのコンパクトさが際立つ展開に。右サイドからのパス交換で突破を図るユナイテッドを封じると逆に左サイドから敵陣でのプレータイムを増やしていく。

 すると、先制点を奪ったのはユナイテッド。リサンドロ・マルティネスのボール奪取からのカウンターでショートカウンターを発動。最後は再びリサンドロ・マルティネスがニア天井を抜く強烈なシュートでユナイテッドにリードをもたらす。

 リバプールは1つ1つのプレーの雑さが目立ち、完全にペースはユナイテッドに行きそうな展開。それでもひっくり返すことが出来るのが首位の底力。悪くなりかけた流れを帳消しにしたのはガクポ。切り返しでデ・リフトを置いていき、カバーが間に合う前に鋭いシュートで試合を振りだしに戻す。

 1失点目は味方と連携がうまくいかなかった部分もあったなという感じのデ・リフトだったが、2失点目につながるハンドは擁護しにくいところ。現代においては100%PKと判断される腕の上げ方。マイケル・オリバーはあっという間にOFRを終わらせて判定変更を下した。

 得意の逆転パターンに持ち込んだリバプール。だが、この日のユナイテッドは意地を見せる。生きていたカウンターから左サイドの突破に成功すると、最後はディアロ。アーノルドの背後を取った分、逆サイドのカバーが甘いのを見逃さず、マイナス気味に膨らみながらうまくクロスに飛び込んだ。

 終盤までチャンスがあった両チームだが、共に決め手となる一撃を打ち込むことはできず。試合は見ごたえのあるドローとなった。

ひとこと

 年末年始シリーズで一番見ごたえがあった試合かもしれない。最後のウガルテの繋ぎ、マジでくるっているなと思った。

試合結果

2025.1.5
プレミアリーグ 第20節
リバプール 2-2 マンチェスター・ユナイテッド
アンフィールド
【得点者】
LIV:59′ ガクポ, 70′(PK) サラー
Man Utd:52′ リサンドロ・マルティネス, 80′ ディアロ
主審:マイケル・オリバー

第21節 サウサンプトン戦(H)

第22節 ブライトン戦(H)

第23節 フラム戦(A)

第24節 クリスタル・パレス戦(H)

第25節 トッテナム戦(A)

第26節 エバートン戦(A)

第27節 イプスウィッチ戦(H)

第28節 アーセナル戦(H)

第29節 レスター戦(A)

第30節 ノッティンガム・フォレスト戦(A)

第31節 マンチェスター・シティ戦(H)

第32節 ニューカッスル戦(A)

第33節 ウォルバーハンプトン戦(H)

第34節 ボーンマス戦(A)

第35節 ブレントフォード戦(A)

第36節 ウェストハム戦(H)

第37節 チェルシー戦(A)

第38節 アストンビラ戦(H)

この記事が気に入ったら
フォローしてね!

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次