Fixture
プレミアリーグ 第15節
2024.12.8
フラム(6位/6勝4分4敗/勝ち点22/得点21 失点19)
×
アーセナル(3位/8勝4分2敗/勝ち点28/得点28 失点14)
@クレイブン・コテージ
戦績
過去の対戦成績
過去10回の対戦でフラムの1勝、アーセナルの7勝、引き分けが2つ。
フラムホームでの成績
過去10回の対戦でフラムの3勝、アーセナルの6勝、引き分けが1つ。
Head-to-head from BBC sport
- フラムは昨季のホームで直近12試合で初めてアーセナルに勝利。
- フラムが勝てばリーグ戦で初めてアーセナルに連勝する。
- アーセナルは2009年のスコアレスドロー以降、18試合連続でプレミアのフラム戦で得点を決めている。
スカッド情報
- ローン中のリース・ネルソンは起用不可。ハムストリングの負傷もある。
- トム・ケアニーは出場停止だが、ササ・ルキッチは出場停止から復帰。
- ガブリエウ・マガリャンイスとリカルド・カラフィオーリはテストが必要。
- ベン・ホワイトと冨安健洋は長期離脱中。
Match facts from BBC sport
- 直近6試合のリーグ戦で1敗のみ(W3,D2)
- 65年前に樹立したトップリーグでの13試合連続得点のクラブ記録に並んでいる。
- 直近8試合のロンドン・ダービーで無敗(W4,D4)。2000年から2001年にかけて記録した9試合連続無敗以降最も長いラン。
- 交代選手が6得点を決めており、リーグで最も多い。
- アレックス・イウォビは直近6試合のプレミアの出場で4得点。それ以前の27試合で記録したゴールよりも1つ多い。
- 今季初のリーグ戦3連勝を記録。
- 5得点以上を挙げれば単年でアウェイ6試合で5得点を決めたトップリーグ初めてのチームになる。
- 2024年において86点を決めており、プレミア記録まであと4つ。
- 昨季開幕から22得点をCKから決めておりリーグ最多。
- 直近8試合のロンドン・ダービーで7勝(D1)。最後の敗戦が去年の大晦日のフラム戦。
- ブカヨ・サカは直近14試合のロンドン・ダービーで7得点7アシストを記録。
予習
第12節 ウォルバーハンプトン戦
第13節 トッテナム戦
第14節 ブライトン戦
今季ここまでの道のり
予想スタメン
展望
攻守に柱となる旧友たち
アーセナルは今季初めてのリーグ戦3連勝を達成。リバプールは今節延期ということで勝ち点差を暫定的に詰めることができる週末となった。今節の相手はフラム。昨年は大晦日に苦杯を飲んだクレイブン・コテージは今年も12月に対戦が巡ってきた。
マルコ・シウバのフラムはいつだって継続路線である。コンパクトな守備とサイドでのトライアングルの攻撃を軸にソリッドな試合運びを志向している。中心人物がいくら抜けてもキャストを変えながらプレーモデルを維持できるという点では今のフラムはリクルートが非常に上手いのかもしれない。
中盤の柱として君臨してきたパリーニャの移籍は就任以降スカッドに最も大きな影響を及ぼしかねない退団劇だったが、今夏もメンバーを入れ替えて後方からボールを動かしながらサイドにボールを運んで崩していくスタイルを継続している。直接的なポジションの補填としてはルキッチと補強でやってきたベルゲの活躍が大きい。彼ら2人はきっちりとCHとしてレギュラーの計算が立つ働きをしている。
チーム全体のバランスの話をすれば、今のフラムのチームの中心は紛れもなくイウォビだと思う。CH、SHに関わらずスターターとして定着。一見アナーキーに見えるポジションどりは特に保持においてチームを整えることにつながっており、彼がチームの中心であることを示唆している。
味方のサポート役として近い距離でパス交換からスペースと時間を与えることに長けているのがイウォビの特徴。序盤戦は左サイドを主戦場として、スミス・ロウのフィットに貢献。スミス・ロウが左サイドの崩しにおいて独り立ちできるまではメンターとしてピッチで寄り添いながら外を回るロビンソンとの連携を熟成させる手助けをした。
その甲斐もあり、スミス・ロウはトップ下からネルソンとロビンソンの左サイドのコンビネーションを構築。イウォビの助けなしで今やフラムの崩しの強みと言える左サイドを機能させている。
右サイドは序盤戦こそソリストのトラオレがレギュラーだったが、イウォビがこちらのサイドに主戦場を移したことと、ジョーカーとして結果を出しまくったウィルソンの台頭によって出番を減らしている。左サイドほどの尖りはないけども、こちらも連携で崩す方が彼ららしいということかもしれない。この試合では欠場する見込みだが、復帰したアンデルセンのような左右に散らせるCBの存在も大きい。
守備は4-4-2を基準とするミドルブロック。縦と横をコンパクトに守ることで中央をプロテクトする。前線が誘導をきっちりすることで後方が迷いなく相手を潰せるのが大きな強み。特にバッシーはこの強みを全面に押し出し、相手のアタッカーが前を向く前に潰してしまう守備で存在感を高めている。
そして、最後方に君臨するのはレノ。スーパーセーブの連発で決定的なピンチを防ぐ。また、リスタートからのロングキックの精度も高く、ゴールに直結するようなキックもしばしば。基本的に安定しているGKではあるが、今季は一段と存在感を増している。
前にはイウォビ、後ろにはレノ。そして、左サイドで存在感を増すスミス・ロウ。ネルソンはレンタル規定により出場はできないが、どこを見てもアーセナルにとっては「昨日の友」が立ちはだかっている状態となっている。
押し込むことに意義がある理由
ユナイテッド戦では勝利をしたものの、コンディションがやや下火となっている様子も見受けられたアーセナル。仮にクレイブン・コテージでの一戦を同じコンディションで迎えるのだとしたら、この一戦は非常にタフなものになるだろう。
フラムの守備ブロックは4-4-2。2トップはバックスには無理にプレスをかけず、CHをケアすることを優先する。そのため、3バック変形で2トップの脇を取り、ワイドのCBの持ち上がりで1stプレス隊を外しにいくアプローチは非常に重要なものになる。
ユナイテッド戦のキヴィオルのパフォーマンスは彼にできることをきっちりやったという点で高い評価を与えられるべきだが、列を上げてのプレーがより求められるため、この試合ではガブリエウの復帰が待たれるということになるだろう。左はガブリエウ、右はティンバーがキャリーすることでフラムの中盤を引きつけることができれば、ビルドアップはだいぶ楽になる。
逆に強引にインサイドに差し込もうとすると、中央の強力な守備ブロックにボールを奪われカウンターが発動することになる。今のフラムのレギュラーのメンバーで言えば、一気に攻め込むことができるような単騎勝負のアタッカーはいないが、彼らは後方の選手の攻め上がりが早い。特に左のSBに入っているロビンソンはフリーで攻め上がりを許すと非常に面倒な存在。ここで先手を取られると、得点へのルートはだいぶ見えてくる。
逆に、トランジッションにおいてはこのロビンソンの背後のスペースは狙いやすい。トッテナム戦では攻め上がりの背後を使われる形でいとも簡単に決壊。中央に比べればトランジッションで圧倒的にサイドは崩れやすい印象だ。
フラムの2列目の守備はリトリートが早いのでセットされた状態で崩せるかどうかはアーセナルの前線次第。特にイウォビが2列目の左に入れば、サカとウーデゴールを持ってしてもこちらのサイドの突破は一筋縄ではいかない。今のイウォビは非保持でも頼りになる存在である。
ただ、押し込むことは重要になるかもしれない。その根拠になるのは直近のブライトン戦のセットプレーである。フラムはCKの守備でレノの周辺に立つバレバをあっさり放置していた。
今のアーセナルはCK時に昨季ほど露骨に相手のGKの行動範囲を制限していない。だが、ファーにせよニアにせよインスイングでゴールに向かう軌道を蹴る以上、相手のGKが出てきにくい状況を作ることが重要なのはユナイテッド戦を見てもわかるだろう。
もちろん、アーセナル相手であれば対策をきっちり敷いてくる可能性もある。だが、ブライトン戦と同じ水準の守備の練り方であれば、単純にキックと競り合いの強度勝負となり、そうなればアーセナルには相当に分がある。
なので、崩しきれない際も焦れずにきっちり押し込むことは重要。「面白くない」なんて理由は今の自分たちが持っている武器を捨てる理由になるわけがない。かつての旧友たちが柱となるチームを崩し、昨年の12月の苦い思い出を塗り替えたい。