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「仕上げの始まり」~2019.10.6 J1 第28節 湘南ベルマーレ×川崎フロンターレ プレビュー

全文無料で読めます。

目次

Fixture

明治安田生命 J1リーグ 第28節
湘南ベルマーレ(15位/勝ち点31/9勝4分14敗/得点36 失点49)
×
川崎フロンターレ(5位/勝ち点41/11勝11分5敗/得点41 失点26)
@Shonan BMWスタジアム

戦績

近年の対戦

図4

直近5年間の8戦で湘南の1勝、川崎の4勝、引き分けが3回。

湘南での直近10試合の対戦成績

図5

湘南の1勝、川崎Fの5勝、引き分けが4回。

Head-to-Head

Head-to-Head①
【公式戦の対戦成績】
・公式戦における両チームの対戦は過去31戦で湘南が8勝、川崎が15勝、引き分けが8つ。
・直近6試合の公式戦の川崎戦において湘南は未勝利(D3L3)

 およそ半分の試合で勝利しているように、このカードは川崎が有利。特にJ1開催での試合はその傾向が強い。直近になるとさらに顕著で湘南は川崎戦6戦未勝利中である。

Head-to-Head②
【ダブルか?打ち合いか?】
・しかし直近3シーズンの対戦で川崎は湘南相手にダブルを達成したことがない。
・直近2試合の川崎戦において湘南は得点がない。

 しかし、湘南相手にダブルは達成していない川崎。J1での唯一のダブルは2010年である。余談だがこの試合は今季の川崎のダブルのラストチャンスである。これ以降は勝てなかった相手とのお礼参り。

 直近2試合の川崎戦では湘南は得点なし。しかし、それ以前の9試合は両チームとも得点を決めている。打ち合いになるかどうか。

Head-to-Head③
【秋こそ湘南の季節】
・湘南ホームでの試合は過去15戦で湘南の5勝、川崎の5勝、引き分けが5つ。
・湘南ホームでの10月以降の公式戦での対戦は過去に4回あるが、川崎が勝利したことは一度もない。

 湘南のホームでは対戦成績は互角。特に10月以降の湘南ホームでの川崎戦で湘南は負けたことがない。過去の10月の試合はJ2と天皇杯だから関係ないよ。関係ない。関係ないんだ!

Head-to-Head④
【引き分けの順番?】
・直近6試合のこのカードの勝敗は川崎の勝利と引き分けが交互。
・勝敗のついた直近4試合のリーグ戦のうち2試合が逆転勝利。

 ここ6試合の対戦成績は川崎の勝利と引き分けが交互。今季前半戦の対戦は川崎が勝利したので、順番で行くとドローの番である。ちなみに勝敗のついた直近4試合のリーグ戦のうち2試合が逆転勝利。しかも、逆転がなかった1試合でも3-0から3-2まで追いつかれている。ハラハラする試合多いね。

【湘南ベルマーレ】

選手情報

・齊藤未月、金子大毅、中川寛斗、澤田恒、大橋祐紀は欠場予定。

Match Facts

湘南のMatch Facts①
【直近のリーグ戦】
・シーズン2度目の公式戦5試合連続勝ちなし。
・直近9試合連続失点中。

 公式戦勝ちなし真っ最中。不吉な話をするなら、湘南ベルマーレ時代ではリーグ戦5試合連続勝ちなしを1シーズンに2回記録した13年と16年は降格しているという湘南ファンには耳を塞ぎたくなる事実もある。勝ちなしの引き金は失点の多さ。直近9試合は連続失点中である。ただし、0-6で敗れた前節まではリーグ戦10試合連続得点も記録していたりする。

湘南のMatch Facts②
【増える失点】
・クリーンシート3つで神戸と並んでリーグ最少
・昨季同時期と比べて失点は13増加(36→49)

 失点の多さはほかのデータでも。クリーンシートはリーグ最少。失点は同時期比較で昨季から35%くらい増えている。得点は据え置きなので、得失点の収支的には厳しい。

湘南のMatch Facts③
【ホームは上位専用要塞】
・トップハーフとの対戦は3勝10敗。勝利した3勝はすべてホーム。
・リードされた状況から得た勝ち点は11。これより多いのはFC東京と清水だけ。
・前後半の追加タイムで計7失点。リーグ最多。

 トップハーフとの対戦は3勝10敗。しかし、ホームに限れば3勝4敗と健闘。じゃあホームが要塞かといわれるとそういうわけではない。湘南が今季挙げた9勝のうち、ホームは4勝のみ。つまり下位相手にはアウェイで勝っていて、上位相手にはホームで勝っているという傾向。Shonan BMWスタジアムは上位専用仕様になっている。

 そして追いかける展開も得意。ビハインドから得た勝ち点は11で最多。そもそも19回リードされたのは鳥栖、磐田と並んでリーグ最多なんだけど。ちなみに今季川崎は逆転負けはない。追いつかれることはよく見るけどね・・・。

 追加タイムでの失点はリーグで最多。劇的な勝ち点獲得のイメージの裏で追加タイムには失点も繰り返している。

湘南のMatch Facts④
【不在の指揮官とスコアラー】
・曺監督以外の指揮官が率いたJ1での川崎戦は2戦2敗。
・チーム最多ゴールは5得点で武富考介

 処分自体は終わったものの、おそらく川崎戦のベンチには座らないであろう曺監督。彼の率いていない湘南が川崎と対戦したのは2試合だけ。2010年が唯一。上にも書いたが2010年はJ1で唯一川崎が湘南相手にダブルを達成したシーズン。曺監督なしで湘南は川崎相手に勝ち点を得たことがない。

 選手を見渡した時に悩ましいのは得点源不足か。最多ゴールは浦和に戻っていってしまった武富。彼に代わる得点源はなかなか見いだせていない現状だ。

【川崎フロンターレ】

選手情報

・藤嶋栄介、ジェジエウ、齋藤学は欠場予定。
・奈良竜樹、大島僚太は全体練習に合流も復帰はやや尚早か。

Match Facts

川崎のMatch Facts①
【連敗が珍しくなくなると・・・】
・公式戦の連敗は2018年5月以来。
・直近12試合の公式戦で複数失点が8回。

 勝てなくなってきてから久しいが、意外と公式戦の連敗は久しぶり。去年のGW以来である。3連敗になればゼロックス敗戦が皮切りになった18年の開幕以来になる。

 直近で際立つのが失点の多さ。12試合で8回複数失点と往年の川崎を彷彿させる失点数。それ以前の27試合で3回しか複数失点がないことを考えると急激な増加である。

川崎のMatch Facts②
【数字で見る低迷】
・アウェイでの公式戦は7試合連続未勝利
・27試合での勝ち点41は8位に終わった2012年以来の成績。

 ホームは苦手、アウェイは得意!で始まった今季だったが、いつの間にかアウェイが苦手になっていた川崎。それでいてホームの戦績は据え置きなのだから困ったものである。最後のアウェイゲームでの勝利は味スタでの多摩川クラシコ。90分で決着をつけられなかった天皇杯を引き分けカウントすれば、未勝利は7試合になる。

 ちなみに27試合終了時点で勝ち点41は7年ぶりの低迷。関係ないけど、27節時点で地味に近年で一番勝ち点多いのは2016年。風間ラストイヤーである。

川崎のMatch Facts③
【少しはポジティブに】
・神奈川ダービーは8試合連続無敗中(W4D4)
・10月のリーグ戦は直近7戦無敗(W5D2)

 少しはポジティブになるデータを載せるとこんな感じ。神奈川ダービーには負けない強さは見せられている。さらに言えば10月のリーグ戦も好調。現状では鬼木さん就任以降負けなし!まぁ、こういうジンクス今年はいくつも覆してきたんだけどね!

川崎のMatch Facts④
【苦しいときにすがるもの】
・今季リーグ戦の失点の77%は大島僚太がピッチにいないときのもの
・直近4試合でスタメン出場したFWは得点がない。

 公式戦復帰は尚早なものの、大島僚太がピッチに帰ってきた。数字を見ると不在時に顕著なのは失点の増加。大島が先発したのは12試合。半分にはやや届かないくらいの数字である。しかし、彼が不在の間の失点は今季の77%。明らかに多い。ボール保持の安定さを欠いている部分と、意外と大島はカウンターを高い位置で食い止める守備がうまいので、被カウンター守備でも悪い影響が出ているのかもしれない。正対する前に後ろから忍び寄ってバチっと止めるシーンは結構ある。とはいえ、彼がいる間も得点は伸び悩んでいる時期が多かったので、復帰が何でも解決する万能薬とは思えないけど。よくはなると思うけど。

 得点といえばFW陣に気になるデータが。直近4試合でスタメン出場したFWには得点がない。この試合ではダミアンが先発予想。得点を取って今年の強みであるFWの得点力を取り戻すことができるだろうか。

予想スタメン

画像3

展望

■湘南の仕上がりは?

 あまり大量得点の試合は参考にならない気もするけど、その前は2週間空いてしまっているので大敗した清水戦を見た。湘南は5-4-1のおなじみのフォーメーション。FWがスイッチとなり前からプレスに行く!んだけど、なにかがヘンテコである。感覚としては等々力で5-1で負けたC大阪を見た時と同じ。あの日のC大阪はかっちり4-4-2風(当時の監督はユンジョンファンだったから)だったけど、あくまで風味。それっぽい偽物のような感覚だったのをよく覚えている。

 清水戦の日の湘南もそんな感じ。FWの山崎はスイッチ役としてプレスに行くのだけど、どうも後方が続かない。プレスが遅れて遅れて、相手のホルダーにプレッシャーがかからない。PAまでボールを運ばれても対面相手との距離が遠く、清水の選手が窮屈そうにしている感じは特に見受けられなかった。先制点までの間にもこの日の湘南に感じた違和感は結構多かった。前から走るから湘南っぽいけど、寄せるタイミングや距離感は湘南ではなかった。その前の大分戦も少し見たけど、特にそんなことはなかったので、何かあったのかな?と思いたくなってしまう。

 もし清水戦の仕上がりで来るならば、川崎は間でボールを受け続ければいい。受けて出してを繰り返せば、前進してシュートまで行くことは可能。そうじゃない場合、つまり湘南らしさが全面に出てくる場合(=後方から次々とプレス隊が飛んでくる場合)は大きい展開も使う必要が出てくる。特に先発が予想されているレアンドロ・ダミアンへの長いボールは有効そう。まずはDFラインをダミアンでピン止めして、プレスにやってくるMFの後方にボールを送り込みたい。

画像4

■状況は異常、やることは通常

 湘南はボール保持でも3バック主体。川崎は直近3バックのビルドアップ相手にかなり手を焼いている印象だが、神戸戦では我慢の4-4-2を見せた。特にSHは相手に食いつくタイミングを見極めながらCBとWBを両にらみ。神戸をなんとか食い止める守備はできていた。負けたけどね。

 というわけで、この試合も4-4-2での3バック封じに引き続きチャレンジする価値はある。もっとも湘南は大外と裏に蹴りだすパターンが多かったので、どこまでCBにプレスをかけるか?という駆け引きにはならないかもしれないけど。ひとまず名古屋や神戸相手のようにボールを握る時間をどのように増やすかという戦いにはならなそうなので、比較的そこに使う労力は少ないかもしれない。

 と、一般的な展望を書いてみたけれど、きっとこういうのはあんまり意味を成す試合にならない気がする。いつもの記事が意味があるかといわれるとアレなんだけど。今、湘南を取り巻く状況は異常に不安定。というわけで湘南の選手たちのメンタルも不安定である。不安定というのは、団結して異常に高いテンションで来る場合もあれば、選手たちがバラバラという可能性もあるんじゃないか。

 川崎の選手は緊張感の高い試合にあまり強くない。確かに今の湘南は難しい状況ではあるが、逆境に陥っているときの湘南は強い。選手、サポーターを含めて湘南のチームが異常なテンションを発揮した時に、平常心を保ち用意された戦術を実行することが求められる。

 悪くはないが敗れてしまった神戸戦。「あれは神戸の質がずるい!自分たちのやっていることが間違いじゃない!」ということを証明するには、川崎はここからもう一度目の前の相手を一つ一つやっつけなければならない。19年シーズンの仕上げの始まりとなるこの試合。取り巻く状況は異常でも、やるべきことはオーソドックス。今季見つかった課題はたくさんあるが、なんとか過度なデリケートさとはおさらばしたいところだ。

参考
transfermarkt(https://www.transfermarkt.co.uk/)
soccer D.B.(https://soccer-db.net/)
Football LAB(http://www.football-lab.jp/)
Jリーグ データサイト(https://data.j-league.or.jp/SFTP01/)
SANSPO.COM(https://www.sanspo.com/)

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