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「Like a matador」~2019.8.24 J1 第24節 川崎フロンターレ×清水エスパルス プレビュー

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目次

Fixture

明治安田生命 J1リーグ 第24節
川崎フロンターレ(3位/勝ち点40/10勝10分3敗/得点35 失点20)
×
清水エスパルス(12位/勝ち点28/8勝4分11敗/得点28 失点50)

@等々力陸上競技場

戦績

近年の対戦成績

直近5年間の10回の対戦で川崎が7勝、清水が2勝、引き分けが1つ

川崎ホームでの戦績

直近10試合の対戦で川崎が5勝、清水が1勝、引きわけが4つ。

Head-to-Head

Head-to-Head①
【公式戦での対戦成績】
・公式戦における両チームの対戦は過去34戦で清水が12勝、川崎が14勝、ドローは8つ。
・直近7試合のこの対戦において川崎は無敗(W6D1)。

 トータルの成績はほとんど互角。流れとしては黎明期は清水が圧倒的優勢だったが、近年は川崎が盛り返しているという流れ。直近では7試合川崎が清水に無敗を記録している。

Head-to-Head②
【今日も今日とて相性はいい】
・直近5試合のこのカードは川崎の5連勝中
・直近13試合の清水戦で川崎はすべて複数得点を決めている。

 直近5試合はいずれも川崎が勝利。この間16得点2失点ということで、得失点差的にも圧倒。中でも得点の多さは顕著。直近13試合の対戦ではいずれも川崎が複数得点を決めている。最後に川崎が清水相手に得点できなかったのは13年4月のリーグカップ。およそ6年前になる。広島、名古屋、松本、仙台に続いて相性はいい。相性は、ね。笑

Head-to-Head③
【大観衆で後押し】
・川崎ホームでの試合に限れば過去18戦で川崎が7勝、清水が5勝、ドローが6つ。
・直近14試合の川崎ホームでの対戦で川崎が敗れたのは1回だけ(W7D6)。
・この対戦において観客が2万人を超えた試合では清水が勝利したことはない(W3D2)

 川崎のホームに舞台を移しても傾向は同じ。清水有利だった対戦成績を徐々に川崎がひっくり返している。2万人を超えた場合は清水の勝利はなし。おそらく土曜日の等々力では2万人は超えるはず。大観衆で後押しをしたいところだ。

Head-to-Head④
【アディショナルタイムにご用心】
・等々力において90分以降の得点は過去に2回。決めたのはいずれも清水の選手。

 清水にとって後押しになるデータを最後に。等々力におけるこのカードの90分以降の得点はすべて清水が決めている。得点者は村田和哉とチアゴ・アウベス。共に清水の勝ち点が増えるゴールになっている。僅差で推移した場合には後半追加タイムには要注意だ。

【川崎フロンターレ】

選手情報

・奈良竜樹が全体練習に合流。
・大島僚太は左ヒラメ筋の肉離れで6週間の離脱。

Match Facts

川崎のMatch Facts①
【失速が止まるのはいつ?】
・今季2回目の4試合連続リーグ戦未勝利。
・リーグ戦直近4試合で3回の複数失点。

 なかなか失速から抜け出せない川崎。前節はなんとか引き分けたもののあわや連敗の可能性もあった。仮にリーグ戦5試合連続で未勝利になれば2013年の開幕以来。およそ6年半ぶりである。気になるのは失点の増加だろう。直近の仙台戦は谷口とジェジエウの欠場というエクスキューズがあったものの、それ以前の19試合のリーグ戦で複数失点が一度だけであることを考えると、複数失点試合の増加は気になるところだ。

川崎のMatch Facts②
【まだ信じられる?】
・昨季同時期のホームでの勝ち点は同じ。
・今季のリーグのホーム戦は3勝のみ。これより少ないのは松本と磐田だけ。

 1つ目のデータを聞いて「あれ?」と思う方もいるかもしれない。なぜなら以前のプレビューで「もう昨季のホームでの勝ち点を超えるのは不可能」と紹介したからだ。からくりとしては23節終了時点ではホームでの消化試合は昨季の方が1試合少ない。得失点も昨季が14得点9失点、今季が13得点8失点とほぼ変わらない。しかしながら、昨季はここからホーム全勝。だから「昨季のホームでの勝ち点を超えられない」のである。昨季と同じ川崎ならここから全勝ということになるが・・・。

 昨季と違うのはホームでの勝ちの少なさ。川崎より少ないのは降格圏の2チームのみ。それでいてホームでの負けはリーグで最も少ないのだからややこしい。8つの引き分けが重くのしかかっている。

川崎のMatch Facts③
【堅守で静岡を迎え撃つ】
・ホームゲームは直近6試合で3失点。
・対静岡県とのリーグ戦は7連勝中。

 守備に懸念がという話をしたが、ホームでは依然堅守を維持。直近の複数失点はすべてアウェイゲームでの話である。直近6試合でクリーンシートは3つ。得点はなかなか波に乗れないが、失点は少ない。

 得点が少ないという今季の川崎の傾向は対静岡勢となると変わる。日本平の清水戦は今季4得点で勝利。直近の静岡勢は7連勝中。最後に敗れたのは17年7月、5失点を食らった磐田戦以来である。

川崎のMatch Facts④
【大島僚太の連続ゴールの意味とは】
・マギーニョは直近2試合の先発した試合で1ゴール1アシスト。
・小林悠と大島僚太は直近2試合の清水戦でゴールを決めている。

 仙台戦ではCB2人の出場停止のあおりをうけて、大分戦以来の先発になったマギーニョ。右奥をえぐる動きで仙台を押し込むことに貢献、ゴールを決めた大分戦に続いてアシストを決めてまたしても得点に絡んだことになる。

 このカードで最も多くの得点を挙げているのは小林悠。7ゴールを決めているが、うち6ゴールは日本平で決めたものになる。あらゆるカードでたくさんゴール決めているよ!と紹介している小林と違って、ゴールのスタッツで紹介するのが珍しいのが大島僚太。得点力が課題である彼が得点を決めているのが清水戦なのだ。大島自身の出場はこの試合では叶わないが、得点に絡むことが求められる今季のCHにはこの試合での目に見える結果を求めたいところ。高い位置への侵入もそうだし、先述のマギーニョによって下げられたラインによってミドルシュートを打つスペースもあく可能性もある。積極的に遠い距離からも狙っていきたい。

【清水エスパルス】

選手情報

・選手の入れ替えを示唆。中村慶太、ファン・ソッコ、大久保択生に先発の可能性。
・エウシーニョの出場は不透明。

Match Facts

清水のMatch Facts①
【監督交代の効果はあった?】
・ヨンソン時代の16戦は3勝。篠田監督就任後の15戦では8勝。
・直近8試合でクリーンシートが4つ。それ以前の23試合で記録した回数より多い。

 成績だけ見れば監督交代の効果は見える。勝利数も増えているし、クリーンシートも増えた。直近の公式戦では4試合のうち3試合がクリーンシート。守備はやや改善傾向になる。

清水のMatch Facts②
【ぐぬぬ】
・失点数は50でリーグワースト。
・セットプレーからの失点数がリーグ最多。

 「クリーンシートが増えている」というデータを紹介しても、説得力がないのは前節の大敗があったからだろう。8失点は重たい。失点も数でみてしまうとリーグワースト。それどころがリーグ唯一の50に乗ってしまった。ちなみにブービーの神戸が39なので、断トツワーストです。昨季同時期に比べて失点は19増加、得失点差も最下位ということで割と得失点に関するデータは散々である。

 失点の内訳をみてみると、セットプレーからの失点が多い。本来はポテンシャルはあるはずなのだが。というのも実はセットプレーからの得点は多い。湘南と札幌に次いでセットプレーからの得点はリーグで3番目に多い。

清水のMatch Facts③
【アウェイで食い下がれるか?】
・アウェイでの勝利はすべて1点差でのもの
・今季13試合の敗戦のうち、G大阪戦以外の敗戦はすべて複数失点。

 アウェイでの勝利はすべて1点差ということで何とか勝ちを拾っている。また、今季のリーグ戦の引き分けは4ついずれもアウェイゲームのもの。なんとか食らいついて勝ち点を得ている今季のアウェイゲームといったところだろうか。一方で敗戦した試合は複数失点が多い。粘って勝ち点を拾う一方で、食い下がれない試合は割とあっさりと白旗を挙げてしまっているのかもしれない。

清水のMatch Facts④
【復活の助っ人+クラッチシューター】
・ドウグラスは前回の川崎戦以降のリーグ戦12試合で9ゴール2アシスト。
・西澤健太が挙げた3ゴールはすべて決勝点。

 ドウグラスに徐々に勢いが出てきている。前回の対戦時はまだゴールもアシストもなかったが、前回の川崎戦の次に当たった大分戦からはリーグ戦7試合連続ゴール。おそらく、監督交代の効果というよりは故障で出遅れた分、単純にコンディションが上がったのではないだろうが。北川の離脱で攻撃面は苦しさはあるが、後半戦も結果を出し続けることができるだろうか。

 監督交代後に存在感を増しているのが西澤健太。今季挙げたゴール3つはすべて決勝点。3ゴール以上挙げた選手の中ですべてが決勝点という選手は彼と豊田陽平の2人だけ。まさしく試合を決めるクラッチシューター。後半追加タイムに彼にシュートチャンスを与えるようなことがないようにしたいところだ。

予想スタメン

展望

■行動範囲の広さを逆手に取る

 前節、札幌戦の大敗を受けて篠田監督はメンバーの大幅入れ替えを示唆している。というわけで直近の清水の試合がどれだけあてになるかはわからないが、一応それをベースに考えていきたいと思う。北川航也の退団を受けて、ドウグラスの相棒を前節まで務めていたのは河井陽介。特徴を考えると4-4-2の維持というよりは4-2-3-1へのシフトといった方が適切かもしれない。札幌戦では河井は札幌の中盤に残る方のCHをマーク。前に残るのはドウグラス1人という形で、非保持での4-4-2への移行はあまり見られなかった。

 川崎がいつものようにビルドアップで中盤に1人、最終ラインに1人という風にCHを動員するのなら、中盤に残る方のCH(最近の流れでいえば下田北斗)に河井がマークにつくことになるはず。ただ、今節は右SHに中村慶太の先発が示唆されており、河井のポジションによりアタッカー色の強い金子翔太を使う可能性もある。シンプルな4-4-2でのプレッシングを行ってくる可能性も否定できない。

 ちなみに、清水の守備がうまくいった横浜FM戦と大敗した札幌戦の違いを仕組みで説明するのは意外と難しかった。端的に言えば寄せの強度が段違い。札幌戦は寄せてはいるけど、相手の攻撃の邪魔にはならない程度にしか距離を詰められていないシーンが目立った。逆に横浜FM戦はとにかく体を投げ出して素早く相手に寄せることで相手の自由を奪っていた。ヘナト・アウグストや吉本など、清水の後方の陣容に目を向けると対人守備に特徴がある選手が多くみられる。彼らが対人守備で躍動したのが横浜FM戦。特にヘナト・アウグストは縦横無尽に動き回りチャンスの芽をつぶしていた。

 人基準の守備志向が強い清水をどう攻略するか。札幌戦の守備で気になった点はスペース管理の拙さ。ボールの動きに陣形全体の動きが連動しておらず、特に横のチェーンの切れやすさが目立った印象だった。加えてこの試合では大幅なメンバーの入れ替えが示唆される。連携面で難があっても不思議ではない。

 おそらく、大敗直後の川崎戦は気合を入れてくるはず。人には強く当たるよう指示が飛んでいるはずだ。まずは行動範囲の広いCHを上下左右に動かしてエラーを引き起こしたいところ。ヘナト・アウグストの食いつきの良さは、むしろ利用したいところ。狙いたいのはCHの背後のスペース。押し上げが甘くなりがちな清水のDFがラインを上げる前にここを使いたい。阿部や家長、そして下田と田中にはDF-MF間に侵入して前を向いたプレーを期待したいところ。CHを動かしてバイタルに侵入し、大島僚太の連続ゴールの再現を狙いたい。

 逆に避けたいのは敵の2トップとCHで圧縮されてショートカウンターを食らうこと。カウンターは一発で仕留めるスキルが高いチーム。川崎はバックラインにレギュラーメンバーが復帰する予定。加えてホームであり、前節のように長い芝と水がまかれないピッチに苦しむこともない。連携面も環境面でも不安は少ないものの、清水のショートカウンターは要警戒である。

■余裕はなくともいなす心意気で

 清水の攻撃面に目を向けると、フィニッシャーであるドウグラスにどのようにボールを届けるかに頭を悩ませている印象。ビルドアップはCH+CBの4枚がスクエアでボールを運ぶ。ドウグラスの落としを前に運べる推進力を持った北川の不在で、遅攻の際はボールをどう動かそうか固まっていないように見えた。CHやトップ下が間や裏で受けようとする場面もあるが、まだ単発でチームの形としては落とし込めていない。選手のキャラクターを考えれば、SBの攻撃力を生かしたいところではあるものの、彼らが上がるための時間を稼ぐのに一苦労している。もちろんエウシーニョの出場可否は大きな影響を及ぼす。

 川崎目線でいえばまずはボール保持で相手のSBをきっちり押し下げたいところ。前節その役で貢献度が大きかったマギーニョが先発すれば、今節も同じ働きが見込めるがどうなるだろうか。Match Factsでも書いた通り、サイドから押し下げられれば中央のバイタルから長いレンジのシュートが決まるチャンスは出てきそう。清水はローラインの守備においてもスペース管理が怪しい部分はある。

 この試合で前節の名誉挽回を狙う清水は力強いプレッシングでスタートしてくると予想。リーグ戦4戦勝ちなしということではっきり言って川崎には余裕はないが、まずは彼らの立ち上がりの勢いをいなすのが重要なミッション。例えば、トップ下が下田にマークについてくるのならば、左右に移動しながらどこまでついてくるのかを見極めたい。自分がボールを持てなくとも、2列目の選手が降りて受けるスペースは導出できるはず。

 対人で連勝されて、横浜FM戦の成功体験を思い出されてしまったら辛い。仙台戦では、攻撃の連携には徐々に光が見えた川崎。相手をいなしながら、ボール保持の時間を粘り強く増やしていけば、スタメンを入れ替えた清水を連携面で上回る隙は絶対にある。

 仙台×川崎のレビューで、せんだいしろーさんが田中碧を「マークもプレスも決闘もかわすマタドール」のようと評していた。

 清水が勢いをぶつかってくる闘牛であるのなら、川崎が目指すべきはまさしくマタドール。余裕はないけど相手をいなしながらスキを突く。人に強く当たる守備基準を持つチームは、従来の川崎が得意としていたタイプのチーム。チェルシー戦を境に目指している止める蹴るの質を高めるという原点回帰。その観点では比較的与し易い相手といえる。ここが分岐点になる試合ができるだろうか。

参考
transfermarkt(https://www.transfermarkt.co.uk/)
soccer D.B.(https://soccer-db.net/)
Football LAB(http://www.football-lab.jp/)
Jリーグ データサイト(https://data.j-league.or.jp/SFTP01/)
SANSPO.COM(https://www.sanspo.com/)

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