MENU
カテゴリー

「からめとるのが城福流」~2019.8.4 J1 第21節 サンフレッチェ広島×北海道コンサドーレ札幌 レビュー

 FIゼミ課題対象試合!アナさんはまだ帰ってこないけど。いわばFIゼミの2ndシーズンなんだろうか。

 スタメンはこちら。

目次

【前半】
摩訶不思議な広島の立ち上がり

 前日の神戸×G大阪の試合を見る限り、暑さは相当ハード。終盤は間延びしたグロッキーな打ち合いを繰り広げており、90分をこの環境で戦うことの過酷さを実感した。「3月末のG大阪×神戸も似たような感じだったよ」っていう人はその感想は心の奥底にしまってほしい。俺もしまいました。とにかく暑さは過酷で「90分間で体力をどう配分しながら戦うか?」はここから各チームにとって向き合わなければいけない課題になりそう。

 この試合で言えば単純なコンディション面でも差がある。札幌が中13日あったからいくらでも走れる!というわけではないだろうが、ホーム連戦とはいえ中2日でこの試合を迎える広島よりはいいコンディションである可能性はとても高い。広島もスタメンは2人しか入れ替えていないし。

 というわけでのんびり試合を進めたい広島と体力で押し切るのもありな札幌の試合というのが戦前の予想だった。

 しかし、蓋を開けてみると試合開始直後に積極的にプレスをかけて試合のテンポを上げていたのは広島だった。なんでだろう。理由はわからない。

 フォーメーション上は噛み合っている両チームだが、札幌のボール保持時は後方が割と動きがち。深井や宮澤が後方に降りた場合は4バック化して両ワイドCBがSB化したりする。

 そんな中での広島のプレスの成功率は微妙だった。可変式とはいえ似たような配置がベースだから、捕まえにくいわけではないが、すんでのところで長いボールを蹴れる福森に蹴っ飛ばされて進撃を受けるシーンもしばしば。広島にとって助かったのはジェイにそこまでボールが収まらなかったこと。ジェイに当ててからの中央のシャドーとのコンビネーションでダイレクトにゴールに背稀れるシーンはそこまで多くなかった。その代わりとして、WBの裏へのランからサイド勝負でクロスを上げる形がメインになっていた。もっとも、札幌はサイドのクロスから割と決定機は創出していたので、広島の狙い通りか?といわれると怪しい部分はあると思うけど。

 逆に広島のボール保持時の札幌は慎重だった。広島のビルドアップはWBに安全にボールを届けるために後方に人数を割く。3CBがフラットに構え、その前の稲垣が手助けをする形が多い。札幌のシャドーの前へのプレスは控え目で、広島のWBへの出口を封鎖することにより注力していた。特にチャナティップはハイネルにボールが出た時に菅とダブルチームで迎え撃つ機会が多かった。札幌としてはカウンター要員として鈴木武蔵を前方に残したい意図もあったかもしれない。

 試合の展開としては広島が速いテンポに持ち込みたそうにしているが、決定機の数としては札幌の方が多い形に。両チームとも方策は違えど中央はCF、ワイドはWBに前進を任せているのは同じ。ワイドは広島が単騎で持ち運ぶイメージに対して、札幌はワイドに開いたCBを経由することで基準点を乱しながら、裏を狙っていく形を織り交ぜながら前に進んでいた。

 このワイドでの勝率が試合の主導権争いにダイレクトに効いていた。裏に抜ける菅と1on1にも勝てる白井でジェイに正確なクロスを送り続ける。広島にとってはありがたいことにどれも決まらなかったけども。

 広島は川辺や森島が低い位置に顔を出すことで札幌の中盤を引き出す工夫をしていたが、そこからWBを使って裏にボールが出るところまでは行けず。

 チャンスを生かせない札幌とチャンスまで至らない広島、それぞれの事情はあるものの得点はなし。スコアレスで前半を折り返す。

【後半】
先制点を手繰り寄せた2つの先回り

 大まかな展開は前半と同じ。じりじりやりたい札幌とプレスをかけて高い位置で止めたい広島の展開でスタートした。

 スコアは後半早々に動く。中央で降りてきた森島を起点にWBの柏にボールが渡る。ここまでは広島の普段の通りのボール運び。ここからニアのハーフスペースで森島が裏を取る。駆け上がっていた稲垣がフィニッシュで先制。引いて受けた森島と、低い位置でプレーすることが多い稲垣。この2人がともに対面する相手を続けた出し抜いた。WBというそもそもの武器に対する上積みといえるプレーが連続したことがゴールを引き寄せたということだろう。そういう意味では味わい深いゴールな感じがした。

 先手を取った広島。さすがにプレスラインを後退させる。そりゃそうだ。疲れているもんな。というわけで札幌がボールを握りつつ、広島がカウンターでもう一刺しを狙っていく展開に。広島は中盤が囲い込むように札幌のボールホルダーを囲む。

 札幌としては降りてくるシャドーにダイレクトに入れる形でチャンスを作りたい。しかし、パススピードが足りない(水あんまり撒いてない?)こともあり、中盤のプレスバックで挟み込みが可能でチャンスにならず。札幌もシャドー→シャドーでパスがこのエリアでつながればチャンスになった。札幌のシャドーには広島のワイドCBが食いつく感じだったんだけど、さすがに同時に食いつくのは・・・という形で2人目のリアクションが遅れていたので。しかし、そういう場面はあまり多くなかった。

 札幌はルーカス・フェルナンデスを中盤に投入。運び屋の枚数を増やすことで広島のブロックの囲い込みを破ろうという作戦。広島は青山の投入でロングカウンターを可能に、柴崎の投入で攻守に安定感をもたらそうと試みた。

 時間が経つにつれて単騎突破が増えてくる札幌。広島が自陣に撤退したこともあり、前半に見られたような裏を使って連携もなくなった。白井、菅、ルーカス、チャナティップなど数人で広島のブロックを崩しにかかるも、最後まで広島の牙城を崩すことはできず。

 試合はそのまま1-0で広島が逃げ切った。

あとがき

■夏バテを回避できるか

 中2日で連勝を収めた広島。前節の川崎戦の反省も生かし、終盤は落ち着いてゲームクローズに臨めたと思う。立ち上がりになぜ強気プレスを仕掛けたのかはわからないけども。自分たちがボールを持って試合をコントロールしたいという意識の表れだろうか。昨季はボールを持っての崩しの質が上がらないことで終盤の失速を招いたこともあり、城福監督は少し自分たちの力を試すような戦い方をしているのかもしれない。

 そんな中で過密日程で連勝を飾った意味は大きい。やや層が薄い中盤に青山が帰ってきたのもプラス材料。メンバー固定による主力の夏バテなしに秋を迎えられるかが、広島上位進出のカギといえそう。

■もがくほど苦しい

 札幌は決定機の数では前半にかなり差をつけたものの、得点できなかったツケが後半に回ってきた格好だった。ただ失点シーンも森島と稲垣は見事だったものの、軒並み対面選手が先手を打たれてのものだったのはかなりもったいなかった。簡単に作りだせていた決定機も、先制点が入ると同時に沈黙。徐々に強引な突破が目立つようになり、広島の陣形の中で個人個人が突破を試みようともがくも、どんどん苦しくなっていった。

 川崎ファンとしては高い位置でパスがズレていったり、囲まれてからめとられたりするのを見て「あぁ・・・こういう日あるんだよね」っていうつらい気持ちになりました。

試合結果
2019/8/3
J1 第21節
サンフレッチェ広島 1-0 北海道コンサドーレ札幌
エディオンスタジアム広島
【得点者】
広島: 49′ 稲垣祥
主審:山本雄大

この記事が気に入ったら
フォローしてね!

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次