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「相手の土俵で大健闘した意味」~2019.6.20 コパアメリカ 日本×ウルグアイ レビュー

スタメンはこちら。

目次

【前半】
安部を中央に置いた理由

 「トップ下は久保?」「いやチリ戦でサイドの守備がだめだった中島を中央に置くんじゃない?」

    スタメンを見たTLでの配置予想とは異なり、中央には安部を2トップの一角気味に配置してスタートした日本。ウルグアイの4-4-2と真っ向勝負である。

 しばきあいとなった立ち上がり。両チームとも中盤ではプレスの応酬となる。助長していたのは、互いに長いボールを蹴ることを厭わなかったこと。日本としてはGKがつなげる大迫から川島に代わった影響もあるだろうし、序盤に板倉がパスミスをかっさらわれてスアレスにきわどいロングシュートを打ち込まれた影響もあるだろう。チリ戦と比べると長いボールをけることに躊躇はなさそうだった。チリ戦ではほとんど機能しなかった右サイドからいきなりシュートまで持ち込めたし、早い展開でもそれなりに殴り返せる手ごたえを掴めたのも大きいかもしれない。

 ウルグアイはウルグアイで、落ち着いてボールを保持できる展開でも、最終ラインからトレイラやベンタンクールがボールを引き出す動きはあるものの、そこから先に何かがあるわけではない感じ。とりあえずカバーニ、スアレスに渡しちゃえば何か起きそうだし、こっちもこっちで速くオープンなほどありがたいでしょ?という早い展開は望むところ!というところだろう。

 というわけで立ち上がりは両チームともにハイテンポにボールが行き来する展開になった。

 日本の攻撃でチリ戦と異なる部分はSBのサポート。チリ戦の前半ではかなり遠慮がちだった杉岡がこの試合では積極的に高い位置を取ってFWや中島と連携。右の岩田も機を見た攻め上がりで攻撃に厚みを加えて、前節は機能しなかった右サイドの攻撃に一役買っていた。

 ちなみに、安部を中央に置いた理由を考察すると、選手間のポジション入れ替えを意図的に発生させやすくする配置にしたかったのではないかなと。普段サイドでプレーする安部を中央に、絞り気味の位置でプレーすることが多い中島と三好をサイドに置くことで、がっちりマンマークで噛み合うウルグアイに迷いを与えたかったのではないかと推察。本来は仕組みの中でやるべき話だけど、いかんせん即席チームなので選手の特性を組み合わせることで相手に迷いを与えようとしたのかなと。

 しかし、攻撃において質の向上が見られても、非保持の課題まですべて一気に解決というわけではない。チリ戦でも狙っていた日本の左サイドの守備の遅れはスアレスやカバーニが積極的に流れることで活用。杉岡が積極的に攻め上がりを見せていた副作用としてスペースは空いている。日本の左側ばかりにFWが流れていたのは日本へのスカウティングの賜物だろうか。日本がサイドから突破口を見出せば、ウルグアイはカウンターで裏返すという一進一退の攻防が繰り返されていた。

 20分を過ぎたあたりから試合は徐々に落ち着いて、非保持側が撤退するようになってくる。試合のテンポはスローダウンしていく。そんな中で違いを見せたのは、チリ戦に続いて柴崎岳。今回のパートナーは三好康児だった。負傷していたとはいえ対面する相手をぶち抜いて、GKを出し抜いてニアに打ち込んだのは爽快である。

 しかしながら速攻で殴り返される日本。カバーニでチャンスを作り、スアレスが決めるというウルグアイ王道セットで同点に追いつかれる。ゲームは15分過ぎと同じ展開。内に絞ったSHでウルグアイのCHをピン止めする日本はCHがフリーになる局面が多く、落ち着いてボールを回せていた。

 対するウルグアイも、奥行きを作れる2トップに加えて両SHがボールの収めどころとして機能。お互いに形は違ったけど、らしさを見せた前半。1-1の同点で折り返すことに。

【後半】
ベテランと新星が支えたアタッカー陣の躍動

 後半開始直後は再び長いボールが行きかう展開になった。日本はセカンドボールを拾い、前線に素早く送りチャンスを作る後半の立ち上がり。対するウルグアイも直線的なボール多めでスタート。前半は球の出しどころとして危うさもあった板倉だが、こういった展開での高さはかなり効いている印象だ。

 オープンな殴り合いはメンバー構成を考えても、ウルグアイの得意そうな展開。ただ、相手の仕掛けてきた殴り合いに対しては割と問答無用で迎え撃つ印象がある日本代表。この試合もそうだった。殴り合いから先に2点目を決めたのは日本。三好のパフォーマンスもそうだけど、この試合は岡崎の千両役者ぶりが目立つ。そして川島。日本がいけそうなときに殴り返してくるスアレスとカバーニをシャットアウト。コパアメリカ招集に対して懐疑的な見方が多かった両ベテランだが、その目線を一蹴したのはすごい。来季はどこでプレーするんだろう。

 そしてもう1つ殴り合いの中で触れたいのは両SBのパフォーマンス。殴り合いの中で勇気を持って押し上げた両SBは攻撃面のいいアクセントになっていた。特に岩田は絶妙なタイミングでの攻め上がりと前線への配球で攻撃を最終ラインから動き出す役割を全う。大分で見せるハイパフォーマンスを代表でも披露できたといっていいだろう。

【後半】-(2)
ウルグアイの土俵

 ウルグアイが得意なオープンな殴り合いが開幕、日本も応戦、先に点を取ったぜ!までは良かったが、ここからは難しくなった日本。ウルグアイがペースを握り、自陣に釘付けになる展開が多かった。理由としては単純にウルグアイの意識が前にいったこともあるだろうが、何といってもウルグアイが獲得したセットプレーの数の多さ。ファウルの取れるFWを最大限活用である。相手陣にたくさんの人数を送り込めるセットプレーを駆使して、波状攻撃を開始。

 カバーニ、スアレス以外のもう1つのウルグアイの矢である「アトレティコのCBのセットプレー」が牙をむいたのは66分のこと。ガンガン押し込まれた末にねじ伏せられた形だろう。

   ここから先はかなりハードモード。日本にもチャンスがないわけではなかったけども、SHもCHもガンガンPAに入ってくるウルグアイの圧力を前に自陣に釘付けになるしかなかった日本。アタッカー陣を下支えしていたSBのオーバーラップも自陣に押し込まれていたため、徐々に影をひそめることになる。

    ちなみに俺の上田綺世はこの試合でも起用されていた。おそらくこの大会で一番漢字間違いを見かけたプレイヤー。鹿島サポの中にも上田綺世警察は誕生するのだろうか。ゴディンとのマッチアップは痺れた。法政大学×アトレティコマドリー。

    29本のシュートを浴びながら、体を投げ出してよく守った日本。2失点をしてなおよく守った!というのはなんか微妙な気もしないでもないが、それがこのメンバーでの現在地ということなのだろう。ウルグアイの猛攻をなんとか食い止めた点は素直に評価すべきだろう。

まとめ

   大雑把さはあったものの、底力をひしひしと感じたウルグアイ。カタールW杯を見据えた時にどうするんだろう?っていう部分は結構あるような気もするが、タレント揃いの2列目を軸にしたチームにシフトしたりするのだろうか。3年後もスアレス、カバーニが前でガンガンやってて、ゴディンのヘッドで勝ちました!みたいなことをやってたらすげーなとか思ったり。でも、やってそうな気もするよね。あと、タバレスの佇まいから感じる闇営業感はたまらない。

    1戦目の大敗を吹き飛ばすことに成功した日本。気分爽快!俺たちやれるじゃん!でも勝てなかったけど!っていうこの空気はコンフェデのイタリア戦そっくりな気がする。メンバーは全然違うけどね。どこまでもついてくるメンバーがガラッと違う問題である。

    ただ、普段のメンバーでもガラッと変わった今回の布陣でも、国際舞台の戦いにおいて相手の土俵で戦うクセは抜けない感じ。立ち返るサッカーがないからなのだろうか。それともあるけど、大舞台で顔を出すほどに定着してないとか。みんながフワフワするワールドカップとは違い、コパアメリカでウルグアイの土俵でがっつり戦うのはとてもしんどそうだった。勝ち点を取れた健闘を評価しつつ、相手のペースに付き合わないのはどうしたらいいのか問題はどこかで付き合わなきゃいけない気がする。自分たちの土俵なんて作れるのか!とも思うけど。

    とはいえ、自分も含めて久々に清々しい代表戦を観れたので、数ヶ月に及ぶ森保ジャパンの閉塞感を少しでも打開できたことは良かった気がする。雰囲気が良くなったですませんのかよ!って言われそうだけど、全部が急にはすごく良くならないし。一歩ずつでいいのではないでしょうか。

試合結果
2019/6/20
コパアメリカ グループステージ 第2節
日本 2-2 ウルグアイ
【得点者】
日本: 25′ 59 三好
ウルグアイ: 32′ スアレス, 66′ ヒメネス
アレーナ・ド・グレミオ
主審:アンドレス・ロハス

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