MENU
カテゴリー

「理不尽は待てどもやってこない」~2019.6.17 コパアメリカ 日本×チリ レビュー

先発はこちら。

目次

【前半】
差し合いから再現性をもってイスラで殴る

 序盤はミドルプレスの差し合いでスタートした両チーム。4バック、3枚の中盤という似たような構成になっているため、ズレは生まれることなくプレスをかけられていた。CBにまで積極果敢にプレスに行くんだぜ!ということはなかったものの、ボールが中盤まで移動すると互いに捕まえに行く動きを見せる。

 チリのプレッシングにおいて狙われたのは日本のCH。特に中山雄太は縦パスのカットが序盤から立て続いて発生、ボール保持において若干飲まれそうな感じがあった。ビダルとアランギス、厄介だぜ。チリがボール保持する局面では戻りが遅れる中島翔哉を利用して、ビダル→イスラへのサイドチェンジでボールを落ち着かせていた。日本は前田大然と中山がボールを抑えるためにかなり前に出ていく傾向が強かったが、簡単に抜けられて効果的とは言えず。

 しかし、日本は徐々にチリの中盤のプレスを回避できるようになってくる。柴崎の危機回避と、アタッカー陣の体の入れ替わりで攻撃を加速させる機会を得る。日本のアタッカー陣は1人最低1回ずつくらいはドリブルを披露する場を与えられた感じだった。

 チリも日本も攻撃を加速できる局面はあったけど、チリはラストパスやクロスの精度が甘かったり、日本はドリブルが止められたりなどしてオープンな展開の割にはシュートに行く局面は多くなかった。

 守備は遅れるけど、ここは本領発揮だぜ!という中島は攻撃に回るとさすがの破壊力。なお、攻守の収支があっているかは不明。なぜか後方からスタートするポジショニングだった前田は気の毒な感じがあったけど、前田が本来置かれるべきだった最前線に陣取った上田綺世は存在感を発揮。相手のPA付近で体をうまく入れてファウルを獲得するシーンはクリティカルヒット。スピードやテクニックを駆使したドリブル勝負を挑むアタッカー陣の中で異彩を放っていた。正直好みのタイプです。

【前半】-(2)
最も通用した理不尽の話

 15分を過ぎると、中盤でのプレスの掛け合いはだいぶ落ち着いて、試合のテンポはややまったりしたものになる。日本は柴崎が最終ラインに落ちてビルドアップ隊を3枚にする動きを不定期でやるようになる。その分SBが押しあがれるようになるのだが、なかなかSBとSHが連携した崩しは見せられず。不思議だったのはたまに前線に駆け上がっていく中山。ギュン!って前線に駆け上がっていったけど、チームバランスを結構崩している割には、周りもそれに気を遣ったポジショニングをすることもなく、中山も攻め上がりもあまり効果的ではない!というのは微妙だった。もっと言えば、森保さんその役割を中山に求めるのね!というところも驚きだったけど。

 相手が撤退した場面のボールの前進という意味では、チリの方が再現性が高く実践ができていた。ビダルやらプルガルやらが最終ラインに落ちてボールを引き出す動きはしていたけど、そこからの噛み合わせのズレが肝で・・・というよりは中央でフリーの選手から中島の裏のイスラに蹴っ飛ばしてしまえ!で大体何とかなっていた。ボールをまったり持てる、中央が降りてサイドが高い位置を取る、イスラ起点で右サイドからの攻撃が成立するという流れでチリがPA付近までボールを運ぶシーンが目立つように。

 ボールが流れてしまっても左サイドにはアレクシス・サンチェス。積極的なオーバーラップを見せるボセジュールと共に日本の右サイドを苦しめる存在になっていた。攻撃の起点になる機会はチリの右サイドの方が多かったけど、抉って折り返すとか中央にスペースを作るような深さを作る攻め手は、左の方が作れていた。アーセナルファン的にはちょっと懐かしいやつ。

 中央で中島、久保、前田、中山がノッキングする日本と、両サイドに異なる役割を求めながら前進するチリ。決定的なシーンこそないものの、PA付近までボールを再現性をもって進められているチームとそうでないチームの違いはあった。両チームの攻撃機会の差は試合が進むにつれて大きくなっていく。

 押し込めているし、仮に日本にカウンターを食らってもストップできそう!ということで徐々にチリは右サイドでもトライアングルを作りながら侵攻を開始。日本を自陣に釘付けにする時間を長くしていくと、41分にセットプレーから先制点をゲット。理詰めの攻撃で得た先制点というわけではないだろうが、押し込んだ方がCKの機会は多くなるので、こういう機会そのものを増やしていくぜ!っていう意味合いとしてはロジック通りの得点といえるだろうか。

 ロジックで殴ってくる相手に対して、日本は理不尽で殴り返そうと試みていた前半。最もゴールに近づいたのが中島や久保、前田などの2列目のドリブラー隊の突撃による理不尽ではなく、局面が変わった瞬間の柴崎のとっさの判断による理不尽さだったのはおもしろい。それを待ち受けるのが上田っていうのもまたおもしろかった。

【後半】
個々のエラーが最大化された2失点目

 ビハインドで後半を迎えた日本の選択は、ミドルプレスのかけなおしで全体の陣形を高めること、そしてボールを取り戻すことだった。とはいえそこから先のコンビネーションでの崩しは見られない日本。ここは超即席チーム故の限界だったりもするのかなとか。連携以前にボールを奪った時の個々の選手の距離感が遠かった気がするけど、それも含めて。だから柴崎’s アイという理不尽は効くんだなぁと。

 試合の方は「後半は守備も頑張れ!」といわれたであろう中島の戻りが遅れたチリの右サイドから追加点が入る。その直前にイスラが中島を引きちぎった流れでチャンスを作られてしまったのがフリになっているかのようだった。ビダルへのパスコース切りをサボった中島、同サイドに封じ込める距離感を取れなかった中山、一番危険なゾーンにいるアランギスを捨ててプレスをかけに行ってしまった柴崎など、それぞれに罪はある感じ。片側に寄せて奪っちゃおう!ならサイドバックを気にかけている前田も気になるところではある。そんなところ気にしてないで絞ってもいい気もする。スタートポジションから絞り気味にポジション変えないと厳しいだろうけど。

 何はともあれ一番やられたくないゾーンを使われて失点してしまった日本。中山の動きをみるとブンブン振り回されている感がよく伝わる。

 プレスを頑張りましょう!からのプレスを回避されてしまって失点を喫してしまった日本。げんなりである。チリもチリで2点とったことでやや落ち着きが出てくる。試合は徐々にまったりした展開になっていく。まったりした展開でも上田の動きを見逃さない柴崎だった。

 このままおとなしくしていても仕方がないので、サイドバックも上がらないとしゃーないだろう!ということでサイドからの崩しを頑張る日本。おそらく日本のメディアがこの試合の日本の攻撃で最も取り上げたであろう65分の久保の突破は、サイドからのパス交換→理不尽という流れになっているので、これ以上は望めないよ!っていうある意味では理想形の攻撃だったかもしれない。

 中島、前田→安部、三好の交代でサイドの崩しを強化。上がってくるSBに合わせてSHは幅を取って相手の陣形を横に広げましょう!という試みだった。中央は久保とときどき三好が担当。一時の渋滞はこの交代でやや解消傾向に向かう。撤退守備における対応はチリも怪しさはあったので、得点に近いシーンまでは持って行けるもののまたしても上田は決められず。交代した安部がラストパスを出していたけど、ことごとく上田にチャンスを供給するのが鹿島勢なのはたまたまだろうか。

 CH、久保、SB、SHの4枚による多角形形成で進撃をする日本。3位まで突破の可能性を残すという所からGS突破を考えると、攻め切れない以上にここからの2失点が痛いということになるだろうか。とはいえ0-2のまま、座して死を待つというのもあまりにも未来がない気がするけど。

 そうこうしているうちにチリに3点目が入る。ことごとく中山周辺でエラーを引き起こしてやるぜ!感の目立つチリ。フエンサリダやビダルがいなくなってもそんな感じだったので、チームの総意だった感がある。大迫の飛び出しが失敗した4点目が入って試合は終了。なかなかにハードな現実を日本は突き付けられることになった。

まとめ

 華々しいスタートを切ったチリ。撤退守備の怪しさやミドルプレスの精度など、優勝候補なのか?といわれるとやや気になるところはあるけど、じゃあほかのチームはどうなんだ!?となると、なんとも言えないので案外スルスル上まで行ってしまう可能性はある。バルガスとサンチェスをのせてしまった感があるのは、今後の対戦チームにとっては厄介な感じ。ほかのチームからすると「頼むぜ!日本!」といいたくなってしまうかもしれない。サイド⇔中央のショートパスでの崩しなどはメンバー代わっていない遺産を生かしながらの強みを感じたので、そこでどこまで押し切れるか。その時間帯をどこまで作れるかが、ここから先の楽しみになりそう。

 つらいスタートになってしまった日本。SBのオーバーラップを利用したサイドアタックなどウルグアイ戦につながる部分もあったけど、ウルグアイ戦前にこの試合を総括すると結構しんどいものになりそう。

 コパアメリカ参戦以前からわかっていたように、このメンバーにおいて連携やらチームとしての戦術をいきなり求めても仕方ない感がある。国を挙げてブラジルに乗り込んできたカタールとは前提が違う。そんな中で個々のパフォーマンスとコンビネーションで光るものを探しましょうというのが日本のこの大会のテーマであるはず。そういう意味では鹿島組×上田の組み合わせはかなり印象に残った。よく分からないタスクを投げられた前田はしんどそうだった。ウルグアイ戦でリカバリーの機会を与えられた杉岡と与えられなかった中山は2戦目を終えた状況では若干明暗は分かれている感。

 なお、五輪×OAのテスト!というテーマの練習になっているかは微妙。でもトゥーロンと分割しちゃってるじゃん感もあるし。森保さんに「もっとできることがあっただろ!」っていうのならば、この試合の中というよりは前だった気もする。

試合結果
2019/6/17
コパアメリカ グループステージ 第1節
日本 0-4 チリ
【得点者】
41′ プルガル, 54′ 83′ バルガス, 82′ サンチェス
エスタジオ・ド・モルンビー
主審:マリオ・ディアス

この記事が気に入ったら
フォローしてね!

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次