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「エースが狙うは先制点」~2019.5.12 J1 第11節 清水エスパルス×川崎フロンターレ プレビュー

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前節のレビューはこちら。(アナさん、polestarさんとの共著)

目次

Fixture

明治安田生命 J1リーグ 第11節
清水エスパルス(16位/勝ち点8/2勝2分6敗/得点11 失点22)
×
川崎フロンターレ(4位/勝ち点19/5勝4分1敗/得点14 失点7)
@IAIスタジアム日本平

戦績

近年の対戦成績

直近5年間の10戦で清水の2勝、川崎の7勝、ドローが1つ。

清水ホームでの戦績

直近10試合で清水の3勝、川崎の6勝、ドローが1つ。

Head-to-Head

Head-to-Head①
【公式戦での対戦成績】
・公式戦における両チームの対戦は過去33戦で清水が12勝、川崎が13勝、ドローは8つ。
・直近6試合のこの対戦において川崎は無敗(W5D1)。

 対戦成績は互角の両チーム、しかしながら直近の対戦成績では川崎が優位。川崎が清水相手に得点できなかったのは13年4月のリーグカップが最後。以降の12戦はすべて複数得点を重ねているという近年の対戦。川崎の清水への相性の良さが際立っている。

Head-to-Head②
【清水ホームでの対戦成績】
・清水ホームでの試合に限れば過去18戦で清水が7勝、川崎が6勝、ドローが2つ。
・直近8試合の清水ホームでの対戦で川崎が敗れたのは1回だけ(W6D1)。

 清水ホームに限定しても傾向は同じ。トータルで見れば互角だが、直近の試合に限れば大幅に川崎が優位。しかし、それ以前の5試合はすべて清水が勝利している。近年の勢いを利用して川崎が押し切るだろうか。

Head-to-Head③
【日曜日の日本平】
・過去に日曜に行われた日本平での清水×川崎は2回。2回とも清水が勝利しており、川崎はそのいずれも無得点。

 清水側に有利なデータは日曜日限定での日本平での対戦成績。過去の2回での対戦は清水が川崎に得点を一度も許していない。こちらのデータは近年の対戦成績に逆らうことになるが・・・。

【清水エスパルス】

選手情報

・六反勇治の出場が微妙。西部洋平がゴールマウスを守る予定。
・竹内涼、石毛秀樹は欠場予定。
・ヘナト・アウグストはハムストリングの負傷で6週間の離脱。

Match Facts

清水のMatch Facts①
【直近の成績】
・今季の公式戦15試合で勝利は3つのみ(D4L8)
・負ければリーグ戦4連敗。

 率直に言ってここまでは苦しいシーズンになっている。勝利数はわずか3勝にとどまり、勝利はいずれも1点差。4連敗になれば降格をしてしまった2015年の10月以来。悪いイメージを払しょくするためにも何とかここで踏みとどまりたいところ。

清水のMatch Facts②
【低迷の要因】
・失点数はリーグワースト。
・先制された試合は9試合あるが、逆転勝ちはここまでなし。

 低迷している成績の原因は失点数の多さ。昨シーズンの同時期と比較すると一目瞭然。昨季は10節を終えて10だった失点が、22と倍以上に増えている。得点をたくさん挙げてなんとか帳消しにしたいところだが、先制されると今季は逆転勝ちがない。9試合で3分6敗だ。

清水のMatch Facts③
【個人成績】
・今季リーグで勝利を収めた2試合はいずれも北川航也が得点を決めた試合。
・ヨンソン監督は川崎相手に過去3戦全敗

 リーグではここまで2勝をしている清水。その2試合の共通点は北川航也。今季5得点と不調のチームで一人気を吐く若きエースは王者相手に勝利を呼び込むことができるか。しかし、指揮官のヨンソンは川崎との対戦成績が良くない。昨年は川崎相手にシーズンダブルを食らってしまい、13年のゴトビに続いて清水を率いて川崎にダブルを食らった2人目の監督になってしまった。

清水のMatch Facts④
【連休明け】
・連休明けの週末のリーグ戦は直近8年間負けなし(W3D5)

 なんとか清水にとって元気になるデータを引っ張り出したところ連休明けの週末は元気なことが判明。よっしゃこれでいける!と思ったけど、川崎も実は連休明けの週末は5年連続連勝中だった。。

【川崎フロンターレ】

選手情報

・中村憲剛、阿部浩之、車屋紳太郎が練習に合流。
・奈良竜樹は膝の負傷で4か月の離脱。

Match Facts

川崎のMatch Facts①
【連勝中】
・リーグ戦4連勝中。5連勝すれば2009年10月以来。

 例年のごとく序盤は出遅れた王者だったが、リーグ戦は4連勝中。この試合に勝てば09年以来の5連勝。09年以来ということはリーグ戦の5連勝は連覇中には一度も達成していないということで、達成すれば優勝シーズンを超える好調なランになる。これを聞くとポジティブそうなデータなのだが懸念も1つ。09年以降、川崎がリーグ戦の5連勝にチャレンジしたのは実に7回。そのいずれにおいても連勝は止まってしまう結果に終わっているのだ。5連勝は川崎にとっては一つの壁。今節のこの壁を超えるチャレンジになる。

川崎のMatch Facts②
【この試合のシチュエーション】
・日曜日開催のリーグでのアウェイゲームは直近13試合負けなし。
・その時点で降格圏にいる相手とのリーグ戦は直近11連勝中。

 とはいえ、この試合の状況は川崎に有利といっていいだろう。まずは今季対戦が増えている日曜日のアウェイゲームの対戦。ほぼ丸2年負けなしは継続中。
    さらに、降格圏との対戦は直近11連勝中。19試合連続負けなしを継続し、最後に敗れたのは15年の5月でありほぼ4年前のことになる。しかし、ここでも懸念が1つ。その15年5月に敗れた降格圏の相手こそ清水。それもピーター・ウタカにボコボコにされての5失点。舞台も次節と同じ日本平だ。

川崎のMatch Facts③
【先制点という盾】
・今季の公式戦での勝利した7試合はいずれも先制点を挙げている。

 公式戦での逆転勝ちがここまでない川崎。しかしながら、先制点を挙げた試合では強さを見せている。先制点を奪った試合の成績を16年までさかのぼっても、直近95試合で77勝。先制すれば81%の確率で勝利しているということになる。
 ちなみにJリーグでたまに聞く「2-0は危険なスコア」という定説。これは川崎に関してはほぼ当てはまらないといっていい。13年以降、2点リードを得た103試合において勝利を挙げたのは101試合。引き分けと負けはわずかに1つずつ。98%は勝利している。敗れた唯一の試合は、16年のレギュラーシーズン最終節の等々力でのG大阪戦。風間前監督のリーグ戦最後の試合だ。

川崎のMatch Facts④
【調子が上がってきたエース】
・小林悠は対清水戦で6ゴール。最もこのカードで得点を決めている選手。

 小林悠にエンジンがかかってきた。ACLの蔚山戦で初ゴールを挙げると、以降の3試合で3ゴールなど復調気味。自身が得意な夏に向けてコンディションが上げてきている。
 清水戦はリーグ戦で出場した直近5試合ですべて得点に絡むなど得意なカード。特に日本平では、13年以降4試合連続で得点を挙げているなど相性も良い。
 それにしてもこのプレビューを始めてから思うのだが、小林悠は本当にどの相手にも得点を満遍なく取っているなぁと。「このカードの最多得点者は小林悠」って何回プレビューで紹介したことか。

予想スタメン

展望

【清水】
気になる外国人選手たち

 チェックした鹿島戦では4-4-2でミドルゾーンに構えるやり方で入っていた清水。2列目までの選手は積極的なプレスが非常に目立つ。相手が後ろに下げるパスを出すとラインを押し上げる動きが見られることからも、最終ラインはある程度の高さを維持することがチームで共有されているようだ。

   2トップとサイドハーフはスピードが豊かでカウンターの威力は脅威。2列目のところで川崎の攻撃を食い止めてカウンターに素早く移行できれば、川崎に相手にも得点は重ねられるはず。実際直近の川崎との対戦ではカウンターでの得点も数多く決めている。好調の北川航也を軸に何としてでも先取点が欲しいところ。

 清水で気になるのはブラジル人選手たちである。ポジティブな話としては不整脈で苦しんでいたドウグラスの復帰だ。水曜日に行われたルヴァンカップのG大阪戦で今季公式戦初ゴールを決めている。J1の前線の選手の中でも個の力でいえばトップクラスのドウグラスの復帰は大きな追い風になる可能性がある。

 逆に懸念点もブラジル人選手。昨季まで川崎にいたエウシーニョ。川崎の時代はサイドバックらしからぬ独特なポジショニングで相手を翻弄したエウシーニョ。「なぜそこにエウソン」というフレーズに代表されるように、前線に大きく出ていく積極性と試合終盤まで駆け上がれるスタミナは、川崎の連覇に欠かせない原動力になっていた。しかしながら、自由に駆け上がるポジショニングはSBとしては独特。有効に生かさなければ、右サイドに生じるものはプラスアルファではなく歪みになってしまう。今の清水はまだエウシーニョの持ち味をチームに昇華できているとはいいがたい。逆サイドの松原と共に、清水のSBの裏は直近好調の齋藤学などの川崎のサイドアタッカーの狙い目になる可能性がある。現に前節の鹿島の先制点はエウシーニョの裏を突いたものからだった。川崎目線で言えば、SBの裏からラインを押し下げて、縦にコンパクトな陣形を維持しようという清水の狙いを破壊したい。

 さらに追い打ちをかけるのは、CHのヘナト・アウグストの離脱。SBのオーバーラップで生じるスペースを、個人でカバーできる新加入ブラジル人の離脱はチームにとって大きな痛手だろう。

 そしてもう1つの注目は何といっても西部洋平。負傷した六反に代わりゴールマウスを守ることが濃厚な元川崎の守護神。J1先発になれば、川崎時代の15年10月以来およそ3年7か月ぶりのことになる。久しぶりのリーグ戦先発になる西部のパフォーマンスは、清水ファンだけでなく川崎ファンも気になるところだ。

 北川とドウグラスの強力2トップに、今季の攻撃のアクセントになっている中村慶太。さらには川崎相手にJ1通算20000ゴール目を叩きこんだ金子翔太など前線はタレントがそろう。もちろん、チョン・テセも。王者相手に先手をとり、なんとか降格圏脱出をもくろみたいところだ。

【川崎】
選び取る難しさ

 ひどかった野戦病院状態もやや回復傾向にあるようだ。今週は中村憲剛、阿部浩之、車屋紳太郎が練習に復帰。実戦に向けてどこまで強度が上がっているかは不透明だが、やや勤続疲労が目立つ選手もいる中でスカッドに厚みがもたらされるのはポジティブなことだろう。

 注目はpolestarさんとの共同レビューでも話した選手。前節にデビューを飾った新戦力2名である。あの対談は個人的にはこの先の川崎のプレビューでもある。
 脇坂泰斗は仙台戦でスタメンデビュー戦とは思えない圧巻のパフォーマンスを披露。いたるところに顔を出し、その部分の攻撃を活性化する姿は中村憲剛が脇坂を称した「ハイスペックな潤滑油」という言葉がぴったり当てはまる。いろんな川崎の選手との組み合わせに期待したくなるパフォーマンスだった。中央で立田とソッコが待ち構える清水のDF陣にただただクロスをあげるだけの展開は避けたい。脇坂には仙台戦と同様にハーフスペースを糸口にチームを活性化する動きを求めたいところだ。

 もう1人はジェジエウ。こちらも仙台戦で等々力の観客のハートをわしづかみするパフォーマンスを見せた選手。何より力強さを見せたのは対人能力の強さ。今節はJ1ですでに十分な実績を残しているドウグラスが相手。強力なマッチアップになるが、ドウグラスを封殺し「川崎にジェジエウあり」ということを高らかに宣言したいところだ。

 選手の復帰に新戦力のフィット。ここから気になるのは鬼木監督がどのような戦力の使い分けをするかである。直近のACLでの上海上港戦での交代策は個人的には若干疑問が残るものだった。今季のスカッドは例年と比べてかなり幅が広く、起用する選手によって戦い方は変わってくる。対戦相手に応じて、鬼木監督がそれに見合った解決策を豊富なスカッドから選び取れるかが、川崎の中盤戦の見どころの1つなのは間違いない。

 中でもこの試合で注目なのはFWの組み合わせ。知念、小林、ダミアンの3選手ともゴールをコンスタントにあげており非常に選択が難しい。今季逆転勝ちがない両チームの対戦、そして川崎は先制点を取るとめっぽう強いということを考えると、相手に大きいダメージで与えるであろう先制点を取るためのFWとして「3人のエース」から誰を起用するかは要注目だ。

参考
transfermarkt(https://www.transfermarkt.co.uk/)
soccer D.B.(https://soccer-db.net/)
Football LAB(http://www.football-lab.jp/)
Jリーグ データサイト(https://data.j-league.or.jp/SFTP01/)

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