Fixture
明治安田 J1リーグ 第22節
2025.6.29
東京ヴェルディ(15位/6勝6分9敗/勝ち点24/得点14/失点23)
×
川崎フロンターレ(5位/9勝8分4敗/勝ち点35/得点35/失点22)
@味の素スタジアム
戦績
近年の対戦成績

直近10回の対戦で東京Vの1勝、川崎の5勝、引き分けが4つ。
東京Vホームでの戦績

過去7戦で東京Vの1勝、川崎の4勝、引き分けが2つ。
Head-to-head
- 東京Vの最後のリーグにおける川崎戦の勝利は2000年4月のホームでの2-0。林健太郎のシーズン初ゴールで先制点を奪った試合。以降のリーグ戦では8試合勝ちがない。
- 公式戦において川崎が東京Vのホームで得点できなかったのは上の2000年4月と同年8月のカップ戦だけ。直近5試合は連続得点中。
- 川崎は直近4試合の東京V戦とのアウェイでのすべての公式戦で複数得点を記録。4試合合計で13得点を挙げている。
- 昨年の同カードは山田新と谷口栄斗が共にハットトリックを決めている。
スカッド情報
- 林尚輝は欠場が続いている。
- 山田剛綺は左膝複合靱帯損傷と半月板損傷で長期離脱。
- 山見大登は前節ベンチ外。
- イ・クンヒョンは長期離脱中。
- エリソンは部分合流。
- 高井幸大には海外移籍の報道あり。
予想スタメン

Match facts
- リーグ戦は2連敗中で3試合連続勝ちがない。3回目の2連敗だが、今季まだ3連敗はない。
- リーグ戦はここまで14得点で横浜FCに次いで少ない。
- 昨年同時期は30得点で半分以下。
- 合わせるタイプのセットプレーでの得点割合が36%。これより多いのは広島(44%)と神戸(41%)だけ。
- 今季ここまで挙げているリーグ戦の6勝中、5勝がクリーンシート。
- 木村勇大と並び、綱島優斗はここまで公式戦4得点でチームのゴールリーダー。
- 木村勇大が今季公式戦で記録した4得点はすべてアウェイゲームで記録されたもの。
- 勝てば今季4回目のリーグ戦連勝。
- 直近7試合の公式戦でクリーンシートは1回だけ。
- アウェイでのリーグ戦は連勝中。3連勝となれば2021年9月以来のこと。
- リーグ戦直近4試合はいずれも相手よりもシュートが少なかったが、うち3試合は勝利。
- 味の素スタジアムでの勝率は69.2%で10試合以上プレーしたスタジアムの中で最も高い。
- 等々力は60.7%。
- 昨季ハットトリックした山田新は直近に挙げたゴールも味の素スタジアム。
予習
第19節 福岡戦

第20節 柏戦

第21節 C大阪戦

展望
陣地回復とキーマンに前を向かせる仕組み
次節に首位・鹿島との一戦を控える川崎。現在の勝ち点差は6。少なくともこの勝ち点差はキープしたいところ。そのためにもこの東京V戦での勝利は是が非でも欲しいところだろう。
東京Vは残留圏には入っているものの、ここまでは苦しさが先立つシーズン。昨季の同時期に比べると勝ち点や得点数がガクッと減ってしまい、なかなか思うように勝ち星を伸ばせていない。このままの勝ち点推移でいけば40を余裕をもって超えるので維持できるのならば心配はないが、一つボタンを掛け違えればよもやということにもなりかねない。
東京Vのフォーメーションは3-4-3。以前の対戦時と同じフォーメーションを組んでいる。変化をつけるのはメンバーの構成。特徴としては前線に長いボールを放り込めるようなターゲット型のFWをスターターから使わず。トップに入るのは新井や山見といったワイドでも起用されるアタッカー。自分が把握していないコンディションの問題もあるのかもしれないが、染野や木村といったロングボールが収まるような前線の選手はベンチに置かれている。
少しチグハグに感じるのはこうした面々をベンチに置いているにもかかわらず、前線にガンガンロングボールを入れるスタンスは変わっていないこと。登里にターゲットを定めて右サイドを軸にロングボールを入れていたC大阪戦はまだ分かるとして、柏戦や福岡戦では割と素直に小兵な前線にボールを入れて跳ね返されていた。
山見などは前を向ければ爆発的な加速力はあるのだけども、ロングボールを入れたり最前線で構えるとなるとこうしたシチュエーションを作るのは難しく、降りるアクションから自分で反転するしかない。
その分、後方からのポゼッションは工夫。2節前からは宮原を3CBの一角として起用し、保持時にはSB役として縦にスライド。マテウスをビルドアップに組み込み、他の2CBとビルドアップを行っていくなど選手の特性を活かした起用は見られる。
ただ、後方のポゼッションも左右に揺さぶる過程で相手に追い込まれると蹴り出す手段をカジュアルに取るので、やはり前線にはロングボールを収められる選手は欲しい。連敗中なので少しメンバーを入れ替える可能性はあるが、個人的には木村か染野の相棒として山見を使った方が怖さは出てくるように思える。
保持においては中盤のテクニシャンに前を向かせればここから背後を狙うボールで有効な前進の可能性が高まる。特に森田はこの点では頼りになる。トランジッションでも素早く縦にボールをつけることができる。この辺りのパスアクションの瞬発力は河原と少し通じるところがある。
しかし、山見と同じくチームとして彼らに前を向く状況を作れるかというと怪しく、現状ではトランジッション勝負が最も有望。保持局面からもう少し中盤が前を向く形を作りたいが、あまりそうしたトライは見えてこないし、誰でも早いテンポで正確に繋げるわけではないので、ショートパスの連打に傾倒しすぎるとミスが出るのはしんどいところではある。
ショートパスでもロングボールでも前進が安定しないため、前からのプレスからのトランジッション誘発は今の東京Vでは外せない。前回対戦でも守備で走れなかった山見をインアウトさせるなど、城福監督のこの分野へのこだわりは相当のものだ。
プレスのスイッチを入れるのはその山見のいるシャドーが多く、前の選手が連動することで一気に圧力を高めていく。サイドに閉じ込めつつ、そこから跳ね返して素早く前に。できれば森田にボールを供給してもらう形を作るのが理想である。
このトランジッションが成立しないとチームとしては苦しい。ただ、しぶといのは終盤になってもこのトランジッションへの意欲が削がれないこと。ビハインドの機会が多く、相手がボールを持たせてくれるという事情はあるにせよ、終盤における前向きな矢印は脅威。フリーのアタッカーがボックスでシュートを打つところまでは作れている。仮にリードしていたとしても僅差で終盤戦を迎えると怖いチームなのは間違いない。
まずは押し込み切る土台を
川崎としては日程的な不利があり、多少前線のメンバーを入れ替えていたとはいえ序盤から90分間のトランジッション連打は避けたいところ。東京Vがこのままのメンバー構成で来るのであればという前提付きだが、ロングボールの脅威も割引になるので、高い位置からのプレッシャーを封じてしまえばひとまずは彼らの前進の手段は削ぐことができる。
その点を踏まえると、この日曜日の一戦は水曜日の新潟戦と比べると保持の局面を増やしながら勝負を仕掛けていきたい。質問箱で教えてもらった山本の新潟戦のコメントの通り、夏場を考えると確かに保持の時間を増やすことは重要だ。
保持での支配を成り立たせるために重要なのはボールを奪うメカニズムの確立。東京V相手のプレスは一個ずつ手段を奪いながらサイドに追い込む形を作り出して、ボールを奪い取りたい。
谷口は足元のスキルがあるCBだが、稲村に比べるとキャリーの能力は高くはないし、相手のプレスが寄せられている時は強引に縦にボールをつけにいくことが多い。中盤を埋めながらジリジリとサイドに追い込みつつ、谷口の選択肢を縦に限定して奪い取るというメカニズムをきっちり作りたい。
中盤さえ塞いでしまえばバックラインを経由して逆サイドまで行かれる分には守備のスライドは十分に間に合う。強引に自分で奪うのではなく、次の人が奪い取りやすい状況を作ることを心がけたいところ。直帰の試合では前線からのプレスが効かない試合が多いので、味スタではそうではないところをきっちりと見せたい。
押し込む局面を作れたとすれば中盤の積極的なローテを敢行しながらサイドの打開策を見つけたい。C大阪のように両WGがブイブイ言わせられれば理想的。ただ、それができなくても打開策はある。東京Vの守備は撤退後も人基準で追い回すので、オフザボールの細かい動きでは思わぬゴールへの直通ルートが開通することもある。柏戦の2点目である三丸→小泉のシュートが代表例。川崎の試合の例を出せばエリキと宮代にやられたあのゴールのように、相手を細かいタッチとオフザボールでずらしながら、できたパスコースに通すということを繰り返しやっていきたい。
ハイプレスに出てくるときの東京Vは自陣からの組み立ての際はビルドアップに対して強気でプレスを仕掛けてくるが、完全に枚数を合わせるわけではなく1枚だけ浮いているみたいなことも少なくない。ロングボールで山田になんとかしてもらうというプランでも通用するかもしれないが、保持で制御するという夏場を見据えたテーマを考えるのであれば、山口には繋ぐ意識を持ちながらプレーしてもらうのがいいのかもしれない。
上にも書いたように終盤に染野や木村を軸としたパワープレーに出られると冷や汗をかくことになる。保持主体でセットプレーを絡めつつ複数得点でのリードが理想。当たり前の話だが。支配できる時間帯にチャンスを仕留め、なるべく多くの優位を持ち越して終盤の東京Vの猛攻に備えたい。
【参考】
transfermarkt(https://www.transfermarkt.co.uk/)
soccer D.B.(https://soccer-db.net/)
Football LAB(http://www.football-lab.jp/)
Jリーグ データサイト(https://data.j-league.or.jp/SFTP01/)
FBref.com(https://fbref.com/en/)
日刊スポーツ(https://www.nikkansports.com/soccer/)