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「似たもの同士の赤と青」~2025.3.16 プレミアリーグ 第29節 アーセナル×チェルシー プレビュー

目次

Fixture

プレミアリーグ 第29節
2025.3.16
アーセナル(2位/15勝10分3敗/勝ち点55/得点52 失点24)
×
チェルシー(4位/14勝7分7敗/勝ち点49/得点53 失点36)
@エミレーツ・スタジアム

戦績

過去の対戦成績

 過去5年間の対戦でアーセナルの7勝、チェルシーの2勝、引き分けが3つ。

アーセナルホームでの戦績

 直近10戦でアーセナルの6勝、チェルシーの3勝、引き分けが1つ。

Head-to-head from BBC sport

Head-to-head
  • アーセナルは直近6試合のプレミアでのチェルシー戦で無敗(W4,D2)。1995-2005年の19戦無敗以来の長いラン。
  • チェルシーはリーグにおけるエミレーツで初めての3連敗を喫する危機。最後のアーセナルホームでの3連敗は2001-03のハイバリー時代。

スカッド情報

Arsenal
  • レンタル元クラブとの対戦となるラヒム・スターリングは出場不可。
  • ガブリエル・ジェズス、カイ・ハヴァーツ、冨安健洋、ブカヨ・サカは長期離脱中。
Chelsea
  • エンツォ・マレスカ監督はロベルト・サンチェスの先発起用を明言。
  • カンファレンスリーグでは登録外だったウェズレイ・フォファナとロメオ・ラヴィアはメンバーに復帰見込み。その一方でニクラス・ジャクソンとノニ・マドゥエケの復帰は代表ウィーク明け。

Match facts from BBC sport

Arsenal
  • 直近5試合の公式戦で1勝のみ。うち3試合はドロー。
  • ウェストハムに直近で敗れているため、敗れればエミレーツにおけるプレミアのロンドンダービーで初めての連敗となる。
  • ホームでのリーグ戦で連敗となれば2022年4月にリバプールとブライトンに敗れて以来。
  • 24失点は他のチームと比べて3以上少ない最小失点。
  • 5つのレッドカードはリーグ最多だが、そのうち1つは取り消されている。
Chelsea
  • その日の初めに自分より上の順位にいるチームとのアウェイゲームは直近19試合で3勝のみ(D3,L13)。ただし、直近では9月にボーンマスを破っている。
  • アウェイでのリーグ戦は6試合連続で未勝利(D2,L4)で3連敗中。
  • しかし、直近の公式戦では4連勝中。プレミアではホームでサウサンプトンとレスターに連勝。
  • コール・パーマーは683分間プレミアでノーゴールでこの間29本のシュートを放っている。
  • パーマーは出場した直近10試合の公式戦でノーゴール。うち7試合はリーグ戦。最後の得点は1月14日のボーンマス戦。

予習

第26節 アストンビラ戦

第27節 サウサンプトン戦

第28節 レスター戦

今季ここまでの道のり

予想スタメン

展望

辿り着いた再構築の暫定解答

 CLではついにレアル・マドリーへの挑戦権を手にしたアーセナル。しかしながら、しばしCLは休戦。エミレーツに白い巨人を迎える前には3つのリーグ戦を乗り越えなければいけない。まずはチェルシーとのダービーに臨むこととなる。現在の順位で言えばチェルシーは4位、アーセナルは2位。両チームはロンドンにおける最上位と次点であり、文字どおりのビッグ・ロンドン・ダービーとなる。

 4位につけているチェルシーではあるが、内容的には苦しい試合が多くなっている。悩みの種となっているのは負傷者。CFのジャクソン、ワイドのマドゥエケなど攻撃の要人が抜けてからの内容はハード。直近のリーグ戦は連勝中ではあるが、相手はサウサンプトンとレスター。残留の望みが日に日に薄くなっている昇格組相手の連勝であり、これを復活の狼煙とするのは早計と行っていいだろう。

 攻撃の核がいなくなったということでやはりメカニズムの再構築には苦しんでいる。とりわけジャクソンの離脱の影響は大きいようで、CFに誰を据えるかにはかなり頭を悩ませた。結果的にジャクソン不在時に最前線に収まったのはネト。もちろん、ジャクソンと同じことはできないので、サイドに流れたり裏に抜けたりなど横と奥に幅広く動くタイプのCFとなっている。

 右サイドに流れる機会が多い分、中央の選手にはストライカータスクが求められるようになる。この役を中央で託されることが多いのはエンソ。今季は元々攻撃参加が多いシーズンではあったが、ネトがトップに入ってからはボックス内に入る頻度はまた一段と上がった印象だ。

 このジャクソン不在時の新フォーメーションは悪くはないが、満点解答というわけではないなという感じ。煽りをもろに喰らっている感があるのがパーマー。どちらかというと自分一人で完結するタイプではないので、連携する味方がいないのは痛いのだろう。前を向くことはできれば周りと連携してやりたいが、ボールを収めてくれるジャクソンはいないし、横幅を取ってくれるマドゥエケもいない。ジャクソンがいた時に比べて自由度が上がったポジショニングにおいて新しいケミストリーの構築に苦しんでいる印象だ。

 そうしているうちにボールタッチの精度も徐々に落ちていっているのが今のパーマー。抜け出しての決定機を決められないだけなく、レスター戦では自ら得意と豪語しているPKも止められてしまい、今はどっぷり悪い流れにハマってしまっている。

 ただ、かといって形を固定してもできることが限られるのが悩ましいところ。3-2-5にするといってもマドゥエケをケガで欠き、ネトがCFを務めるのであれば大外で勝負できる選手は限られてくる。そもそも中央である程度立ち位置を固定するのであれば、CFをネトにするところもおそらく見直さなければいけないだろう。

 守備ではハイプレスがなかなか機能しないのが悩みどころ。コペンハーゲン戦では変幻自在な相手の保持に悩まされた感がある。若干若手によって起用をしていたという意味では割引しなくてはいけないし、1st legの後半に主力が登場した際にはハイプレスから得点も奪っている。それでもコペンハーゲン以上にポジション移動の引き出しが多いアーセナルが相手になるとなればここは不安要素とも言える。

 メンバー構成がなかなか固まらないバックスも不安定。CHコンビもそうだが、たまに信じられないくらいあっさりと真ん中のスペースを割られることもある。特にCBが外に引き出された時に空いたスペースを誰も埋めてくれないという事象がちらほら見られる。個人としてはフォファナの復帰は大きな後押しになるだろう。無理の効くバックスの復帰は瞬間的に穴が空きやすい仕組みにおけるエアバックのような存在になってくれるはずだ。

同じ悩みの中で差別化を図る

 「CFとWGが負傷でおらず、それによって生まれる不具合を埋めるための再構築が行われている。一応これでという暫定の回答は提出したが、満点ではなくハイプレスなど明確に機能が低下してる部分や、割りを食って不調となっている主力がいる」

 チェルシーの項について書いた上の部分をざっとまとめるとこうなるだろう。そして、上の文章はそのままこれから書くアーセナルにも当てはまる話となっている。要はこのロンドンダービーは似たような悩みを抱える赤と青による激突と言い換えることができるだろう。

 先週に続き、アーセナルは日程面でのアドバンテージがある。アーセナルは中3日、チェルシーは中2日。チェルシーもメンバーを入れ替えてはいたが、試合の緊張感はそれなりに保たれる時間は長かった。突破が事実上確定しており、90分をどうコーディネートしつつ週末を迎えるかを視野に入れることができたアーセナルに比べると、負荷は少し高かったかもしれない。

 攻撃面での再構築にはチェルシーと同じように苦しんでいるアーセナルだが内容においてはチェルシーを上回れそうな要素はいくつかあると思う。1つは中央ブロックの守備強度。連携面と言い換えてもいいかもしれないが、チェルシーで見られるような変な中央の空き方はアーセナルでは極端に少ない。

 もう1つはビルドアップにおけるプレスの耐性。負傷者がついに冨安だけになったアーセナルのバックラインは選択肢が充実。レギュラークラスの選手たちは誰が出てもポジションを入れ替えながらのプレス回避はお手の物。逆にメンバーを入れ替えることが多く、プレスのメカニズムを構築できないチェルシーであればプレスをいなしての前進はマストで実装していきたい。

 似た悩みを抱えつつも差別化を図れそうな部分は今のアーセナルにはある。ここで勝利をすれば今季はアーセナルを上回るのは難しいとチェルシーに意識づけすることができるはず。差別化できる部分を押し出して、CL出場権争いを切り離す勝ち点3を手にしたいところだ。

【参考】
https://www.bbc.com/sport/football/premier-league

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