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「西に相対する挑戦権」~2025.3.5 AFC Champions League Round 16 1st leg 上海申花×川崎フロンターレ プレビュー

目次

Fixture

2025.3.5
AFC Champions League
Round 16 1st leg
上海申花
×
川崎フロンターレ
@上海体育場

Match facts

Match facts
  • 対戦は過去に1回。昨年のACLで上海申花がホームで川崎に2-0で勝利。
  • 川崎はACLで5連勝中。
    • 前回敗れたのはアウェイの上海申花戦。
  • 上海申花はホームでの日本勢との対戦は過去に8戦3勝。勝利した3試合はいずれも日本勢には退場者が出ている。
  • 川崎は中国勢とのアウェイゲームでは過去10戦4勝。
    • ただし、上海勢との対戦は3戦未勝利。

予習

リーグフェーズ 第3節 川崎戦

リーグフェーズ 第7節 横浜FM戦

リーグフェーズ 第8節 神戸戦

中国超級リーグ 第1節 長春亜泰戦

中国超級リーグ 第2節 北京国安戦

準備中

予想スタメン

展望

仕留め損ねた相手

 山東泰山のリタイアによってピッチ外で大荒れとなったACLの東地区のグループステージ。コンペティション的に甚大な被害を受けたと言っていい神戸と比べれば、2位を確保し7位と対戦するという川崎のストーリーには山東泰山の退場はあまり影響を及ぼさなかったかもしれない。対戦相手の上海申花という割り当ても含めて。

 本田圭佑のおかげで日本人にも見覚えがあるスルツキが率いる上海申花はすでに昨年川崎と対戦済み。マルシーニョの早々の退場で数的優位を生かした上海申花がホームで勝利を収めている。ちなみに上海申花がリーグステージで挙げた勝利はトータルで3勝。そのうち、1つが川崎でもう1つが神戸。いずれも10分経たないうちに相手チームが退場者を出しており、上海申花のACLでの首は10人の日本チームが繋いだと言っても過言ではない。川崎が戦うのは自らが切り損ねた相手である。

 昨シーズンから上海申花の戦い方は大きく変化はない。4-3-1-2のベースポジションにお馴染みのメンバー。入れ替わったのは大きいところで言えば日本でもお馴染みのサウロ・ミネイロくらいだろう。ちなみに週末のリーグ戦は川崎と異なり基本的にはレギュラーメンバーで臨んでいる。

 保持はバックラインからゆったりとボールを動かしていく。特に左サイドではポジションチェンジが多め。トップ下のエヴェルトンがこちらのサイドに流れることが多い。逆に右サイドはSBのマナファのアイソレーションから崩しを狙いにいくスタンスだ。サイドでの崩しはそこそこに基本的には枚数をかけたクロスで押し切るというパワー系のプランが主流。CFだけでなく、IHやトップ下までボックス内に入ってとにかく枚数をかけることが多い。

 前線に求められるのはまずは得点力と行ってこい!という時に出せる出力の高さ。ルイスとサウロ・ミネイロの2枚看板は試合終盤でも2枚だけでやり切ることができるパワーを持っている。この辺りはザ・中国のチームという感じ。その分、守備では前残りすることが多く組織は前後分断になる。

 そのため、前向きに守備ができている時間帯においては片側に圧縮するプレスをかけることができたりはするのだが、プレスも連動しているとは言えず前線の二度追いも少ない。そしてブロックを組む枚数も少なく、引いた時の守備強度には難があると言えるだろう。

 攻守に前向きな形を組むことができればOKだが、そうでないときは脆い。ACLでの低調な戦いは爆発力と背中合わせの不安定さに起因するものと言っていいだろう。

前後分断に罰を与える

 上海申花は今どき珍しい4-3-1-2のままで守る意識の高いチーム。つまり中央には人が集まる一方でサイドはスカスカな状態で守っている。2トップを解体して4-4-1-1のような形で守る試合もあったが、それはあくまで前のタレントとスコア状況に合わせたオプションの域をでにあい。

 構造で崩すことを考える時の鉄則はまずは噛み合わせの悪いところから。おそらくは4-3-1-2との噛み合わせで言えば、川崎はSBが浮くことができる。福岡戦でも見た通り、今の川崎はSBから列を越えることができればかなり手応えはあるはず。三浦、佐々木、ファン・ウェルメスケルケンの誰がでてもボールを運んで相手の中盤と駆け引きすることはおそらく問題なくできるはずだ。

 逆に中盤は中央にきっちりととどまりたい。サイドはSBのために開けておき、自らはそのサイドから切り開いた時に動きがあるゾーンを狙っていきたい。具体的にはSBがキャリーをすればIHが迎撃しにでてくるため、そのIHの背後ということになる。

 バックス4枚で十分に上海申花の中盤は広げることができると思う。前線のプレスバックの意識は京都よりもさらに低いと推察されるので、彼らの管理の外にきっちりと出ることができれば、川崎は7枚のブロックを腰を据えて攻略することができるはず。そうなれば、十分にゴールに向かうルートを導き出すことができると思う。

 気にしたいのはボールの捨て方。上海申花の前線はプレスバックの意識が低い分、カウンターで反転した時の圧力はなかなかに高いものがある。ショートパスで中央で引っ掛けてしまい、腰を据えてのブロック攻略の手前の局面でエラーが出てしまえばなかなかに苦しい。上海体育場の芝がどのような状態かはわからないが、グラウンダーでの繋ぎの過程がうまくいかずにボールをバイタル付近でロストしてしまってのカウンターというのが最悪のケースになると思う。

 よって、川崎が重要なのは前後分断の上海申花の守備をきっちりと崩し切って罰を与えること、もしくは最低でも後ろ向きでボールを奪わせるシーンを作ってボールをロストすることになるだろう。

 前線へのボールの入り方として気をつけなくてはいけないのはやはりクロス。中盤はつなぎよりもボックス内突撃への意識が高い分、サイドチェンジは少なめなので、サイドの方向を絞りクロスを上げさせること自体にタフな状況を作っていきたい。

 このラウンドを突破すれば西への挑戦権を手にすることができる川崎。従来は高かった東の壁を突破し、西への戦いに臨むことができるまたとないチャンスとなる。異なる文化と肌を合わせる機会を逃さないためにもGSで仕留めきれなかった敵をきっちりと上回っていきたいところだ。

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