Fixture
明治安田 J1リーグ 第31節
2025.9.23
湘南ベルマーレ(19位/6勝7分17敗/勝ち点25/得点27/失点53)
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川崎フロンターレ(7位/13勝9分8敗/勝ち点48/得点53/失点39)
@レモンガススタジアム平塚
戦績
近年の対戦成績

直近5年間の対戦で湘南の2勝、川崎の7勝、引き分けが4つ。
湘南ホームでの戦績

直近10戦で湘南の2勝、川崎の6勝、引き分けが2つ。
Head-to-head
- 直近7試合の公式戦の湘南戦で川崎は負けなし(W4,D3)
- 川崎が勝てば2020年以来のシーズンダブル達成。
- 湘南のホームでの公式戦において川崎は3連勝中。
- しかし、ミッドウィーク開催の湘南とのリーグ戦において川崎は6戦で1勝だけ(D3,L2)。
- 今年4月のホームでの勝利が唯一。
スカッド情報
- 上福元直人はアキレス腱断裂で調理離脱。田村蒼生、高橋直也も離脱中。
- 小田裕太郎は前節ベンチ外。
- 大関友翔、神田奏真は代表活動により不在。
- 欠場が続いていた大島僚太はフルトレーニングに復帰。
- 丸山祐市、車屋紳太郎は長期離脱中。
- ジェジエウは3試合連続のベンチ外。
予想スタメン

Match facts
- リーグ戦は14試合勝ちがない(D4,L10)
- 最後の勝利は5月11日の東京V戦。
- 失点数53はリーグで最も多い。
- 今季勝利したリーグ戦6勝のうち4勝は関東勢から得たもの。勝ち点25のうち、関東勢相手に挙げた勝ち点は16。
- ホームでの公式戦に限定すれば直近4試合で敗戦は1つだけ(W1,D2)。いずれの試合でも複数得点。
- 鈴木章斗は先発した直近6試合で4得点。
- 太田修介は川崎相手に6試合で4得点。54分に1回得点を決めており、キャリアにおいて長崎と並んで川崎が最も得点を挙げている相手。
- 週末のクラシコでは1-0での敗戦。直近6試合の敗戦の中で逆転負けでないものはこれで2つ目。
- 1つ目は東京V戦であり、いずれも東京のチーム相手。
- 直近13試合のリーグ戦で引き分けは1つだけ。それ以前の17試合では8試合が引き分けだった。
- 前節は7試合ぶりの無得点試合。これも東京V戦のもの。
- 神奈川ダービーは今季5戦無敗。複数失点は1つだけで、うち3試合ではクリーンシートによる勝利。
- エリソンは今季のリーグ戦で枠内シュートが33。リーグにおいてどの選手よりも多い数字。
- 伊藤達哉は今季の枠内シュートのうち80%が得点となっており、4得点以上決めている選手の中で最も高い割合。
予習
第28節 G大阪戦

第29節 鹿島戦

第30節 名古屋戦

展望
メカニズム体現を遮るミス
優勝争いを見据えた時に多摩川クラシコにおける敗戦は痛恨の極み。これで川崎の今季の最大勝ち点は72となり、全勝してようやくギリギリ優勝の可能性を残すこととなる。試合後の選手たちからのコメントは残り試合全勝という言葉が多く、彼が優勝を強く意識しながらシーズンを過ごしていることが窺える。文字通り、ラストチャンス。勝ち点はもう1つも落とすことができない。
湘南も立場は違えど状況は同じだろう。降格圏から抜け出すきっかけを掴めないまま、5月から勝利が遠ざかっている。少しでも早く勝利を手にしてなんとか逆転残留を勝ち取る勢いをつけたいところだろう。
しかしながら、湘南の試合内容は未勝利が続いているという厳しい結果を反映しているしんどさが感じ取れるものだった。基本的なコンセプトは山口ベルマーレの方向性を踏襲したもの。3バックからショートパスで繋ぎながら、相手のギャップに入り込む形を作っていき、サイドに展開することでボックス内に多くかけた状況でクロスを入れるという流れである。
新戦力もその中で存在感を発揮している。中央に鎮座するゼ・ヒカルドは左右への展開力を活かして、サイド攻撃の下準備を行うことができる。G大阪戦では得点につながる攻撃の起点となっていた。前線の二田は背後、ややサイドに流れる形でのボールの引き出しから奥行きを攻撃に作り出していく。シュートの意識も高く、相手を抜き切らない状態で打ち切っていくプレーも見られる。
だが、新戦力の存在感が増していても苦戦を強いられている。理由は上に挙げた攻撃のメカニズムが成り立つ頻度が下がっているからだろう。特に鈴木淳之介がいなくなって以降、後方からキャリーをして相手の1列目を超えて、2列目を揺さぶるというアクションができなくなっている。
先ほどゼ・ヒカルドがゴールに絡んだシーンでは舘のキャリーで相手を動かすことができていたが、別のシーンのDOGSOで退場してしまうなどイマイチ攻守が噛み合わない。この点でブレイクスルーになりそうなのは左のCBに入る機会が出てきた中野だろう。鳥栖でSBをやっていた「らしさ」を見せるように列を上げながら左サイドのポジションチェンジに変数をもたらしている。シーズン最終盤のビルドアップの機能性の命運を握るのは中野かもしれない。
ただ、そうしたトライは見えるものの、トライの狭間においてミスがとにかく出てしまう。ここ3試合のリーグ戦ではビルドアップ絡みを含めて、GKとDFの連携面での失点が山のように見られている。ゼ・ヒカルドも鹿島戦では潰されてしまい、失点につながるカウンターに直結するミスを犯してしまっている。名古屋戦では奥埜とゼ・ヒカルドの2CHを試していたが、それでもビルドアップ絡みの失点は止まらなかった。
湘南らしさを保持で見せる過程のところでミスが出て逆噴射というのが今の湘南の苦しい部分だ。それならば他の部分でリカバリーをしたいところだが、ハイプレスの強度は据え置きでなかなかパワーが出てこない。前の5枚でスライドしながら囲っていくイメージは持っているのだろうが、蹴られてしまってロングボールで粘られてしまうという状況も少なくはない。
保持での機能性の低下を補う要素がなかなか見つからない。湘南の低迷の要因は個人的にはそこにあると見ている。
とにかくプレスの整理が最優先
中2日という苦しい日程ということをおいて話をするのであれば、まず湘南を苦しめるための第一の要素はハイプレスである。バックラインにプレスをかけながら、ビルドアップのミスを誘い、そこからショートカウンターを打つのが勝利への近道。このアクションは湘南相手にできているチームも多く、得点への最短ルートと言えるだろう。
アンカーを継続するかは不明だが、ゼ・ヒカルドは前を向いた時の配球に安定感はある一方で前を向くことを独力でやることに長けている選手ではないので、彼が背中向きでボールを受ける状況を作り出すのが一番いいだろう。FC東京戦では機能しなかった前線と中盤のCHの受け渡しの練度が問われることになる。

湘南は3バック主体なのでナチュラルな立ち位置でも川崎の守備とはギャップができる状況となっている。特の3CBの脇の選手たちのアクションにSHが捕まえにいくのか、ステイして2トップにプレスを託すのかの仕組みの整理は最低限しておきたい。CBへの対応を間違えればワイドアタッカーに好きにやられてしまうFC東京戦の再来となってしまう。ここからはリーグ戦だけでなく柏相手のルヴァンカップ準決勝を意識して過ごさないといけないので、リーグで一足先に柏と当たる週末の前に湘南相手に3バック相手のプレスの整理をしておきたいところだ。

保持においては脇坂が復帰するのであれば、3人の前線を頼りつつ、能動的に相手とのズレを作って前進していきたいという多摩川クラシコのプレビューのお題目に再びトライする必要がある。ロマニッチが途中や先発からプレーにするにしても降りてボールを引き取るプレーを増やしていく意識は欲しいところ。多摩川クラシコでも40分過ぎから2回くらいそうしたプレーがうまくいく兆しはあったので、大関がいない間はそういうプレーを意識しながら前進に寄与してもらいたい。
バックラインの佐々木とウレモヴィッチの後方からの動かすアクションは強みになりうるので、中盤より先でその接続をきっちりやれるかは重要なポイントになるだろう。多分、今季の残りもそうだけども来季以降も含めての話としても重要になりそう。湘南は前プレの意識は高いけども、なかなか強度がついてこないというイメージのチームなので、矢印を折るようなビルドアップのトライを行うという点では最適な相手かなと思う。
中2日という日程的には厳しい試合であるが、ACLに出ていた時と異なり相手も同じ状況なのは救い。状況的にはおそらくベストメンバーを引っ張り続けるしかないだろうが、なんとか1試合でも長く望みを繋げる戦いを見せてもらいたいところだ。
【参考】
transfermarkt(https://www.transfermarkt.co.uk/)
soccer D.B.(https://soccer-db.net/)
Football LAB(http://www.football-lab.jp/)
Jリーグ データサイト(https://data.j-league.or.jp/SFTP01/)
FBref.com(https://fbref.com/en/)
日刊スポーツ(https://www.nikkansports.com/soccer/)