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「Catch up FIFA World Cup QATAR 2022」~2022.12.2 Group H 第3節 ガーナ×ウルグアイ ハイライト~

■割り切れば負けたって喜べる

 ウルグアイの突破要件として挙げられる最低条件は勝利。その上でポルトガルと戦う韓国よりも優れた得失点差でガーナを倒さなければいけない。自力でできることはあるけども、他会場も絡んでくるというややこしい状況である。

 高い位置からプレッシングに行く両チーム。とりわけおりていく前線の選手たちに守備陣がついていってプレッシャーをかけていく姿が印象的だった。勝利と多くの得点が欲しいウルグアイはもちろん、引き分けでも突破の目があるガーナもこのハイテンポな戦いに付き合うようになる。

 この試合の前半の特徴はこの互いのハイラインを破った先にはかなり高い確率でチャンスが待っているということである。皮切りとなったのはヌニェスの抜け出しだったが、コントロールに手間取っている間にこのチャンスを逃す。

 すると、左右にボールを動かしながら敵陣に迫ることに成功したガーナがミドルの跳ね返りにつめたクドゥスが倒されてPKを獲得。オフサイドも絡んだややこしい判定だったが、OFRの結果ガーナがPKのチャンスを得る。ポルトガル戦でも見られたOFR帰りの主審を邪魔するスアレスとPKスポット荒らしのせめぎ合いはもはやグループHのお馴染みの光景と言っていいだろう。

 ウルグアイの妨害工作に屈したか、アンドレ・アイェウはこのPKを止められてしまうことに。ガーナは先手を奪う最大のチャンスを逃してしまう。

 するとここからペースはウルグアイに傾く。右サイドに抜け出したヌニェスからファーに折り返すと、スアレスのシュート性のボールを最後はデ・アラスカエタが押し込んで先制。32カ国のうち、ここまで唯一ゴールがなかったウルグアイがついに得点を奪う。

 押し込まれてしまったガーナはやや散漫な時間を過ごしてしまう。ライン間に縦パスを通される場面が目立つなど、この時間帯はソリッドな守備を構築するのに苦しんでいた印象だ。

 そんなガーナを尻目にウルグアイは追加点をゲット。ライン間のペリストリに縦パスを通すと、思わず目を奪われるような華麗な繋ぎで追加点をゲット。再びデ・アラスカエタが豪快なボレーでネットを揺らして見せる。

 ガーナはクドゥスのライン間での収めからシュートを狙っていくが、こちらはゴールまで辿り着くことができず。さらに得点が欲しいウルグアイにあわや3点目が入りそうな前半終了間際という流れになった。

 後半、ボールを持ちながらチャンスを迎えたのはガーナ。左サイドに交代で入ったスレマナがアクセントになり、ウルグアイの陣内で攻勢を強めていく。ボール保持の意識も高めたのか、後半のガーナは低い位置にトーマスを下ろすことで前半よりもきっちりとゲームメイクし、ウルグアイの2トップを丁寧に超えるシーンが目立つようになった。

 このままいけば突破となるウルグアイは無理にプレスに出ていかず、自陣をきっちり固めていく。ガーナはそれでも危険なシュートを放つが、わずかに枠をとらえないシーンにウルグアイが救われることも多かった。

 ウルグアイはロングカウンターからバルベルデが存在感を示すなど自陣深い位置からでも得点を狙えるポテンシャルを見せつける。ただ、基本的には後半のプライオリティは自陣できっちりとゴールを固めること。バルベルデがアンカーのトーマスにマークに付けるために中盤をダイヤモンド型にするなどの工夫を施した時間もあった。

 突破の状況を維持しながら時計の針を進めるウルグアイ。そんな状況を変えたのは他会場の韓国勝ち越しの一報だ。これにより試合は一気に活性化する。ウルグアイ、ガーナ共にゴールが必要な状況は非常に前がかりな状況を生み出し、攻撃は常に保持側が数的優位な状況でカウンターを撃ち続けるという展開が続く。

 そうした中で運命を分けたのはPK判定。前半のガーナにPKを与えられた判定も含めて、この試合のPK絡みの判定はことごとくウルグアイに不利な側に流れるものになっていた。

 ただ、ウルグアイはそうした外的な要因以外に、カウンターがやや焦りすぎていたことも指摘しておきたいところ。7対4みたいなカウンター時の明らかに数的有利な状況をろくに活かすことができず、やや淡白なフィニッシュに終始したことも事実。主審に頼ることなく何かを決めるチャンスを作り出すことができなかったのは紛れもなく彼らの責任である。

 突破の可能性が絶たれたことを先に悟ったガーナが12年前の恨みからかウルグアイの敗退に歓喜するという異様な状況になったスタジアム。共に敗退となったはずのスタジアムに広がった奇妙な光景もまたW杯が紡いできた歴史ということなのだろう。

試合結果
2022.12.2
FIFA World Cup QATAR 2022
Group H 第3節
ガーナ 0-2 ウルグアイ
アル・ジャヌーブ・スタジアム
【得点者】
URU:26′ 32′ デ・アラスカエタ
主審:ダニエル・シーベルト

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