■競った展開を変えたのはセットプレー
立ち上がりからなかなか展開が安定しない時間が続いた試合だった。ボールがピッチを縦方向に行ったり来たり、どちらのチームが主導権を握った展開といえない状況で試合は進む。
その状況を誘発したのは互いのDFラインの選手たちの積極的な前に出ての守備である。前から出ていって、縦の楔を潰し続ける積極的な守備に攻め手が苦しむという構図であった。
どちらかと言えば保持が安定していたのはチリの方だろう。パラグアイの4-4-2のセットに対して、チリの4-3-3の並びはアンカーがあまりやすい。プレス隊が2枚のパラグアイに対して、3枚で後ろを組むチリは安全地帯を作りながらのビルドアップが可能な状態に。
ただ、チリはもう一歩奥に進むことができない。どうしてもやり直しに逃げてしまいがちなポゼッションで、裏を取れたとしても全体の重心を上げられずに厚みをもたらすことができる攻撃にはならず。パラグアイの後方の選手に捕まっている状況からなかなか逃れられない。
一方のパラグアイは2-2型のボックスビルドアップ。結構、最近は見ない形のような気もする。斜めの形を作るのが難しく、ショートパスでのビルドアップはチリに比べると控えめ。それよりはダイレクトな展開で右の大外から押し下げる形を狙うことが多かった。それでも相手を振り切れずに好機には至らない。
展開自体が傾かない膠着した試合を動かすのはセットプレーと相場が決まっている。先制したのはパラグアイ。CKからファーサイドにズドンで先制に成功。そのあとのCKでも同様にファーサイドにズドンをパラグアイは狙っていたので、チリのセットプレーの狙い目としていたかもしれない。チリ、最終ラインに高さはないからね。
後半のチリは5-2-3気味に布陣変更。最終ラインから中盤までアランギスの行動範囲を広げながら、ポゼッションに変化をもたらせようとする。しかし、どちらかと言えばボールを渡して、カウンターで主導権を握ったのはパラグアイ。スピード勝負ができるだけでなく、ポストで前線の起点ともなったアルミロンは幅広い活躍。追加点のPKも沈めてみせた。
競った展開をセットプレーで制し、主導権を握ったパラグアイ。ハードな展開から主導権を完全に引き寄せ、決勝トーナメント進出を決める勝利を飾った。
試合結果
チリ 0-2 パラグアイ
マネガリンチャ・スタジアム
【得点者】
PAR:33′ サムディオ, 58′ アルミロン(PK)
主審:ウィルマー・ロルダン