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「素晴らしい後味」~2026.4.7 UEFAチャンピオンズリーグ Quarter-final 1st leg スポルティング×アーセナル レビュー

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レビュー

ゆったりとした保持での探り合い

 3年連続でCLの準々決勝の舞台に辿り着いたアーセナル。対するはスポルティング。今季無敗のジョゼ・アルバラーデで自信を持ってアーセナルを迎え撃つ。

 試合はゆったりとしたポゼッションからスタート。バックラインにはプレッシャーがかからない状態で、互いの4-4-2ブロックの攻略を図る展開となる。

 アーセナルはいつも通りの動きを見せる立ち上がり。ウーデゴールの降りるアクション、カラフィオーリのインサイドへの絞りなど中央への関与を増やしながらスポルティングの守るポイントを増やしていく。

 ただ、基本的にはこのインサイドに絞るアクションは縦パスの受け手を増やすというよりも、大外へのパスコースを開くためのものというイメージ。特にボールの預けどころとなったのは右の大外のマドゥエケ。前を向いて1on1を仕掛けられるシチュエーションを作ることができれば、ここから勝負を仕掛けていく。

 マドゥエケが前を向いて進むことができればセットプレーをもぎ取ることができるアーセナル。ゴール前のわちゃわちゃとした状況にはスポルティングは手を焼きそうだったので、ひとまずマドゥエケが仕掛けられればそれでOKという感触だった。

 しかしながら、それはあくまで右サイドで仕掛けられる前提の話。マドゥエケが前を向く以外の連携はイマイチで、特に今節もホワイトの抜け出す動きが効果的に刺さるケースがなく、マドゥエケの仕掛けの怖さをチームとして増幅することができていなかった。

 保持に回ったスポルティングはこちらもゆったりと。CHが2トップ脇と間にそれぞれ立つことでポゼッションのポイントを作っていく。バックラインは左右にボールを動かしながらコースを探っていく。

 いける!と思ったところでの勝負はよりダイナミックなスポルティング。インサイドへのスアレスの縦パスも悪くはなかったが、より効いたのはLSBのアラウホのフリーランを生かした形だろう。バックドアでホワイトの背後を取ったところにディオマンデがぴたりとつけたパスからのチャンスは、前半で一番の決定機と言って差し支えない。

 ゆったりとした流れの中でも右サイドのカタモを軸とした枚数をかけた攻撃で勝負に出るスポルティング。静的な状態でもアーセナルと同じくらいには押し込みながら勝負手を探ることができていた印象だ。

機会の均等を揺さぶる駆け引き

 互いにバックラインには強引にプレスを仕掛けない展開。保持の機会が均等になりやすい状況であると、よりクリティカルな攻撃ができていたスポルティングの方がいい入りができたと言える序盤戦。

 というわけでリズムを変えたいアーセナルは15分を目処にハイプレスを敢行。高い位置からボールを捕まえにいくことで主導権を奪いにいく。この仕掛けは概ねいい方向に転がったと言っていいだろう。スアレスへのロングボール封殺もセットで行うアーセナルの守備陣により、支配的に押し込むことができるようになる。

 スポルティングはカタモがラインを下げることで5-4-1的な立ち位置にシフト。最終ラインの枚数を揃えることはもちろん、シャドーがインサイドに絞ることで枚数のかかるインサイドの受け渡しに対応しようとしていた。その分、2列目とバックラインの間は開きやすくなる。外目の位置からライスが切れ目でボールを受けて前進を狙っていく。

 押し込むことができればアーセナルとしてはスポルティングのカウンターの勢いを削ぐことができる。こうなればまずは一つ目的を達成したことになる。

 スポルティングはボールを奪ってもアーセナルの即時奪回に阻まれてしまう。保持でリズムを掴むにはまずはカウンターを打つこと。そこからアーセナルのネガトラを引き出し、ゆったりとした保持に移行していく。バックドア、そしてスアレスへの縦パスに繋げていく形だ。

 序盤の保持合戦から試合の局面が変わった感がある。保持の機会の均等という構造を変えにきたアーセナルに対して、スポルティングが保持の機会を奪い返す構図へ。

 どちらかといえばこの局面でも優位となったのはスポルティング。アーセナルの保持はハーフスペース背後へのパスが雑になる一方で、スポルティングはフレスネダやシモンエスへの縦パスからライン間で前を向く機会を作っていく。さらに前から捕まえにいく姿勢も見せるが、ライスがキャリーでひっくり返すなどアーセナルも対抗。

 展開は細かく揺らぎながらもクリティカルなチャンスはなし。アーセナルのセットプレーの混沌と、スポルティングのアラウホの裏抜け以降は得点の気配は薄いままハーフタイムを迎える。

ミスマッチなマルティネッリへのカバー

 後半の立ち上がりはスポルティングのサイドアタックからスタート。対するアーセナルはポゼッションでゆったりと。前半よりも縦パスを意識的に増やし、インサイドの活用を強めていく。カラフィオーリ、ライス、ウーデゴールなどが存在感を見せる一方で、もう少しスビメンディは顔を出してほしいところだった。

 ライン間の管理は前半よりも怪しいスポルティング。ライスのキャリー、トロサールの横断などからアーセナルは縦横無尽に押し込むことができるように。

 しかしながら、サイドアタックの出口の仕上がりの甘さは後半も同じ。右サイドの仕上げは低調のまま。アラウホのハードなマークに苦しむマドゥエケは、チャンス創出に苦労する展開となる。

 後半はファストブレイクに専念するスポルティング。アーセナルのCKのカウンターなどからチャンスを作っていく。

 しかし、先に得点に手をかけたのはアーセナル。ギョケレシュのポストからスビメンディのミドルでネットを揺らす。だが、このゴールはギョケレシュがオフサイド。貴重な先制のチャンスを逃す。

 だが、このシーンを起点にギアアップしたアーセナル。スポルティングのブロックが整う前に攻撃を仕上げることでゴールに迫っていく。前からの制限がかからなくなるスポルティングは、その分後方のブロックを埋めることに専念。ハーフスペースに入ってくるホワイトを捕まえるCHなど、後ろ重心で対応していく。

 重たく構える形の代わりに、アーセナルのサイドの旋回では決壊しない。スポルティングはこれを維持したことでCB1枚分のボックス内対応が常に間に合う形となった。

 2列目を入れ替えることでさらに攻勢をかけるアーセナル。ダウマンとマルティネッリという新たな軸から攻撃の形を作っていく。

 だが、先にチャンスを迎えたのはスポルティング。右サイドからカタモのカットインシュートのこぼれ球を詰めたスアレスの決定機が、この試合最大のチャンス。しかし、これはラヤのセーブに阻まれる。

 ピンチを凌いだアーセナルはマルティネッリのカットインからのクロスで先制。抜け出したハヴァーツが氷のような落ち着きで決定機を沈める。

 スポルティングからすれば、マルティネッリのカットインに対してブラガンサが出ていったのはやり過ぎだった印象。あの間合いであれば間に合うわけはなく、ハヴァーツのマークを捨てるほどではない。後ろ重心で守ることを大事にする後半の守備プラントもミスマッチ。守田に任せても問題はなかったはずだ。いずれにしても、マルティネッリが2枚を剥がしたことで生みだしたギャップに対する判断が呼び込んだゴールだったと言える。

 貴重なゴールを決めたアーセナル。2nd legに大きなアドバンテージを生み出すことに成功した。

ひとこと

 負けないスタイルの強みを押し付けたアーセナル。結末次第では全く違う後味になる内容の中で素晴らしい後味を手に入れた。結局のところ、圧倒的な強さを見せるというよりは目の前の敵に必死で食らいついて価値をもぎ取るのが今のアーセナルらしい。連戦が続けども踏ん張りの効くネガトラの速さという地味な旗印をもとに、これからも簡単に負けない試合を積み重ねていきたい。

試合結果

2026.4.7
UEFAチャンピオンズリーグ
Quarter final 1st leg
スポルティング 0-1 アーセナル
エスタディオ・ジョゼ・アルバラーデ
【得点者】
ARS:90+1′ ハヴァーツ
主審:ダニエル・シーベルト

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