■快勝のブラジルで気になったのは…
もともと開催予定だったアルゼンチンが感染拡大を防げずに開催を辞退。直前まで開催地が決まらずてんやわんやという、コパアメリカ史上、最もコパアメリカ的な開幕を迎えることになった。急遽代替開催地となったブラジルにこの大会の開催国としてどれだけの思い入れがあるかは不明。だけども、とりあえず開催国であるブラジルがベネズエラとの開幕戦に挑むことになった。
試合は立ち上がりからくっきりしていた。ブラジルがベネズエラのブロック崩しに挑み続けるモノトーンな前半となった。ブラジルの基本フォーメーションは4-2-3-1。攻撃の際はフレッジとカゼミーロが中盤でコンビを組み、2列目が左からネイマール、パケタ、リシャルリソンという並びになっている。守備の時はネイマールがトップのジェズスと共に前残り。左サイドの守備にはフレッジが持ち前の範囲の広さでカバー。その分、中央はパケタが低い位置を取り、中央の強度低下を防いでいる。
ブラジルの攻撃時の主体となったのは左サイド。ネイマールが同サイドにいてもお構いなしで高い位置を取るロディが、ベネズエラの5-4-1のバックラインに張る。ベネズエラはCHがCFのプレスを支援する二の矢となっていたため、SHは内で絞り気味。大外は手薄な状態でブラジルに立ち向かう必要があった。
この左サイドからの攻撃は自由自在。外からクロスで打ち抜いても良し、抉ってラインを下げてベネズエラのDF-MFのライン間のスペースを作るも良し、そして左右に振るも良しである。大外からのクロスをマルキーニョスが叩きこんであっさり先制すると、ブラジルはその後も力の差を見せ続けた。
特にネイマールはクラブシーンでの好調を継続。大外での攻略だけでなくライン間や逆サイドへの横断も含めて存在感は絶大。ベネズエラはブラジルの左サイドを端に発する歪みに対応することができなかった。後半はややポゼッションで跳ね返しを狙うも、カウンターで返り討ちに合う分収支はマイナスか。
好調だったブラジルだったが唯一懸念だったのはリシャルリソン。動き出しの周りとの合わなさ、アタッキングサードでの精度、そしてなによりプレーをミスした後の悲壮感はエバートンで苦しんだ今季の姿にダブる部分があった。来季こそ一皮むけて、グッドプレイヤーからワールドクラスにスケールアップを目指したいはず。コパアメリカがきっかけになればいいのだが。
試合結果
ブラジル 3-0 ベネズエラ
マネガリンチャ・スタジアム
【得点者】
BRA:23′ マルキーニョス, 64′(PK) ネイマール, 89′ ガブリエル・バルボサ
主審:エステバン・オストジッチ