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「EURO2020ハイライト」~Quarter-final ウクライナ×イングランド~ 2021.7.3

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■早過ぎたシステム変更の代償

 打ち合い上等、今大会屈指のヒットメーカーのウクライナと日本の欧州サッカーファンの寝落ち製造機と化しているイングランドのほこたて対決である。

 ウクライナのフォーメーションは5-3-2。前線の並びはここまでサイド起用が多かったヤルモレンコが最前線に張り、ヤレムチュクとの2トップを形成する。マリノフスキーが急遽欠場という影響もあったのかもしれないが、少しこれまでとは異なる風情の前線の構成になった。ちなみにジンチェンコはこの日はIHの一角。内側での起用となった。

 これに対してイングランドはWBの手前のスペースを使い、相手をきっちりと押し下げる。安全にボールを運ぶことができる、相手を敵陣に押し込むことができるという部分ではOK。ただ、ギャップを作るところが不十分。そこを早々に補ったのはスターリング。サイドでボールを受けると横移動でパスコースを創出。ザバルニーがずれた分、スターリングはケインへのラストパスをつけることができるように。これが先制点につながる。

 先制点後も自陣に釘付けになり苦しむウクライナ。サイドに流れるヤルモレンコがボールを引き出そうとするも、トップから流れる分、エリア内に人を送り込めずにフィニッシュの圧力が出てこない。

 加えて、最終ラインに負傷者が出てしまったウクライナ。しかし、これをシェフチェンコは逆手に取る。4-3-3気味に移行して、狙いとしたのはイングランドの右サイド。フィリップスのスペース周辺にヤレムチュクが降りるポストの動きやジンチェンコの外への流れをトリガーとした大外とのレーン交換で反撃。同サイドから深さを取り、PA内にマイナスのクロスを送る。

 これをしのいで前半を無失点で終えたイングランド。後半はウクライナの3センターを逆手に取り、左のアンカー脇から入り込む。ハーフスペースに位置どったケインがファウルを得ると、ここからのFKで追加点。

 さらには同サイドの攻略で決定的な3点目。スターリングを追い込すショウという動きでウクライナを完全攻略。ウクライナはWGが戻らないというコンセプトのツケを払う形での失点を喫してしまっている。ここからはヘンダーソンを投入し、試合をきっちり握るイングランドに死角はなかった。

 4-3-3への変更は効いていただけに悔やまれるウクライナ。だが、ハーフタイムを挟めば、当然対策されてしまうだろう。負傷者の関係もあるかもしれないが、イングランド対策として用意されていた4-3-3を引っ張り出すタイミングが早すぎたせいで、イングランドに悠々と試合を隙を与えてしまった印象だ。

試合結果
ウクライナ 0-4 イングランド
スタディオ・オリンピコ
【得点者】
ENG:4′ 50′ ケイン, 46′ マグワイア, 63′ ヘンダーソン
主審:フェリックス・ブリヒ

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