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「Catch up UEFA Champions League」~2022.4.12 UEFAチャンピオンズリーグ Quarter-final 2nd leg バイエルン×ビジャレアル

■強者への対抗手段と交代策をドッキングさせた決勝点

1st leg

 自分がこの試合をみたのは、リアルタイムではなくその日の夜のことだった。試合を見終わって初めに抱いた感想は事前にTLから想像していた内容とは違うなというものだった。

 確かに攻撃の機会が多かったのはバイエルンだった。右サイドの外に張り出すサネを軸に攻撃を組み立てていく。ニアにはミュラーが裏に抜ける動きを見せたり、ファーではコマンのような左サイドの選手がエリア内に入ってくることでクロスに合わせようとしていた。

 だけども、サネからのクロスの精度はイマイチ。バイエルンの攻撃の中心となったこの手段がどこまで効果的だったかは測りかねるところ。クロスの精度がそこまで精密ではないのが攻撃が刺さり切らない理由の1つだろう。それ以外の要素としては空中戦での勝利が最も期待できるレバンドフスキをあまりクロスのターゲットにしていなかったなということ。あくまでレバンドフスキは折り返しを沈める役割という位置づけだったのかもしれないが、アバウトさが少し残るクロスだったので、彼がターゲット役を買って出てもいいと思った。

 もう1つ挙げるとしたら同サイドのSHであるコクランがあまりサネに飛び込む様子を見せなかったこと。つまり、ビジャレアルのブロックを動かさないままクロスを上げていたことである。相手次第の話ではあるが、サネがピンポイントでクロスを上げられないのならば、無理に飛び込んで切り返されるリスクの方が高いと判断してもおかしくない。徹底的に4-4-2で後ろに重たいビジャレアルはまずは跳ね返しに注力した印象だった。

 押してはいるけど、うまくはいかない。押し込んでいるのならば本来はそこまで悪くはないはず。だけども、バイエルンがそれ以上にうまくいかなかったのは非保持の振る舞いである。

3-2-3-2のような形で前からプレスに行くバイエルン。おそらく2CBにプレスを前からかけたいという意志なのだろうが、まずこれがハマらない。なぜならばビジャレアルはバックラインが広く横幅を取る上に、一列前の受け手をたくさん準備していたから。

広く開いたCBから一度SBをかませればバイエルンの2列目のプレスは横に広がる。そうすればパレホやキャプエなど中盤の選手が空く。ロ・チェルソやコクランといったSHもいざとなったら絞って中央で受け手をやっていた。バイエルンの問題点は一度大外を噛まされるとプレスが外に広がってしまい、ビジャレアルが最もつなぎたい中央のコースを空けてしまうことである。

攻撃の際には敵陣に多くの人数を送り込むことが出来ているバイエルン。本来ならば、プレッシングには非常に有利な状況を作れているはずなのだが、そこでビジャレアルにことごとく抜けられているのは興味深かった。この局面の優劣を見ると『試合が終始バイエルンペースだった』とは個人的には思わない。

 ビジャレアルは非常に巧みだった。盤面的な降りてくる動きに関しても非常にスムーズだった。また、相手からボールを隠すのがうまく、バイエルンのプレス隊が無理やり取りに来た時のいなし方も巧みであった。41分のダンジュマの抜け出しまで待たなくてはいけなかったが、ビジャレアルの保持は非常に見どころが多かった。

 後半になったようやく先制したのはバイエルン。ミュラー→レヴァンドフスキと2人続けて縦パスがつながるという、この試合でほぼみなかったようなシーンを作り出すのに成功し、先制点をゲット。トータルスコアでタイに追いつく。ブロックの外で回されるのはOK。ただし、中に付けられてはダメ!というプランを貫いてきたビジャレアルにとっては、もっとも許してはいけない形で追いつかれてしまった。

 以降も圧力を強めるバイエルン。個々でのデュエル色が強く、質の部分で勝負を決めようと一気に仕掛けてくる。ビジャレアルはやたらオフサイドトラップを仕掛けようとする(エメリのチームでは結構みかけるように思う)のだが、これを破って人数をかけて抜け出す形を作ったりなど、危険な形でゴールに迫っていた。

 だが、これをひっくり返したビジャレアル。88分に一歩前に抜け出す値千金のゴールを決める。ビジャレアルの前半の攻撃の問題点は縦へのスピード不足だったのだが、それを途中交代のチュクウェゼがうまく補った形。チュクウェゼに渡る前のパレホ→ロチェルソの縦パスはいかにもこの日のビジャレアル!という感じであり、交代で強化した部分と前半のいいところをドッキングさせたような素敵なゴールだった。

 最後まで力技にこだわったバイエルンだったが力は及ばす。押されながらも保持で持ち味を見せ続けたビジャレアルがバイエルンを退け、16年ぶりの準決勝に駒を進めた。

試合結果
2022.4.12
UEFAチャンピオンズリーグ
Quarter-final 2nd leg
バイエルン 1-1 ビジャレアル
フースバル・アレナ・ミュンヘン
【得点者】
BAY:52′ レヴァンドフスキ
VIL:88′ チュクウェゼ
主審:スラヴコ・ビンチッチ

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