■良化の兆しはあるが結果は出ず
共にプレーオフ進出の目もなくなってしまい、第10節は完全な消化試合になってしまった両チームの対戦。互いに高い位置からのプレッシングを行っており、試合のテンポはあまり落ち着かない中での試合となった。
意外だったのはどちらかといえば保持の時間が長かったのは中国の方だということ。これまでは5バックは割と専制守備の要素が大きかったが、この試合においては3枚のバックラインを軸にオマーンの2トップをプレスで振り回していた。
数的優位を活用しつつ、ワイドのCBから持ち上がり、相手を同サイドに寄せたところで逆サイドのWBにボールを届けるという中国の保持の流れは非常にスムーズ。中央に人が多いことを活用しながら、同サイドに圧縮をかけるやり方を得意とするオマーンのプレッシングを空振りさせるポゼッションで敵陣に迫っていた。
これにより、オマーンの前線3枚は綺麗に置いてけぼりになる形に。4-3ブロックを押し下げてファイナルサードに迫るところまでは中国は出来ていた。
一方のオマーンは中国へのプレスに苦しんでいた。中国のプレスは前線のチャンのプレスに両WGのどちらかが追従したところでスイッチが入る。オマーンは余裕がなくなりマイナスのパスを出したところを中国のプレス隊が追いかけることでボールロストを誘発させられていた。中国はプレスが決まった後、ショートパスを挟むせいでなかなかカウンターに行けていなかったのだけど、ボールのロストの仕方自体は結構危険だった。
そのため、オマーンの前進の手段は前線へのロングボール一発。そこからタメを作りながら攻め上がりを待って、一気に相手を押し下げる形である。
戦い方としてスマートなのは中国の方なのだけど、点が入るのはオマーンなのだからおもしろい。アルハジリとのパス交換で前に出たアラウィが先制点を挙げる。その後も、中国の保持に押し込まれつつサイドの裏に流れる前線のタメを活用する形で効率的に反撃するオマーンだった。
後半もこの構図は変わらない。中国は押し込むことまでは出来てはいたし、オマーンは一発のカウンターで反撃を狙う。中国で物足りなかったところはWGの突破力だろうか。オマーンのサイドのフォローが早かったこともあるが、ドリブルでここが一枚抜けるのならば戦い方は全然違ったように思う。が、それができないからこそ、中国はどこか決め手に欠ける攻撃になってしまっていた。
そんな中国を尻目にオマーンは追加点。中国が強引に中央をこじ開けようとする縦パスを入れたところをオマーンがカットし、そのまま2点目をゲットした。
その後も決め手に欠ける状況は変わらない中国。ポゼッション良化の兆しは見えたが、最後までゴールに迫る術を見つけることができず、最終戦を黒星で終えることになった。
試合結果
2022.3.29
カタールW杯アジア最終予選 第10節
オマーン 2-0 中国
スルタン・カーブース・スポーツコンプレックス
【得点者】
OMA:12′ アラウィ, 74′ ファワズ
主審:コ・ヒョンジン