Fixture
プレミアリーグ 第19節
2023.1.3
アーセナル(1位/14勝1分1敗/勝ち点43/得点40 失点14)
×
ニューカッスル(3位/9勝7分1敗/勝ち点/得点32 失点11)
@エミレーツ・スタジアム
戦績
過去の対戦成績
過去5年の対戦でアーセナルの9勝、ニューカッスルの2勝。
アーセナルホームでの対戦成績
過去10戦でアーセナルの10勝。
Head-to-head from BBC sport
https://www.bbc.com/sport/football/64099600
- アーセナルは直近11試合のホームの公式戦のニューカッスル戦で全勝。
- ニューカッスルは5月のこのカードでホームで勝利しており、1990年以来初めてのアーセナル戦連勝を狙う。
- アーセナルはユナイテッドのトッテナム戦と並び、同一相手へのプレミアでのクリーンシート数29というリーグタイ記録構築の可能性がある。
スカッド情報
Arsenal
- エミール・スミス・ロウは4ヶ月の離脱を経て鼠蹊部の負傷から復帰予定。
- ブカヨ・サカとウィリアム・サリバはあと1枚の警告で累積による出場停止が課される。
Newcastle
- マット・ターゲットはかかどの負傷で離脱。
- アレクサンドル・イサク、ジョルジョ・シェルビー、エミル・クラフト、ポール・ダメットは引き続き欠場だが、マンチェスター・ユナイテッドのレンタル打ち切りにより、マルティン・ドゥブラフカはレンタル先から復帰。
Match facts from BBC sport
Arsenal
https://www.bbc.com/sport/football/64099600
- 昨季から続くホームでのリーグ戦10連勝のチャンス。
- 開幕16試合で14勝しており、これを達成したチームはいずれも優勝を決めている。
- 開幕16試合で勝ち点43以上を奪った5つ目のチーム。
- マーティン・ウーデゴールは13試合の直近のリーグ戦の出場で12ゴールに関与(7G5A)
- エディ・エンケティアはホームでの先発したリーグ戦では4連勝中。直近11試合のホームでの公式戦においては11得点を決めている。
Newcastle
https://www.bbc.com/sport/football/64099600
- 大晦日のリーズ戦のドローでリーグ戦6連勝はストップ。しかし、無敗記録は8月のリバプール戦以降続いている。
- 14試合の負けなしは2011年以降で最もいい数字。
- 失点はリーグ最少、最多の9クリーンシートであり守備のスタッツはリーグベスト
- 10月にトッテナムをアウェイで下したため、勝てば01-02以来のノースロンドンの2チームの本拠地を制圧するチャンス。
- 2018年のストーク戦を除き、直近10試合でその年の1試合目は勝てていない(D2,L7)
- エディ・ハウはプレミアでのアウェイでのアーセナル戦は6戦全敗で、その間のトータルスコアは2-16。
予想スタメン
参考記事
第17節 レスター戦
第18節 リーズ戦
今季のニューカッスル
展望
万能型のチームへの肉付け
昨シーズン、CL出場の最終関門としてアーセナルに立ちはだかったニューカッスル。セント・ジェームズ・パークで3ポイントが掴むことができていれば、今季CLに出場していたのはアーセナルだった。アーセナルにとっては因縁のある相手である。
あれから半年以上が経過し、プレミアリーグにおける両チームの立ち位置はだいぶ変わってきた。アーセナルは7ポイント差で優勝争いをリードしており、ニューカッスルはプレミアにおいて今季最大の台風の目となってCL出場権獲得順位をキープしている。もはや、どちらのチームもアウトサイダーではなく、どのチームにとっても対戦するのが嫌な相手になったと言えるだろう。立場が変わった両チームによる一戦だ。
ニューカッスルの強さの理由は着実な補強方針である。ビックマネーを手にして一躍買い手に回った感があるが、ここまでの補強戦略は順調そのもの。マネーゲームによる争奪戦が予想されるタレントに飛びつくことはせず、戦力に組み込める実力者をきっちりリクルートしてチームを着実に強化している。
まずは後ろから固める!というスタンスも含めて、補強の方針は当初のPSGのような感じがある。補強ターゲットはプレミア経験者の中堅どころと他リーグの有望株に絞っている感じがある。前者の代表格はウッド、トリッピアー、バーン、ポープ。後者の代表格はギマランイス、ボッドマン、イサクである。
補強と既存戦略の融合も非常にうまくいっている。強固なセンターラインはその象徴だろう。ギマランイス、ボットマンという新戦力の中での大成功例に触発されるように、ジョエリントンやシェアは選手としてのステージを一段階上げた感がある。特にジョエリントンはアタッカーらしいエリア内の飛び込みをそのままに、自陣低い位置まできっちりとスペースを埋める献身性が持ち味。リーグ屈指のオールラウンダーとして成長した。
このジョエリントンに象徴されるように、今のニューカッスルは非常に万能で苦手な局面が少ない。フォーメーションこそ4-3-3でバリエーションが豊富とは言えないが、完成度は高くあらゆる局面に対応できる。
万能型のチームにとってぶち当たる壁になりやすいのがボール保持の局面である。相手にボールを渡されて手詰まりになるというのはあるあるである。しかし、ニューカッスルにはそれに対する解決策がいくつかある。
まず、1つ目はアルミロン。右の大外のワイドから味方の連携を使いながらインサイドに侵入していく形を作っていく。フィニッシュまでの凄みは、明らかに昨シーズンまでのアルミロンにはなかったもの。WGとしての総合力は今であればリーグトップ5に入っても不思議ではない。アーセナルファンならば、WGが有している質的有利の重要さは身に染みているはずだ。
2つ目はバックラインからのロングボール。特にシェアは様々なボールを蹴ることができる。ロリスの無謀な飛び出しを誘ったトッテナム戦のフィードなどは、転がる過程で減速したことでロリスを惑わせることに成功する。ボールを持たせてくる相手は大体CBにプレッシャーをかけるのを諦める節があるが、シェアのような選手がいるとCBを放置してOKにはならないのが厄介である。
そして最後はセットプレー。キッカーとして優秀なのはトリッピアー。直接FKを決めることができる優秀なキッカーの存在は均衡した展開を動かす力を持っている。このようにニューカッスルは骨組みとなる万能性を強化するための打開材料を多く有しているチームだ。
アップテンポなら隙が生まれる可能性も
上で見てきたように基本的にニューカッスルは弱点の少ない好チームである。攻守にハイレベルで、今の順位に嘘がないパフォーマンスを行なっていると言えるだろう。
CFがウッドであればボックス内の得点力には難があるが、ウィルソンがいれば万全でお釣りが来るくらい。地味にアーセナルキラーであるウィルソンがスターターであればニューカッスルとしてはさらに心強いことになる。
先に挙げたニューカッスルのポイントのうち、最も気をつけたいのはシェアから飛び出されてくるロングフィードである。左右にボールを動かしてくるのはもちろんだが、ロングボールで前線に裏をつかせる形が怖い。ウェストハム戦、ブライトン戦とロングボールでの対応処理からのミスで立て続けに失点してしまっているアーセナル。特にパフォーマンスが落ちているのか、ミスが多いサリバには慎重な対応が求められる。コンディションをきっちり取り戻し、3ポイントの立役者になってほしい。
バックラインにプレスをかけていく形は増やしたいアーセナルだが、ペースアップをしすぎるとベンチメンバーの不在がアキレス腱になりかねないというジレンマに陥る可能性もある。逆にニューカッスルの陣容はこうした部分はアーセナルよりは少ない。ニューカッスルのベンチにはアタッカーもいるし、途中交代でスイッチを入れるジョーカーもいる。アーセナルは90分の出力をコントロールしながら試合を進める必要がある。
保持ではアーセナルが狙える部分がある。ニューカッスルのIHの背後のスペースである。2節前のレスター戦においてはプレスがイケイケになりすぎてしまったこともあり、ライン間のスペースへの侵入を大いに許してしまっていた。アーセナルからすると、ブライトン戦のウーデゴールのポジショニングなんかはこうしたスペースをつくのに有効。狙っていきたいところである。
ニューカッスルは基本的には試合の流れを堅実に進めることができるチームだが、アップテンポになればほだされて、相手に付き合うことも多い。試合の展開がそちらに向いていれば、IHが高い位置をプレスの際に取ってしまい、ゴールに迫る形を作ることができる。
どちらかといえば戦況はタフで主導権を握り返すのに苦労するブライトン戦に近い戦いになるだろう。立場が互いに変わった因縁の一戦を制し、年末年始の連戦を全勝で終えたい。