後半頭のギアチェンジは乗っかる側の勝利
共に4-2-3-1のフォーメーションでスタートしたが、立ち上がりからボールを持っていたのはウルブスの方だった。バックラインが深さと横幅を取りながら、中盤が降りる動きを見せて3バック的にシフト。後方の数的優位を確保することでポゼッションを安定する形で動き出していく。
実際、このボーンマスのこの選択によりウルブスのボール保持は安定した。降りていったCHから両サイドの高い位置の大外にボールを蹴り込む形で安全かつ正確にボールを届けてみせた。
ボーンマスはここ数試合は保持でも非保持でも尖ったトライをしてきたチームではあるが、この試合では比較的オーソドックスな形に終始した印象だ。シンプルな4-4-2でウルブスのバックラインに対しても深追いをしない。ウルブスにボールを持たれることを全面的に許容していた。
その分、ボールを持って攻める機会を確保するのに苦労したボーンマス。ゆったりとボールを持って攻撃することができない。相手の保持に対してスペースを与えない代わりにこの部分はトレードオフになっていた。
敵陣に入り込む機会を許された形となったウルブスだが、この日は決め手となるサイド攻撃があまりお目にかかれないものに。前節のサウサンプトン戦で違いを作ったトラオレは、この日はサイドの打開にほとんど貢献できず。ボールの預けるところとしてはそれなりに信頼が合ったようにも見えたが、インサイドに入り込む形からゴールに迫るパターンをなかなか生み出すことができない。
ボールを持っているボーンマスもボールを持っていないウルブスもチャンスを構築できない時間が続いた前半の45分。試合は後半に持ち越される。
序盤、仕掛けたのはウルブス。ハイプレスを前半よりも積極的に行うことでテンポを掴みに行く。だが、ボーンマスはこのウルブスのペースアップについていく戦い方を選択。彼らもプレスをやり返し、リズムを上げて試合についていく。
後半頭のテンポアップの応酬で利を得たのはボーンマスだった。移動式ポストマシンのソランケを使い、インサイドに入ってきたタヴァニアが決めてゴールを奪い取ってみせた。
これでボーンマスは再び大人しく守る姿勢を強調するプランを採用するようになる。ウルブスは再びボールを持たせてもらうが、サイドのアタッカーからの打開策をなかなか見ることができない。結局はトラオレをはじめとするサイドアタッカー陣がクリティカルな攻め手を見せることが出来ず、ウルブスはチャンスメイクができない苦しみを味わうことになった。
一方のボーンマスはバックラインが堅実。セネシはPA内をプロテクトする役割をきっちりこなし、ネトが守るGKの手前をプロテクト。PAの門番的な役割を果たして見せた。
中盤より前のプレスも単発ではあるが悪くはない。ボーンマスはウルブスがスピードアップをしようする少し手前で的確な潰しでピンチを未然に防ぐことに成功する。人員を入れ替えながら攻撃の厚みを出そうと狙うウルブスだったが、前半も効いていないクロスに終始するだけでなかなかチャンスには迫ることが出来なかった。
試合はボーンマスの勝利のまま終了。後半のギアチェンジをきっかけに貴重な勝ち点3挙げることに成功し、したたかに逃げ切って見せた。
ひとこと
後半頭のワンチャンスで取り切るボーンマスのしたたかさが際立った試合だった。どちらに転んでもおかしくないなか中で重要な時間で勝利を掴んで見せた。これで普段やっているよな形でも躍動感が増える好循環になればいいのだけど。
試合結果
2023.2.18
プレミアリーグ 第24節
ウォルバーハンプトン 0-1 ボーンマス
モリニュー・スタジアム
【得点者】
BOU:49‘ タヴァニア
主審:マイケル・サリスバリー