■文字通りの『ボーナスステージ』
第9節の対戦カードは上位対決が目白押しである。トップ7のチームのうち、6チームが直接対決の潰し合いをするという大変見応えのある週末になっている。そのトップ7のうち、唯一、今週潰し合いを回避しているのがチェルシー。開幕戦から厳しい日程を続けたチェルシーは皆が潰し合いをやっているのを横目に最下位のノリッジとの対戦。側から見ればボーナスステージである。
しかし、そういう時にこそ落とし穴があるのがプレミアリーグ!そんなことを思えたのは8分間だけ。マウントがDFの股を抜くスーパーシュートを決めるまでの話だった。ルカク、ヴェルナーとCF色の強い選手が軒並み不在というわずかな不安要素を簡単に吹き飛ばす先制点であった。
ノリッジはサイドでの守備をCB、WB、IHで囲んだり、カウンターの際はWBのギアンヌリスも高い位置まで出ていったり、カバクが持ち上がったりなど一応工夫はしていなくはなかった。だけども、とにかくマークがルーズ。ハドソン=オドイは少し低い位置まで降りてしまえば簡単に反転して前を向けるし、前を向いたハドソン=オドイを止められる選手はノリッジにはいない。
同じく、チェルシー対策として一般的なコバチッチとジョルジーニョに人を当てるというところをIHの2人がやってはいたが、ここもマークが甘く簡単にボールを前に運ばせる。ノリッジは一度ラインを下げてしまうと、相手がバックパスをした際にもう一度ラインを上げ直す習慣があまりなく、ボールを縦に往復させるだけでチェルシーの両CHは簡単にフリーになることができる。
チェルシーはサイドからラインを押し下げる形でノリッジの陣内に攻め込んでいく。この日効いていたのはそこから直接狙ったシュート。チルウェル、ジェームズの大外からのシュートがともに決まるなど、大外からの攻め込みがいかに深い位置まで入り込めているがよくわかる場面だった。
試合としてはほぼ前半で終了。CL後のチェルシーはテンションを下げてはいたが、ノリッジがギブソンの退場で10人になると、最後にもう一度得点を重ねにいく。VARの助言に加えて、PKの蹴り直しというお膳立てまでもらったマウントは後半追加タイムにハットトリックを達成することができた。
上位対決の間に、チェルシーは文字通りのボーナスステージを堪能。マウントのハットトリックという副賞までつけてもらい、90分間のフットボールを楽しんでプレーした。
試合結果
2021.10.23
プレミアリーグ 第9節
チェルシー 7-0 ノリッジ
スタンフォード・ブリッジ
【得点者】
CHE:8′ 85′(PK), 90+1′ マウント, 18′ ハドソン=オドイ, 42′ ジェームズ, 57′ チルウェル, 62′ アーロンズ(OG)
主審:アンディ・マドレー