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「Catch up Premier League」~Match week 38~ 2023.5.28

目次

アストンビラ【7位】×ブライトン【6位】

ファストブレイクで逃げ切り、いざ欧州へ

 共に監督交代から上位に躍進した両チーム。ブライトンはすでにEL行きを決めているし、アストンビラは勝てば他会場の結果関係なくECLの舞台に挑むことができる。欧州マイスターの指揮官と一緒に最後1枚の欧州への切符を手にしたいところだ。

 共に4-4-2での高い強度となった一戦。アストンビラはGKを積極的に使うビルドアップで自陣に相手のプレスを引き込みつつ、長いボールで逃げていく。ブライトンはこの土俵にはあっさりと乗ってきてガチンコ勝負に挑んでいく。アストンビラも高い位置からプレスに行ったため立ち上がりから攻守の切り替えが目まぐるしい展開になった。

 保持側は積極的にロングボールを活用。ビラはワトキンス、ブライトンはウンダフとファーガソンの2人を目がけて長いボールを放り込む。

 先制したのはビラ。セカンドボールを回収してからのファストブレイクで先手を奪う。左のラムジーから攻めあがったルイスがゲット。ブライトンはエンシソとアヤリの連携が取れずに中央のスペースを開けた状態でミドルを許してしまった。

 ブライトンも長いボールからチャンスは得ることができていた。とにかく背負うウンダフと表裏の駆け引きから勝負ができるファーガソンは三笘とマーチがいない分、チャンスメイクに終始する。

 ウンダフはネットを揺らして同点ゴールを手にすることができたかと思いきや、これはエンシソがオフサイド。ゴールは認められない。

 ビラは先制点以降もプレッシャーをかけてはいたが、ブライトンのプレス耐性が上回り空転する時間が続く。だが、1つのミスからビラは追加点をゲット。おりてボールを受けるマック=アリスターを咎めるところからカウンターを発動。ワトキンスのゴールで2点のリードを奪う。

 その後、ブライトンは1点を返す。再三ボールを入れてもらっていたウンダフが今度こそゴールをゲット。試行回数でなんとかこじ開けて1点差でハーフタイムを迎える。

 後半、試合は前半よりは攻守の切り替えが少ない展開に。ブライトンは左右の幅を使いながら前半にはあまり見られなかったエストゥピニャンの攻撃参加も見られるようになった。

 一方のビラはファストブレイクからラムジーの決定機を迎えるなど非保持からチャンスにつなげていく。ハイプレス×ファウル奪取でセットプレーからチャンスを迎える。敵陣に迫る機会はそこまで少なくはなかった。

 ブライトンは終盤に三笘を投入すると、攻勢に出ることができるように。強気なビラのハイラインの背後をつく選択肢が増えたことで終盤は押し込んでいく。

 しかし、ゴールを奪うところまでは至らなかったブライトン。ビラがリードを守っての逃げ切りに成功し、勝利でECLの出場権を確保した。

ひとこと

 三笘、ゲームチェンジャーすぎてさすがやで。

試合結果

2023.5.28
プレミアリーグ 第38節
アストンビラ 1-2 ブライトン
ビラ・パーク
【得点者】
AVL:8‘ ルイス, 26’ ワトキンス
BHA:38‘ ウンダフ
主審:デビッド・クート

エバートン【17位】×ボーンマス【15位】

重い空気を打ち破るドゥクレの一振りで滑り込みの残留

 勝てば他会場関係なく残留が決まるグディソン・パーク。エバートンはホームにボーンマスを迎えて、運命の一戦に臨むこととなった。

 立ち上がりは慎重だったエバートン。トップのグレイ一人がプレスをかけていく構造でボーンマスのボール保持を許容。ボーンマスは左右に振りながらボールをインサイドにつけるなど、ポゼッションからシンプルにエバートンの陣形を揺さぶるアクションを見せていく。

 パスワークも対角を使いながら幅広く。エバートンはボールの取りどころを見つけられずに押し込まれる苦しいスタートとなる。

 しかし、セットプレーをきっかけにエバートンは徐々に高い位置からボーンマスを捕まえに行く。敵陣に多く人数をかけることができて、SBのマクニールがボールを上げることができればペースはエバートンのもの。エリア内にボールを入れる機会を増やしていく。

 だが、ここで会場の空気が一変。他会場でレスターが先制したとの一報が入る。これを受けてボーンマスは高い位置からのプレスで反撃に打って出る。右サイドを軸に崩しの機会を増やしたボーンマスはソランケが決定機を迎えるがこれはピックフォードがセーブする。

 返す刀でエバートンはガーナーが決定機。こちらもトラヴァースがセーブしてノーゴール。前半終了間際に手に汗を握る攻防が見られることとなった。

 後半頭は前半の始まりの焼き直しのような展開。ボール保持でスタートしたのはボーンマスの方だった。

 だが、先に決定機を迎えたのはエバートン。グレイのチャンスだったがまたしても立ちはだかったのはトラヴァース。相手のGKが乗りつつある現状はエバートンにとって嫌な雰囲気の漂うものだった。

 その雰囲気を打ち破ったのはドゥクレ。素晴らしいミドルにトラヴァースは一歩も動くことができず。均衡を破る大きなゴールがエバートンに入る。

 これ以降はイウォビにボールを預けて落ち着かせつつ、ロングボールを軸にボールを捨てていくエバートン。ファウルごとに相手に突っかかっては喧嘩をしつつ時計の針を進めるということをクールな心を保ちながらやっているように見えた。

 ボーンマスは最後まできっちりと嫌がらせ。ムーアを入れてアバウトな展開に高さという脅威を加えていく。ロングボールからシュートまでもっていかれた時はグディソン・パークのファンは冷や汗が止まらなかったはずだ。

 長すぎる10分の追加タイムを何とかしのぎ、歓喜のホイッスルを聞くことに成功したエバートン。虎の子の一点を守り切り、滑り込みで残留を決めて見せた。

ひとこと

 こういう展開で生き生きするピックフォードを来年も見れるのが楽しみです。

試合結果

2023.5.28
プレミアリーグ 第38節
エバートン 1-0 ボーンマス
グディソン・パーク
【得点者】
EVE:57′ ドゥクレ
主審:スチュアート・アットウェル

リーズ【19位】×トッテナム【8位】

降格決定の中でルーカスとのお別れを果たす

 10個ある最終節の会場のうち、ホームチームもアウェイチームも何かがかかっているのはここエランド・ロードのみ。特に残留がかかっているリーズにとっては勝利を手にして天命を待ちたいところである。

 だが、そんなリーズが選んだのはまさかの5-4-1。サマーフィル、ニョント、アーロンソンといった勢いを出せるアタッカーをベンチに置いた慎重策でトッテナムを迎え撃つ。

 しかし、その慎重策は開始早々に裏目に。相手のボール回しに対する掴まえ所がわからないままトッテナムに自由にボールの出し入れを許すと、右サイドからポロが5バックの右半身を壊滅させて、横パスを出す。ソンでポイントを作ると、最後は逆サイドで余ったケインがフリーでシュート。2分もたたないうちに先制点を奪い取る。

 リーズにとってせめてもの幸運だったのはトッテナムが先制ゴールに乗じて畳みかけるような攻撃を仕掛けてくるチームじゃなかったこと。先制点以降は撤退型の5-4-1で自陣に引きこもってリーズにボールを受け渡す。

 攻撃は基本3バックから大外にボールをつけてのハイクロス一辺倒。とはいえ、インサイドにバンフォードがいるわけではないので、中盤からコッホが攻めあがっての決定機を得るなど、よくわからない工夫をしていた。サイドアタッカー入れちゃダメなんですか。

 先制したことによりプレスの意識が高まったリーズだったが、トッテナムはこれを交わしてロングカウンターを発動。ケインとソンを軸にカウンターから多くのチャンスを作ったのはむしろトッテナムの方だった。

 後半早々のポロのゴールで実質試合は勝負ありだっただろう。1点目と同じくポロの受け方はとても素晴らしいものだった。

 それ以降はローラインブロックに対してリーズが試行錯誤しつつ、跳ね返されるシーンが続くように。前半からの変化はリーズが前プレスする体力がなくなった分、ビスマを軸にゆったりとトッテナムがボールを持てるシーンが増えたことだ。

 3枚交代で4バックにシフトし、ハリソンが意地の一撃をみせるなど勢いに乗るきっかけはあったリーズ。だが、後方を4枚にすればその分カウンターは刺さりやすい。あっという間にトッテナムに3点目をきめられ反撃ムードは鎮火する。

 最後は今シーズンでお別れになるルーカスのゴールでセレモニー感を出したトッテナム。他会場を前にまず最低限の人事を尽くせなかったリーズは最終節に降格の憂き目にあうこととなった。

ひとこと

 なんだよ、そのリーズの5-4-1のスタメン。

試合結果

2023.5.28
プレミアリーグ 第38節
リーズ 1-4 トッテナム
エランド・ロード
【得点者】
LEE:67′ ハリソン
TOT:2′ 69′ ケイン, 47′ ポロ, 90+5′ ルーカス
主審:アンソニー・テイラー

ブレントフォード【9位】×マンチェスター・シティ【1位】

唯一無二のシーズンダブル

 この試合も他会場と同じく消化試合の1つといえるだろう。だが、ある名誉がかかっている試合でもある。ブレントフォードが勝てば、今季唯一チャンピオンチームにシーズンダブルを達成したこととなる。消化試合だがホームに集ったファンと共に記念に残すには絶好の舞台といえるだろう。

 ブレントフォードの陣形は5-3-2を採用。後方で堅く陣形を組み、無理に出ていかない算段である。中央と低い位置に人を集めて相手をサイドに誘導する。サイドに誘導したら、中盤を経由したサイドチェンジを封鎖しながら狭く囲い込み、後方に追いやる。これの繰り返しである。

 当然のようにボール保持に回るシティ。2トップの脇からの侵入は簡単だが、そこはブレントフォードが許容している部分。ライン間のパルマーにボールを入れることができれば、そこから攻撃は加速していくがここはブレントフォードがナローに管理している場所。何回も使えるわけではない。

 アタッキングサードにおけるハイクロスもハーランドがいなければいつもとは勝手が違う。ブレントフォードの屈強なDF陣に跳ね返されるばかりであまり有効打となる攻撃を打つことができなかった。

 ブレントフォードの屈強さは時間の経過共に攻撃でも見られるように。ロングスロー、CKなど高さを生かすような形からシティに距離の出るクリアを許さずに徐々に押し込む機会が増えていく。

 ラヤの一発フィードや、ポストからレイオフの前進も徐々に機能するように。ウィサは抜け出しから決定機を得ることすらできた。

 スコアレスで迎えた後半、さらにブレントフォードは圧力をかけていく。ハイプレスのマンツーで敵陣から相手をハメることを解禁。リトリートと使い分けながら、ひっくり返されないように慎重にプレスを強めていく。

 シティもパスワークでの前進を狙うが、このメンバーではなかなかコンビネーションでブレントフォードを上回ることができず。あっさりとつぶされてしまうシーンが多く主導権を握ることができない。

 ロングボールでの陣地回復やダ・シルバ、シャーデを起用しての右サイドの活性化など後半もペースはブレントフォード。すると決着したのは85分。セットプレーからピノックが仕留めた貴重な先制点が決勝ゴールとなる。

 筋肉で未完成なシティの面々を跳ね返したブレントフォード。22-23シーズンにおいては前人未踏の対シティシーズンダブルを最終節に達成して見せた。

ひとこと

 ロングスローはうざい。筋肉との相性があまりにもいい。

試合結果

2023.5.28
プレミアリーグ 第38節
ブレントフォード 1-0 マンチェスター・シティ
ブレントフォード・コミュニティ・スタジアム
【得点者】
BRE:85′ ピノック
主審:ジョン・ブルックス

マンチェスター・ユナイテッド【3位】×フラム【10位】

またしてもミトロビッチから流れが変わる

 フラムの今季のラストゲームはオールド・トラフォード。この地でプレーするのは今年2回目。多くの退場者を出した因縁のFA杯以来である。あの日から8試合の出場停止を課されたミトロビッチはシーズン終盤にようやく先発に帰ってくることができた。

 ユナイテッドはCFとWGで高い位置からプレスに行く立ち上がりだったが、フラムのボール保持を前になかなかプレスがひっかからない。よって、無理することなくWGはSBをケアする立ち位置に変更するなど柔軟な変化を見せる。

 フラムも非保持に回ればアンカー受け渡し型のマークを採用。相手のCBにはある程度余裕をもってボールを持たせてOK。お互いにある程度ボールを持つ時間を確保することができる立ち上がりになった。

 あの日のFA杯と同じくいい入りをしたのはフラムの方だった。ボールを持ちながらユナイテッドのプレスを交わし、サイドからボールを運んで中央から横断して敵陣深くまで入っていく。そして、セットプレーから先行。テテのゴールで早い時間にリードを奪う。

 さらには先制ゴールから数分後にフラムはカゼミーロのファウルでPKを獲得。突き放す絶好のチャンスだが、これをミトロビッチが仕留めることができず。試合を完全に持ってくるチャンスを逃してしまう形になってしまった。

 PKを止めて踏みとどまったユナイテッドはここから反撃に。縦に早いパスを積極的につけていくことで、フラムの守備陣形に穴を開けていく。PKストップ以降、明らかに試合はユナイテッドペースに流れていた。

 そして、そのプレーから同点。ライン間のブルーノ→抜け出したフレッジ→サンチョとつないでゴールをゲット。PKきっかけで得た流れをきっちりと同点まで結びつける。

 後半のボール保持もユナイテッド。ラッシュフォードの抜け出しなど、前半のライン間のパスに加えて裏抜けのアクションを合わせることでさらにフラムの守備陣を悩ませる。

 ブルーノの勝ち越しシュートもまさにこの形。後半もユナイテッドペースは止まらず。得点以降も中盤にエリクセンを入れることで縦パスの供給量を担保することで勢いを持続させることができていた。

 フラムは高い位置を取ることができず終盤はじり貧。最後までプレスに出ていく姿勢は買うが、やはりPKを潮目に苦しい戦いに押し込まれてしまった感は否めない。

 因縁の再戦は再びユナイテッドに軍配。テン・ハーグ政権1年目は3位でリーグ戦を終えることとなった。

ひとこと

 ミトロビッチのPKはなんでこんなに決まらないんだろう。

試合結果

2023.5.28
プレミアリーグ 第38節
マンチェスター・ユナイテッド 2-1 フラム
オールド・トラフォード
【得点者】
Man Utd:39′ サンチョ, 55′ ブルーノ・フェルナンデス
FUL:19′ テテ
主審:ロベルト・ジョーンズ

チェルシー【12位】×ニューカッスル【4位】

免れた不名誉な記録

 こちらも消化試合の一戦。あえて意味を見出すとするならば、チェルシーには敗れてウェストハムと順位が入れ替わることがあると、ロンドンで最も下位のチームとなってしまうという不名誉な記録が待ち受けていることくらいだろうか。

 より積極的な姿勢で試合に入ったのはニューカッスルの方だった。ボールを奪ったら縦に早くファストブレイクを狙っていく姿勢は今季の彼ららしい。

 非保持においてもWGのアルミロンとサン=マクシマンが外切りからのハイプレスを敢行。積極策でチェルシーのバックラインにプレッシャーをかける。

 外切りのハイプレスの時に空いてしまうSBのところにはニューカッスルはSBがスライド。IHが出ていくことを特に求められていなかったのでWG→SBの受け渡しが間に合わず、チェルシーのSBは結果的にボールの落ち着けどころに。そういう意味ではニューカッスルのハイプレスは見た目ほどの効果を生んでいたかは怪しい。

 それでも先制点を決めたのはニューカッスル。左サイドへの対角パスからクロスオーバーでゴードンにボールが渡って先制。ゴードンにとってはうれしい移籍後初ゴールとなった。チェルシーからすると、アスピリクエタとロフタス=チークの対応力が気になるところであった。

 先制したためニューカッスルは4-5-1ブロックでのリトリート重心の守備に切り替えていく。プレスを下げることができたチェルシーは少しずつブロックの外からエンソが得意のタッチダウンパスを狙っていく。

 そして、チェルシーはセットプレーから同点。右サイドのスターリングの切り返しからオウンゴールを誘発し、タイスコアに持ち込む。

 勢いに乗るチェルシーはマドゥエケのファストブレイクなど、カウンターからもチャンスが出てくるように。相手のプレスを退けてからはペースを握ったのはチェルシーだった。

 後半もチェルシーは保持からチャンスを作る。起点となるのは両サイドのWG。サイドのフォローにはベースポジション関係なく多くの選手がサポートに。きっちりとクロスを上げきることを念頭に置きながら攻撃を完結させていく。

 ニューカッスルは前半ほどのプレスの出力は出せないが、マーフィーやウィルソンといったアタッカー陣をリフレッシュして勝ちに行く。だが、なかなか序盤の勢いは出せず、チェルシーを攻め立てることができない。

 チェルシーもニューカッスルの強固なブロックを前に苦戦。スターリングやロフタス=チークがズリズリとポストから前進していくが、試合を決める2点目を得ることはできず。

 結局試合は引き分けで終了。チェルシーはこの勝ち点1でロンドン最下位という不名誉な記録から免れることとなった。

ひとこと

 強度面でニューカッスルと渡り合えたのはチェルシーにとっては良かった部分のように思える。

試合結果

2023.5.28
プレミアリーグ 第38節
チェルシー 1-1 ニューカッスル
スタンフォード・ブリッジ
【得点者】
CHE:27′ トリッピアー(OG)
NEW:9′ ゴードン
主審:ジャレット・ジレット

レスター【18位】×ウェストハム【14位】

封じられた歓喜

 残留には他会場の勝敗が絡むことになっているレスター。まずは最低限自分たちが勝つことをしなければ扉は開かれることはない。

 プレッシングに関しては非常に慎重な入りだった両チーム。どちらもCBにボールを持たせつつ、アンカーはきっちり管理するというスタンス。レスターは後方の司令塔役としてティーレマンスをアンカーに置く布陣だったが、ここをウェストハムはきっちりと封じて見せた。

 そうした状況のため、打開をするのにはバグが必要になってくる。両チームの中で最もバグとして機能しやすかったのはレスター右のWGであるマディソン。インサイドに入り込み、中盤の4人目として顔を出すことでウェストハムの基準をずらす。

 ここから少ないタッチでボールを展開するレスター。ウェストハムも降りるパケタをきっかけに攻撃を仕掛けていくが、よりその先の展開を作れていたのはマディソンの方だった。

 中盤にズレを作った後はいかにワイドにいい形でボールを届けるか合戦。その点で成功したのはレスターの方だった。イヘアナチョを壁に使ってワンツーで抜け出したのはバーンズ。苦しい試合でも少ないチャンスを生かしてきたバーンズの一撃でレスターは先行する。

 リードを得たレスターは4-5-1フラットの陣形で受けに回る。ウェストハムは苦手なボール保持に挑まなければいけない構図を突き付けられることに。これはレスターにとっては理想的な展開だろう。

 レスターはウェストハムのポゼッションを受け止めつつロングカウンターで反撃。マディソンをカウンターの運び屋として使い、ウェストハムより多くのチャンスを作り出していく。

 するとセットプレーからレスターが追加点。ファエスのゴールでリードを確固たるものにする。

 だが、直後にホームファンの歓喜は鎮まることに。エバートン先制の一報が入ったのだ。これにはノリノリのウェストハムファン。彼らのテンションに呼応するようにフォルナルスがゴールを決めて1点差に追い上げる。

 以降はレスターががっちりと保持して試合をコントロール。しかし、グディソン・パークからの吉報は届くことなくそのまま試合終了のホイッスル。勝ったものの残留の要件を満たせなかったレスター。プレミア優勝も経験したプレミアライフについに別れを告げることとなってしまった。

ひとこと

 今日よりも前の日に後悔が残るレスター。最終戦の内容をもう1回どこかでできていれば結果は違ったかもしれない。

試合結果

2023.5.28
プレミアリーグ 第38節
レスター 2-1 ウェストハム
キング・パワー・スタジアム
【得点者】
LEI:34′ バーンズ, 62′ ファエス
WHU:79′ フォルナルス
主審:サイモン・フーパー

アーセナル【2位】×ウォルバーハンプトン【13位】

同じ11人で異なる精度、「お決まり」の勝利を手にするアーセナル

レビューはこちら。

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 グラニト・ジャカへの惜別の声が溢れるエミレーツ。アーセナルのホームゲーム最終節は消化試合ながらもどこか暖かく、1年間躍進を続けたチームをねぎらうような雰囲気が流れていた。

 そうしたファンの声援にピッチの選手は早々に結果で応える。右サイドからの攻勢に出たアーセナル。サイドに流れたジェズスのクロスにフリーで合わせたのはジャカ。もっとも得点を望まれていた選手が早速ゴールを決めるというアーセナルにとっては理想的な展開だった。

 先制点を奪ったアーセナル。フォレスト戦と全く同じ11人を起用したが、バランスはより整っていたといえるだろう。トーマスは後方中央からの攻撃サポートに専念。右サイドはサカとウーデゴールにジェズスで賄い、トロサールは中央から左のスペースを自由に動く。フォレスト戦では迷子だったジャカはPA内に飛び込む役割をひたすらにこなしていたのも整理が順調な証拠の1つだろう。

 ウルブスはサイドの迎撃が間に合っていないようだった。サカを主体とするサイドからの仕掛けに対しては常に後手に回る状況に。前半のアーセナルのゴールはすべて右サイドから。サカとブエノの1on1を受け入れた結果、ウルブスはこちらのサイドから穴を開けられ続ける苦しい展開になった。

 攻撃に出る際は両サイドのWGが軸。アーセナルはSBが前を向かせる前に体を寄せてくる対応をしていたため、ウルブスのWGはアーセナルのWGほどは楽に前を向くことができず。それでも根性で前を向いてファウルをもぎ取っており、ウルブスの打開のポイントとして最低限の仕事は果たしていたといえるだろう。

 後半もペースを握ったのはアーセナル。引き続き右サイドからチャンスを作り続ける。サカが交代で退いた60分以降もネルソンがその勢いを引き継いでいたのが印象的だった。

 ただし、アーセナルが後半につかみ取ったゴールは右サイド以外の形から。4点目は左サイドを突破したトロサールから逆サイドで待ち受けていたジェズスがゲット。5点目はセットプレーからキヴィオルが押し込んでゴールラッシュを締めくくる。

 何もできないまま憮然とスタンドで眺めるロペテギを除けば、エミレーツの観衆はみなハッピーだったことだろう。最終節に強いアーセナルは22-23も継続。これで12連勝を達成し、お決まりの勝利でシーズンを締めくくった。

ひとこと

 フォレスト戦と比べると同じメンバーながら整理してプランを組めたのは成長。来季もこのようにユニットの精度を高めていきたい。

試合結果

2023.5.28
プレミアリーグ 第36節
アーセナル 5-0 ウォルバーハンプトン
エミレーツ・スタジアム
【得点者】
ARS:11′ 14′ ジャカ, 27′ サカ, 58′ ジェズス, 78′ キヴィオル
主審:アンドレ・マリナー

サウサンプトン【20位】×リバプール【5位】

ド派手なラストゲームは4-4で鎮火

 すでに降格が決まってしまっているサウサンプトンのホーム最終節はリバプールを迎えての一戦。リバプールもCL逆転出場の目がすでにこの試合前に途絶えており、どちらのチームも目標に対しては届くことがなかった年になった。

 ボールを持っていたのはアウェイのリバプール。アンカーに1枚を割いて、バックラインの枚数を合わせてこないサウサンプトンに対して、後方からボールを運んでいく。

 ボール保持で深くまで入ることができるリバプールは敵陣でのハイプレスから先制。ラヴィアのミスをジョッタが仕留めて開始間もないタイミングで先手を奪う。

 さらにリバプールは自陣からのショートパスの連打で追加点を奪う。中央の縦パスをつなぎながらフィルミーノ→アレクサンダー=アーノルド→ファビーニョと繋ぎ再びフィルミーノがゴールを決める。

 これで試合は決まり。残留の望みがないサウサンプトンはここからだらだらと過ごすことになるかと思われた。

 しかし、ここからはサウサンプトンの反撃のターン。リバプールの敵陣での攻略をいとも簡単にやってのける。キーになったのは右サイドからカットインするように入り込む。

 右→左のカットインでリバプールの同サイド圧縮の誘導をはずしたのはアルカラス。最後はウォード=プラウズが仕留めて貴重な追撃弾を手にする。

 この失点以降はリバプールもペースを握ることができず。サウサンプトンは先制点に続いてさらなる圧力をかけてリバプールを揺さぶっていく。

 すると、終了間際に2点目をゲットするサウサンプトン。フィルミーノのロストからウォルコット→スレマナで一気に壊すことに成功する。

 後半もゴールラッシュに。止まらないのは前半の流れを引き継いだサウサンプトンである。カウンターから相手の守備網を切り裂いたスレマナが追加点を奪ってついに勝ち越し。

 リバプールは後方のブロック強度の足りなさが本日のスタメンからは露呈した格好。特にCBコンビはこのシーンでは簡単に交わされてしまった。さらにこのあとにもう1点リードを広げることに成功するサウサンプトン。リバプール相手に4点目を決める。

 しかし、リバプールも黙ってはいない。右サイド、ジョタとエリオットで時間を作るとアレクサンダー=アーノルドが抜け出すスペースに飛び込み、最後はガクポ。さらには終盤にダイナミックなゴールをジョタが決めて試合を振り出しに戻す。

 だが、振りだしに戻ったところで試合はトーンダウン。両チームともガソリンを使い果たしたのか最後だけはローテンポな試合に。

 最終節は乱戦でド派手なゴールショーを演じた両チーム。リバプール相手に決めた4点を胸に、サウサンプトンは1シーズンでのプレミア復帰に挑むこととなる。

ひとこと

 4-4になったらゆるむのかよ!と思った。

試合結果

2023.5.28
プレミアリーグ 第38節
サウサンプトン 4-4 リバプール
セント・メリーズ・スタジアム
【得点者】
SOU:19’ ウォード=プラウズ, 28‘ 47’ スレマナ, 64‘ アダム・アームストロング
LIV:10’ 73‘ ジョッタ, 14’ フィルミーノ, 72‘ ガクポ
主審:ダレン・イングランド

クリスタル・パレス【11位】×ノッティンガム・フォレスト【16位】

平和で和やかなドローゲーム

 前節のアーセナル戦の勝利でフォレストは残留争いのレースから完全に脱出。昇格初年度のラストゲームを非常に気楽な気持ちで迎えることができる。対するクリスタル・パレスも強豪との連戦の日程を抜けて以降は問題なく勝ち点を重ねて余裕の中位フィニッシュ。ホームの最終節は実に和やかな雰囲気で行われた。試合中に時折ピッチに入り込む風船もそののどかさを助長していた。

 ボールを持つのはホームのパレス。アウェイのフォレストがいつも通りの中央にギュッと固まるようなナローな守り方をしたこともあり、明け渡された外のスペースから前進していく。

 フォレストは自陣に押し込まれてからは少ない手数で反撃。まずは前線に蹴っ飛ばし、セカンドボールの回収から主導権を握っていく。

 保持の時間はパレスの方が長かったが、主導権が彼らの手元にあったというわけではない。フォレストのボックス内の守備は人垣だらけ。パレスのアタッカーが前を向いて仕掛けられそうなタイミングを見つけても、シュートは大体ブロックにあってしまう。

 またボールを奪い返された後にパレスはなかなかボールを奪い返せない。セカンドボール争いでも優位に立つことができず、フォレストに攻め入るスキを与えてしまっていた。

 そして、先制点を手にしたのはフォレスト。アウォニイの先制ゴールで試合は押し込まれる時間が長かったフォレストがリードを奪う。決めたシュートがゴールから跳ね返ってくる感じもアウォニイの終盤の調子の良さを表していていい感じだった。

 先行したことでフォレストは後半も徹底的に引くことでパレスにボールを預ける。3トップはワイドに張り、前半よりも押し込まれることを許容。その分サイドのケアを手厚くする。

パレスは押し込みやすくはなったが、押し込めなかったことが前半の問題ではないため、特に課題は解決していない感じである。それでもパレスはサイドからのトライアングルの意識からインサイドに入り込む動きを徐々に増やしていく。セットプレーの機会も増やしながらだんだんとゴールに迫っていく。

 最後に解決策を提示したのはヒューズ。ファーサイドでクロスに飛び込み、ついに密集からスコアを生み出して見せた。

 同点になって以降のフォレストの振る舞いはサイドからのキャリーでの反撃。リードしているときに比べれば攻撃的なものではあった。

しかし、試合全体の雰囲気は牧歌的な流れ。マッカーサーのラストゲームなど、試合はセレモニー感が少しずつ強くなる。

 試合は両チームとも追加点を決められないままフィニッシュ。仲良く勝ち点1を分け合って22-23シーズンの幕を閉じた。

ひとこと

 平和に和やかに終わるのが一番いいね。

試合結果

2023.5.28
プレミアリーグ 第38節
クリスタル・パレス 1-1 ノッティンガム・フォレスト
セルハースト・パーク
【得点者】
CRY:66‘ ヒューズ
NFO:31’ アウォニイ
主審:トーマス・ブラモール

今節のベストイレブン

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