MENU
カテゴリー

「試される上位進出の信頼度」~2022.10.30 プレミアリーグ 第14節 アーセナル×ノッティンガム・フォレスト プレビュー

目次

Fixture

プレミアリーグ 第14節
2022.10.30
アーセナル(1位/9勝1分1敗/勝ち点28/得点25 失点11)
×
ノッティンガム・フォレスト(20位/2勝3分7敗/勝ち点9/得点8 失点23)
@エミレーツ・スタジアム

戦績

過去の対戦成績

 過去10回の対戦でアーセナルの6勝、ノッティンガム・フォレストの3勝、引き分けが1つ。

アーセナルホームでの対戦成績

 過去10戦でアーセナルの5勝、ノッティンガム・フォレストの1勝、引き分けが4つ。

Head-to-head from BBC sport

・1999年1月以来、リーグ戦初めてのアーセナル×ノッティンガム・フォレスト。
・フォレストは27回のアーセナル遠征で2勝のみ。ブライアン・クラフの指揮下で1987年と1989年に勝利している。

スカッド情報

【Arsenal】

・病欠で木曜を欠場したマルキーニョスとPSV戦後に足を引きずっていたガブリエウ・マガリャンイスは当日評価。
・オレクサンドル・ジンチェンコの復帰はもう少し先。モハメド・エルネニー、エミール・スミス・ロウは引き続き欠場。

【Nottingham  Forest】

・ルイス・オブライエンは3試合の病欠から復帰見込み。
・ジャック・コルバックは背中の問題。ムサ・ニアカテ、オマル・リチャーズ、ハリー・トフォロは怪我で欠場。

Match facts from BBC sport

【Arsenal】

・2014年以来の昇格組との試合の8連勝を狙う。2010年11月のニューカッスル戦での負け以来、ホームでの昇格組との対戦は34試合負けなし。
・リーグ戦9試合連続ホームゲームの勝利かつ失点を継続する可能性。達成すれば88-89のビラが樹立したリーグ記録に並ぶ。
・プレミアのクラブレコードである11試合連続ホームゲーム失点の可能性。
・10月において9試合目。過去にひと月の間にこれ以上試合した月は1969年9月の11試合と1980年4月の10試合の2回だけ。
・11試合で28ポイントのポジションからプレミアのタイトルを取れなかったのはニューカッスルのみ。95-96シーズンの28ポイントと94-95シーズンの29ポイントからタイトルを逃している。

【Nottingham Forest】

・今季アウェイでは未勝利かつ無得点。
・1989年3月以来のロンドンでのリーグのアウェイゲーム3連勝の可能性。当時の3勝目はアーセナルに対してのものだった。
・勝てば82-83以来初めてリバプールとアーセナルに連勝した昇格組のチームとなる。
・エミレーツでのリーグ戦初挑戦で勝利したチームは過去2回だけ。2007年のウェストハムと2008年のハル。
・今季の2勝はいずれもタイウォ・アウォニィのゴールによる1-0での勝利。
・ジェシー・リンガードはアーセナル相手に4ゴールを産んでおり、他のどのチーム相手よりも得点をとっている。

予想スタメン

展望

■ようやく固まってきた布陣の懸念とは?

 この夏、21人というプレミア記録の補強をしたノッティンガム・フォレスト。だが、ここまではリーグ最下位。2部からの昇格組ということもあり、もはや誰が既存戦力で誰が新戦力なのかわからない状況。フォレストはまるで新しいチームになる。

    そんななかで低迷したフォレスト。昇格の立役者のクーパーには解任の噂もたった。しかし、なんとこの噂の直後にフォレストはクーパーとの契約延長を発表。全面的に信頼感を打ち出してみせた。ここまで、なかなか不思議な道筋を歩んでいるチームである。

 フォレストはここにきてようやくフォーメーションとメンバーが固まってきた感がある。基本的なフォーメーションは4-3-3。プレッシングは高い位置からはいかない。WGは守備にも多くの貢献を求められ、低い位置までリトリートする。

    そうしたチームは4-5-1と評することで割としっくりくる陣形になることが多いのだが、フォレストの場合はWGが中盤の3枚よりも後方に下がっていくこともしばしば。4-5-1というよりは6-3-1のような形になっていることも珍しくない。

 よって、フォレストは立ち上がりから積極的に前からのプレスで相手にプレッシャーをかけていくスタンスではない。まずは相手にボールを自由に持たせて撤退してくるスタンスである。

 フォレストのように後ろに重心を置くチームにとって問われるポイントが2つある。1つは陣地回復の手段があるかどうか。ローラインで受けるのならば、長いボールでお手軽に陣地回復ができる手段は欲しいところである。

     現状ではフォレストが豊富にその手段を持っているとは言い難い。押し込まれたウェストハム戦では試合を通して反撃に打って出ることができたのは数回程度。得点の可能性をほぼ感じさせなかった。ライン間のギブス=ホワイト、右サイドに裏を取るデニスやジョンソンなどが前線に飛び出す形などはあるが、どんな状況でも、どこが相手でも通じるような武器ではない。

 もう1つの問題はそもそもの撤退守備の強度である。バックラインは人数が揃っていてもクロス対応が怪しい場面が。撤退時のバックラインはひたすらボールが飛んでくる状況をなんとかし続けることを担保できるクオリティはない。

 特に怖いのはセットプレー。シンプルに相手の重要選手を空けてしまう状況が目立っている。アップセットを手にしたリバプール戦では完封こそしたものの、セットプレーではファン・ダイクを空けまくっており、いつ失点してもおかしくない状況が続いていた。

 平場の守備において気になるのは動きが大きい選手と小さい選手の差があること。今のスタメンの中ではクヤテが非常に動き回りながら相手を潰していく。しかしながら、動きすぎると彼の周りのスペースは空きやすくなる。特に撤退守備に重きを置くチームに関してはみんなの動く距離が比較的均一になる方が望ましいように思う。

 ただし、カウンターに転じた時はそのクヤテの運動量の豊富さは大きな武器だ。前線でタメを作るのに苦労するチームなので、早い攻撃にキャッチアップできる機動力で中盤から攻撃参加できる選手は貴重。上下動が繰り返せる選手は攻撃の機会が少ないフォレストにとっては重要だ。

■落ち着いた形での勝利でブレイクスルーを狙う

 アーセナルにとってまず大事なのは確実に相手を押し下げて、フォレストが攻勢に転じることを防ぐことである。まずはきっちりとサイドから押し下げながらフォレストのWGの位置を下げること。彼らをゴールから遠ざけることでフォレストの攻撃機会を減らしたい。

 直近の試合におけるアーセナルの課題は強引すぎる縦パスを入れてしまうこと。マーカーがついている前線の選手に無理やりパスを通すチャレンジをした結果、ボールをロストしてしまいカウンターの温床になってしまうことである。

 例えば、アウェイのPSV戦はエンケティアへの縦パスがチームの前進の手助けにならなかった。単純にエンケティアがコンディション的に収めることができないという問題もあるが、左右にズレが出るなどバックラインから出てくるボールの質も低かった。この辺りはガブリエウ、ホワイトなどキックの質が高い選手が不在だったことも大きいかもしれないが。

 いずれにしてもライン間のFWに対する強引な縦パスはあまり現状は効果的ではない。ジェズスも含めて無理にグイッとターンしたり、狭いスペースをこじ開けられるコンディションのノリを引っ張りすぎているように思う。

 まずは相手に得点を与えるリスクを下げること。押し下げることでフォレストの難点であるセットプレーの機会を増やすことを狙っていきたい。

 サイドのボール回しで相手を動かすことができれば、フォレストは両IHが外に引っ張られることも多い。サイドに一度相手を引っ張りながらIHが空けた中央のスペースをサイドから狙っていきたいところだ。トーマスが高い位置でプレーできるように押し上げられれば攻撃の厚みはさらに増す。

 フォレストの攻撃に対してはライン間のギブス=ホワイトに前を向かせないように圧縮をかけることと、右の裏を狙うジョンソンとデニスの裏抜けへの対応が重要になる。ここは両CBに前を向かせる前に潰し切ることをお願いしたい。PSV戦後には足を引きずっていたというガブリエウの状態は気がかりだが、誰が出るにしてもここはなんとかしたいところである。

 今のアーセナルはチーム状態が右肩下がりになっている。試合を追うごとにイケイケで攻め込める時間が減っっている印象だ。プレミアのファンからすれば「悪い時に粘れなさそう」という理由でアーセナルの上位進出を推せないと考える人がいてもおかしくない。確かに、トッテナムも含めたノースロンドンの両チームには年間における信頼度には疑問符がつく。

 そうした疑念を払拭するには悪いなりにも勝ち切ること、リーズやサウサンプトンほど前向きの矢印が強くないフォレストに対して、保持で落ち着かせながら今までと異なるテイストの勝利をあげることが求められる。今のアーセナルは優勝候補に名乗りをあげるための1つ目の壁にぶち当たっている印象だ。ワールドカップ前のリーグ戦最後のホームゲームでブレイクスルーを見つけたいところだ。

【参考】
https://www.bbc.com/sport/football/premier-league

この記事が気に入ったら
フォローしてね!

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次