Fixture
プレミアリーグ 第10節
2023.10.28
アーセナル(3位/6勝3分0敗/勝ち点21/得点18 失点8)
×
シェフィールド・ユナイテッド(20位/0勝1分8敗/勝ち点1/得点7 失点24)
@エミレーツ・スタジアム
戦績
過去の対戦成績
過去10回の対戦でアーセナルの6勝、シェフィールド・ユナイテッドの2勝、引き分けが2つ。
アーセナルホームでの成績
過去10回の対戦でアーセナルの7勝、引き分けが3つ。
Head-to-head from BBC sport
- アーセナルは1971年以降のシェフィールド・ユナイテッドとの18回のホームでの公式戦で無敗。
- シェフィールド・ユナイテッドは直近19回のリーグでの対戦でアーセナルに2勝。2006年と2019年のものでいずれもホームゲーム。
スカッド情報
- ガブリエル・ジェズスはハムストリングの問題で出場は微妙。
- トーマス・パーティとユリエン・ティンバーも欠場の見込み。
- 10人の選手が欠場見込みだが、ジョージ・バードックはトレーニングに復帰。
- オリ・マクバーニーは鼠蹊部の負傷で欠場の見込み。
Match facts from BBC sport
- 今季プレミアでは無敗。うち6試合に勝利しており。5つのクリーンシートはリーグ最多。
- 2010年11月のニューカッスル戦以来、36試合のホームでの昇格組との試合で無敗。
- 2021年12月以来のホームでのリーグ戦連続クリーンシートを狙う。
- ブカヨ・サカは今季の出場した8試合のリーグ戦で7試合で得点かアシストを記録。現在は6試合連続を継続中。
- 開幕9試合で1ポイントしか取れていないプレミアで4つ目のチーム。過去3つは95-96のマンチェスター・シティ、99-00のシェフィールド・ウェンズディ、20-21のシェフィールド・ユナイテッドでいずれも降格している。
- 終盤15分での8失点はリーグ最多。
- ロンドンでのアウェイでのプレミアゲームは過去32戦で2勝のみ。1992年10月のチェルシー戦の2-1と2020年2月のクリスタル・パレス戦
- ロンドンでのプレミアの試合は9連敗中。
- 今季5つの試合でタイスコアに引き戻したが、うち4つの試合で敗戦。
予習
第7節 ウェストハム戦
第8節 フラム戦
第9節 マンチェスター・ユナイテッド戦
今季ここまでの道のり
予想スタメン
展望
昇格組躍進の条件は?
ここまで9試合の消化で昇格組との対戦はいまだにないアーセナル。10節目にして今季初めての昇格組との対戦となる。相手は現在テーブルの一番下に沈んでしまっているシェフィールド・ユナイテッドである。
昇格組は例年のプレミアリーグで言えば少なくとも1チームは中位に食らいついているイメージなのだが、今季は3チームとも揃って苦戦。割と長年プレミアを見ている方だと思うのだが、こうしたシーズンはあまり記憶にない。
近年の昇格組を見ていると爪痕を残すことができているチームは「私たちはこれで勝負します!」というわかりやすいプレミア挑戦の手土産を持っているイメージがある。例えば、ロングボールでの前進とファーへのクロス、そしてハイプレスを組み合わせたキックアンドラッシュで大物食いを続けているブレントフォードはこの代表格。ミドルブロックでの守備とサイドでの定点攻撃からミトロビッチを狙っていくフラムもこの例に当てはまる。昨季揃って降格してしまったが、長年プレミアに定着したサウサンプトン、レスター、リーズの3チームも昇格初年度からそれぞれの特徴をはっきりと打ち出していた。
今年のチームでいえばバーンリーとルートンは色を打ち出すという意味ではそれなりに方向性は定まっている印象だ。ただ、その色を打ち出すためのクオリティを有していないところに課題を抱えているチームと言える。
シェフィールド・ユナイテッドはそもそも「ここで勝負!」という方向性そのものが先に挙げた2チームに比べてもぼやけてしまっているように見える。強いていえば保持における中盤を経由してのサイドチェンジから、逆サイドのWBのオーバーラップを活用し、そこからクロスを上げる形がシンボルということができるだろう。鋭いサイドチェンジを一発で通すというよりは、各駅停車的に1つずつ相手を引きつけて逆サイドをきっちりと余らせる形を作れるかがポイントになる。
相手のカバーが間に合わない状況を作り、WBから2トップにクロスを上げていく。インサイドではマクバーニーとアーチャーが好調。ここまで持ってくることができれば、連携で片方をフリーにする動きをすることができる。ボックス内でのフィーリングはそこまで悪くはない。
ただ、ボックス内にボールを届ける精度のところには課題を感じる。勢いに乗る時間が短く、こうした攻撃の形を具現化できる時間が十分ではないのが問題点だ。
そうした状況であってもバックラインがブロック守備で踏ん張れれば問題はないが、そういうわけでもない。撤退守備をベースにリトリートでスペースを埋める形を積極的に作ってはいるが、相手を捕まえている状況でも逃してしまったり、ファウルを犯してしまったりなど個人レベルでのミスで簡単に失点を許してしまう場面が多い。困ったときのセットプレーという命綱も心許ない。
8失点で敗れたニューカッスル戦はまさに今年のブレイズの問題点がわかりやすく現れている。立ち上がりの15分でいえば、むしろニューカッスルよりもブレイズの方がいい内容だった。しかしながら、簡単な切り返しでゴードンに振り切られて1失点目を喫するとそこからガタガタと崩れていき、一気に流れを持っていかれる。
さらにこの状況に追い討ちをかけているのが山のようにいる怪我人。正直、予想スタメンを組むのに苦労したくらいである。特に人数が足りないバックラインと好調のマクバーニーの負傷は頭が痛いところ。当日までにどれだけ選手が戻ることができるか、コンディションと睨めっこをすることになるだろう。
この試合を落とせばヘッキングボトムには解任の噂がある。監督交代が起爆剤になるかどうかは正直よくわからないが、プレミアで戦うための「手土産」を用意しなければ、他チーム次第では早い段階で白旗を上げることになってもおかしくはない。
IHの用兵は?
文字通り、アーセナルにとっては絶対に負けられない戦いになるだろう。地力はもちろんアーセナルに分があるし、相手の怪我人事情を見るとCL直後という事情をさっ引いてもコンディション面はアーセナルが優位だ。
おそらく、ブレイズはブロック守備で我慢することがベースになっていくはず。アーセナルがまず狙いたいのは3バックのワイドのCBの前と後ろのスペースである。後ろのスペースの狙い方はわかりやすいだろう。WGがボールを持った時のハーフスペースの裏抜けである。
ここ数試合はIHにライスを起用しているが、利き足の問題もあり、このハーフスペースの裏抜け役割はやや窮屈そうな印象がある。相手のカウンターの強度を考えても、この試合はIHにより前のポジションが適性の選手を起用してみてもいいかもしれない。
CBの手前を活用するためにはその前にいる中盤を手前に引き出すことができれば非常に楽になる。普通に考えれば撤退第一でくることが想定されるブレイズだが、立ち上がりの勢いに乗って攻め気が強い状態になれば、プレスに出てくることもあるだろう。こうした場面においてブレイズはバックラインが上げきれずに全体が間延びするケースが多い。そうなれば狙いたい中盤とDFラインの間のスペースは空くことになる。前に出ていくべきかどうか、ブレイズのCBを揺さぶっていきたいところだ。
非保持においてはまずは保持での時間を伸ばし、ブレイズの攻撃の機会を取り上げることが第一。ボールを持たれてしまった時はサイドに閉じ込めることが重要になる。先に述べたとおり、ブレイズのサイドチェンジは一発で鋭いサイドチェンジを飛ばすよりもポイントを1つずつ作りながらサイドを変えるケースが多い。そのため、中盤でのパスコースはある程度は見えてくるはず。先回りしてパスコースを潰したい。今のアーセナルであれば、サイドチェンジをされることを前提でWGを下げて守るよりも中盤のスライドから潰し切ることの方がカラーに合っているはずだ。
1つ目のミスが出るまではブレイズは堅さを維持できるイメージ。跳ね返しに成功していたトッテナム戦やマン・ユナイテッド戦では長い時間の健闘が目立っていた。早い時間に1つ目のミスを出させたい。
ブレイズはエミレーツにプレミアで残留するための「手土産」を探しにやってくるはず。アーセナルとしては手土産なしで乗り込んできた来訪者からきっちり勝ち点3を奪い取りたい。