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「Catch up 日本代表」~2022.6.10 キリンカップ 準決勝 日本×ガーナ ハイライトレビュー

■質の違う左右の攻撃

 パラグアイに勝ち、ブラジルに敗れるという1勝1敗の流れできている6月の日本代表。ここからはキリンカップでの2試合で腕試しということになる。初戦に当たるのはガーナ。ベンチ入りメンバーの人数の少なさ的にどこまで万全の状況でやって来れたかはわからないが、彼らもW杯出場国。それなりに有意義な試合にしたいと考えているのは確かだろう。

 日本は高い位置から積極的にプレスにいく立ち上がり。WGがガーナのCBにプレスをかけて、SBがガーナのWBにスライドするなど高い位置からボールを引っ掛ける形を狙っていく。ブラジル戦では空転したハイプレスをもう一度試すように立ち上がりから仕掛けていく。

 ガーナはボールサイドのWBを高い位置にスライドさせる形でのビルドアップを狙っていた。しかしながら、日本の積極的なプレスを前にボールをスムーズに運べる機会は限定的。効果的な前進ができなかった。日本は久保、柴崎、遠藤の3人に中盤をマンマーク的に監視させていたため、ガーナにとっては中盤をほとんど使えなかったのが痛かった。

 5-3-2のガーナ攻略に挑む日本はサイドからボールを運びながら。左サイドは三笘が大外に張って対面のWBのイアダムをピン留め。代わりに解き放たれた伊藤が時間をもらい、フィードを飛ばす場面があった。

 右サイドは3人のコンビネーションが主体。足元で受けてタメが欲しがる久保と堂安が作った時間を生かして、オーバーラップする山根がアクセントに。先制点を決めたのはこの右サイドの連携から。右サイドに張り出した久保から堂安に横パスをつけて、山根のオーバーラップを生かして先制点を奪う。両サイドの効果的な攻撃が先制点に結びつく。

 しかし、その山根は失点にも関与。前半終了間際にパスミスからガーナに決定機を与えてしまった。このパスの前の段階で日本のビルドアップは不安定。谷口→川島のパスあたりから日本のプレーには余裕がなかった。ガーナは3-2の前のユニットの隙間を空けながらプレスに来ていただけに、ビルドアップでの安定感はもう少しチーム全体として欲しかったところである。

 前半のうちに追いつかれてしまった日本だったが、この日のサイド攻撃は頼もしい。前半の内に伊藤が引きつけた分、フリーになった三笘のクロス性のシュートがゴールにそのまま吸い込まれる。伊藤が三笘に時間を作るというこの試合ここまでの流れと逆の形で前半に勝ち越す。

■前半っぽい後半

 後半、日本は吉田→板倉を投入。投入直後はやや長いボールの処理にあたふたする場面もあったが、徐々に落ち着きを取り戻してきた印象だった。

 後半の日本はもう一度ショートパスの繋ぎからガーナの5-3-2をバラしていく作業を行なっていた。ガーナは前半の終盤は2トップの一角であるアンドレ・アイェウがアンカーを監視するように、ジョーダン・アイェウと縦関係の守備を作っていたが、後半は再びフラットな5-3-2に戻すことになった。

 ということで後半だけど、仕切り直し色が強い流れに。そういう意味では前半っぽい後半だった。ガーナはショートパス主体の動かし方に対して、同サイドに制限をかける形で時間を奪っていく。

 日本は左サイドの大外に貼る三笘と密集に入り込みたい久保と堂安というアシンメトリーな形で攻略を狙っていく。久保と堂安が一緒にプレーしているのは少し久しぶりな気がしたのだけど、この2人は同時起用するとやたら楽しそうである。

 ガーナのビルドアップに対しても、日本は再度ハイプレスに打って出る。日本はやたら食いついてくる上、インサイドのパスコースを塞げない状況が続いていたので、ガーナはショートパスをワンタッチで2つ連続で繋ぐ場面を作れればチャンスになっていた。

 しかし、先にチャンスをものにしたのはまたしても日本。川崎でも既視感がある、相手の重心を好きに操った挙句逆を取る形で久保にアシストを決めて見せた。

 日本は70分手前に田中碧が登場してアンカーに入ったことで柴崎と位置を変えながらのゲームメイクをテスト。保持におけるできることがどこまでかチェックしているのだろう。

 終盤の3-4-3も面白かった。WBを務めた伊東がトリガーとなり、スピードで引きちぎっていきながら3トップにチャンスを供給していく形はちょっとミキッチっぽかった。本番にどこまで持っていくかはわからないけども、親善試合なので色々試すことはいいことのように思う。

 パラグアイ戦で欲しかったゴールを手にした前田の4点目でここまで足りなかった得点を積み重ねた日本。決勝でチュニジアと対戦し、6月の代表シリーズは幕を下ろすこととなる。

ひとこと

 保持も非保持もバラバラにされたブラジル戦から再構築!という感じの一戦。ここからできることを1つずつ増やしていきましょう。

試合結果
2022.6.10
キリンカップ 準決勝
日本 4-1 ガーナ
ノエビアスタジアム神戸
【得点者】
JPN:29′ 山根視来, 45+1′ 三笘薫, 73′ 久保建英, 82′ 前田大然
GHA:44′ J.アイェウ
主審:カート・アムズ

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