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「今年の汚れ、今年のうちに」~2023.12.31 プレミアリーグ 第20節 フラム×アーセナル プレビュー

目次

Fixture

プレミアリーグ 第20節
2023.12.31
フラム(13位/6勝3分10敗/勝ち点21/得点26 失点34)
×
アーセナル(2位/12勝4分3敗/勝ち点40/得点36 失点18)
@クレイヴン・コテージ

戦績

過去の対戦成績

 過去10回の対戦でアーセナルの8勝、引き分けが2つ。

クレイヴン・コテージでの対戦成績

 過去10回の対戦でフラムの2勝、アーセナルの7勝、引き分けが1つ。

Head-to-head from BBC sport

Head-to-head
  • フラムは直近11回のアーセナルとの対戦で勝ちなし(D3,L8)。彼らの最後の勝利は2012年1月のホームでの勝利。
  • アーセナルは直近5試合のアウェイのフラムとのプレミアリーグでの対戦で全勝。直近4試合に関してはいずれも3得点以上を記録している。
  • アーセナルは33試合のプレミアでのフラムとの対戦で3敗のみ(W23,D7)。3つの敗戦はいずれもクレイブン・コテージで1点差でのもの。

スカッド情報

Fulham
  • ハムストリングを負傷して直近3試合のリーグ戦を欠場しているウィリアンの復帰は微妙。
  • ティム・リームとアダマ・トラオレは欠場の見込み。
Arsenal
  • カイ・ハヴァーツは1試合の出場停止から復帰。
  • トーマス・パーティ、ユリエン・ティンバー、冨安健洋、ファビオ・ヴィエイラは欠場。

Match facts from BBC sport

Fulham
  • 無得点で敗れれば4試合連続のスコアレスでの敗戦となる。
  • ここまでの勝ち点は21で昨季と比べて10少ない。
  • 12月の初めての3試合は13得点を挙げたが、以降の3試合は無得点。
  • その年の最後のリーグ戦は過去8戦で5勝を挙げている(D2,L1)。
  • 大晦日のプレミアでの試合は過去6試合で2勝(D1,L3)。2つの勝利はいずれもクレイブン・コテージで挙げたもの。
Arsenal
  • 今季初めての3試合連続のリーグ戦勝ちなしの危機。
  • アウェイでのロンドンダービーは直近9試合負けなし(W7,D2)
  • その年の最後のリーグ戦は過去16試合で12勝(D3,L3)を挙げており、直近3試合は連勝。
  • アーセナルは昨年のブライトン戦の4-2をはじめとして直近4回の大晦日の試合で勝利を挙げている。
  • ガブリエウ・マガリャンイスは4回のフラムとのプレミアの対戦で3得点を挙げており、そのうち2得点はクレイブン・コテージで生まれたもの。
  • 昨季の開幕から、マルティン・ウーデゴールはアウェイのプレミアリーグで11得点を挙げており、チーム内最多。

予習

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予想スタメン

展望

CFの機能性が成績を左右する

 アーセナルの後半戦のスタートは前半戦の最後に続きロンドンダービーから。舞台をエミレーツからクレイブン・コテージに移し、フラムとのアウェイゲームに臨む。

 フラムの直近の成績はかなり波が激しいものである。記憶に新しいのは2試合連続の5得点での勝利だろう。しかしながら直後の3試合では無得点であっさりと沈黙。今は苦しい連敗の最中だ。

 基本システムは前回アーセナルと対戦した時と変更はない。4-2-3-1でのミドルプレスが基本的なスタイルであり、高い位置でボールを奪い取り、サイドに展開して枚数をかけてのクロスを上げる形がいかにスムーズに機能するかというところが重要なポイントになる。

 このポイントを左右するファクターはボールを奪う位置である。具体的に言えば、パリーニャよりも前の位置でボールを奪えるかどうかが重要である。パリーニャのところでボールを奪うためには前段のプレスによる誘導が機能すれば成功の確率は上がる。

 直近の3試合のように勝てていない試合においてはこの形をスムーズにできておらず、中盤での負荷がかなりかかっているように見える。プレスからリズムよく高い位置に出ていくメカニズムは機能すれば5点を奪うことができる。その代わり、そうでないときはからっきし。これが直近のフラムの波につながっている印象だ。

 大きな要因としてはCFだろう。昨季退団したミトロビッチの不在は当然大きい。半年経った今も穴が埋まり切っているとは言えないだろう。攻撃ではもちろんのこと、4-4-2のプレス隊の切込隊長としても彼が大きな役割を果たしていた。

 ムニス、ヴィニシウス、ヒメネスはいずれも序盤戦からCFとしては苦戦。とりわけプレスの牽引役としての役割を果たすことに苦しんでいるように見えた。チームとしてはボールを奪う位置が低くなる。そうなると今度は前進に手間がかかる。

 前進に大きな負荷がかかるということはCFはチームを押し上げるという仕事も追加されることになる。その点でもミトロビッチの存在感は圧倒的。先に名前を挙げた3人は攻守の両面で前任者を凌駕することができていない。

 ということで前からのプレスと前進の基準点としてのCFの機能性の低下がここまでの今季の苦戦につながっているイメージである。ミトロビッチはこれに加えてボックス内でのスコアリング能力を兼ね備えていたため、出力が下がってしまうのは正直仕方ないところだろう。

 だが、シーズンの中盤からは主にプレスの基準点としてヒメネスが頭一つ抜け出した感がある。前進に関する寄与まで手が出るほど器用ではないが、ボックス内でのフィニッシャーとしての感覚は徐々に取り戻している様子。持ち味のワーヘッドを生かした得点パターンは復活の兆しを見せ始めている。直近のフラムの試合の不安定な部分はニューカッスル戦で退場したヒメネスの不在が色濃い。

 他の選手のパフォーマンスで言えば、CBのバッシーとLSBのロビンソンの好調さが際立つ。バッシーはボールを運ぶところのダイナミックさで持ち味が出てきており、ロビンソンはポジトラからの素早い攻め上がりが目を引く。ハムストリングの負傷からウィリアンがもしフィットするのであれば、左サイドの攻め手は十分な威力を持つことになる。ウィリアンの復帰の可否はロビンソンを生かし、フラムの攻守のメカニズムをスムーズに回せるかどうかの重要なポイントになるだろう。

ハーフスペースの封鎖の仕方は共有したい

 アーセナルは基本的にはウェストハム相手の対策とやることは一緒。フラムはウェストハムと同じく、バックラインに対して枚数を合わせた強引なプレッシングはしてこない。そして上に述べたように中盤より前でボールを回収できるか否かがシステムの出来を大きく左右する。

 すなわち保持側としてはFW-MF間を広げて中盤の負荷を広げていきたいところ。MFのカバー範囲で言えばパリーニャ以外の選手はウェストハムよりはやや割引という感じである。かつ、ロングカウンターについてはウェストハムの方が上。

 ただし、フラムはウェストハムほどの直線的な攻め筋はないものの、その分サイドの攻撃に関する手数をかけた崩しは積極的にやってくる。基本的にはポケットを取ることで押し下げるアクションが多いが、2列目のポジションの自由度はやや上がっており、時折逆サイドまでイウォビがオーバーロード気味に顔を出すこともある。アーセナルからすればハーフスペースの封じ方をきっちりと共有したいところ。オーバーロードで勝負をかけてくるのであれば、スペースごと圧縮するスライドで太刀打ちしたい。

 この試合のもう1つのポイントはアーセナル側に日程的な不利があること。ボクシングデー当日に試合をした中4日のフラムに対して、アーセナルは28日に試合を行っており中2日という厳しい日程になっている。

 前節までのアルテタの用兵を見ると、出場停止のハヴァーツの復帰以外は大きくスタメンをいじらないと予想する。そうなれば、90分きっちりと優位をキープしつつづけるのは難しい。幸い、ラインを下げた時の強度に関しては今のアーセナルはそれなりに信頼度はあると思うので、守備をするにしても過度な心配は不要かもしれない。押し下げられたとしてもプレスを回避しながら攻撃に移行することはできるだろう。

 その攻撃に関しては前節の反省を活かしたいところ。優位を取れる時間が限られるのであれば、その質を上げることにはこだわりたい。ボールばかり前に送り、人を前に送れなかった前節の反省を踏まえて、ボールと一緒に人も前に送り込む形を意識したビルドアップを行いたい。

 正直、ウェストハム戦の敗戦は悔しい。リバプール→ウェストハムのローテは昨季後半戦に連続ドローで失速した行程。自分たちが強くなったことを証明するためにもウェストハムには勝ちたかった。と言ってももう終わってしまった話は仕方がない。2023年の後悔を年内で断ち切るためにもクレイブン・コテージを是が非でも攻略したいところだ。

【参考】
https://www.bbc.com/sport/football/premier-league

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