局面勝負で優位に立ったアーセナルが優勝争いに踏みとどまる
レビューはこちら。
アーセナルにとっては上位争いに生き残るための大一番。ホームに勝ち点差5のリバプールを迎えての一戦となる。序盤はアーセナルの保持からのプレス回避が光る立ち上がりとなった。バックラインはしつこいくらいのパス交換を繰り返しながら、リバプールのプレス隊を前に引き出す動きを誘発。この辺りは中盤CHにジョルジーニョを起用した狙いが詰まっているといっていいだろう。
ジョルジーニョ、ジンチェンコといったスモールスペースのマエストロがいる左サイドはとりわけリバプールとのプレスの駆け引きでは優位が見える。高い位置からのボールを奪いに来させると、その分空いた中盤のスペースを蹂躙するような細かなパスワークで前進。先制点の場面はまさしくアーセナルの狙いが詰まった場面といえるだろう。
対するリバプールも低い位置からの保持で攻撃を回していくトライを行う。マック=アリスターをフリーにするためのパスワークを見せていくが、ハヴァーツの外切りからジョルジーニョがボールをハントしたり、中盤セントラルに絞る相棒役(ゴメスやジョーンズ)をライスに潰されたりなど思うように起点を作ることができない。
大外専用機となったアレクサンダー=アーノルドは先制点以降によりマークが厳しくなったマック=アリスター以外の唯一の前進手段。ジンチェンコとマルティネッリの受け渡しが危ういところから、一気に大外を進んでいく。
それでもチャンスメイクにはかなりの差があった両チーム。だが、そんな状況でも得点を生み出せるのがリバプール。サリバとラヤの連係ミスから生まれたわずかな隙から足先でボールを突っついたディアスがオウンゴールを誘発。諦めの悪いクロップのチームらしいゴールでハーフタイム前に同点に追いつく。
前半の終盤の勢いそのままに左サイドから進撃していくリバプール。後半の立ち上がりはアーセナルのプレスに細かなミスが見えた時間帯だった。しかし、ジョルジーニョを軸に保持でテンポを整えて応戦。きっちりと敵陣に押し返す機会を確保する。
すると、今度はリバプールのバックスにミス。風に煽られた影響かアリソンとファン・ダイクがうまく対応できなかったこぼれをマルティネッリが押し込んで勝ち越し。前半のアーセナルのミスとトントンになるエラーでアーセナルが勝ち越しに成功する。
こうなるとアーセナルは堅さが際立つ。前線のプレスバックをさぼらないアーセナルにリバプールは苦戦。外や裏狙いの一発が刺さらず、なかなか相手を動かしてのスペース創出をすることができない。
さらにはロングボールからアーセナルはコツコツ反撃。マルティネッリとハヴァーツを軸に左サイドにロングボールをガンガン当てていくと、最終的にはコナテを退場に追い込むことに成功する。
最後はディアスとエリオットで守ることとなった右サイドをトロサールが制圧して3点目をゲット。リバプールに持っていかれかけた流れを引き戻したアーセナルが首位戦線に踏みとどまる大きな1勝を手にした。
ひとこと
要素還元的に見てもアーセナルの勝ちは妥当。試合後の大喜び具合が彼らのプランがいかにハマったかを如実に示している。
試合結果
2024.2.4
プレミアリーグ 第23節
アーセナル 3-1 リバプール
エミレーツ・スタジアム
【得点者】
ARS:14‘ サカ, 67’ マルティネッリ, 90+2‘ トロサール
LIV:45+3’ ガブリエウ(OG)
主審:アンソニー・テイラー