Fixture
プレミアリーグ 第24節
2024.2.11
ウェストハム(7位/10勝6分7敗/勝ち点36/得点36 失点36)
×
アーセナル(3位/15勝4分4敗/勝ち点49/得点47 失点22)
@ロンドン・スタジアム
戦績
過去の対戦成績
過去5年間の対戦でウェストハムの3勝、アーセナルの7勝、引き分けが2つ。
ウェストハムホームでの成績
過去10回の対戦でウェストハムの2勝、アーセナルの4勝、引き分けが4つ。
Head-to-head from BBC sport
- ウェストハムはすでに今季アーセナル相手に公式戦で2勝を挙げている。11月のEFLカップでの3-1での勝利と12月のエミレーツでの2-0のリーグ戦。
- ウェストハムは06-07以来初めてのアーセナル相手のリーグダブル達成の可能性。
- ウェストハムが同一シーズンでアーセナルを3回破ったら1924-25以来のこと。
- アーセナルはウェストハムとのプレミアでのアウェイゲームは直近15試合で1回しか負けていない(W9,D5)。
スカッド情報
- ルーカス・パケタとマイケル・アントニオは引き続き欠場。
- 先週末に顔を負傷したアルフォンソ・アレオラは起用可能の見込み。
- ブカヨ・サカは起用可能の見込み。
- 腿の負傷を抱えるオレクサンドル・ジンチェンコと膝の負傷を抱えるガブリエル・ジェズスは評価予定。
Match facts from BBC sport
- 先週末のマンチェスター・ユナイテッド戦での敗戦でリーグ戦6戦無敗がストップ(W3,D3)。
- 昨季のプレミアでの勝利数の11にあと1勝で並ぶ。
- 10月下旬以降のホームでの公式戦では10戦無敗(W6,D4)
- ロンドン・スタジアムになってから初めてプレミアでのホームゲームで7戦無敗の可能性。
- しかし、2024年になってからはまだ公式戦で未勝利(D4,L2)。7試合連続で勝てなかった場合、1997年以降初めてのこと。
- ジャロッド・ボーウェンはキャリアベストのプレミアゴール数にあと1つで並ぶ。ロンドン・スタジアムでの公式戦のアーセナル戦は過去4回全てで得点を決めている。
- 1935年以来の年初からのリーグ戦4連勝を狙う。
- 直近4試合のリーグでのアウェイゲームで1勝のみ(D1,L2)。
- アウェイでのリーグ戦11失点はリーグ最少。
- しかし、直近12試合のアウェイでの公式戦でクリーンシートは1つだけ。
- 直近7試合のプレミアでのロンドンダービーのうち、5試合でポイントを落としている。
- 90分以降のプレミアでのゴール数は8でリーグ最多。また、この時間帯で失点がないリーグ唯一のチーム。
- レアンドロ・トロサールはアーセナル移籍以降のプレミアリーグで99分ごとにゴールかアシストを決めている。1000分以上プレーした選手としてアーセナルでより優れたレコードを持っているのはティエリ・アンリとロビン・ファン・ペルシーの2人だけ。
予習
第21節 シェフィールド・ユナイテッド戦
第22節 ボーンマス戦
第23節 マンチェスター・ユナイテッド戦
今季ここまでの道のり
予想スタメン
展望
アーセナル戦後の停滞の理由は?
リバプールとの燃え上がるような一戦を経て、アーセナルが今節対峙するのはウェストハム。ロンドンスタジアムに乗り込んでの一戦となる。リバプールとの大一番は毎回非常にタフなものだが、昨今のアーセナルはその直後になぜか必ず待ち受けているウェストハムにも非常に苦しめられている。
直近の2つのウェストハム戦とのリーグ戦でアーセナルは未勝利だが、そのいずれもリバプール戦の後に待ち構えている構図であった。昨季は引き分け、そして記憶に新しい連発は敗戦とかつては得意だったウェストハムとモイーズ相手に結果を出せていない状況が続いている。リバプール後のウェストハムというローテはまさしく近年のアーセナルにとっての鬼門といっていいだろう。
そのウェストハムは年末のアーセナル戦勝利以降、なかなか勝利を手にすることができていない。3戦連続のドローの後の直近のリーグ戦ではマンチェスター・ユナイテッドにコテンパンにやられてしまった。3つの引きわけの中にはブラモール・レーンに飲み込まれる形で最下位のブレイズに勝ち点を献上している試合も。欧州カップ戦争いからは徐々に遠ざかりつつある。
大きな影響を感じるのはパケタの不在だ。守備に汗をかきながら攻撃ではひらめきを与えることができるセレソンの負傷離脱はウェストハムの攻守に大きな影響を与えている。
パケタがいなくなることで最も困るのは前進のフェーズだろう。ボールをキープしてファウルを奪ってくる、もしくは高い位置にいる味方に足の長いパスを出すことができるというメカニズムの構築ができなくなる。こうなるとウェストハムは前進のスキームごと見直す必要が出てくる。
パケタがいないとなると、本来であればパスを受けてフィニッシュもしくはラストパスに専念していればOKというボーウェンやクドゥスが前進のフェーズを担う必要が出てくる。単独で無理が効くクドゥスに比べると、ボーウェンはスピードよりも駆け引きで抜け出すアクションを見せるタイプ。手前のフェーズでの揺さぶりがないとなると、よりパケタ不在の影響が大きいのはこちらだろう。
クドゥスもキープして反転して加速してフィニッシュまでを全部やれ!というのは酷。前々節のボーンマス戦では彼が2人を引きつけていたものの、そこから先の攻撃のフェーズが全く見えてこなかった。
とりあえず前線に預けて無理をしてもらうという方向性を避けるとすれば後方からじっくりとポゼッションというやり方が考えられる。しかしながら、その後方からの組み立ても現状では機能していない。手数をかけたパスワークは致死性のミスがあまりにも多い。前節のマンチェスター・ユナイテッド戦では中盤へのパスを引っ掛けしまうことでカウンターからの失点を重ねている。
パケたがこの試合にフィットしないのであれば、ウェストハムにとっては大きな痛手になることは間違い無いだろう。救いなのはブロック守備を組むことができれば、ボックス内では強度を担保できていること。この点ではズマやアゲルトの復帰が大きい。サイドの封鎖の精度は相変わらず高い。
その一方で中央のブロック強度はやや甘さが見られる。ライン間にパスを通されて前を向かれる頻度は明らかに増えている。勤続疲労かは不明だが、ここ数試合は一時期よりもゆるさが見えているのは確かだ。ただ、その後方に構えるアレオラはのせるとめんどくさいタイプ。アーセナルとしては甘い枠内シュートで彼をのせることだけは避けたいところだ。
ハイプレスかセットプレーで試合を動かせれば・・・
ウェストハムは直近で成績が出ておらずやり方を変えてくる可能性があるチーム。前節は4-5-1で右のSHにジョンソンというかなり捻り出した感のあるスタメンだったが、2列目はそれも仕方ないと思えるほどの人材不足。どういう事情かはわからないが、ベンラーマとフォルナルスを両方出してしまったことでパケタ不在の穴はさらに大きくなっている。
それならば5-4-1もしくは5-3-2でより割り切ってブロックを組んでくる可能性は十分にあるだろう。ということでサイドで深い位置を構えるフォレストと似たような試合の展開は考えられる。CHがサイドでフローしてスペースを埋めるという構造ではむしろフォレストよりもエミレーツで実績のあるウェストハムの方が手強いと考えられる。
アーセナルは直近の3試合で連勝を決めているが、どちらかといえば決めたゴールはファストブレイク寄りのシチュエーションが多い。先に挙げたフォレスト戦もアウォニイの投入からアップテンポになってからスコアが動いた印象。ブロック攻略に関しては年末年始の課題が完全に解消しているとは言い難い。
しかしながら、得点こそないもののそうしたサイドの関係性の部分はかなり改善が見られている。特に左サイドはWGとSBの関係性、そしてそこに絡んでくるCFを使った崩しのバリエーションはここ1ヶ月でそれなりに見えてきた感がある。
スコアを動かすことができればウェストハムはオープンに動いてこざるを得ないだろう。そのためには先制点が必要だ。スローインも含めたセットプレーのフィーリングもいい。手段不問で先にゴールを決めたい。逆に押し込まれてしまうとセットプレーに関してはピンチにもなる相手である。パケタがいなければそれなりに押し込まれる時間帯は減るとは思うが、ウォード=プラウズの合わせるキックは怖さがある。
ユナイテッド戦を見る限り、ハイプレスからのポジトラもそれなりに有望。横パスのミスからのショートカウンターや縦パスをカットするカゼミーロやマグワイアの動きはライスやサリバでも十分に再現可能だ。なぜか地雷パスを押し付けられてしまうことでミスが目立っているフィリップスは出場すればボールの狩りどころのポイントになる。
フィーリングは良くなってきたとはいえ、ウェストハムのサイド封鎖の質の高さは脅威。できれば、ポジトラかセットプレーでスコアを動かし、試合自体をオープンな展開まで持っていきたい。
昨年優勝が絶望になったのはリバプール戦の結果というより、リバプール戦後の結果によるところが大きい。順位表を見ても、近年の実績面でも今のアーセナルはタイトルレースにおけるチャレンジャーであることには変わりはない。ある意味リバプール戦よりも重要なリバプール戦「後」という鬼門克服に向けた何としても3ポイントを掴み取りたいところだ。