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「速攻と遅攻それぞれの課題」~2024.5.3 J1 第11節 川崎フロンターレ×浦和レッズ プレビュー

目次

Fixture

明治安田 J1リーグ 第11節
2024.5.3
川崎フロンターレ(16位/2勝3分5敗/勝ち点9/得点12/失点13)
×
浦和レッズ(10位/4勝2分4敗/勝ち点14/得点14/失点13)
@Uvanceとどろきスタジアム by Fujitsu

戦績

近年の対戦成績

直近5年間の対戦で川崎は6勝、浦和の3勝、引き分けが7つ。

川崎ホームでの戦績

過去10戦で川崎の5勝、浦和の1勝、引き分けが4つ。

Head-to-head

Head-to-head
  • 直近5試合の公式戦での浦和戦で川崎は勝ちがない(D3,L2)。
  • しかしながら、等々力での公式戦において、川崎は2018年以来無敗(W2,D5)。
  • だが、等々力で最後に浦和が勝利した2018年の試合はGWに開催されている。
  • ここ8試合アウェイチームの勝利がないカード。

スカッド情報

川崎フロンターレ
  • 宮城天、車屋紳太郎、大島僚太は離脱が続く。
  • 三浦颯太、丸山祐市も負傷のため欠場。
  • 小林悠は前節の広島戦で負傷交代。
  • チョン・ソンリョンは前節のウォーミングアップ中に腰を負傷。
  • 高井幸大は代表活動のため不在。
浦和レッズ
  • 前田直輝、松尾佑介は名古屋戦直後のセッションで別メニュー調整。
  • 酒井宏樹、岩尾憲は個別メニュー消化中。
  • オラ・ソルバッケンはボールを使ったトレーニングを解禁。
  • 関根貴大はピッチでの練習に合流できていない様子。
  • 大久保智明、小泉佳穂は名古屋戦を欠場しているが特に大きな負傷の情報はなし。
  • 安部裕葵、ブライアン・リンセンは欠場が続いている。
  • 大畑歩夢は代表活動のため不在。

予想スタメン

Match facts

川崎フロンターレ
  • 直近9試合のリーグ戦で1勝のみ(D3,L5)
  • 昨年9月以来のリーグ戦5試合連続未勝利。
  • ここまでリードを奪った試合は4試合でこれより少ないのは新潟(3)だけ。
  • 前半15分で得点を挙げた試合がここまでない。
  • 今季勝利した2つのリーグ戦はいずれも脇坂泰斗がゴールを挙げている。
    • 昨季、等々力での浦和戦で得点。
  • エリソンは直近6試合のリーグ戦でノーゴール。
浦和レッズ
  • 勝てば今季初めてのリーグ戦連勝。
  • 10試合終了時点での勝ち点は14であり昨季より3少ない。
  • 名古屋に並び115回のタックルはリーグ最多。
  • アウェイでの勝ち点はここまで4であり、これより少ないのは札幌(2)と鳥栖(1)だけ。
  • 西川周作はリーグの川崎戦で直近10試合クリーンシートがない。対戦相手ベースの成績で言えば、西川にとって川崎(22)はG大阪(23)に次いでキャリアで最も多く負けている相手。
  • チアゴ・サンタナは直近の公式戦7試合で5得点。

予習

第8節 柏戦

第9節 G大阪戦

第10節 名古屋戦

展望

見られる試行錯誤の痕跡

 3連戦の2試合目はGW唯一の等々力開催。ホームに近年の対戦成績が振るわない浦和を迎えての一戦である。

 ヘグモ新監督の招聘に加えて、多くの新戦力を招いてのチーム作りとなった今季の浦和。戦力の充実度で言えばリーグでの屈指のチームなのだろうが、新しい仕組みの落とし込みにおける試行錯誤はまだまだ続いているという印象である。

 フォーメーションは4-3-3がベース。ビルドアップの特徴はSBの位置がかなり低いこと。CBはわりかし持ち運べる選手がいるように思えるし、西川にボールを戻すこともできるので、DFラインと変わらない立ち位置にいるのは少し不思議な感じがする。

 この低い位置にいるSBが活躍するのはむしろ縦に早い局面。バックラインからのロングボールを引き出しながら、前線に駆け上がるアクションで大外の起点になる。ロングボールに関しては前線3枚の裏を狙う動き+IHがセカンドを拾う役割で間延びしたライン間を突くという形か、大外に立つSBのどちらかを使う印象。SBは後方から上がってくる+WGは背後を狙うアクションも行うので、SBを捕まえるのは少し難しい。浦和のビルドアップは前後分断気味ではあるが、縦に早い攻撃に関する引き出しはそれなりにありそうである。

 もう少し、ショートパスをベースで進めていくならば、やはりグスタフソンをどのように解放するかがポイントになるだろう。アンカーの管理が甘いチームであれば、ボールを引き出すためのスペース確保の嗅覚に優れているグスタフソンはスムーズに前を向くことができるが、そうでなければ対戦相手を動かしながら解放のメカニズムを整える必要がある。SBが低い位置をとる分、CBのキャリーから解決することは少なくなっている感がある。

 川崎ファンならわかると思うが、もっともオードドックスな解放はIHが降りるアクションでアンカーに壁になることだろう。アンカーの動き直しを絡めればより相手にとっては捕まえにくい動きにはなる。

 浦和でもIHが降りるアクションを見せることが多い。少し面白かったのはG大阪戦。この試合ではLWGが中島、LIHが大久保だったのだけども、降りるアクションはどちらがやってもOKというニュアンス。比較的に均質な動きができる選手によって狙いを惑わせようとしていた。

 ショートパスで繋いでいく形に関してはアタッキングサードでのノッキングという川崎と共通の問題点を抱えている感がある。サイドには多くの人数をかけての崩しを行うが、3人目の動きがなかなか機能しない。欲しいところに現れてボックス内に決定的なチャンスを供給するという点ではグスタフソンが最も強力。プレミアで言えばロドリっぽく、いざとなれば前に出て点に絡めそうな司令塔である。連携面やスペースの供給に関しては伊藤と少しずつ繋がっている感があるのが興味深い。

 ただ、現状としてはそうした場面はそこまで多くはない。より前後分断的に勝負してスペースがあったりするトランジッション色が強い状況の方が得点は入りそうだなという感じである。

 それもあってか、ここ2試合の浦和はプレッシングの位置がかなり高くなっている感がある。柏戦では少しオープンな状況をCBが制御しきれなかった感があったが、ショルツが復帰してからは平気だろう。

 オープンな状況に対して不安なのはCBよりもSB。特に左の渡邊は晒される守備になると苦しい部分が垣間見える。WGとの対面守備で優勢を計算するのは少し難しくなっている印象だ。

 基本的には4-3-3からIHが前に出ていく(伊藤が後方にステイし、相方が前に出ていくことが多い)形で4-4-2に形を変えていくプレスを行っている。晒されるSB問題も浦和にはあるが、撤退した場合の守備に対しても気になるところはある。

 まずはアンカー脇のスペースの話だろう。4-3-3での泣きどころであるグスタフソンの両脇のケアは浦和の守備の問題である。それを塞ぐための4-4-2へのシフトなのだと思うけども、この移行がスムーズにいかないことも多い。IHが出ていくタイミングが遅れたり、あるいはWGとIHが同時に突撃して相手のSBが開いてしまったりなどプレスのスイッチにおけるミスもちらほら。

 反対にラインを下げすぎて振り回されるケースもある。縦へのコンパクトさを意識するあまり、ブロック全体の位置が下がっている上、ホルダーに制限がかからない状況が発生することもしばしば。川崎が近頃見た傾向としては広島戦の大橋の先制点における川崎の2列目の守備のようなイメージだ。ボックス内のクロスの左右の受け渡しも含めて、守備は人数がいても相手に触られてしまうこともあり、出されてしまう状況とクロスを跳ね返すところの両面で解決策が欲しい。

 このように試行錯誤は継続中。どのプランをどのような形で落とし込むのかのところからまだまだ浦和のトライは続いている感じがある。

前線の並びはいかに

 まず、川崎からすれば最も警戒すべきは当然グスタフソンからのゲームメイクだろう。破壊力があるWGやサンタナにボールを自在に供給できる司令塔をフリーにしてしまえばしんどいことになる。前節は4-3-3で布陣を組んだ川崎だが、中盤の形を相手に合わせるということを念頭に置くと4-2-3-1への回帰がベターになる。浦和のサイドアタックに対してもCHがカジュアルにポケットを埋める形で対応できるし、少なくとも非保持はこの形をベースにするのがいいのではないか。

 浦和に対して警戒を強める必要があるのは大外で勝負できるポイントが多いこと。前田、松尾を筆頭に多くの選手がサイドから勝負を仕掛けてくることができる。ポケット攻略にフォーカスするのも大事だが、外でSBが耐えられるかどうかは真価が問われることになる。ファン・ウェルメスケルケンや瀬川にとっては正対した時のDFスキルで踏ん張れるかは重要だ。仮に踏ん張ることができれば浦和は複数の選択肢を突きつけながら攻め込むことが難しくなるだろう。3人目として攻め上がりが多いグスタフソンはここでも警戒が必要な存在である。

 速攻に関しては大外とハーフレーンをどのようにケアするか。WGが下がるのが普通ではあるが、家長とマルシーニョ、エリソンが常についていくのは難しい。そうした状況の中で高い位置からどれくらい捕まえにいくかも重要な観点となるだろう。

 こちらの保持に対しては逆にプレスを手前に引きつける動き→ロングボールは効きそうな相手。特にSBでの先発が予想される渡邊と家長のマッチアップに長いボールを放り込めばスムーズに前進できる可能性は十分にある。

 家長を中央にしてエリソンをワイドに!という意見もある。エリソンに前を向かせたいことを前提に置くのであればそのプランもわかるが、ロングボールが収まるマッチアップと引き換えである。もっともエリソンでも渡邊相手ならやれるかもしれないが。いずれにしても家長をどこに置くかを念頭に置いた速攻のデザインは欲しいところである。

 広島戦を見れば自陣からの繋ぐアクションにはそれなりに手応えを感じているはず。ただこちらに関してはアタッキングサードにおける詰まり方は据え置きの課題になっている。これに関してはエリソンを外に置くことで解決できることはあまり多くはないのではないかと踏んでいる。ブレイクスルーを見つけることができるかは重要なポイントであろう。

 浦和はSBとアンカー脇のカバーを含めるとCBのタスクはややオーバーフロー気味なので、突くことができる要素がないわけではない。クロスに対するマークのズレも散見される。川崎が課題を克服できれば得点のルートは十分にあるはずだ。

 個人的には浦和相手にはファストブレイクを磨く形の方を大事にすべきと感じてはいるが、シーズンを通してみれば押し込んだ時のブレイクスルー探しも重要。攻撃のテンポに沿った課題の解決をできるだけ早めに図りたいところである。

 

【参考】
transfermarkt(
https://www.transfermarkt.co.uk/)
soccer D.B.(
https://soccer-db.net/)
Football LAB(
http://www.football-lab.jp/)
Jリーグ データサイト(
https://data.j-league.or.jp/SFTP01/)
FBref.com(
https://fbref.com/en/)
日刊スポーツ(
https://www.nikkansports.com/soccer/)

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