Fixture
プレミアリーグ 第27節
2024.3.4
シェフィールド・ユナイテッド(20位/3勝4分19敗/勝ち点13/得点22 失点66)
×
アーセナル(3位/18勝4分4敗/勝ち点58/得点62 失点23)
@ブラモール・レーン
戦績
過去の対戦成績
過去10回の対戦でシェフィールド・ユナイテッドの2勝、アーセナルの7勝、引き分けが1つ。
シェフィールド・ユナイテッドホームでの成績
過去10回の対戦でシェフィールド・ユナイテッドの3勝、アーセナルの3勝、引き分けが4つ。
Head-to-head from BBC sport
- アーセナルは直近3試合のシェフィールド・ユナイテッドとのリーグ戦で10-1の合計スコア。
- アーセナルは勝てばシェフィールド・ユナイテッドとのアウェイゲームで初の3連勝。
スカッド情報
- ベン・ブレアトン・ディアス、ジョージ・バルドックはフルトレーニングに復帰し、アーセナル戦で起用可能。
- キャメロン・アーチャーはふくらはぎの負傷で離脱。メイソン・ホルゲイトは出場停止。
- トーマス・パーティには10月以来初めての出場の可能性。
- オレクサンドル・ジンチェンコと冨安健洋は当日評価。ガブリエル・ジェズスも膝の怪我を評価しつつ起用を見定める。
Match facts from BBC sport
- 直近5試合のリーグ戦で4敗。
- 公式戦においてホームゲームで4試合連続5点以上の点差で敗戦する英国初めてのチームになる可能性がある。
- 無得点で今季初めての3試合連続ノーゴール。
- リーグ戦26試合で66失点はトップリーグでは1963-64のイプスウィッチ以来の多い数字。
- オリ・マクバーニーは直近4試合のホームでの出場したリーグ戦でいずれもゴールを決めている。
- 7連勝を狙う。
- 2024年のプレミア6試合で25得点を挙げており、1試合平均得点は4点を超えている。
- アウェイでのリーグ戦4連勝を狙う。
- アウェイゲームで3試合連続5点以上の点差で勝利する英国初めてのチームになる可能性がある。
- 10のクリーンシートは他のチームを2以上離してリーグ最多。
- プレミアの歴史においてハーフゲームでの複数ゴールを7回連続記録している初めてのチームになった。
- ブカヨ・サカは直近5試合のプレミアでの出場でいずれもゴールを決めており、うち2つのアウェイゲームではいずれも2得点を決めている。
予習
第24節 ルートン・タウン戦
第25節 ブライトン戦
第26節 ウォルバーハンプトン戦
今季ここまでの道のり
予想スタメン
展望
我慢だけじゃ間に合わない
2024年のアーセナルはここまでカップ戦で全敗、そしてリーグ戦で全勝という偏った成績。カップ戦での2つの黒星のうち、特に先週のポルト戦での敗戦はダメージが大きいように見えたが、得意のリーグ戦においては中2日ながらニューカッスルを撃破するなど、見事なリカバリーを見せている。
少し間隔のあいた今節は最下位のシェフィールド・ユナイテッドの本拠地に乗り込んでの一戦となる。開幕からブレイズのプレミアライフは苦境一色。最少得点、最多失点のコンボでは現在の順位であるテーブルの一番下という立ち位置も仕方ないものだろう。
冬の市場では攻守に即戦力を獲得したが、ここまで細かい怪我に泣かされており、なかなかリズムに乗れていない。グルビッチやすでに復帰を果たしているし、加入後2試合で2得点を挙げたブレアトンはアーセナル戦で復帰の見込みではあるが、一刻も早く文字通りのフル稼働を果たしてほしいところだ。
前線はこのブレアトンをはじめとして負傷者が多く、序列が定まっていない感がある。最もダメージが大きいのはアーチャー。前線までのキャリーと高いフィニッシュ性能を備えた彼が3月末まで負傷離脱してしまうのはブレイズにとっては痛手どころの話ではない。
マクバーニーは体のキレは悪くないようには見えるが、直近ではオスーラやブリュースターが優先されており、使う機会がないという苦しい状況。こうなると、コンスタントに得点に結びつけるプレーが計算できるのはマカティ―くらいである。
それでも攻撃陣に関しては負傷者が戻ればそれなりに光はなくはない。より希望が小さいのはバックラインである。こちらは多少怪我人が戻ってきたとて、できる範囲は限られてしまっている感がある。全員が揃ったとしてもプレミア水準のクオリティに届くかは怪しさがあるといわざるを得ない。
レギュラーとして確固を築いている選手はいるにはいるが、その代表格であるアフメドジッチとソウザは前節の直前にまさかの小競り合い的な衝突を行い、味方になだめられるシーンがあった。後半には内容的には待ち返すことはできた時間帯もあったが、チームの雰囲気の助けになったかはわからない。
守備陣の問題点としては仕組み以上に個人が局面で粘れないことだろう。3-5-2をベースになるべく高いところから捕まえたいという気持ちは見えるチームではあるが、それを実践できるかは別問題。高い位置から追えば、陣形は拡大と収縮を繰り返しながらボールを奪えない。そうしたプレス時のコンパクトネスの維持は得意ではなく、出ていった選手がボールを取り切るケースもあまり多くはない。
特に中盤とDFラインの乖離は激しい。中盤が出ていくのにDFラインがついていけず、DF-MF間のスペースが空いてしまうというケースはかなり多い、ここから運ぶ意識は持っておきたいところである。
ローラインであればスペースの管理の観点では難易度は下がるが、苦戦は続くことになるだろう。理由の1つは深い位置から独力でカウンターを完結させることができるネトやトニーのようなFWがいないこと。もう1つは図では表すことが難しい守備でのエラーが多いこと。盤面上は相手を捕まえているように見ても簡単にスライディングしてしまったり、安易に飛び込むことで逆を取られる隙を与えたりなど、ボックス付近での対応はかなり怪しい。単純にプレミアのアタッカーに対して後手を踏む形になっている。
そうしたプレー1つで撤退守備は簡単に崩壊し、0-0のまま推移するというプランは無になってしまう。だいぶテイストは違うが、ホルゲイトの三笘へのタックルもこれに分類できるだろう。ブライトン戦でのオールコートマンツーの挑戦はこうした個人のワンプレーで強制終了せざるを得なかったのである。
もっとも、すでにこうした我慢さえ身につければ何とかなる段階はとうに過ぎている。我慢は前提。そのうえでゴールを奪いきらないと奇跡を起こすことはできない。攻守のかみ合わせを1試合でも早く行い、グレートエスケープへの準備を進めなければ、サマータイムが始まる時期には残留の希望はついえてしまう可能性もある。
勝ち以上のものを乗せたい
シティが勝ち点を落としかけるなど、ブラモール・レーンは必ずしも3ポイントを簡単につかみ取りさせてくれるスタジアムではない。それでも、プレミアではこれよりイージーな舞台を見つけることは難しく、アーセナルにとっては3ポイントの獲得は最低限の目標という位置づけになるだろう。
相手の攻撃で脅威になりそうなのはドリブルができるマカティ―、距離のある所からゴールを狙えそうなブレアトンとハーマー。あとはセットプレーくらいだろうか。アフメドジッチの捨て身の持ち上がりも、アーセナルのプレスが弱まれば可能性もなくはないが、先に挙げたものより前に来る武器ではないだろう。
いずれにしても敵陣にボールを運ばないと機能するのは難しいので、まずはマカティ―に前を向かせないようにチェックをかけるのが最重要ポイント。ここを寸断できればハーマーやブレアトンにボールは届かないし、セットプレーのチャンスも来ないはず。
保持では当たり前のことを繰り返せばOK、バックラインの引き付けでミドルゾーンを空けつつ、プレスをひっくり返す形で前進。行けるのであればそのまま、難しいのであればWGにボールを預けて彼らの引力を使ってポケットに侵入してクロスを繰り返す。これでエラーを待つ、もしくは逃げた先のCKからセットプレーでこじ開けられれば試合は楽に進められるはずだ。
サッカーは相手がいるものなのでこういう考え方はあまり好きではないのだけども、自分たちのやるべきことをきっちりやれば結果はついてくる試合だと思う。やることの目線を下げずに、地道に揺さぶりをかけたい。こじ開けることができれば、集中力はガクッと下がるので、ゴールの道は開かれることになる。
あとは勝つ上で何を乗せるかだろう。前と後ろに試合間隔があることを踏まえると、基本的にはラヤ、ホワイト、サリバ、ガブリエウ、ライス、ウーデゴール、サカ、マルティネッリの先発は確定。ハヴァーツも可能性は高いだろう。となると残りは2枠になる。ここを誰が埋めるかは気になる部分だ。
日程を少し先まで見てみると、CLで次ラウンドに進むという皮算用をするのであれば、4月はすべてのミッドウィークに試合がある可能性がある(CL×2、PLルートン戦、日程未定のPLチェルシー戦延期分)。となれば、この試合と次のブレントフォード戦での勝利の次の目標はポルト戦、シティ戦そして4月に向けた戦力拡充ということになる。ただし、最近は失点がかさんでいるとはいえ、ブレントフォード戦ではこうした調整の時間を挟める展開になるかはブレイズ戦以上に不明瞭だ。
4月のリーグ戦の相手はルートン(H)、ブライトン(A)、アストンビラ(H)、ウルブス(A)、トッテナム(A)。ブレントフォード戦以降で計算しやすい戦力拡充のタイミングがあるとすればルートン戦くらいだろう。それ以降は計算できるスカッドで週2をフルに回していきましょうモードに突入する可能性が高い。なので、別ルート扱いのティンバーを除けば、戦力としてはルートン戦までで信頼度を高めたメンバーで残りのシーズンを回すのではないかというのが個人的な見立てである。無論怪我人が出てしまえば、この計算は動くことにはなると思うが。
戦力拡充の重要性がこの試合において高いのは今節から復帰が見込まれる選手たちの調整も進めていく必要があるから。ジェズス、ジンチェンコ、冨安、トーマス、ヴィエイラのうち何人をCLまでに戦力化できるかは重要なポイントになるだろう。それを踏まえると前節までにチャンスを与えられながら結果を出せなかったヘイルエンド組の出来は致命的だった可能性もある。
個人的にはこの試合ではトーマスをテストしたいところ。離脱組の中で一番どの水準にパフォーマンスが位置するかが読みにくい。45-60分くらいプレーできる状態であれば、先発スタートから縦にパスを差し込む感覚と即時奪回で迎撃する感覚をつかんでおきたいところである。
アルテタは何人で回すという考え方よりも、信頼できるメンバーがどこまでいるかどうかでスカッドのサイズを決めている感がある。こと終盤戦においてはその考え方はとても大事なものだと思う。
CLのポルト戦では交代選手は2人だけ。あの試合では信頼できるメンバーは13人だったということだ。セカンドレグ、そしてプレミアの優勝争いにおいてこのメンバーが何人まで増えるのか。ブレイズ戦は試合の勝敗以外に、リミットが迫っているアルテタの信頼感の切符を勝ち取るメンバーが何人生まれるかも見どころの1つだ。