MENU
カテゴリー

「Catch up Premier League」~Match week 2~ 2021.8.21-8.23

目次

①リバプール【3位】×バーンリー【12位】

画像2

懐かしさ漂う完勝

 開幕戦で順調な仕上がりをアピールしたリバプール。この試合でも高い水準でパフォーマンスが出来たといっていいだろう。立ち上がりこそ、アレクサンダー=アーノルドの裏を狙ったバーンリーに押し込まれるが、今季のリバプールにはファン・ダイクがいる。明らかに昨年よりもアバウトなボールへの耐性は強い。

 立ち上がりの圧力を押し返して保持からペースを握るリバプール。まずは中盤の数的優位を使いながらアンカーが浮く状況を狙う。またIHはかなり細かく立ち位置を気にしており、余裕があるときは最終ラインからダイレクトにDF-MFのライン間に待ち受けるIHに縦に付けることもあった。

 加えて、リバプールには最終ラインからの対角へのフィードもレパートリーに。アレクサンダー=アーノルドの右→左への揺さぶりに加えて、こちらも帰ってきたファン・ダイクのフィードで左⇒右への選択肢も開通したリバプール。中央から大外まで自由に届けられるようになると選択肢もだいぶ広がってくる感じである。

   リバプールの先制点はサイドのクロスから。バーンリーとしてはグズムンドソンとロートンのマークの受け渡しがうまくいかず、フリーでクロスを上げさせてしまった場面。バーンリーのCB陣の怒り方を見ればフリーでクロスを上げさせたことでチームの思惑を外されたことは明白であった。

   この日のリバプールで際立っていたのは右サイド。サラーとアレクサンダー=アーノルドを的確にフォローしながら内外のレーンを取ることが出来るエリオットはばっちりリバプールのIHとしてのタスクを全うしたといえるだろう。個人的にはサラーもエリア内にとどまりフィニッシュに専念(それも怖かったけど)してた昨シーズンよりも外に流れつつ相手を動かすフリーランが増えたのが印象的。コンディションがいい状態であることを示しているように思う。追加点はこの右サイドの連携からだった。

 ファン・ダイクのフィード、右サイドのトライアングルの関係性、サラーのフリーラン。昨季のリバプールにたりなかったピースが1つずつ帰ってきたことを実感するリバプールの完勝劇だった。

試合結果
2021.8.21
プレミアリーグ 第2節
リバプール 2-0 バーンリー
アンフィールド
【得点者】
LIV:18′ ジョッタ, 69′ マネ
主審:マイク・ディーン

②アストンビラ【11位】×ニューカッスル【15位】

画像6

■落ち着かない展開の先に

 初戦を昇格組のワトフォード相手に落としてしまったアストンビラ。ホーム開幕戦は同じく開幕戦で黒星だったニューカッスルとの一戦である。

 立ち上がりから非常にオープンな展開だった。間延びした陣形をボールが行ったり来たり、落ち着かない状況の中で序盤戦は進んでいく。そうした状況への対応はニューカッスルの方が慣れている感じ。カオス慣れしている。アストンビラは開幕節もだけど、早い攻守の連続だと守備の綻びがどうしても目立ってしまう感じである。逆に言えばニューカッスルはこのバタバタしている展開のうちに先制点が欲しかった感じがある。

 アストンビラはなんというか忙しいチームになったなという感じ。やはり味方の押し上げのための時間を作ることができるグリーリッシュの不在の影響は否めない。早い流れにおいてのボールの預けどころを見出すことができなくなっていく。

 20分くらいにようやく試合が落ち着いた感じ。保持をして落ち着き出したのは意外にもニューカッスルの方だった。バックスが幅を取りながらピッチを広く使いながら作っていく。開幕戦はらしさ全開だったサン=マクシマンはどこか淡白。よく言えば球離れがいいんだけど、ニューカッスルはピッチを広く使うことが目的化していた感じ。ボールは回るんだけど、攻め所を見つけられなかった。

 展開が落ち着いた中でアストンビラはSBを絡めた左右のトライアングルから徐々にリズムを掴んでいく。グリーリッシュで効かないタメは動きながらカバーする!という感じでトップに入っているイングスも左右に流れてスペースで受ける意識が高まっている。

 ゴールは展開とは関係ないスーパープレーから。CKからゴールを生んだのはアクロバティックなイングスのバイシクル。前半終了間際にアストンビラが先手をとる。

 後半も攻め手を見つけきれないニューカッスルを尻目にアストンビラは押し込む機会から追加点をゲット。ラッセルズのハンドからPKを沈めてさらにニューカッスルを突き放す。

 悪い意味でガチャガチャ感がなく、物足りなかったニューカッスル。対照的にバランス探し中のアストンビラにとっては大きな勝ち点3となった。

試合結果
2021.8.21
プレミアリーグ 第2節
アストンビラ 2-0 ニューカッスル
ビラ・パーク
【得点者】
AVL:48′ イングス, 62′(PK) エル・ガジ
主審:デビット・クーテ

③クリスタル・パレス【18位】×ブレントフォード【6位】

画像3

■壊し合いまではいかず

 共に第1節はロンドンダービーだった両チーム。第1節で得られた結果は対照的だった。アーセナルにプレミア初勝利を決めたブレントフォードはこの試合でもラヤが抜群の存在感。自陣深い位置からのフィードは質が高く、積極的なプレッシングに出てきたクリスタル・パレスを苦しめる。

 前線でいえばアーセナル戦でも活躍したトニーだけでなく、2トップの相方のムベウモもハイボールの起点になれそうな感じ。単純ではあるが強力な2トップにラヤやバックラインからフィードを合わせこむ形はすでに確立されている。

 一方で後方からのビルドアップは課題になりそう。そんなものしなくていいんだ!といわれればそりゃそうなのだが、少なくともIHが押し上げる時間を作らなければCFに当ててもセカンドボールを回収することが出来ない。そういう意味で保持でラインを上げる時間を稼ぐ程度にはポゼッションのスキルは持っておきたいところである。

 クリスタル・パレスは昨シーズンに比べて積極的なプレッシングが目立つように。保持の局面でもゆったりとボールを持つ場面も見られるようになり、じんわりと新監督のカラーが見えるようである。特に印象的だったのは攻守に働ける中盤の存在。

 昨季は不慣れなバックラインで苦しんだクヤテはアンカーで躍動。ハイプレスから抜けそうになった選手を捕まえ、中盤の防波堤として機能していた。新加入のギャラガーは攻守に豊富な運動量で貢献。ザハの保持時にもボールを引き出すオフザボールでチームの主力として定着しそうな予感がある。

 だが、フィニッシュ局面の乏しさはまだ課題。ベンテケの高さとザハの個人技頼みではゴールは遠かった。仕組みややりたいことはよくわかるが、相手のゴールを脅かせない一戦は妥当なスコアレスドローに終わった。

試合結果
2021.8.21
プレミアリーグ 第2節
クリスタル・パレス 0-0 ブレントフォード
セルハースト・パーク
主審:マーティン・アトキンソン

④リーズ【20位】×エバートン【5位】

画像10

■2節にして登場した4-4-2専用機

 昨シーズン、勝負どころで登場したリーズの3−3−3−1が早くも第2節にして今季初の採用である。このシステムが採用される状況で共通しているのは、相手が4−4−2ベースのチームであること。昨シーズンの採用例はバーンリーやサウサンプトンなど。ザ・4−4−2っていう感じのチームである。

 今節の相手であるエバートンも4−2−3−1ではあるが、大枠で言えば一応この採用基準は満たしているとは言えるだろう。立ち上がりからリーズは後方での数的優位を使い、ポゼッションの時間を増やしながら試合を進めていく。少なくともこの並びならば、あまりパスコースの創出に困ることはない。盤面上、縦に並ぶ選手たちは細かく左右に流れ、斜め方向にボールホルダーをサポートする。CBもボールを運び、相手の2列目を引き出しつつパスコースを作る。

 中央のプレイヤーがボールサイドに流れれば数的優位の確保は簡単。特に右サイドはクリヒ、ダラス、ラフィーニャがポジションを入れ替えながらエバートンを揺さぶっていく。しかし、ここからエリアに入るまでの攻撃がやや単調。クロスがエバートンに跳ね返されて、ゴールまで辿り着かない。

 リーズのこの仕組みで気になるのはネガトラ時に中盤中央がスカスカになりやすく、被カウンター時のダメージが大きいこと。しかし、エバートンのポジトラに素早さがなく、反撃の機会をあまり得ることができなかった。

 それでもエバートンの前線の個人の能力の高さはさすが。リーズのマンマーク主体の前提である1人が1人を止めるという原則を壊したのはキャルバート=ルーウィン。思い切り体を掴まなければリーズのDFは彼を止めることができず、PA内のコンタクトでエバートンにPKを与えられる。

 いい流れに乗りたいエバートンだったが、前節にひきつづきDFラインにミスが出る。バンフォードのお膳立てを経て、クリヒはあっさりとGKとの1対1の状況を作ることができた。

 同点に追いついたリーズだが、後半はややエバートンの個の力に押され気味。とりわけ、この日輝きを放っていたグレイが技ありのシュートを決めて再びエバートンが前に出る。地味ながら、ドゥクレの攻め上がりのダイナミックさも効いていた。自陣からのいいつなぎのゴールだった。

 しかし、個で殴り返したのはリーズ。ラフィーニャの得意の角度からのミドルでなんとか劣勢の中で追いつく。

 試合はそのまま終了。リーズの3−3−3−1は特に後半はこれまで程の効き目はなかったが、なんとか追いついて負けは回避。対4−4−2専用機の面目を保つことに成功した。

試合結果
2021.8.21
プレミアリーグ 第2節
リーズ 2-2 エバートン
エランド・ロード
【得点者】
LEE:41′ クリヒ, 72′ ラフィーニャ
EVE:30′(PK) キャルバート=ルーウィン
主審:ダレン・イングランド

⑤マンチェスター・シティ【13位】×ノリッジ【19位】

画像5

■一工夫も一蹴、水色一色で染め上げる

 立ち上がりから試合終了までマンチェスター・シティに支配された水色一色の試合だった。ノリッジは通常通りの4-5-1で迎え撃ったが、一工夫が見られたのはIHのポジショニング。彼らは対面するマン・シティのIHにマンマークとしてべったり。特にベルナルド・シルバの対面だったルップはしつこくついていった。狙いはインサイドハーフのハーフスペース突撃を防ぐことだろう。数を合わせるというよりは突撃する人を塞いで最終ラインを防御しようという魂胆である。

 マン・シティはそれに対して、大きなサイドチェンジを噛ませることで薄いサイドを作っていった。アンカーのロドリまではノリッジは十分にケアできず。マン・シティは大きくサイドを変えながらノリッジのサイドの裏、とりわけ4人で守ることになる大外の裏からのチャンスメイクを狙う。

 このやり方で右サイドからジェズスが抜けて先制点を確保すると、そこからは大外裏の再現性満載のアタックで次々と得点を重ねる。マークを受けたベルナルドも行動範囲での勝負になれば、相手を振り切ることはそこまで難しくない。苦しむことなく、シティの攻撃に絡んでいった。

 一方のノリッジは前進の局面でも苦しい展開に。ハイプレスに対して前に進む糸口さえ見つけられない。基本的には前線がマン・シティの最終ラインとかけっこをする状況を作りたいのだが、そこに至るまでの下準備が出来ない。前線はボールを引き出そうとライン間に動くのだが、DFは入れられず、中盤はボールに触りながら角度を変えてビルドアップを促進する動きもない。近くにいるマン・シティの選手の圧力に屈した形だった。

 頭から最後までシティの完勝。ほぼ、ノリッジに自陣から出ることを許さず、ホームで今季初勝利を飾ることとなった。

試合結果
2021.8.21
プレミアリーグ 第2節
マンチェスター・シティ 5-0 ノリッジ
エティハド・スタジアム
【得点者】
Man City: 7′ クルル(OG), 22′ グリーリッシュ, 64′ ラポルト, 71′ スターリング, 84′ マフレズ
主審:グラハム・スコット

⑥ブライトン【8位】×ワトフォード【7位】

画像4

■多角的に上々な連勝スタート

 連勝を狙うブライトンがホームに迎えたのは同じく第1節で勝利を挙げたワトフォード。前節のバーンリー戦ではやや縛りプレイ的な4バックで自作自演感ある苦戦からのシステム変更で逆転勝利を収めたブライトンは後半で採用した3バックを継続。ワイドに開いたCBがワトフォードのSHと引き付けると、その外でWBが完全にフリーになるという形でポゼッションを安定させていった。

 これに対してワトフォードはボールの取りどころを見つけられずに苦戦。ボールを奪い返せずにラインを上げることが出来ない。カウンターから散発的にチャンスを迎えることは出来てはいたが、ボールの収めどころが見つからず、反撃の糸口を掴めない。

 押し込むことで一方的な状況を作るブライトン。すると得点はポゼッションとは異なる毛色のところから。CKからダフィーのシュートで先制点を叩き込むと、前半終了間際には相手の隙を突くつなぎのミスからのショートカウンターで追加点。あっさりと前半のうちに大勢の決着をつけてしまう。

 後半のワトフォードはまずはボールを持つ時間を作ることを意識。3バックのCBとWBのギャップを狙うように、右サイドの大外から裏を取る動きを見せつつ、攻略法を探っていく。最後は3-2-5的なアタッカー総動員の非常に攻撃的なフォーメーションで相手ゴールを狙いに行くも、枠内シュートはわずかに1本のみ。ポゼッションで後手を踏み、後半にボールを握れてからの解決策も見いだせない苦しい試合だった。

 一方のブライトンはポゼッションで駆け引きしつつ、セットプレーとハイプレスという様々な持ち味を見せた試合。とりわけファーストチャンスをしっかりと決めて(後半にいくつか決定機逃しはあったけど)、懸念だった決定力の部分にもいい兆しが見える。昨季からの改善に期待が持てる連勝スタートとなった。

試合結果
ブライトン 2-0 ワトフォード
アメリカン・エキスプレス・コミュニティ・スタジアム
【得点者】
BRI:10′ ダフィー, 41′ モペイ
主審:アンソニー・テイラー

⑦サウサンプトン【16位】×マンチェスター・ユナイテッド【1位】

画像1

■二度のサボり癖の代償

 サウサンプトンは狙い通りの立ち上がりだったと言っていいだろう。高い位置からマンチェスター・ユナイテッドにプレスをかけて強いプレッシャーから自分たちにペースを引き寄せる。シュートシーンまで行くなど序盤は悪くなかったホーム開幕戦となった。

 試合の展開を手中に収めたかと思ったサウサンプトンだったが、ユナイテッドは落ち着いて対応。プレスに対しては最終ラインに1人選手をおろすことで数的優位を確保。サウサンプトンを徐々に押し込んでいく。特に面倒くさかったのはポグバ。収まるし、ラストパスも出せるこの選手にボールが渡るとユナイテッドの陣地回復は非常に捗る。

 押し込んでいくと今度はサウサンプトンの撤退守備の問題点が露呈。一応自陣には戻りはするものの、ボールホルダーを捕まえるのがやたら遅いため、そこから更なる前進を許してしまい、悪循環に陥ってしまう。

 加えて、難があったのがセットプレー。ほぼほぼ必ずユナイテッドの選手に触られてばかり。ゾーンでのセットプレー守備はほとんど機能しておらず、サウサンプトンがユナイテッドのセットプレーを地面に落とさずにクリアすることは稀だった。

 いつでも点は取れそうだったユナイテッドだが、段々と相手にお付き合いする様になっていく。ペースはおちて、ポジトラのスピードがどんどんのんびりに。すると、再びサウサンプトンのプレスが効くように。ブルーノ・フェルナンデスを引っ掛けたステーフェンスが高い位置でボールを奪うと、最後はアダムスが相手に当てたシュートがゴールマウスに。幸運だが、サウサンプトンにとっては狙い通りの形での先制点と言っていいだろう。

 後半、サウサンプトンは前半から存在感抜群だったリヴラメントに大外を任せる5−3−2にシフト。受けに回る。すると再び前に出れるようになったユナイテッド。セットプレーが不安定かつ、重心が後ろになり苦しむサウサンプトン相手にPAでパスを繋ぐ場面を徐々に増やしていくと、最後はグリーンウッドが同点弾をゲット。

 ここから一気にたたみかけると思われたユナイテッドだが、ここから何故か再びトーンダウン。前半と同じく強度を上げることを怠り、最後はサウサンプトンにあわやというチャンスを作られる場面も。2度のサボり癖を発動したユナイテッドにとっては悔しい引き分けとなってしまった。

試合結果
2021.8.22
プレミアリーグ 第2節
サウサンプトン 1-1 マンチェスター・ユナイテッド
セント・メリーズ・スタジアム
【得点者】
SOU:30′ フレッジ(OG)
Man Utd:55′ グリーンウッド
主審:クレイグ・ポーソン

⑧ウォルバーハンプトン【14位】×トッテナム【10位】

画像7

■エースの帰還で劣勢を覆す

 マンチェスター・シティを撃破し、最高の開幕を飾ったトッテナム。この日はそのメンバーとシステムを焼き直してのスタメンとなった。あの日のシティが不思議だったのはビルドアップで低い位置のサイドを使わなかったこと。頑なにその部分を使わなかった分、トッテナムのナローな前線の空けたワイドなスペースをあまりうまく使うことができなかった。

 一方でウルブスは保持時にそういったこだわりはない上に、基本的にはシンプルにワイドを使える配置。ということでトッテナムの守備の『効いてる』感は前節よりも薄かった。

 そんな中で先制点を取ったのはトッテナム。やや幸運な判定でのPKだったが、ウルブスの失い方が悪かったのは確か。裏を取られてしまったところも含めて緩慢な対応を見せたツケを払うことになった。

 リードを奪われてもウルブスは攻め手が十分。トッテナムはプレスに強くあたったわけではないけど、ラインは高かったので、ウルブスはサイドの裏から攻めることができていた。トラオレの馬力でぶち抜くのはもちろん、トラオレにタンガンガが気を取られているとおもったら、ヒメネスがそちらに流れるなど工夫もバッチリ。

 押し込んだ局面でも静止状態からチャンスを作り出せるトラオレ。昨シーズンはイマイチだったけど、今シーズンは好調のようである。しかしながらフィニッシュが定まらないウルブス。トッテナムも撤退した相手を崩せるわけではないが、ロングカウンターからはやり返す匂いはしていた。

 ウルブス優位の試合のバランスが覆ったのはトッテナムの大エースがモリニューに降り立ってから。ここからスコアこそ動かなかったが、速攻も遅攻もワンランク整った感じ。どうやら今夏の残留は確定したようだが、トッテナムファンにとってはこの日の勝利と同じか、それ以上の朗報と言えるだろう。

試合結果
2021.8.22
プレミアリーグ 第2節
ウォルバーハンプトン 0-1 トッテナム
モリニュー・スタジアム
【得点者】
TOT:10′(PK) アリ
主審:スチュアート・アットウィル

⑨アーセナル【17位】×チェルシー【2位】

画像8

■ぺぺとジェームズに見るコントラスト

 立ち上がりに勢いをよく入ったのはアーセナル。高い位置からの積極的なプレッシングと自陣深い位置からのロングカウンターでチェルシー相手にチャンスを作っていく。

 アーセナルで好調だったのは前線のスミス・ロウとぺぺ。深い位置まで押し込まれても、彼らが2人くらいを一気に剥がしながら前線まで持ち運べるため、アーセナルはカウンターの糸口を見つけることができていた。加えてアクセントになっていたのはロコンガ。大きなサイドチェンジは自陣からの脱出の鍵になっている。

 だが、アーセナルがよかったのは序盤くらいだろう。この日のアーセナルは4-2-3-1のハイプレスと5−4−1のローブロックを使い分けているのだが、徐々にチェルシーがアーセナルに守り方を使い分けさせないようなスピードで前進をするように。コバチッチとジョルジーニョは少しでも隙があればボールを前進させることができるし、マウントとハフェルツはボールをギャップで受けるのが非常にうまかった。そして深さを作れるルカク。チェルシーは深い位置まで進むための手段が豊富だった。

 こうして4バックから5バックに移行するキーになっていたジャカが最終ラインに戻れる時間を与えないチェルシー。ルカクがマリにピン留めされているため、ジェームズが高い位置をとってしまえばティアニーは1人で2人を見なくてはいけなくなる。

 こうして機能不全に陥ったアーセナルの左サイドからチェルシーはあっさり先制。敵地のエミレーツでルカクが2回目のチェルシーデビューを祝う得点を奪った。

 左はシステム的に、中央は個で不利なアーセナルは右サイドでも劣勢。セドリックがアロンソに地上戦で歯が立たないというのはなかなかにスカッドの構成を考えさせられる内容だったと思う。アタッキングサードの全方位で優位を取ったチェルシーが左サイドからの打開でジェームズの追加点を奪う。

 後半も構図は同じ。立ち上がりの10分くらいはアーセナルがリズムを取り戻したかのように思ったが、チェルシーはすぐさま対応。たちまち主導権はあるべき場所に戻って行ってしまったかのようだった。

 対応力、そして押しているときのクオリティの差。サイドで楽々とクロス上げたりシュートを打ったりするジェームズの姿と常に2枚を剥がさなければチャンスにならないぺぺのコントラストは両チームの現在の立ち位置を如実に示しているものと言えるだろう。

試合結果
2021.8.21
プレミアリーグ 第2節
アーセナル 0-2 チェルシー
エミレーツ・スタジアム
【得点者】
CHE:15’ ルカク, 35’ ジェームズ
主審:ポール・ティアニー

⑩ウェストハム【4位】×レスター【9位】

画像9

■時間とともにはっきりする明暗

 上位勢の牙城を崩す両チームの一戦だが、意外にも試合は対照的な内容だった。立ち上がりから苦しんでいのはレスターの方。バックス4枚とCH2枚で組み立てるのだが、相手につかまってしまいなかなかボールをうまく動かすことができない。

 徐々にCHが行動範囲を広げたり、トーマスが3バック化したりなど工夫を見せるのはレスターらしいが、立ち上がりから簡単に捕まってしまって苦しんでいるのは昨シーズンはあまり見ない姿だった。複数人で囲むウェストハムに対して前進に苦しんだ。

 ただ、気になったのはむしろ非保持の方。ウェストハムが縦に長いボールを入れるのが得意というのもあっただろうが、開幕戦に続いてどことなく間延びしている感じのレスターの陣形は非常に気になった。

 ウェストハムは配置的に浮きやすい大外を噛ませながら前進していく。広い間を使いながら受けることができる2列目と大外を使い分けながら、ウェストハムは機能的に前に進むことができていた。

 どこかピリッとしないレスターと楽に前進していくウェストハム。先制点はそんな流れを象徴するようなものだった。レスターのビルドアップミスから縦に鋭いカウンターを繰り出すと、フィニッシャーはフォルナルス。ホーム開幕戦でウェストハムが先手を取る。

 悪い流れは続くもの。アクシデンタルな形でレスターはペレスを一発退場で失うことに。さらにソユンクのミスから決定的な2失点目を喫する。こうなるとレスターは厳しい。ボール保持の時間を増やし、支配的に試合を進めるようになる。こういう流れになると今季のウェストハムは積極的。高い位置からのプレスも昨季よりも多い。ライスが攻守に積極的にサイドに出ていく姿は開幕戦も見たものである。

 そして終盤はアントニオ劇場。アクバティックさとフィジカルの強さを併せ持ったエースの躍動でウェストハムはレスターをさらに突き放す。レスターはヴァーディ、ダカ、イヘアナチョなどスピードを生かせるアタッカーたちがサイドに流れることでしか陣地回復の手段を見出すことができず。意地を見せたティーレマンスの一差しが精一杯。序盤の明暗は時間が過ぎるとともに拡大。一方的な試合でウェストハムが大勝でホーム開幕戦を飾った。

試合結果
2021.8.23
プレミアリーグ 第2節
ウェストハム 4-1 レスター
ロンドン・スタジアム
【得点者】
WHU:26′ フォルナルス, 56′ ベンラーマ, 80′ 84′ アントニオ
LEI:69′ ティーレマンス
主審:マイケル・オリバー

  おしまいじゃ!

この記事が気に入ったら
フォローしてね!

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次