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「盾を外させる」~2021.8.25 J1 第26節 アビスパ福岡×川崎フロンターレ BBC風オカルトプレビュー

 このプレビューは対戦カードの過去の因縁やジンクスを掘り起こして、試合をより一層楽しむための物です。

目次

Fixture

明治安田生命 J1リーグ 第26節
2021.8.25
アビスパ福岡(10位/9勝6分10敗/勝ち点33/得点26/失点30)
×
川崎フロンターレ(1位/19勝6分0敗/勝ち点63/得点56/失点16)
@ベスト電器スタジアム

戦績

近年の対戦成績

図1

直近10回の対戦で福岡の3勝、川崎の6勝、引き分けが1回。

福岡ホームでの戦績

図2

直近10試合で福岡の4勝、川崎の5勝、引き分けが1つ。

Head-to-head

<Head-to-head>
・直近公式戦3試合の対戦においては川崎の2勝1分。
・リーグでの直近9試合においてはどちらのチームも得点を挙げている。
・福岡ホームでのリーグ戦は直近4試合で福岡は1敗のみ。
・川崎が首位で迎えた福岡ホームでのリーグ戦は直近2回とも勝てていない。

 直近の対戦成績でいえば川崎が優勢だが、川崎にとっては楽観視できるデータばかりではない。特に福岡ホームにおける相性はとても悪い。直近4試合のリーグ戦で川崎はわずかに1勝。

とりわけ、首位で迎えた大事な試合によって立ちはだかる分イメージが悪い。2016年のJ1 1stステージや2004年のJ2第41節など川崎にとって嫌な思い出のオンパレードの地である。

打ち合いになるというデータは若干意外。過去に比べるとソリッドに仕上がった感のある両チームだが、この傾向は続くだろうか。

スカッド情報

【アビスパ福岡】

・ドウグラス・グローリは累積警告による出場停止。

【川崎フロンターレ】

・谷口彰悟、大島僚太、塚川孝輝は離脱中。

予想スタメン

画像8

Match facts

【アビスパ福岡】

<福岡のMatch facts>
・直近のリーグ戦9試合で1勝(D2,L6)のみ
・直近4試合の敗戦はいずれも完封負け。
・トップ5にいるチーム相手には今季未勝利(D1,L6)
・公式戦全体では後半に33得点。全体の79%。
・今シーズン、先制した試合で逆転負けはない(W10,D2)
・金森健志は前回の福岡での対戦で川崎相手に2ゴール。

直近のリーグ戦の成績は停滞気味。9戦でわずかに1勝と前回対戦時よりも勢いはない。原因は得点力だろう。今季3得点以上とったリーグ戦はなし。ここ4試合の敗戦は全て完封負けとパンチ力に欠けている。

 Head-to-headとは相反するデータになるが、前半をしのぎ得意の後半に先制点を取り、逃げ切るというのが得意パターンのよう。川崎にとっては前節の広島に続いて逆転負けがない相手ということで先手を取られると難易度は一気に上がる。

 前回の博多での対戦時に立ちはだかったのは金森。悔しい思いをした川崎だが、2点を追いつかれあの試合を勝ちきれなかった福岡も悔しかっただろう。金森は再び首位の川崎相手にゴールを挙げ、キャリア初の川崎戦勝利を挙げることができるだろうか。

【川崎フロンターレ】

<川崎のMatch facts>
・公式戦42試合連続で負けなし(W32,D10)
・直近2試合のリーグ戦で引き分け中。
・直近の公式戦10試合で3得点以上の記録した試合はなし。
・先制された公式戦において6試合連続で同点以上に持ち込んでいる。
・レアンドロ・ダミアンは直近4試合の公式戦で3得点。
・遠野大弥は今季のリーグ戦5得点のうち、3得点は九州勢相手にあげたもの。

 公式戦の負けなしは継続中だが、直近の2試合のリーグ戦は引き分け。やや暗雲が立ち込めてる感は否めない。仮に3試合未勝利となれば、2年前の同じ時期に記録した6試合未勝利以来のこととなる。

 課題は得点力。やはり、三笘と田中の不在の影響は大きく、特に攻撃面で迫力を出すのに苦しんでいる。一方で先制された試合でこれだけ粘れるというのは確実に強くなっている証拠でもある。2年前には負けていた試合でここまで勝ち点を拾えているのは胸を張っていい部分。依然として倒しにくいチームであることは間違いない。

 得点力が物足りない状況でコンスタントに得点を重ねているのはダミアン。リーグ戦はここ5試合で得点と無得点を交互に繰り返しており、順番でいえば今節は得点をしない番だが・・・。もう1人期待がかかるのは遠野。九州勢相手に牙をむく今季の遠野はホーム戦に続いて、アウェイでも古巣に得点を挙げることが出来るだろうか。

展望

■王道の4-4-2ゾーンとSBからのクロスが主体

 前回の対戦時の福岡は割と多くのメンバーを使いながら誰を中心でプレーするかを探り探りの印象だった。あまりに誰が出てくるかわからなくてプレビューを書くときに予想スタメン、どうすればいいの?と戸惑っていたことをよく覚えている。

 あの時に比べればだいぶレギュラーのメンバーは固定されたように思う。特にセンターラインは。ファンマ、山岸、前、中村、奈良、グローリ、村上とここ数試合はこの並びで戦っている。今回は中2日での試合となるので、どこまでメンバーの固定を継続するかはわからないけども。

 基本的には4-4-2のゾーンを敷くというスタンスは変わっていない。広島戦の福岡は少し同サイドに寄りすぎた感もあり、空いているスペースを使われすぎた感はあったが、続くC大阪戦と名古屋戦はだいぶ平常運転の堅さを取り戻したように見えた。コンパクトな10人がブロックを作り、前線や中盤もハードワーク。ボールを自分たちの狙った方向に誘導し閉じ込めるためにポジションを変えながら相手を追い込んでいく。

 一番運動量が必要なのは中盤だろう。2トップの脇から侵入してきたホルダーにはチェックをかけなければいけないし、ホルダーにチェックをかけた両サイドは絞りながら斜め方向にサポートに入る。

画像3

 自陣よりも前にいるときだけでなく、押し込まれた時にも中盤の仕事は多い。SBが大外に出ていった時の最終ラインのカバーも中盤の仕事。なるべくCBは外に出ていかない仕様になっており、彼らがエリア内に専念できるように中盤が盾になるという形。特に4バックで空きやすいハーフスペースを埋める仕事は4バックの欠点を隠すためのハードワークである。

画像4

 前線も同じくハードな守備。最終ラインへのチェックやアンカーの受け渡しなどの相手のビルドアップの初手の局面での貢献はもちろん、自分のラインを越えられた後の中盤のチェックもさぼらない。重心が下がることが嫌なのか、割と前向きの守備は頑張るけど、プレスバックは頑張らない!みたいなチームが多いけど、福岡はこれには当てはまらない。マイナス方向でやり直しにも制限をかけることで素早いサイドチェンジを阻害する。

画像5

 攻撃面では前線へのロングボールを主体としたシンプルで質実剛健。後方が可変しながらのポゼッションのようなことはしない。むしろ、可変するのは前線の選手たち。特にSHは自陣からのパスを引き出す+CFへのロングボールを拾う係として広い範囲を動く。

    特に行動範囲が広いのは金森。攻めるサイドを決めている感じの試合では積極的に逆サイドまで流れて密集を作り、サイドを打開するためのオーバーロードもやっている。C大阪戦では金森が左サイドに流れ、両SHが近い距離感でプレーしていた。

    攻撃の終着点はオーバーラップした後のSB。それゆえ、SHは絞っての仕事が求められる。大外のレーンはSBのためのものである。彼らからのクロスが福岡の得点源になる。

■起用を薦めたいのは・・・

 川崎的には難しい相手である。4バックは直近では清水に勝っているが、福岡の4バックは清水戦で川崎が勝利した決め手を封じるものになっている。

   例えば福岡はIHやSBが突撃するハーフスペースには中盤からカバーリングが入ることで埋めているし、横幅を素早く使うためのシミッチは前線のプレスバックによって消されている。4バック相手で直近強みにしていた部分にしっかりと対策を持っているチームである。

 前線から守備は誘導してサイドに追い込んでくるのでどうしてもビルドアップにおいては相手を裏切るようなボールの運び方をしたい。具体的にはボールサイドと逆側のハーフスペースをうまく使うこと。斜めにサポートに来る中盤の選手の逆の脇側を取れるパスを使いたい。

画像6

   川崎はここ数試合ではIHが同サイドに流れて攻略するみたいな流れがあったけど、この試合では相手を中盤を横に広げたいので、IHは持ち場を守ってもいいかもしれない。

   提案したいのは山村和也の先発起用。空間把握能力が高く、少ないモーションで対角へのパスを蹴ることが出来る山村の存在は福岡の守備の誘導を裏切るのにはうってつけだろう。相対的にプレスが緩いバックスからゲームを作る意識が欲しい。

    福岡の攻撃の最終到達点がクロスであること、福岡はFWへのロングボールを起点とする攻撃が多いこと、逆にアタッカーのスピードで揺さぶる攻撃は少ないことを踏まえても山村の起用はこの試合にはぴったりだと思う。

 より深い位置での攻撃に関しては相手のSBを孤立させることが大事。福岡のSBのカバーは中盤の仕事なので、それが効かない状態を呼び込めればサイド攻略は容易になる。先ほどの逆サイドのハーフスペースからCHの脇を取るというのもSBを孤立させて、中盤という盾を外すための攻撃のルートといえる。

画像7

 中盤の盾を外されたら福岡はDFラインが出てくるか、サイドを明け渡すかしかない。そうなると川崎はだいぶ有利。上背はある福岡のPA内への迫り方は工夫したいところである。

 川崎の守備においてはまずはCBが競り合いに負けないこと。ファンマを起点として機能させなければ前進は一気に難しくなる。サイドに流れたら、内に入り込んでくるシャドーにボールが渡らないように。ファンマにサイドから進まれる分には問題ない。

   自陣で守る状況においては、SHとSBの縦関係の入れ替わりに気を付けたい。特に家長がいる川崎の右サイドは役割を整理したい。後方の山根に任せるのか、IHがカバーにいくのか。いずれにしても高い位置まで抉ってクロスを上げるSBを放置してはピンチを呼び込んでしまうだけである。

 また、同サイドの集結への対処は広島戦での守備における反省点。SHが集結しやすい福岡でも同じ部分が問われる可能性はある。同じやられ方は意地でも繰り返したくないところである。

【参考】
transfermarkt(https://www.transfermarkt.co.uk/)
soccer D.B.(https://soccer-db.net/)
Football LAB(http://www.football-lab.jp/)
Jリーグ データサイト(https://data.j-league.or.jp/SFTP01/)
FBref.com(https://fbref.com/en/)
日刊スポーツ(https://www.nikkansports.com/soccer/)

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