Fixture
プレミアリーグ 第30節
2024.4.6
ブライトン(9位/11勝10分9敗/勝ち点43/得点51 失点46)
×
アーセナル(2位/21勝5分4敗/勝ち点68/得点72 失点24)
@エティハド・スタジアム
戦績
過去の対戦成績
過去5年間の対戦でブライトンの5勝、アーセナルの4勝、引き分けが1つ。
ブライトンのホームでの成績
過去10回の対戦でブライトンの4勝、アーセナルの4勝、引き分けが2つ。
Head-to-head from BBC sport
- アーセナルは直近3試合のブライトンへの遠征で無敗(W2,D1)
- 13回のプレミアでの対戦で互いに勝利は5回ずつ。
スカッド情報
- アダム・ウェブスター、イヴァン・ファーガソンは欠場予定だが、ヴァレンティン・バルコとアンス・ファティは起用可能。
- 三笘薫、ソリー・マーチ、ジェームズ・ミルナー、ビリー・ギルモアは引き続き欠場。
- ブカヨ・サカはフィットネステストで出場可否を判断予定。
- 確定している欠場者はユリエン・ティンバーただ一人。
Match facts from BBC sport
- 9月以降、直近14試合のアメックス・スタジアムでのホームゲームで無敗(W8,D6)
- リーグでのホームでのクラブの無敗記録である12も継続中。
- 今季頭の16試合ではいずれも得点を決めているが、それ以降の14試合では6試合で無得点。
- 現地時間17:30KOの試合におけるプレミアにおいて18試合で3勝のみ(D7,L8)
- ダニー・ウェルベックは直近5試合のアーセナルとの公式戦の対戦のうち、4試合で得点を挙げていく。
- しかし、ウェルベックは直近13試合のホームでのプレミアで得点を挙げることができていない。
- 直近10試合のリーグ戦で9勝。
- 2024年のプレミアでは30ポイント中28ポイントを手にしており、この間のスコアは35-4。
- 1997年に記録したアウェイでの5試合連続クリーンシートに並ぶ可能性。
- 2024年のプレミアでの5試合のアウェイゲームにおいてリードされたことがない。
- ハーフタイムでリードしている直近39試合で負けなし(W36,D3)で現在15連勝中。
- マルティン・ウーデゴールは6回のブライトンとの対戦で2ゴール、2アシスト。
- ベン・ホワイトはアーセナルにおけるプレミア100試合出場達成の見込み。
予習
EL Round 16 2nd leg ローマ戦
第30節 リバプール戦
第31節 ブレントフォード戦
今季ここまでの道のり
予想スタメン
展望
WG不在で揺れるスタイル
プレミアリーグは代表明けの過密日程の真っ最中。週末に行われる第32節は3連戦のトリを飾る一戦となる。
アーセナルの相手となるブライトンはここまでなかなか苦しいシーズンを過ごしている。序盤から中盤にかけての度重なる負傷者の山というフェーズはさすがにピークアウトした感じはするが、三笘とマーチという左右の翼がもがれてしまったことを始めとして、以前として負傷者のダメージは大きい。
CFではファーガソンが離脱と復帰を繰り返しており、出番を得ることができてもピリッとしないパフォーマンスが続く。昨夏のマック=アリスターとカイセドの退団を考慮すると、昨シーズンの中盤よりの前の主力を5人失っている状態で、当然ダメージは甚大なものになっている。
試合全体を見渡してもシーズンを通して安定した稼働をしている昨季の主力はグロスとダンクの2人くらい。さらに今季はEL参加による週2試合の慢性化という状況も加わり、スケジュール面でも昨季を超える負荷がかかることに。
特に年が明けてからはデ・ゼルビお決まりのフォーメーションを崩し、あらゆる形を試している。試しているのは陣形だけでなく人選も。あらゆるコンビネーションを試しながらさまざまな戦い方を見せるトライをしている。
直近の試合をサンプリングしてみよう。リバプール戦ではローブロックの4-4-2をベースにロングカウンターによるアディングラの一点突破にかけていたし、ELのローマ戦では撃ち合いを演じながらファストブレイク合戦で打ち負けた。直近のブレントフォード戦ではリバプール戦と真逆でボールを持つ立場になりながらもスコアレスドローで打ち崩せずに終わっている。
このように多様性のあるカラーを出しながらも特に三笘が離脱して以降は最適解というかベースになる形を見つけることができずに苦しんでいる。上に挙げた試合でもそれぞれの苦悩は見られた。リバプール戦ではローブロックで縦横の守備のチェーンが破綻。特にMFとDFの間をコンパクトに保つことができず、前線と中盤がどこにボールを誘導したいのかわからない状態が続いていた。その結果、あっさりとバイタルエリアやその背後への侵入を許してしまい、あわやという得点機を多く作られてしまった。
カウンターを一手に引き受けていたアディングラはキレ味十分。対面の相手を剥がし続けては敵陣に迫っていたし、先制点のきっかけも作り出した。だが、90分間ここ一つで勝負というのはさすがに苦しいものがある。
ローマ戦ではより積極的に組み合うプランから正々堂々と勝負を繰り広げていたが、ダンクが広いスペースをカバーする形に誘導されてルカクに振り回される格好となった。ローマ戦に限らず、ダンクが機動力で振り回されるシーンが今季はかなり多い。急にダンクの足が遅くなったわけではないのだけども、ラインを高く保ち、前に人数をかけるスタイルによる攻撃は以前よりも尖った威力を出しきれない分、こうした部分は露呈しやすくなってしまった。
ブレントフォード戦のような定点攻撃が求められる試合においてはやはり主力の不在が痛い。中央に刺しながら細かいタッチで出し入れをしてリズムを掴みたいというスタンスは共通しているが、出し手も受け手も主力の不在でクオリティを担保しきれない部分も目立つ。残念ながら昨季の出来には届いていないというのが現状だろう。
押し込むフェーズにおいて不在が大きいのはやはりWG。三笘とマーチの負傷は大ブレーキである。対面の相手を抜くことができて、味方を使うことが巧みで、そして自らがフィニッシャーになれるという3つを備えているWGが2人いないのだから、ダメージがないわけがないだろう。アディングラもブオナノッテもファティも頑張ってはいるが、押し込む相手に致命傷を与えるほどのクオリティには届いていない。
全体的にスタイルを振り返ってみると、相手次第でやり方を変えているのがブライトンの現状。その日の相手にどこで勝負できるかをテストしながら立ち向かっている状態だ。あるいはチームのプランを押し切る力を見せることができず、展開に飲まれて望まない局面が増えてしまっているのかのどちらかなのかなという印象。多面性のある表情は彼らがもがいた結果なのかもしれない。
CBを動かすことを念頭に
というわけでブライトン目線からするとまずはアーセナル相手にどこが勝負できるポイントなのかを考えるところから始める必要がある。正直、リバプール戦でのクオリティで引いて受けるとなると多分アーセナル相手には厳しいように思う。ライン間と裏を使っての駆け引きはリバプールよりもできるチームだし、押し込んだ後の手数には困らないチームだ。
アディングラ一辺倒のロングカウンターは成立するかもしれないが、ブロック守備のクオリティが著しく向上しない限りは厳しいだろう。デ・ゼルビやブライトンのカラーと照らし合わせてもホームで割り切って引くというのは少し考えにくいように思う。
逆にアーセナルがベタ引きするということはまずないので、少なくとも立ち上がりの時点でブレントフォード戦の再現はないだろう。となるとブライトンは後方同数のハイプレスをベースに機を見てリトリートを組み合わせるところに落とし込むのが現実的な路線ではないだろうか。ということでオーソドックスなローマ戦に近い真っ向勝負を挑んでくるのではないかと予想してみる。
状況を後押しするのはジョアン・ペドロのカムバックだろう。中央のレシーバーとサイドの崩しと両面をベースアップできるCFの復帰はブライトンのスタイル維持には効果的。深さと幅を使うことができるという点でブライトンらしさを取り戻している。
ブライトンがオーソドックスなプランを採用するという前提で狙いたいのはやはりダンクの守るスペースを広げたい。そのためにはファン・ヘッケを手前に引き出すアクションが必要になってくる。CFが手前に動きながらファン・ヘッケを手前に引き出したい。
CFでなくもっと手前のポジションの選手でファン・ヘッケを釣り出せるのであれば、CFは逆に外に流れる形で中央を開けるトライをしてもいいかもしれない。
いずれにしてもフィニッシャーになるのはWG。マルティネッリとサカの両翼が復帰すれば、彼らがシューターになる形を見込むことがベターだろう。ファストブレイクではなく押し込むフェーズになったらサイドから押し下げてのマイナスからボックス内のスペースに2列目が飛び込む形を作っていきたいところ。
非保持に回った際にはルートン戦やシティ戦のようなサイドを1枚対応にして、中央に人を固める策を継続するのかが気になるところ。同サイドに人数をかける傾向が強いのがブライトンなので、この辺りは調整してもいいかもしれない。カウンターで取り切る形を意識したとしてもサイドでボールを奪い切る形は目指してもいい部分かなと思う。
いずれにしてもまずはブライトンの出方次第。彼らがアーセナルに対してどこで勝負をかけてくるかを受け止める形で試合を運ぶことで道は開けてくると思う。