アーセナル、24-25シーズンの歩み。
第1節 ウォルバーハンプトン戦(H)
ミスにつけこませずに開幕戦を飾る
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昨年は最後までタイトルレースに食らいついたものの、2位という結果に終わったアーセナル。反撃を期す今季はウルブスをホームに迎えての一戦からスタートとなる。
立ち上がりが過ぎると落ち着いてボールを持つことに成功したアーセナル。ゆったりとした保持から前進のルートを探っていく。この日のアーセナルのポイントはウルブスの4-4-2のそれぞれのライン間を広げること。特にFW-MFの間の選手が出たり入ったりすることでウルブスの2列目を動かし、意図的にスペースを空けることである。
その中でも象徴的だったのはサイドに流れるライスやウーデゴールの動き。ライスはサイドに流れることでSHのヒチャンの背後に立つことでプレスを回避する。さらには、CHのジョアン・ゴメスを引き付けることで中央のスペースを空けてトーマスやジンチェンコにスペースを供給していた。
ウーデゴールはレミナががっちりとマンツー。どこまでもついてくるので、むしろこちらの方がアーセナルとしては利用しやすい動きだった可能性もあるだろう。トーマスとのスイッチやサカのインサイドへの絞りを誘発し、スペースを作るウーデゴールの働きもまたアーセナルの助けになっていた。
押し込むことができたアーセナルはシンプルなクロスから先制点をゲット。セットプレーの流れから前線に残っていたガブリエウを囮にニアに飛び込んだハヴァーツが先制ゴールを決める。
反撃に出たいウルブスだがプレスに出て行けば全体の陣形は間延びして相手の思うツボ。高い位置から厳しくプレスに来る序盤のアーセナルも、得点を決めてラインを下げてブロックを組むアーセナルにもどちらに対しても明確なゴールに対するアプローチを打つことができず。唯一、トーマスやサリバのミスが絡めばチャンスを作れる状態だったが、貴重なラーセンの決定機はラヤのファインセーブに阻まれてしまい追いつくことができなかった。
後半もウルブスは広く使いながらアーセナルを攻め立てに行くが、アーセナルもブロック守備からのカウンターで反撃。ミス以外にはウルブスに付け入る隙をなかなか与えないまま時計の針を進めていく。
どちらにもなかなかクリーンなゴールチャンスが生まれないジリジリとした展開の中で先に状況を動かしたのはまたしてもアーセナル。右サイドでトーマスのクイックリスタートを受け取ったサカがカットインからニアを抜く強烈なシュートをお見舞い。決定的な2点目を決める。
瞬間的な輝きを見せたサカが1ゴール、1アシストで勝利に大きく貢献。悲願達成の一歩目としてアーセナルは上々のスタートを切った。
ひとこと
堅さが光るアーセナル。できれば、昨季序盤戦も苦しんだミスはもう少し減らしていきたいところだろう。
試合結果
2024.8.17
プレミアリーグ 第1節
アーセナル 2-0 ウォルバーハンプトン
エミレーツ・スタジアム
【得点者】
ARS:25′ ハヴァーツ, 74‘ サカ
主審:ジャレット・ジレット
第2節 アストンビラ戦(A)
シーズンダブルのリベンジでアウェイ連戦は白星スタート
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昨年はビラにシーズンダブルを食らったアーセナル。落とした勝ち点の中でも相当の割合を占めるという屈辱を味わった。アウェイでの難しい相手が続く序盤戦であるが、ある意味ビラ・パークが一番重要な舞台ともいえる。
ボールを持つのはアーセナル。3-2-5の変形からアストンビラの4-4-2を乱しに行く。ウルブス戦と同じく、サイドに流れるライスによってオナナやベイリーを揺さぶり、中央を解放するための駆け引きを行う。
しかし、ビラもこの移動に食らいつく。出て行くところとリリースするところの使い分けが非常に見事。前プレ隊を伸縮させながらアーセナルに自由にライン間を使わせない。
苦しいアーセナルはアンカーの移動でさらに揺さぶりをかける。トーマス、ティンバーと中央に立つ選手たちが最終ラインに落ちる枚数調整でさらに基準点を乱しにかかる。それでも中央はなかなか開かず、攻撃はサイド頼みに。
そういう状況でもなんとかしてしまうのがアーセナルの右サイド。サカ、ウーデゴール、ホワイトの連携は円熟味が増している。2人を背負っても抵抗できるサカとウーデゴールにオフザボールでできた空間を利用するホワイトの組み合わせでビラのラインを揺さぶりつつボックス内にスペースを作る。
一方の左サイドはティンバーが後方での作業に忙殺される分、ライスとマルティネッリの二人称での崩しになることが多かった。対面のネデリゴヴィッチにマルティネッリが手を焼いたこともあり、右サイドに比べると攻撃のキレを出すことができない状態だった。
ビラは自陣からの誘引ビルドで攻撃の手段を構築したいがロングボールのターゲットになるワトキンスが今節も低調。アーセナルのバックスに対して優位を取れず、簡単に陣地回復ができない。決定機も決め損ねるなどこの日は彼の日ではなかった。
それでもライン間のロジャースが存在感を発揮することで前半の終盤は押し返しに成功。盛り返したところでハーフタイムを迎える。
後半も引き続き主導権の綱引きが続く展開に。ロジャース、オナナを軸に推進力のあるカウンターを見せるアストンビラが53分に大チャンスを迎えるが、これはラヤがスーパープレーでしのぐ。
すると60分過ぎからマークが緩くなったウーデゴールからアーセナルは右サイドの崩しに成功。逆サイドから絞ったトロサールが折り返しを仕留めてようやく試合を動かす。
そのトロサールは左サイドからのラインブレイクからボックス内に混乱をもたらすことで崩しでも貢献。最後はトーマスがマルティネスをミドルで打ち抜き試合を決める追加点を得る。
昨年は涙を飲んだビラ・パークでリベンジに成功。アーセナルは連勝スタートを切ることとなった。
ひとこと
焦れずに最後までサイド攻撃に取り組めた結果だと思う。
試合結果
2024.8.24
プレミアリーグ 第2節
アストンビラ 0-2 アーセナル
ビラ・パーク
【得点者】
ARS:67‘ トロサール, 77’ トーマス
主審:マイケル・オリバー
第3節 ブライトン戦(H)
退場が両軍の景色を変える
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共に3連勝を狙う両軍がエミレーツで激突。ボールを持つスタートとなったのはアーセナル。すでに今季のトレードマークとなりつつあるティンバーのインサイドへの絞りから打開策をうかがう。
ブライトンは中央をきっちり閉じることと、3人目のプレス隊として出て行くボールサイドのSHに対してCHがスライドすることの両立が求められる守備。一番使われるとまずいところをケアしつつ、ボール周辺にプレスをかけたい!という算段だろう。
アーセナルは外循環のポゼッションから安全地帯を探すことにトライする。外回りでも問題なかったのはサカとヒンシェルウッドのマッチアップ。特にエンド側から抜くことで三笘のダブルチームを無効化する形からの突破はかなりブライトンのボックス内の守備に動揺を与えていた。
もう1つ、リスクヘッジされたダメージの与え方はロングボール。前線に張るサカ、ハヴァーツに向けたキックをライスなどの中盤の押し上げで回収することで一気に攻め込む算段である。
先制点はこちらの形から。サカのロングボールに対して甘い対応となったダンクをフォローする形でファン・ヘッケが近寄ったタイミングで裏のハヴァーツにラストパス。1on1を難なく沈めたハヴァーツがブライトン戦でまたしてもゴールを決める。
守備でもアーセナルは盤石。バックスと挟み込む形でトーマスがボールを順調に回収。中に絞るヒンシェルウッドからの楔を防いでいた。外に流れるジョアン・ペドロはやや捕まえづらそうにしていたが、こちらも堅いバックスの守備で防ぐことに成功している。
試合の景色が変わったのは後半早々のライスの退場だろう。これによりブライトンが押し込むシーンが爆増する。アーセナルの得点の可能性を下げることはできていたが、ブライトンの得点の可能性が上がっていたかは微妙なところ。ブライトンの同点ゴールはミンテの抜け出しによってアーセナルのCB2人を釣ったところに入り込んだジョアン・ペドロが押し込むというもの。
これくらいスペース的に空きがないと今のブライトンの動的な攻撃は生きないように思う。カラフィオーリを投入して5バックに移行したアーセナルをボックス内から動かすことにブライトンはかなり苦戦。左サイドでは三笘とエストゥピニャンという懐かしコンビが結成されるが、きっかけを作ることができずアーセナルに跳ね返され続ける。
アーセナルもまたカウンターからチャンスを作るが、押し下げられた状態からのロングスプリントではなかなかシュートを決めるのは難しい。ハヴァーツの決定機は勝利をもたらす勝ち越し弾にはならなかった。
ひとこと
退場が両チームの景色を変えたけども、ブライトンが人が減ったことによってやりやすくなったかは微妙なところである。
試合結果
2024.8.31
プレミアリーグ 第3節
アーセナル 1-1 ブライトン
エミレーツ・スタジアム
【得点者】
ARS:38‘ ハヴァーツ
BHA:58’ ジョアン・ペドロ
主審:クリス・カヴァナー
第4節 トッテナム戦(A)
アルテタのできること探し
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負傷者にあふれながら強度勝負に傾きやすいノース・ロンドン・ダービーに臨むアーセナル。この試合は明確に4-4-2。トーマスとジョルジーニョという2CHは欠場のライスと異なり自陣で持ち場を離れないことを明確にするプランだった。
そのためアーセナルの4-4-2はミドルブロックからローブロックに終始。トッテナムの保持を受けるプランとなった。トッテナムは2トップの脇に落ちるマディソンからトーマスに揺さぶりをかけると、同サイドではソンとソランケの連携からクロスに向かう。右サイドの攻略も含めてあと一歩のところまで手をかけることはできていたが、最後をマンツーマンで対応するアーセナルを外し切ることが出来ず、スコアを動かせない。
アーセナルは保持においても少ない人数での解決を余儀なくされる展開。サカとマルティネッリの両翼はその期待に応えた。SBのホワイトとティンバーを相棒にトッテナムのサイドの守備を壊しにいく。
押し込む手段を確保したアーセナルは高い位置からのプレスに出ていくように。序盤は4-4-2でのミドルブロックにフォーカスする展開となったが、だんだんと高い位置に出ていくなど普段着に回帰する形でアーセナルがいつも通りの姿を部分的に取り戻していく。
トッテナムは後半の頭から再びポゼッションでアーセナルのブロック守備にチャレンジ。右サイドのクルゼフスキとジョルジーニョのマッチアップからアーセナルのブロックに穴を開けていくように。
ただし、トッテナムの右サイドは仕上げの部分がやや単調。クルゼフスキはカットイン、ジョンソンは縦と選択肢が読みやすく、特にジョンソンの突破からの速いクロスは完全にガブリエウに見切られており、延々と跳ね返され続けることとなった。
3トップを軸に少ない人数での反撃を狙うアーセナル。それぞれの粘りからCKを勝ち取るとガブリエウがCKから先制点をゲット。セットプレーから試合を動かしていく。
先制点を得たことでアーセナルは前進の優先度を下げて、マルティネッリを大外のケアに回す。この移動によりインサイドに絞ったティンバーがジョルジーニョの背後のスペースを埋めることと、アーセナルの右サイド側からのクロスの対応に出ていけるようになった。
スターリング、ジェズスの投入以降はアーセナルはややバタバタしたが、トッテナムのボックス攻略を最後まで跳ね返し続けることに成功。苦しいやりくりの中でノースロンドンダービーをものにした。
ひとこと
キヴィオルを投入しての5バックではなく、ヌワネリを投入したアルテタにはとても驚かされた。
試合結果
2024.9.16
プレミアリーグ 第4節
トッテナム 0-1 アーセナル
トッテナム・ホットスパー・スタジアム
【得点者】
ARS:65′ ガブリエウ
主審:ジャレット・ジレット
第5節 マンチェスター・シティ戦(A)
組み合う前半、特殊な後半
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日程的にわずかに不利なアーセナル。だが、予想に反してこの試合は高い位置からのプレスを敢行。シティのバックスと中盤を前がかりな陣形で抑えに行く。
しかしながら、シティは落ち着いてこれに対応。ベルナルドの自陣側への列移動でプレスを鎮静化。同じサイドのサヴィーニョを解放する形を取りながら、少しずつアーセナルのプレスを撃退していく。
すると、シティは早々の先制点で試合を動かす。サヴィーニョの旋回でカラフィオーリを置いていくと、ベルナルドによって左につられたガブリエウとサリバの間をハーランドが攻略して先制する。
これ以降もシティのビルドアップを前にアーセナルのプレスは機能せずに苦戦。マルティネッリを自陣に下げてカラフィオーリがベルナルドの監視役にするなどの撤退守備の整備から整理することで解決を図っていく。
自陣からのビルドアップも機能せず。ハヴァーツ→右の大外をカウンターの起点としてすがる形に。それでも列移動を繰り返しながらビルドアップを諦めないカラフィオーリの姿勢は素晴らしいものがあった。
少ない前進の機会からアーセナルは同点に。幸運なクイックリスタートのタイミングを生かしたトーマスがマルティネッリにパスをつけると、ペナ角付近で待っていたカラフィオーリがミドルでエデルソンを打ち抜く。
さらにはセットプレーからのゴールでアーセナルは逆転。2回の全く似た形のCKは2回目のほうで成功。シティがガブリエウのマーカーをドク→ウォーカーに切り替えたが、あまり明確な効果は見えず、アーセナルに逆転ゴールを許す。
リードをしたが退場者を出したアーセナル、後半はきっちり引きこもって逃げ切りを図る。10人のエティハドでリードしているのだから当然だろう。
当然苦しい展開にはなるのだが、受ける強靭さはさすが。ミドルシュートはシューターと位置によってどこまで寄せるかを変えるという工夫を見せて、シティの押し込んだ後の攻撃に不具合を生じさせた。
その分、もちろんアーセナルが前進に出て行くのは厳しい。前に出て行くこともなくはなかったが、背走が間に合わなければ、カウンターで簡単に相手に穴をあけられてしまうので、とにかく戻ってから!というのはアーセナルに徹底されていることがよくわかる。
このまま終わりかと思われた終盤戦だが、最後の切り札となったグリーリッシュがショートコーナーからインサイドをこじ開けることに成功。ストーンズが終了間際の同点弾を撃ち込み。ドローに引き込んだところでタイムアップの笛を迎えた。
ひとこと
非常に特殊な展開。これはこれで個人的には面白いけども、エミレーツではまた違った展開も見てみたい。
試合結果
2024.9.22
プレミアリーグ 第5節
マンチェスター・シティ 2-2 アーセナル
エティハド・スタジアム
【得点者】
Man City:9′ ハーランド, 90+8‘ ストーンズ
ARS:22’ カラフィオーリ, 45+1‘ ガブリエウ
主審:マイケル・オリバー
第6節 レスター戦(H)
間に合った決勝弾
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激戦を終えた開幕5試合に別れを告げて、アーセナルはここから昇格組とのホームでの連戦がスタート。まずはレスターとのホームゲームに挑む。
レスターはアーセナルにボールを持たせてOKというスタンス。4-4-2でトップの守備の基準点を中盤に置くことでミドルゾーンに構えながら勝負をかけるという形だった。
アーセナルはサイドから敵陣攻略を狙う流れ。大外のWGにはダブルチームに行く決まりがあったこの日のレスターに対して、アーセナルは両方のSBを高い位置にサポートに回すことで対抗。右のサカにはティンバーが追い越しや手前のサポート役として顔を覗かせていたし、左ではカラフィオーリがマルティネッリのサポートに加えて、中盤での組み立てにも参加。多彩な役割を果たしながら攻撃のメカニズムを回す。
後方ではサリバのデュエルでヴァーディを潰すことで反撃の芽を摘み取る。奪ったあとは素早く縦につけることで攻撃の起点として活用していた。ここのボール奪取からアーセナルは先制。素早いティンバーのオーバーラップからの折り返しをマルティネッリが仕留める。
以降もペースはアーセナル。レスターの起点を潰しつつ、自陣で相手の中盤を引き出すポゼッションから縦にパスを差し込んでいく。サイドでのユニット攻撃は相変わらず好調。前半の追加タイムにマルティネッリがトロサールにアシストを決めてセーフティリードを手にしてハーフタイムを迎える。
後半、1stプレーでレスターは流れを変えることに成功。ヴァーディがサリバとのマッチアップでファウルをもぎ取り、FKからジャスティンが追撃弾を手にする。
アーセナルは右サイドからの陣地回復で流れを引き戻しにいく。押し込むところまで持っていったアーセナルだが、ハーマンセンの活躍とンディディのサイドの守備の加勢により決定打を欠く展開に。
すると、スーパーゴールでレスターは振り出しに戻すことに成功。左サイドからのクロスをまたしてもジャスティンが振り切って、アーセナルの守備陣を棒立ちにさせた。
終盤はアーセナルが勝ち越し弾を挙げられるかが争点。ヌワネリの入った右サイドから縦横に揺さぶる展開を作りながら時間との勝負に挑む。
タイムレースはセットプレーで決着。CKからファーのトロサールがオウンゴールを誘発してギリギリで勝ち越しに成功。最後はおまけの4点目も決めて、終わってみれば2点差でアーセナルが勝利を収めた。
ひとこと
競り合いにはなったが、内容的にはサイドの攻撃ユニットの構築が進んだ感があったので悪くないアーセナルだった。
試合結果
2024.9.28
プレミアリーグ 第6節
アーセナル 4-2 レスター
エミレーツ・スタジアム
【得点者】
ARS:20′ マルティネッリ, 45+1′ トロサール, 90+4′ ンディディ(OG), 90+9′ ハヴァーツ
LEI:47′ 63′ ジャスティン
主審:サム・バロット
第7節 サウサンプトン戦(H)
真打登場の流れるような逆転劇
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リーグ戦ではホームで昇格組との連戦を迎えているアーセナル。ここで勝てば10月の代表ウィークも公式戦無敗でたどり着くことになる。逆にサウサンプトンはなんとか1勝をもぎ取って中断期間を迎えたいところだろう。
序盤からボールを持つのはアーセナル。カラフィオーリをインサイドに絞らせる3-2-5からボールを動かしていく。サウサンプトンは4-4-2のミドルブロックと5-4-1のローブロックを使い分けながらの前進にトライ。ただ、アーセナルが素早くサカを活用した時はダブルチームの形成が間に合わず、サイドを蹂躙されるケースもあった。序盤のチャンスラッシュは右サイドからだった。
アーセナルは左サイドで最近よく使うシャドー周辺をライスとカラフィオーリを軸に使うことでフリーの選手からボールを運んでいく形をこの試合でも活用。右はシンプルにWGを活用した深さからバイタルでのミドルorラストパス、左は手前のフェーズで崩して前に渡すという少しテイストの違う左右の崩しから前に進んでいく。
サウサンプトンとしては苦しい前半だった。ショートパスの連打では捕まることが分かっているのでいつもよりも長いパスが中心。菅原、アリボといった右側の選手からディブリングにボールを届けることが出来れば理想ではあるが、実際のところきっちりボールが収まりそうなのはガブリエウが目を離したときのアリボくらい。おしさげられるフェーズも長く、厚みのある攻撃ができる場面はかなり限られていた。
だが、後半にサウサンプトンはテンポアップしながら反撃。ハイプレスの頻度を増やしながらアーセナルのポゼッションを阻害し、自陣でのビルドアップでは左右に振るアクションを増やすことでアーセナルの1列目のプレスを撃退することも出てくるように。
アーセナルはボール保持からサウサンプトンのプレスを丁寧に外し、敵陣に侵入。押し下げて前半と同じ景色を取り戻しに行く。だが、スターリングのドリブルで相手のプレスバックで咎められると、そこからのカウンターでアーチャーが先制ゴールをゲット。今季、エミレーツではじめて敵チームがリードを奪う展開となる。
しかし、すぐにアーセナルは反撃。ダウンズのあまりにも軽率なパスミスをかっさらうと、ハヴァーツがパンチのあるシュートでカウンターを完結。あっという間に振り出しに戻す。
すると、60分にはメリーノ、マルティネッリ、トロサールが登場。攻撃でアクセントをつけられる控えメンバーがそろい踏み。左右のサイドの攻撃がバランスよくなり、ボックス内の圧力も増していく。68分のマルティネッリの逆転ゴールにはメリーノもボックス内に突っ込んでいたという事実は、交代によって変化がもたらされたことを象徴している。
終盤にはサカが再び相手の処理が甘くなったところに漬け込んで追加点をゲット。終わってみれば危なげない完勝を遂げたアーセナル。無敗のまま中断期間を迎えることとなった。
ひとこと
真打登場感のある60分の交代からの流れるような逆転劇は見事のひとこと。
試合結果
2024.10.5
プレミアリーグ 第7節
アーセナル 3-1 サウサンプトン
エミレーツ・スタジアム
【得点者】
ARS:58′ ハヴァーツ, 68‘ マルティネッリ, 88‘ サカ
SOU:55’ アーチャー
主審:トニー・ハリントン
第8節 ボーンマス戦(A)
またしても10人縛りで今季初黒星
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ここまで公式戦無敗で来ているアーセナル。ボーンマスとのアウェイゲームを制し、何とか日曜に試合を控える上位勢にプレッシャーをかけたいところだろう。
しかし、この日のアーセナルは立ち上がりからどこかちぐはぐだった。中盤の重心が低く、自陣側にかなり重たい陣形に。ライスとトーマスは交互にサリーするし、メリーノもほぼCHのような振る舞いで全員が一個後ろに入ったような陣形だった。
もちろん、これでつながれるのならばもちろん問題はないのだが、蹴っ飛ばしてしまうのだから単なる前後分断が発生してしまうことに。アーセナルの両翼はスターリング、トロサールとロングボールのターゲットとしては十分ではない選手ばかり。唯一の的となったハヴァーツへの負荷はえぐかった。
というわけでなかなか押し上げきれないアーセナル。ボーンマスも前線に長いボールをシンプルに入れるのが第一候補。アーセナルのCB相手に制空権を握れたわけではなかったので、最短で収まるルートを構築できたわけではなかった。
一進一退の攻防の中で少しずついい手ごたえを見せていたのはアーセナル。だが、そのアーセナルに落とし穴。トロサールの地獄のバックパスミスで不意を突かれたサリバが一発退場。アーセナルは以降も10人として戦うことになる。
後半、ボーンマスは左サイドに攻撃をフォーカスすることによって、アーセナルの切り崩しにトライする。セネシの持ち出しからケルケズ、スコット、そして左に移ってきたワッタラ。このメンバーでトーマスを越えることが出来れば一気にアーセナルの面々を背走させることが出来るだろう。
実際にこの形から左サイドを破ってのチャンスメイクを見せたボーンマス。右に移ったセメンヨはフィニッシャー役に移行し、インサイドに入り込んでのシュートを繰り返す。
こじ開けたのはセットプレー。ニアフリックをミドルが打てる位置に落としたクライファートはお見事。クリスティが期待に応え先制ゴールを奪う。
以降もペースはボーンマス。機を見たハイプレスは後半も炸裂。キヴィオルのバックパスを見逃さずにPKを奪取。80分を前にさらにリードを広げる。
押し込みかえす機会をなかなかつかみ取れないアーセナル。押し込んだ際にも強引な中央突破や、パスもズレ、そしてカウンターを受けてしまうように。
結局試合はそのまま終了。10人で解決策を見つけることが出来なかったアーセナルが今季は黒星となった。
ひとこと
10人でまたしても勝ち点を落としたアーセナル。10人になると毎回勝てないので毎回厳しさを痛感している。それにしても先制点は見事だった。
試合結果
2024.10.19
プレミアリーグ 第7節
ボーンマス 2-0 アーセナル
ヴァイタリティ・スタジアム
【得点者】
BOU:70’ クリスティー, 79‘(PK) クライファート
主審:ロベルト・ジョーンズ
第9節 リバプール戦(H)
アーセナルの左の縦ルートが終盤戦の命運を握る
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3位と首位の決戦となったエミレーツ。アーセナルはリバプールとの勝ち点差を縮めるため、リバプールはシティが暫定的に座っている首位の座を取り返すために負けられない一戦である。
立ち上がりは両チームのプレスのカラーがはっきりしたスタートだった。センターラインの選手に片側からプレスをかけて、サイドに誘導し、ここからボールを蹴らせるスタンスだったのはアーセナル。SBに復帰明けのティンバーと本職ではないトーマスを置くという不安要素があるだけに、前からのプレスをきっちりすることで相手の前線にボールを簡単に渡さないようにする。
前線のプレスに応えるようにトーマスとティンバーはボールが届く前に寄せることで不利なマッチアップを回避。ヌニェスも含めてロングボールへの対応は安定しており、不安のないスタートとなった。
対するリバプールはFW-MF間をコンパクトにしつつ、機を見てトップに襲い掛かるスタンス。アーセナルのCBはリバプールのCBに比べるとゆったりとボールを持つ余裕があった。
この余裕を活かしてアーセナルは先制点をゲット。時間を貰ったホワイトから右サイドのサカへのフィードが通ると、対面のロバートソンを交わして最後はケレハーとの1on1を制してゴール。この試合にサカが間に合った価値を十分に示すゴールとなった。
前進のルートには苦しんだリバプールもセットプレーから反撃。ディアスのニアフリックをファン・ダイクが合わせる形で同点とする。
だが、このゴール以降もペースを握ったのはアーセナル。サラーの背後に忍んだティンバーからグラフェンベルフやジョーンズを動かすことで中央のトロサールを解放。これにより左右のWGに対して安定して対面のDFと勝負できる環境を整えられるようになった。
押し込む機会を作ったアーセナルは前半終了間際に勝ち越しゴールをゲット。ファーサイドのメリーノ目がけたFKからハーフタイム前にリードを奪う。
後半、アーセナルは右サイドから押し込むスタートになるが、ガブリエウの負傷によって暗雲。さらには対角フィードや中盤でのドリブルから大外のディアスやサラーに届けるルートを確立。リバプールはサイドでの勝負が成立するように。
ハイラインを担保できるガブリエウの負傷とサイドでのWGからの仕掛けの形が整ったことでリバプールは後半に攻勢に。相手を押し込んだ後の攻略という意味ではガクポ、ツィミカス、ショボスライの途中交代組もアクセントに。
しかしながら、押し込まれることには慣れているアーセナル。ましてや11人であるならばなおさらである。だが、この日のアーセナルは11人である分、押し返すことが出来る。ティンバーの負傷でLSBに入ったルイス=スケリーは列を上げて逆サイドからの攻撃を引き取るのがうまいため、高い位置を取ることが多かった。
ルイス=スケリー→マルティネッリorトロサールの左サイドの縦関係はアーセナルに3点目をもたらす可能性もあったが、結果的にはこちらサイドの攻め手がリバプールの同点弾のきっかけに。上の縦ルートの攻撃を寸断したリバプールはアレクサンダー=アーノルドからヌニェスへのフィードでアーセナルの左サイドを完全に破壊。最後はサラーが沈めて同点に。
終盤戦は再びアーセナルがギアアップしてゴールを狙っていくが、あと一歩のところでゴールに迫り切れず。試合はタイスコアで幕を閉じた。
ひとこと
アーセナルはできることをやったし、リバプールは後半に主導権を握り返す設計図をきっちり描いていた。プレミア上位勢同士らしいレベルの高い一戦だったように思う。
試合結果
2024.10.27
プレミアリーグ 第9節
アーセナル 2-2 リバプール
エミレーツ・スタジアム
【得点者】
ARS:9‘ サカ, 43‘ メリーノ
LIV:18’ ファン・ダイク, 81‘ サラー
主審:アンソニー・テイラー
第10節 ニューカッスル戦(A)
1年ぶりの沈黙
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前節はリバプール相手に激戦を繰り広げたアーセナル。内容は悪くはなかったが、2試合連続で勝ち点を逃す結果に。優勝争いを見据えると、これ以上勝ち点を落とすことは避けたいという感じだろう。
アーセナルは普段通りの方向性でのスタート。右サイドにボールを預けながら突破を探りつつ、高い位置からのプレスで相手のポゼッションを阻害していく。
しかしながら、方向性はいつも通りではあったが、内容はいつも通りにはならなかったアーセナル。特に気になったのはハイプレスのところである。得意パターンである右サイドに相手を追い込んでも縦パスを通されてしまうのである。
イサクであれば多少は仕方ないところがあるとは思うが、この日暗躍したのはウィロック。縦パスをレシーブして味方をフリーにしたり、味方を追い越すアクションでフリーで攻め上がったりなど大暴れ。対面するライスはウィロックに全くついていくことができないまま、振り回されてしまうことに。
このウィロックへの縦パスからニューカッスルは先制点をゲット。トーマスのクリアが中途半端になったところから右サイドのゴードンまで繋ぐと、素早いクロスから合わせたのはイサク。得意のホームゲームでまたしても得点を重ねる。
以降も縦にパスを作りつつ、右の大外でゴードンというパターンはニューカッスルの攻撃パターンとして確立。アーセナルに押し込まれつつもカウンターからチャンスを生み出していく。
保持においては徐々にアーセナルは手詰まりに。左サイドはマルティネッリのサポートしたい高さにメリーノやティンバーがおらず孤立。ゴードンのダブルチームが鋭いニューカッスル相手にマルティネッリは後手を踏み続ける。逆サイドのサカもジョエリントンのフォローに苦しみ、なかなか打開策になることができない。
後半はサカとサリバの間にハヴァーツが流れることでWGに入れるボールを良化させるプランにでたアーセナル。保持のルートを整えてニューカッスルを押し込む。
左サイドでは途中交代のジンチェンコが入り、WGにボールが入るタイミングを調節。後方に球持ちのいい選手を置くことでさらに保持は落ち着く。
だが、落ち着く以上のことがなかったのもこの日のアーセナルの残念な点。右サイドに切り札として入ったヌワネリもプレストン戦で炸裂したミドルに手を打たれてしまい、効果的な攻撃を出すことはできず。
アーセナルは2年連続セント・ジェームズ・パークで沈黙。昨季と同じ0-1でまたしてもニューカッスルに屈することとなった。
ひとこと
ちょっと見ていて得点が入る感じがしなかった。
試合結果
2024.11.2
プレミアリーグ 第10節
ニューカッスル 1-0 アーセナル
セント・ジェームズ・パーク
【得点者】
NEW:12‘ イサク
主審:ジョン・ブルックス
第11節 チェルシー戦(A)
ロンドンは青にも赤にも染まらず
レビューはこちら。
共に勝ち点は18。シーズンが始まる前の下馬評では差があった両チームだが、11節では同じ勝ち点でのロンドンダービーを迎えることとなった。
まず仕掛けたのはチェルシー。普段通りの3-2-5を使いながらアーセナルのプレスを跳ね返す。ギャップを作っていったのは中盤。5のシャドー役であるパーマーにアーセナルの中盤に注意を向けて、前に立つラヴィアがボールを持てるように。
チェルシーはこの縦方向の駆け引きで主導権を握る。プレスに来ないならばバックスからの対角パス、来るならば縦に差し込んでアーセナルの中盤の背後を取る。序盤でプレスの押し引きの感覚を掴めないアーセナルを押し込んでいく。
だが、アーセナルも前半の1/3が終わるころにはチューニングを完了。高い位置からチェイシングすることでチームの方針は決定。ハイプレスで真っ向勝負を挑むことでチェルシーのバックラインからボールを引っかけてカウンターに移行するように。
一方のチェルシーも押し込んだ際にはハイプレス。アーセナルはリスクを冒しながらラヤが広げる形でプレスから逃げる。こうなると、アーセナルは攻撃を加速させるパターンなのだが、ハイラインで踏ん張るククレジャを始めとするバックラインの奮闘で何とかカウンターで加速を付けさせない。
前半の終盤は押しこむ頻度が上がったアーセナル。だが、左右のサイド攻撃で相手を上回れるかは微妙なところ。悪くはないが、決定機といえる場面はトランジッション成分高めのマルティネッリのシュートとオフサイドとなったハヴァーツの幻のゴールくらいだろう。
チェルシーもジャクソンの馬力から押し返す場面が出てくるが、仕上げの場面で頼りにしたいパーマーのボールタッチが不調。リードを奪えないままハーフタイムを迎える。
後半はアーセナルがリトリートの頻度を増やすことで試合を落ち着かせに行く。その分、前進はハードになるはずだが、そこは右サイドのサカが踏ん張って陣地を押し下げる。右サイドからのクロスと逆サイドへのサイドチェンジからアーセナルがすこしずつ主導権を握る。
すると、その右サイドのクロスからアーセナルは先制。ウーデゴールのクロスに合わせたのはマルティネッリ。角度のないところからシュートを沈めてアーセナルが試合を動かす。
だが、チェルシーもすぐに反撃。セットプレーの流れでできた守備のギャップを一瞬で突いたネトの左足によって、試合は振り出しに戻る。
終盤はメリーノが組み立てとフィニッシャーの両面で暴れる展開に。しかしながら、右サイドのサカの負傷もあり仕上げるところまではいかず。チェルシーもマルティネッリが下がって以降甘くなったアーセナルの左サイドからゴールを狙うが、こちらも実らず。ロンドンは青にも赤にも染まらないままダービーは幕を閉じることとなった。
ひとこと
どちらのチームもそれなりに手ごたえがある内容だったとは思うが、特に停滞気味のアーセナルとしては勝ち点3が欲しかった試合だったはずだ。
試合結果
2024.11.10
プレミアリーグ 第11節
チェルシー 1-1 アーセナル
スタンフォード・ブリッジ
【得点者】
CHE:70′ ネト
ARS:60′ マルティネッリ
主審:マイケル・オリバー