レスター【19位】×ブレントフォード【11位】

今日も見届けるのは相手のゴール
ウルブスが内容面での改善が見られており、残留争いに食らいついていくには昇格組には内容のブラッシュアップと勝ち点奪取が求められる展開。序盤は互いに押し込むフェーズを交互に迎える展開。そうした中でヴァーディが先にロングカウンターからチャンスを迎えるなど、レスターとしては悪くない入りであった。
だが、ブレントフォードがワンサイドカットのハイプレスなどから少しずつレスターの前進を奪うように。ハイプレスとリトリートのメリハリが見事で、穴を開けずに前からプレスとかけていく。
そして、保持でも違いを見せることに成功。保持をベースに途中でボール奪取を絡めながら左サイドを攻略。背後をとったウィサが先制ゴールを決める。レスターは中盤の安易な飛び込みで逆を取られた結果、最終ラインがフリーズしてしまういつもの光景を繰り広げることに。
ヴァーディを目掛けたファストブレイクはスポットで見られるものの、中盤でのカウンターを十分に打てているのはブレントフォード。滑らかなカウンターで先制点から10分後にはムベウモが追加点。その5分後に生まれたセットプレーからのノアゴールの得点は一部のレスターファンを家路につかせるには十分なもの。
シュートの数は変わらずとも、1つ1つのチャンスについてのシャープさやフィニッシュの精度で違いを見せたブレントフォード。内容を見ても明らかにレスターの反撃よりもブレントフォードの4点目の方が近いのは明らかであった。
壊されていた右サイドのテコ入れを行なったファン・ニステルローイだが、流れは変わらず。押し込む機会を得るが、インサイドの寄せがタイトなブレントフォードを前になかなか攻め切ることができない。逆にブレントフォードはファストブレイクやFKから問題なくチャンスを作り続けるという展開だった。守備的には追い込めている状況でもあっさりとファウルを犯してFKにしてしまうレスターには辛いものがあった。
レスターはブオナノッテを投入し、ヴァーディへの導線をエル・カンヌスへの二頭体制に。ヴァーディにシュートチャンスを!というこの日のコンセプトには合ってはいたが、じんわりと保持率を上げるブレントフォードは落ち着いて試合をコントロールしていた印象だ。
オコリ、ヴェスターゴーアといったCBが足を引きずり、終盤のカルバーリョのゴールでスマレとハーマンセンは口論に。もはや、試合後にファン・ニステルローイが解任されてもおかしくないくらい悪いことが重なったレスターはホームでまたしても敗戦を喫した。
ひとこと
これでレスターはホームゲームで無得点での6連敗。キング・パワー・スタジアムのファンが最後にレスターのゴールを見たのは12月8日。それ以降の15得点は全て敵チームに生まれたものだ。
試合結果
2025.2.21
プレミアリーグ 第26節
レスター 0-4 ブレントフォード
キング・パワー・スタジアム
【得点者】
BRE:17‘ ウィサ, 27’ ムベウモ, 32′ ノアゴール, 89′ カルバーリョ
主審:トニー・ハリントン
エバートン【14位】×マンチェスター・ユナイテッド【15位】

初の枠内シュートで追撃のきっかけを掴む
好調さが徐々に出てきたエバートンとなかなか監督交代後もチームが上昇気流に乗らないユナイテッド。逆方向のトレンドが重なり、順位は逆転。現在は直接順位を争う形になっている両チームの一戦だ。
立ち上がりはロングキックの応酬。前線の高さをベースにどこまで収まるか?というドつきあいのスタートとなった。少しずつ試合が落ち着くと、互いにボールを持つ時間が作れるようになる。SBが高い位置をとることでユナイテッドの守備を広げようと試みるのがエバートン。ピッチの横幅を使いながらユナイテッドの守備をまずは広げにかかるスタートである。
一方のユナイテッドはザークツィーが中央で起点になることで反撃を狙っていく形。中央にボールを収めることでなんとか全体を押し上げていくイメージである。
やや膠着気味の試合の中でセットプレーから試合を動かしたのはホームチーム。ベトが難しい形を強いられたボレーで先制ゴールを奪う。シュートのミートも見事だが、やはりベトというキャラクターを考えると、頻繁に上下動しながら駆け引きできるようになっているのがとても大きい。シュートだけでなく、そこに至るまでの駆け引きに成長を感じるシーンだった。
先制点で勢いに乗ったエバートンは前半のうちに追加点をゲット。中盤で起点となったドゥクレは前線にパスを出すと、自らもフィニッシュに絡む形でゴールを奪う。流れるようなエバートンの攻撃ではあったが、逆にユナイテッドは徹頭徹尾だめな場面だった。ブルーノがドゥクレに振り回されるところからスタート、最後のボックス内での体を張る意識の低さまでどうにもならない要素が多すぎるという感じであった。
ユナイテッドも左サイドのブルーノとドルグが奥をとるアクションを見せてはいるが、なかなか有効打にはならず。ハーフタイムは2点ビハインドというところを覆せなかった。
後半もエバートンはガンガン右サイドから裏を取っていく。非保持では前プレだけでなくリトリートを行うことで使い分けながらチームの重心を決めていく。
ユナイテッドはガルナチョという仕掛け役の投入からリカバリー。なかなか前に足りなかったエンジンを搭載することで推進力を追加して反撃する。
すると、FKからブルーノが追撃弾となる一撃をお見舞い。これでさらに引き下がるエバートンにガンガン仕掛けていく。ちなみにこのシュートがユナイテッド最初の枠内シュートであった。
終盤にもセットプレーでユナイテッドは同点。ウガルテのミドルで二次攻撃を完結し、2点のリードを帳消しにする。
難所から2点ビハインドで勝ち点1を取るところまで辿り着いたユナイテッド。後半のリカバリーでなんとか最低限の物を持ち帰ったという印象だ。
ひとこと
エバートン、クロージングに失敗というのはこのチームのアイデンティティらしくない。
試合結果
2025.2.22
プレミアリーグ 第26節
エバートン 2-2 マンチェスター・ユナイテッド
グディソン・パーク
【得点者】
EVE:19′ ベト, 33′ ドゥクレ
Man Utd:72′ ブルーノ・フェルナンデス, 80′ ウガルテ
主審:アンディ・マドレー
ボーンマス【5位】×ウォルバーハンプトン【17位】

10人の追撃を華麗に振り切る
徐々に降格圏とは差がつき始めているウルブス。残留争いのベテランというべき貫禄を見せていると言っていいだろう。
ただボーンマスは勢いが満点。左サイドのユニットを軸に攻め込んでいく。この攻撃はかなり強烈ではあるものの、縦パスを厳しくチェックするウルブスはミドルゾーンで喰らいつくことができていた。反撃としても右サイドからの攻撃でボーンマスの攻め上がった背後を襲撃。セメド、クーニャから鋭い攻撃を披露する。
それでも好調のボーンマスは高い位置から圧力をかけてウルブスにプレッシャーをかけていく。チャンスを迎えたボーンマスだが、ジョゼ・サは落ち着きを見せてセーブするが確実に圧力ジリジリとかけていく。
そんな状態が変化したのはサバルニーの一発退場。優勢という中で落とし穴に入ってしまい、ボーンマスは数的不利に陥ってしまう。
10人であっても高い位置に出ていく意識は変えないボーンマス。普段と変わらない試合展開を目指していくが、先制点を奪ったのはウルブス。スパッと抜け切ったクーニャがゴールを呼び込み、11人のウルブスが前半のうちにリードを奪う。
後半、ボーンマスは追いかけたいながらもスクランブルな守備体制に苦しんでいる感があった。トップをやっているはずのワッタラは今節はSBに逆戻り。サバルニーがいなくなったバックラインはハイセンが潰しに出て行った後の穴がどうしても埋まらず、前に出ていく守備の根幹となる部分が機能しない。
ウルブスは相対的にボールを持つターンが増加。バックドアの頻度を強めて前後に揺さぶっていく形で敵陣での崩しを行っていく。シュートまで持っていくのが一苦労なボーンマスとは対照的に、ウルブスはムネツィのシュートチャンスが少しずつ増えていく。
終盤に心を決めて再び前からプレスに出ていくボーンマス。だが、ウルブスは華麗なポゼッションでこのプレスを回避。ボーンマスの前への出力を空転させることに成功する。
全くチャンスがないわけではなかったボーンマス。ブルックスがファーサイドのクロスをあわや仕留めかけるが、これはネットを揺らすことができず。
結局11人のウルブスは逃げ切りに成功。10人のボーンマスの追撃を振り切って勝ち点3を手にした。
ひとこと
抜け目のないクーニャ。素晴らしいゴール。
試合結果
2025.2.22
プレミアリーグ 第26節
ボーンマス 0-1 ウォルバーハンプトン
ヴァイタリティ・スタジアム
【得点者】
WOL:36′ クーニャ
主審:マイケル・サリスベリー
イプスウィッチ【18位】×トッテナム【12位】

いかにも今年のトッテナム
勝てば連勝となるトッテナム。そんな中で立ちはだかるのは昇格組のイプスウィッチ。レスターに敗れてしまったという悪い思い出を払拭するためにもここはなんとか勝利を手にしたいところだろう。
しかし、いきなりチャンスを作ったのはホームのイプスウィッチ。開始1分で左サイドのデラップが推進力を生かすことで早々にトッテナムのゴールを脅かす。
バタバタした序盤戦だが、ソンが降りることでボールを落ち着かせる。落ち着かせるのが左サイドならば、持ち上がるのも左サイド。ダンソが運び、復帰したウドジェがさらに鋭さを見せる格好で高い位置に出ていく。
ポステコのトッテナムはこれ!と決めた日は攻略パターンを徹底するのが特徴。この日はとにかく左サイドを縦に進んでいく形で勝負を仕掛けていく。
18分にようやくトッテナムはゴールをこじ開けることに成功。左サイドのソンの突破から最後は逆サイドのジョンソンが仕留めて試合が動く。
徹頭徹尾この日は左サイドで攻め切る意識のトッテナムはさらにこちらのサイドは追加点。ソンのバックドアから抜け出すと、またしてもゴールを決めたのはジョンソンだった。
押し込まれてばかりではなんともならないイプスウィッチ。だが、フィリップスはボール奪取からのカウンターで推進力を与えると、ハッチンソンが仕留めて1点差に。イプスウィッチはこれと同じ形からチャンスを作る。
対するトッテナムもベンタンクールのスラローム型のドリブルで反撃。ポゼッションで落ち着かせつつ切り込む形を装備する。
ビハインドのまま後半に突入したイプスウィッチはハイプレスでスタート。サイドに追い込んで奪い取る形を確立し、押し込んでいく。セットプレーからウールフェンデンがチャンスを迎えるなど、追撃の機運が高まる。
だが、時間経過とともに少しずつだらっと勢いは右肩下がり。交代選手がおらず、ギアアップできない状態が続いてしまうように。
そんなイプスウィッチを嘲笑うかのようにトッテナムは80分手前に立て続けにゴールを奪うことに成功。スペンス、クルゼフスキが得点を決めてあっという間にリードを広げてしまう。
得意パターンを確立してリードをうばい、後半は失速したところを叩くことで4得点を手にしたトッテナム。連勝で昇格組へのトラウマを払拭するための勝利を手にした。
ひとこと
1つ目が刺さると強い今年のトッテナムらしい勝利だった。
試合結果
2025.2.22
プレミアリーグ 第26節
イプスウィッチ 1-4 トッテナム
ポートマン・ロード
【得点者】
IPS:36′ ハッチンソン
TOT:18′ 26′ ジョンソン, 77′ スペンス, 81′ クルゼフスキ
主審:ティム・ロビンソン
サウサンプトン【20位】×ブライトン【10位】

寂しいスタンドを飛び回る鳥たち
後がない状況はすでにもう何度か踏み抜いている印象のサウサンプトン。それでも連戦連勝によるグレートエスケープの望みを捨てないためにも高い位置からのプレスに今節も出ていく。今日は序盤からオールコートマンツーでブライトンを阻害しにいく。
マンツーでつかれてしまったブライトンはどこかマッチアップで勝てそうなところがあるかを探っていく。すると、ラターの反転からアリボを剥がすなど、少しずつ勝負できるポイントを作っていく。サウサンプトンはベドナレクの負傷でベラ=コチャップを久しぶり召喚するなど、序盤から思い通りにいかない展開だ。
非保持でもサウサンプトンはショートパスで繋ぐことで個性を見せていくが後ろが重い影響からかなかなか前にボールを進めることができず。こちらは強引なスピード勝負が通用せず。逆に受けに回るとマンツーを剥がされた守備陣が背走させられるシーンが増えていってしまう。
19分には抜け出した三笘が決定機を迎え、21分にはミンテがより濃い決定機を迎えるがどちらもゴールを奪えず。しかし、サウサンプトンの決壊は時間の問題であった。23分のジョアン・ペドロのゴールはようやくという感じであった。
ブライトンは先制点以降もチャンスメイクが続く。中央での縦関係の構築からマンツーを打開することで剥がしたところからスムーズに決定機を掴みにいく。サウサンプトンはなんとかセットプレーからチャンスに辿り着くが、これもフェルブルッヘンにセーブに遭う。左サイドのスレマナもこの日は封殺。反撃のきっかけをなかなか掴めないままサウサンプトンはハーフタイムにたどり着いてしまった印象だ。
後半、サウサンプトンは勢いに乗ったスタート。フェルナンデスから裏抜けするアーチャーにラストパスを送り、ネットを揺らしたがオフサイド。わずかなタイミングでゴールを逃してしまう。
悪くない入りだったサウサンプトンだが、ブライトンは再びアリボを背負ったラターの反転からチャンスメイク。抜け出したところからゴールを生み出し、サウサンプトンを突き放す。
試合を決定づける3点目を決めたのは三笘。これも縦パスからのポストの関係性から一気に抜け出して1on1。とにかくこの試合で多かった1人での抜け出しからの決定機を冷静に沈めてダメ押しの一撃を決める。
ヒンシェルウッドがセットプレーから仕留めたゴールで点差は4点。直後に映ったガラガラのホームスタンドに鳥が飛び回る画はこの試合を1枚で言い表している素晴らしい構図だった。
最後まで攻めに攻め続けたブライトン。文句なしの大勝でアウェイファンに勝利をプレゼントした。
ひとこと
サウサンプトン、この強度ではマンツーは耐えられない。
試合結果
2025.2.22
プレミアリーグ 第26節
サウサンプトン 0-4 ブライトン
セント・メリーズ・スタジアム
【得点者】
BHA:23′ ペドロ, 55′ ラター, 71′ 三笘薫, 82′ ヒンシェルウッド
主審:ダレン・ボンド
アーセナル【2位】×ウェストハム【16位】

沈黙のエミレーツをウェストハムが制圧
レビューはこちら。

前節、何とかアーセナルはCFメリーノの奇策を使うことで勝ち点3確保に成功。しかしながら、今節も貧窮している状況は変わらず。苦しい前線の事情の中でメリーノをCFとしてスターターとして起用する策にアルテタは打って出た。
序盤からボールを持つのはアーセナル。ウェストハムは明確に後ろに重いブロックを敷くことでアーセナルの保持を許容する。アーセナルはブロックをこじ開ける仕事を押し付けられる格好になっていた。
輝いていたのはトロサール。高い位置に顔を出してのサポート能力に優れているカラフィオーリを相棒に、左サイドから勝負を仕掛けていく。
ウェストハムは押しこまれる苦しい展開ながらなんとか前線に放り込むことはできていた。それでもガブリエウとサリバを前に前線はボールを収めることはできず。アーセナルに対して一時的に押し下げる以上の効果はなかった。
ややポッターのカラーが出たのはボール保持のところ。GKを絡めて時には4枚にすることでアーセナルのプレスを回避。自陣から安定してボールを前に運ぶ。ロスト後の即時奪回においても、アーセナルはなかなかいつもの圧力を発揮することが出来なかった。
すると、その隙をついて前半終了間際に先制したのはウェストハム。ウーデゴールの中央へのパスを引っかけることで右サイドからカウンターを発動したウェストハム。ワン=ビサカが敵陣までボールを運ぶとクロスに飛び込んだのはボーウェン。前半の内にリードを奪う。
何とか得点を返したいアーセナルだが、後半も切り崩すのには苦戦。簡単にクロスを上げるだけではメリーノではウェストハムのCB陣に制空権を取れないし、ライスも早めに下げてしまったため、PA内の圧力は低下する。ウーデゴールがボールを動かすことを積極的に行いはするが、周りとの息が合わないまま時間だけが過ぎていく展開に。
さらにはそこにルイス=スケリーの退場というトラブルも重なったアーセナル。停滞感がさらに重くなり、エミレーツは完全に沈黙に包まれてしまう。
ジンチェンコのIH起用など普段とは異なることを試すことで何とか抵抗を試みたアーセナル。だが、最後までウェストハムのゴールをこじ開けることはできず。沈黙のエミレーツはただただウェストハムの守備ブロックを前に攻めあぐねるホームチームを見つめるだけだった。
ひとこと
メリーノのCFでできることできないことが良く整理出来た試合だったと思う。
試合結果
2025.2.22
プレミアリーグ
第26節
アーセナル 0-1 ウェストハム
エミレーツ・スタジアム
【得点者】
WHU:44′ ボーウェン
主審:クレイグ・ポーソン
フラム【8位】×クリスタル・パレス【13位】

得点を境に明暗がくっきりと
共に中位につける堅実な両チームによるロンドンダービー。互いに噛み合わせが悪くなかなかプレスのつかみどころがない一戦。そんな中でもハイプレスの意識が高いスタートとなったのはフラム。噛み合わないながらも3バックをチェイシングすることで高い位置からボールを奪いにいく。
そんなフラムの積極的な守備に対して、パレスは横に長いボールを展開することで回避。対角のパスから左サイドで勝負をかけることでフラムのプレスを空転させる。
逆にパレスの非保持は中央をきっちりプロテクトするミドルブロック。3-2-5に変形するフラムに対して、インサイドをプロテクト。フラムは3の右側に立つカスターニュを列上げするなど工夫を凝らしながら敵陣に人を送り込んでいく。
時間の経過とともに存在感を増していったのはエゼ。長いレンジからのパンチ力のあるシュートで遠いレンジからフラムのゴールマウスを脅かしていく。対角のパスを駆使しつつ、フラムを押し下げていったパレスはセットプレーから先制ゴールをゲット。空中戦を制したラクロワがオウンゴールを誘発しパレスにリードをもたらす。
フラムはなかなかこじ開けるためのポイントを見つけることができず。試合はパレスのリードでハーフタイムを迎える。
後半、追いかけるフラムはポゼッションからスタート。右サイドで相手を食いつかせつつ裏をとることで一気にスピードアップを狙うなどショートパスによる組み立てから反撃を狙う。
フラムはファストブレイクからもチャンス。左サイドを抜け出したヒメネスには重要なチャンスが訪れたが、これをラクロワがカット。これで試合の流れは再びパレスに。カウンターからチャンスを作り、エゼのヒールアシストからマテタがネットを揺らすがこれはオフサイド。
しかし、その数分後に再びカウンターからゴール。右サイドを抜け出したムニョスは敵陣までボールを運ぶと、緩急を使い縦突破から角度をつけてのシュートを披露。意外性のあるゴールでパレスはリードを広げる。
フラムはこのゴールで意気消沈。反撃の意欲も見えず、途中交代で入ったケアニーは負傷でベンチにすぐに退いてしまうなど、とにかく流れが悪かった。
最後まで盤石の試合運びでクリーンシートを達成したパレス。上の順位にいるフラムを敵地で倒し、勝ち点3を手にした。
ひとこと
得点が決まってからはもう両チームの出来の差がくっきりという感じだった。
試合結果
2025.2.22
プレミアリーグ 第26節
フラム 0-2 クリスタル・パレス
クレイブン・コテージ
【得点者】
CRY:34′ アンデルセン(OG), 66′ ムニョス
主審:ロベルト・ジョーンズ
アストンビラ【9位】×チェルシー【6位】

冬移籍組の暗躍がチェルシーを阻む
ジャクソンの負傷に伴い停滞感が目立つチェルシー。今節は難所のビラ・パーク。CL出場権を取るためにもなんとか勝ち点3を手にしたいところだろう。
試合はハイテンポなスタート。普段は静的な守備をすることが多いビラだが、この日は深追いをするスタートでチェルシーを追い込んでいく。攻守の切り替えが多い立ち上がりにチェルシーはチャロバーが負傷交代とやや不穏な立ち上がりだ。
しかし、先制点はチェルシー。トップに入ったネトが右に入るという「初期配置」に戻る移動から突破に成功。ネトが開けたスペースに飛び込んだエンソが先制ゴールを生み出す。
以降もトップに入ったネトが右サイドに移動することでチャンスメイク。エンソはフィニッシャーとしてゴールを決める役割で延々とボックス内に飛び込んでいく。
時間の経過とともに徐々に盛り返していくアストンビラ。外に流すことでチャンスメイクをするチェルシーとは対照的に、ビラはインサイドにポイントを作ることでサイドに翼を生やしている形。スピードアップするワイドの前にインサイドにポストでタメを作ることで攻撃を加速させていく。
ビラは勢いに乗ってくると中央でボールを引っ掛けることでカウンターを発動。少しずつ敵陣に迫る機会を増やしていく形に。チェルシーは冷や汗をかく場面が徐々に増えていく。
後半、ラッシュフォードを投入したアストンビラは前半以上にポゼッションからの追撃を図る。押し返すチェルシーはネトの馬力のあるカウンターで反撃に出る格好だ。
アストンビラが押し込む機会を増やしていった試合はセットプレーの流れで同点。右サイドに流れたミングスのクロスがニアに引っかかり、ファーのラッシュフォードに。折り返しをアセンシオが押し込んでゴール。冬の移籍市場組の詰め合わせからアストンビラは同点に追いつく。
以降も一進一退の攻防を繰り広げられた試合だったが、試合終盤にチームを救ったのはまたしてもアセンシオ。セットプレーから押し込むゴールを生み出し、ビラは貴重な逆転ゴールを手にする。
冬に加入したローン組が結果を出したアストンビラ。途中交代のラッシュフォードに流れを変えられてしまったチェルシーは逆転負けを喫することとなった。
ひとこと
チームの流れを変えたラッシュフォード。ここまで踏んだり蹴ったりな個人の流れも変えられるだろうか?
試合結果
2025.2.22
プレミアリーグ 第26節
アストンビラ 2-1 チェルシー
ビラ・パーク
【得点者】
AVL:57′ 89′ アセンシオ
CHE:9′ エンソ・フェルナンデス
主審:マイケル・オリバー
ニューカッスル【7位】×ノッティンガム・フォレスト【3位】

SBの攻撃参加で差をつけたニューカッスルが逃げ切り
ボールを動かしていくのはニューカッスル。中盤で枚数を合わせてくるフォレストに対して、切れ目を探っていくスタート。あれこれ手探りをする前にニューカッスルはミスから失点。スローインを掻っ攫われてしまい、一気に走らせることを許してしまうと、ハドソン=オドイのミドルでこじ開けられることに。ニューカッスルはロストしたマーフィーとミドルへの備えが甘かったポープの両者の対応が怪しかった場面だった。
先制点を許したニューカッスルだったが、フォレストの守備を崩すという観点ではすぐに解決策を見つけることに成功する。まずは右サイドの中央のパス交換からマーフィーにボールをつけることで右サイドから攻め手を探る。
特に効いていたのは追いこすリヴラメントの動き。中央に比べればサイドのマーカーを抑える動きが甘いフォレストの隙をつくようなSBの攻め上がりからチャンスを作っていく。
この形から押し込むと、セットプレーで同点ゴールを決めたのはマイリー。左足での技ありのゴールで試合を振り出しに戻す。
するとここからニューカッスルはゴールラッシュ。左サイドに流れたイサクを絡めて、今度はホールが左サイドからの抜け出しに成功。やや幸運な跳ね返りをマーフィーが押し込んで追加点を奪う。
さらにホールのクロスからニューカッスルはPKを獲得。やや不運なPKを与えてしまったアイナは少しかわいそうな気もしたが、イサクは容赦なし。3点目を奪うと、さらにその直後に4点目までむしり取る。
フォレストのサイドのトランジッションの遅さを徹底的に利用したニューカッスル。同じパターンでの攻撃が延々とハマり大量リードを確保に成功。試合はハーフタイムを迎える。
後半、ニューカッスルはややテンションを落として4-5-1でバックラインを組む。マーフィーをWB化する5バックの形も視野に入れながら受けに回っていく。
押し込む頻度が増えたフォレストはセットプレーからあっさりと追撃弾の確保に成功。前に残ったミレンコビッチのゴールで割と簡単に差をつめる。
このゴール以降は断続的にチャンスを迎えるフォレスト。前半と全く立場が入れ替わった形でニューカッスルを攻め立てることに。
ニューカッスルも保持の時間を増やしつつなんとかフォレストに抵抗。最終盤にはさらにもう1点のゴールをフォレストに許すが反撃はここでなんとか踏み止めることに成功。土俵際まで追い詰められながらもなんとか勝ち点3を守り切った。
ひとこと
2失点目以降の波状攻撃のような時間帯で失点をしなかったのがニューカッスルの勝ち点3に繋がった印象。
試合結果
2025.2.23
プレミアリーグ 第26節
ニューカッスル 4-3 ノッティンガム・フォレスト
セント・ジェームズ・パーク
【得点者】
NEW:23′ マイリー, 25′ マーフィー, 33′(PK) 34′ イサク
NFO:6’ ハドソン=オドイ, 63′ ミレンコビッチ, 90′ イエーツ
主審:ジャレット・ジレット
マンチェスター・シティ【4位】×リバプール【1位】

攻撃の設計図の解像度の差が明暗を分ける
例年よりも早くCLからの撤退が決まってしまったマンチェスター・シティ。休む間もなく迎える一戦はこちらも休む間もなくリーグ戦をこなしているリバプールとの一戦である。
立ち上がりからメリハリのあるプレーを見せたのはリバプール。サイドにボールをつけての打開と、シティのバックラインへのハイプレスの2つの武器から主導権を握っていく。シティが序盤のハイプレスに対してきっちり慌てるのももはやお馴染みの光景となっている。
ただ、リバプールのプレスも決して盤石というわけでなく、FW-MF間が間延びしてしまうこともしばしば。シティはニコ・ゴンザレスを中心に攻撃を組み立てていく。浮いた中央のスペースを使いつつ、サイドにボールをつけるシティ。ボックス内にはハーランドがいないため、相手を動かす下準備はいつも以上に必要となる。だが、なかなかシティはそこを捻り出すことができない。
すると、安定して押し込むことができていたリバプールはセットプレーから先制点をゲット。ニアフリックにマイナスで合わせたサラーが左足を振り抜いて先制。シティはアケのディプレクトが不運な形でゴールに入ってしまった。
リバプールがミドルプレスの機会を増やしたことで中盤でのスペースがなくなってきたシティ。焦りからかパスミスも出てくるように。マルムシュは右サイドの抜け出しからチャンスを迎えたがこれはオフサイド。一度目の動きのタイミングが合わなかったのはわかるが、二度目の動きに向けた準備不足は勿体無い。シュートが素晴らしいだけに。
するとリバプールは直後に追加点。右サイドでサラーが最終ラインの位置を決めると、マイナスに構えていたショボスライが寄せてきたクサノフの股を抜いたミドルでゴール。アタッキングサードの設計図の精度の違いを見せた2点目だった。
2点のリードを携えているリバプールは前半以上に後ろ重心での守備を敢行。マック=アリスターはバックスのフォロー役として、デ・ブライネを監視しつつDFラインのカバーに入れる位置に立つ。リバプールはきっちりと構えてカウンターという形を強化する微調整を行った。
シティは細かいパスで揺さぶりつつもなかなかこじ開けることができない状況が続く。この辺りにはアーセナル同様に高さのないチームとしての事情が垣間見えるところではある。シンプルなクロスを入れても何も起きないということだろう。
10人でブロックを組むリバプールに対して、そうした工夫が通ることは稀。むしろ、サラーを軸とした右サイドのロングカウンターでシティのゴールを逆に脅かしていく。サラーの相棒としてCFに起用されたカーティスはシティのCBの背中をとる裏抜けで十分に役割を果たした。
終盤にギアが落ちやすいリバプールだが、相手がシティというモチベーションからなのか、この日は緊張感を持って終盤戦を過ごすことができた。逆にシティはカーティスの幻のゴールからやや心を折られた印象。10分もすれば持ち直しはしたが、それでもリバプールのゴールマウスをこじ開けるには不十分だった。
リバプールは2点のリードを奪っての完勝。エティハドを制圧し、ディフェンディングチャンピオン相手のシーズンダブルを決めた。
ひとこと
今季ここまでどういうシーズンを歩んできたかの差がきっちり出た試合だった。
試合結果
2025.2.23
プレミアリーグ 第26節
マンチェスター・シティ 0-2 リバプール
エティハド・スタジアム
【得点者】
LIV:14′ サラー, 37′ ショボスライ
主審:アンソニー・テイラー
今節のベストイレブン
