Fixture
プレミアリーグ 第9節
2024.10.27
アーセナル(3位/5勝2分1敗/勝ち点17/得点15 失点8)
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リバプール(1位/7勝0分1敗/勝ち点21/得点15 失点3)
@エミレーツ・スタジアム
戦績
過去の対戦成績
過去10回の対戦でアーセナルの2勝、リバプールの5勝、引き分けが3つ。
アーセナルホームでの戦績
過去10回の対戦でアーセナルの3勝、リバプールの4勝、引き分けが3つ。
Head-to-head from BBC sport
- アーセナルは直近4試合のプレミアでのリバプール戦で無敗(W2,D2)
- リバプールは直近17試合のプレミアでのアーセナル戦で無得点に終わったことがない。最後の無得点は2015年8月のスコアレスドロー。
- リバプールは直近6試合の公式戦でのエミレーツでの試合で4勝。残り2つは敗戦。
スカッド情報
- ウィリアム・サリバは前節の退場で出場停止。
- リカルド・カラフィオーリは膝の負傷で様子を見ている。
- ブカヨ・サカとユリエン・ティンバーの状況は不透明。
- ディオゴ・ジョッタはチェルシー戦での負傷で欠場。
- アリソン、ハーヴィー・エリオットは引き続き欠場。フェデリコ・キエーザとコナー・ブラッドリーにとってもこの試合の復帰はややショート。
Match facts from BBC sport
- 今季のホームでの公式戦は7戦無敗(W6,D1)
- しかし、負ければ2023年12月以来のプレミア連敗の危機。
- 勝てばトップリーグ2000勝。
- デクラン・ライスが出場すれば250試合目のプレミア出場。6番目の若さでの達成となる。
- ブカヨ・サカがゴールを決めればプレミア通算50得点。
- 今季のアウェイでの公式戦は6戦全勝。
- 4試合連続の開幕からのアウェイでの勝利は90-91,19-20に並んでクラブタイ記録。
- 3失点はリーグ最少。
- アルネ・スロットは就任後初めの12試合のうち11試合で勝利を挙げており、英国のトップリーグの歴史において最も優れたスタートを切った。
- モハメド・サラーが得点を決めればロビー・ファウラーに並びプレミアで163得点目となる。
- サラーは14試合のプレミアリーグでのアーセナル戦において10得点を挙げている。
予習
第6節 ウォルバーハンプトン戦
第7節 クリスタル・パレス戦
第8節 チェルシー戦
今季ここまでの道のり
予想スタメン
展望
「バグ」減少は自信の表れ?
前節、ボーンマスに敗れてしまいリバプールとの勝ち点差は4。アーセナルが負ければ7に開いてしまい、ひとまずは優勝争いに関しては「上位のミス待ちでスタンバイ」という格好になる。ミス待ちという立ち位置に降格しないためにもここは勝ち点を落とすわけにはいかない一戦である。
とはいえ、リバプールは好調だ。上でBBCが述べているようにアルネ・スロットは英国のトップリーグ史上に残るレベルで快進撃を続けている。もちろん、リーグ戦での序盤戦の対戦相手に恵まれていたのは確かだが、チェルシーそしてライプツィヒと難敵を相手に回しても勢いは衰えていない。エミレーツ攻略となれば、リバプールファンの手応えは一層確かなものになるだろう。勢いづかせないためにもアーセナルの役割は重要なものになる。
リバプールは4-2-3-1がベースとなるフォーメーション。トップ下に入るのは主にショボスライであり、ストライカーというよりはMFのカラーが強い選手。特に保持においては中盤の3人目としてプレーすることが求められており、最前線の選手とは明確に役割が分離されている。
CHのマック=アリスター、グラフェンベルフとの3人のユニットは非常に均質的であり、どの選手が前に出て行っても後ろに降りても遜色なくプレーすることができる。昨年の序盤戦も中盤は均質的ではあるが、独力で前を向くことを求められていた当時と比べると、チームとしてこの中盤を生かそうという意識が働いているように思う。
インサイドに絞るアクションをまぶしてくるアレクサンダー=アーノルドや低い位置でのタッチも少し増えたツィミカス、そして上下動するCFのジョッタもこの一員に加えてもいいだろう。後方からボールを運ぶコナテの名前をあげてもいいかもしれない。中盤に顔を出す選手が多く、また過度になりすぎないように調整することで全体のポジションのバランスを保たせている。アレクサンダー=アーノルドは大外を駆け上がるし、ジョッタはゴール前に飛び込む。本分をきっちりとこなし、中盤のヘルプだけになっていないというのが特徴である。
中央にとにかくパスを刺すというだけではインサイドを閉じてしまえばOKということになる。それだけでないのがリバプールの怖さ。両翼へのフィードから外に相手を広げるアクションを入れることも忘れないのが彼らの手強さである。
特に右のサラーは長いボール預けておけばそれなりになんとかしてくれる選手。低い位置での役割の整理ができる分、ファイナルサードにフォーカスできるのも大きい。中央をこじ開けるという要素一辺倒にしない、もしくは中央のマークを開けるためのバグとして大外のサラーは機能している。
少し前までは左にもバグ要員のディアスが入ることが多かったが、近頃はガクポがこのポジションに入ってレギュラーに定着している。彼はポストから中盤を解放するような役割を担っており、どちらかというと正規の中盤を生かすというルートを活かすタイプの選手である。バグ要素を減らして、正規ルートの成分を増やすという変更は大元の変幻自在の中盤を生かすというコンセプトへの自信を深めているからかもしれない。
守備においては高い位置からのプレスがメイン。とは言っても強引に相手を捕まえるというよりはコースを限定し、ここぞという時に高い位置に出ていく形が多い。リードをされる状況になればもう少し強引さが入ってくるかもしれないけども。
リバプールの失点の少なさは特筆すべきものではあるが、何か魔法をかけたというよりはきっちりと全員がやるべきことをやるということにフォーカスしているように思えることが大きい。最もわかりやすいのは守備面で大きな穴とされていたアレクサンダー=アーノルドが守備者として十分に貢献を果たすようになったこと。
もちろん、ストッパーとしてワールドクラスか?と言われると時期尚早な感もあるが、少なくともコナテがサイドに出てくる前提で守備組織を組んでいたクロップ時代とは異なり、1人のSBとして守備の責務を全うすることを求められている。前節のサンチョを封じる動きは試合の行方を決める大きなファクターとなった。
サラー、アレクサンダー=アーノルドも含めて1人ずつがきっちりと守備のタスクを担うようになったことが守備での安定につながっている感がある。バックス以外には強力なストッパータイプはいないものの、1人1人がきっちりと仕事を果たすことでバックスには過度な負荷はかからない。ボックス内に注力してOKということになれば、ファン・ダイクやコナテの仕事になるだろう。魔法ではなく当たり前の積み重ねで連勝を伸ばしてきた感がある。
2年前とは異なる証明を
まずはアーセナルに関しては怪我人事情が大きなファクターになる。現状ではおそらく出場停止のサリバに加えて、冨安とウーデゴールが欠場確定。サカ、カラフィオーリ、ティンバーの3人が不透明ということで情報を隠している段階だ。この試合ではキヴィオルかホワイトのどちらかがCBに回ることが濃厚であり、SBは1人でも戻ってくることが勝利の確率を上げる。サカは言わずもがなだろう。
今のリバプールが厄介なのはアレクサンダー=アーノルドというわかりやすい穴が以前よりも際立たなくなったことが挙げられる。マルティネッリでここを蹂躙できれば、アーセナルが多少後方のメンバーが揃わなくてもボールを前に進める目処は立つだろう。
例えば、キヴィオル、ガブリエウ、ホワイト、トーマスの4バックになった場合はリバプールのプレスと渡り合いながら穴を開けてボールを前に進めることは難しくなるだろう。カラフィオーリ、ティンバーがいなくなればリバプールのプレスの守備基準を乱す要素は格段に減ることになる。
そうなると、やはり前線にロングボールのターゲットがあるかどうかは重要。ボーンマス戦のようにトロサールとスターリングの両翼ではハヴァーツへの負担がえげつないことになる。サカが仮に間に合わないのであれば、このポジションはジェズスが入るのがベターだろう。そうなれば少なくとも前進というフェーズはきっちりとこなすことができる。
仮に押し込むことができた場合、キーになるのはトロサールだろう。SBにキヴィオルやトーマスが入る場合であれば、アタッキングサードにおける期待値は下がることになる。そうなれば左右のレーンに顔を出して攻撃を活性化させるトロサールが機能するかどうかは重要なポイント。ボーンマス戦、そしてシャフタール戦と悪い流れが続いているが、かつてアンフィールドでリバプール相手に大量得点を決めた相性の良さを生かして流れを変えたいところだ。
非保持はやはりかなりシビア。特に「バグ」であるサラーのマッチアップ相手が定まっていないのは難しいところ。対人を考えれば冨安かティンバーだろうが、前者は欠場濃厚、後者はホワイトがCBにスライドするとなれば、復帰したとしてもRSB起用が濃厚。カラフィオーリは復帰したとしても対人には不安は残る。
CBもシビア。22-23シーズンの失速はサリバがいなくなったことが非常に大きな影響を与えている。サカやウーデゴールに関してはここまで誤魔化しながらやれている印象もあるが、サリバに関しては昨季フルでいた分、いなくなった時のクオリティが低下しないという証明がまだできていない。
もちろん、22-23よりはアーセナルのバックスの層は厚くはなっている。だが、故障者が多くどこまで人を支えるかはわからない。その上、この試合における右CBは絞るガクポと裏抜けするヌニェスへの対応が非常にシビア。難しい役割を担うことになる。
サリバの不在は確かに痛いが、裏を返せばこういう時にクオリティを大きく落とさないために、バックスは色々な組み合わせができるユーティリティ性の高い陣容になっている。2年前の自分達とは異なることをリバプールという難敵に見せつけたい。