Fixture
プレミアリーグ 第7節
2024.10.5
アーセナル(3位/4勝2分0敗/勝ち点14/得点12 失点5)
×
サウサンプトン(19位/0勝1分5敗/勝ち点1/得点3 失点12)
@エミレーツ・スタジアム
戦績
過去の対戦成績
過去の10回の対戦でアーセナルの4勝、サウサンプトンの2勝、引き分けが4つ。
アーセナルホームでの戦績
直近10回の対戦でアーセナルの5勝、サウサンプトンの1勝、引き分けが4つ。
Head-to-head from BBC sport
- アーセナルはダニー・ウォレスがゴールを決めた1987年11月のハイバリーでの0-1の敗戦以降、28試合のリーグ戦におけるホームのサウサンプトン戦で負けなし(W19,D9)。
- サウサンプトンはプレミアにおける24回のアーセナル遠征は未勝利(D8,L16)。プレミア史において特定のチームがアウェイで勝てていない時の対戦回数として最多。
- しかし、アーセナルは直近3試合のサウサンプトン戦で勝利がない。
スカッド情報
- CLのハーフタイムで交代したユリエン・ティンバーは評価の必要がある。
- 膝に問題を抱えるベン・ホワイトもティンバーと同様。冨安健洋は復帰に近づいており、ミケル・メリーノは起用可能でプレミアデビューを飾る可能性。
- ジャック・ステーフェンスは3試合出場停止に加え、追加で課された2試合の出場停止処分を受けて出場不可。
- ウィル・スモールボーン、カマルディーン・スレマナは復帰まで時間を要する。ガビン・バズヌは長期離脱中。
Match facts from BBC sport
- マンチェスター・ユナイテッド(428)に続き、ホームでのプレミア400勝にリーチ。
- 昇格組とのホームゲームは直近40戦負けなし(W35,D5)。現在は11連勝中で最後に敗れたのは2010年のニューカッスル。
- 昨季の開幕以降、PKを含めてセットプレーで26点を決めており、他のチームより少なくとも4以上多い。
- 2024年の公式戦32試合で17のクリーンシート。プレミアでは最多。
- プレミアでの試合は19戦未勝利(D5,L14)。1969年に記録した20のクラブの未勝利記録にリーチ。
- 6試合で勝ち点1は降格した98-99シーズン以来の低調なスタート。
- シュートコンバージョンが4.4%でリーグ最下位。xGに対して実際のゴールが4.7下回っており、これよりマイナスが大きいのはマンチェスター・ユナイテッド(5.6)だけ。
- ベン・ブレアトン・ディアスは出場した20試合全てのプレミアで未勝利。プレミアにおける未勝利記録を樹立している。
予習
第4節 マンチェスター・ユナイテッド戦
第5節 イプスウィッチ戦
第6節 ボーンマス戦
今季ここまでの道のり
予想スタメン
展望
綱渡りのビルドアップとプレッシング
ウーデゴールの負傷離脱とノース・ロンドン・ダービーで幕を開けた1ヵ月も間もなく終了。アウェイゲームの連打に王者ぞろいのCLと過酷な日程ではあったが、アーセナルは10月の代表ウィークまで公式戦無敗のままあと1つを乗り越えるところまでやってきた。迎えるのは昇格組。ここまで勝利を挙げることが出来ずに苦戦が続いているサウサンプトンだ。
開幕直後は3バックでスタートしたサウサンプトン。だが、ここに来て4バックにシフトしたフォーメーションにシフトしている。CBのステーフェンスが帰ってこないことを踏まえると、おそらくアーセナル戦もハーウッド=ベリスとベドナレクのCBコンビでの4バックを継続するのではないだろうか。
サウサンプトンの基本的なスタイルは繋ぎを活かしたショートパス主体のもの。GKのラムズデールを挟むようにCBは大きく開き、後方は3枚でビルドアップを行う。CHの2人は段差をつけながらフリーマンを作ることで反転し前を向いてのゲームメイクを行っていく。
ショートパスに対してのこだわりはそれなりに強く、クリティカルなミスをしてもトライを繰り返してはミスを重ねるというイメージ。ただ、中盤より前の選手に後方の選手を助けるアクションが少ないため、中盤は自力で前を向かないといけない。その点ではチェルシーからやってきたウゴチュクの奮闘が目立つ。
それでもどこかで前を向くことが出来れば攻撃は一気に加速する。一番の武器になっているのは売り出し中のディブリング。細かいタッチで相手を翻弄することが出来るテクニシャンで、右サイドからゴールを陥れることが出来る力を持った選手。縦関係になる菅原との相性を考えても、前節のような1トップ起用よりもWGで勝負をした方が期待を持てる。
また、アーチャーやブレアトンなどのブレイズ組も健在。ただ、スーパーサブからスターターに一気に上り詰めたディブリングを含めて前線の序列はここまでは流動的であり、まだ基本となる形が定まっていない感がある。
守備においては4-4-2がベース。前線は無理に相手のCBを捕まえることはしない。その代わり、サイドにボールが出た時は早い段階でSHがSBを捕まえに行く。マイナスのパスを出させれば、そこから一気にプレスの強度を上げていく。
ただし、DF-MF間は間延びしてしまうし、バックスの守備範囲も広くはない。前線からのプレスは一つ間違えて背後をさらされてしまうと一気にピンチになる。綱渡りのプレスとビルドアップがいい方に転がらないのがここまでの苦戦の要因ということになるだろう。
勝算あるプランを実行に移せるか
正直なことを言えば、いつも通りのきっちり強度を出せれば攻略は難しくはない相手だと思う。ビルドアップとプレス回避の両面でアーセナルにとっては十分に勝算のある試合になる。
プレッシングに関しては枚数をかけて前から出て行くことでミスを誘発するのがベターだろう。レスターのハーマンセンのように、ラムズデールもショートパスからMFに無理なパスをつけることはある。時間を奪うプレスを仕掛けた状態で哲学を貫こうとすれば、当然そういうプレーは増えてくるはず。エラーを引き起こさせるために、バックスから時間を奪うことで選択肢を阻害したい。
パリ戦でうまくいったように、サイドの奥に追い込む形でライスやトーマスがボールを奪う構造を狙ってもいいだろう。後方は同数を受け入れても問題はないので、高い位置からのプレスから早い時間の得点を狙う形でスイッチを入れて問題ないと思う。サウサンプトンが自らの哲学を貫こうとすればするほど、アーセナルのプレスの術中にはハマりやすくなるはずだ。
先に述べたようにプレスに関してサウサンプトンはサイドを基準に追い込みをかけてくる。シンプルな話をすれば、SBがティンバーやカラフィオーリのように移動を仕掛けてくるタイプであれば、まずサウサンプトンは守備のスイッチを入れる基準点の再設定を強いられることになる。
4-4-2がベースになる守備であれば、アーセナルの3-2-5を基調としたポジションチェンジにはかみ合わせは悪い。大外からWGが折り返すだけでフリーの選手を作ることが出来るだろう。
あるいは逆にバックラインは深さをつけて、前線へのロングボールを狙ってもいい。ボーンマスのセメンヨがボールの収めどころとして機能していたので、おそらく自陣に引き込んでからのサカへの長いボールでも前進は可能なはず。あえて、基準点を渡してSHとSBの距離を空けてダブルチームを難しくするような動かし方をしても面白い。
問題はこのようなプランを実行できる体力がアーセナルに残っているかどうかである。若手にも出番をそれなりに配分したとはいえ、負傷者の影響でコアメンバーのプレータイムはかさんでいる。CL後という負荷が最も高まっているタイミングでチームとして強度を高く保った状態で臨めるかは重要だ。
マンチェスター・ユナイテッド戦ですでに証明したように、サウサンプトンは自分たちの哲学がハマり敵陣で枚数をかけることが出来れば、十分に攻撃の怖さを出すことが出来るチーム。初手で歯車を狂わされた結果、リカバリーに時間とエネルギーがかかるスコアまで持ち込まれるのが最悪のシナリオだ。
もっとも、タフな日程でも信頼できるだけの実績をこのチームは積み上げている。強度に多少差はあっても目の前の相手を倒すために必要なことを続ける試合は常にできている。この試合もその例に漏れない入りをすれば勝利は濃厚だろう。厳しい日程を乗り越えたチームに対して、サポーター側の信頼は高まっている。その信頼に応えてくれることをこの試合でも期待している。