Fixture
プレミアリーグ 第13節
2024.11.30
ウェストハム(14位/4勝3分5敗/勝ち点15/得点15 失点19)
×
アーセナル(4位/6勝4分2敗/勝ち点22/得点21 失点12)
@ロンドン・スタジアム
戦績
過去の対戦成績
過去5年間の対戦でウェストハムの2勝、アーセナルの7勝、引き分けが2つ。
ウェストハムホームでの成績
過去10回の対戦でウェストハムの2勝、アーセナルの4勝、引き分けが4つ。
Head-to-head from BBC sport
- 昨季のウェストハムの6-0での敗戦は1963年のブラックバーン戦の2-8と1951年のシェフィールド・ウェンズデー戦の0-6と並び、ホームでの最も重たい敗戦。
- アーセナルの直近16試合のプレミアでのウェストハムアウェイでの敗戦は2019年1月にデクラン・ライスにゴールを決められた試合(W10,D5)
- しかし、ウェストハムは昨季のリーグカップ4回戦でアーセナルをホームで3-1で下している。
スカッド情報
- ジェドソン・アルバレスは出場停止から復帰しているが、モハメド・クドゥスは5試合の出場停止中。
- 名前のわからない数名が評価の必要あり。
- スポルティング戦で途中交代したガブリエウ・マガリャンイスの状態は不明。
Match facts from BBC sport
- 現在のテーブルの8位以内のチームとの対戦は5戦全敗。それ以外の7戦では無敗。
- 直近3試合のホームゲームで7ポイント。それ以前の9試合と同じ数字。
- 月曜のニューカッスル戦で2-0での勝利により、この試合では3月ぶりのリーグ戦連勝を狙う。
- 2試合連続のクリーンシート中。それ以前の28試合ではクリーンシートは1つだけだった。
- ジャロッド・ボーウェンは直近13ゴールのうち、12ゴールをロンドンで決めている。
- マイケル・アントニオは13試合のアーセナル戦の出場で1得点のみ。2020年9月のエミレーツで敗戦したアーセナル戦だけ。
- 直近4試合のアウェイゲームで未勝利(D2,L2)。はじめの11試合では10勝を挙げていた。これに並ぶランは2019年12月〜2020年6月の7試合で後半の6試合はアルテタ指揮下のもの。
- イプスウィッチ、ブレントフォードと並びアウェイでのシュート数が50を下回る3つのチームのうちの1つ。
- 12試合のプレミアのうち6試合でリードしている状態から落としている。昨季はクリスマス前の18試合で6試合しか勝利を逃していなかった。
- 2024年のロンドン・ダービーでは21ポイント中19ポイントを獲得。AGGは23-4。
- ブカヨ・サカは今季プレミアで12のゴールに関与。16のサラーに次いで2番目に多い。だが、4つのゴールはいずれもホームで生まれている。
予習
第10節 ノッティンガム・フォレスト戦
第11節 エバートン戦
第12節 ニューカッスル戦
今季ここまでの道のり
予想スタメン
展望
割り切ったスタイルに手ごたえありのウェストハム
先週末のフォレスト戦でリーグ戦の未勝利記録を止め、ミッドウィークではポルトガル遠征で大勝を飾りラウンド16ストレートイン圏内の7位に浮上。冬に入り、ようやく反撃態勢を整えたアーセナル。
過密日程はまだまだ続くがこの冬のアーセナルの強みは移動距離が少なく、ほぼロンドンから出ずに済むこと。手始めとなるアウェイゲームはウェストハムとの一戦からのスタートである。
今季のウェストハムはとても前評判が高かったと記憶している。フュルクルク、サマーフィル、ギド・ロドリゲス、キルマンなど国内外から実力者を集め、モイーズと袂を分かち、ボールを持ちながらサッカーをしていくという志を感じるマーケットの立ち回りだったといえるだろう。
だが、現状のところ、そうしたドラスティックなスタイルの変化はうまくいっていない印象がある。堅実なスタイルをやっているチームがポゼッションを始めましょう!というフェーズにおいて、ロペテギを選ぶチームはたまに見かけるが、苦戦するケースもしばしば。今回のウェストハムも今のところは同じ路線に乗っているような感じだ。
ボールを持ちたいという意気込みは感じる。CBは大きく開くし、組み立てもショートパスが中心。3バックもしくは2CBにアンカーのギド・ロドリゲスが降りるアクションから3枚に変化。相手の2トップに対して数的優位を確保する。
だが、その一方でCBは運ぶアクションを積極的に行うことはできない。後方からのキャリーはないので、後ろに重い状態はなかなか解消せず。業を煮やしたパケタが列落ちを敢行し、ゴールから近いところにあまり人がいなくなってしまう悪循環にハマっている。パケタの自由な動きはあまりチームの前進に関与できず、独断の列落ち以上の作用は引き起こすことが出来ていない。
その結果、攻撃の仕上げパターンはサイドからのスピードに乗ったボーウェンやサマーフィル、そしてアントニオのポストになっている。要はモイーズ時代とそんなに変わらない縦への速い攻撃だ。
非保持においては前からのチェイシングを積極的に行うようにはなったが、その分守備の強度は割引。特にCBが拾い範囲をカバーするように展開になると明らかに苦しい。サイドのスライドは非常に苦手で、4枚でも5枚でもサイドのチェーンが切れてしまうことも。プレスも完ぺきではないが、リトリートをしても問題があるのが今のウェストハムである。
だが、直近のニューカッスル戦ではいい戦いを見せた。割り切ったリトリート気味な展開とスピーディなカウンターで焦ったニューカッスルをきっちりと術中にハメてみせた。
プレス耐性に関しても、固まっている守備に対してこちらから動かすのはあまり得意ではない一方で、プレスにくる相手をいなすことには手ごたえのある内容となった。セットプレーからのゴールで主導権を握った90分を過ごし、悪くない流れでアーセナル戦に臨むこととなる。
右サイドにはあらゆるパターンがある
基本的にはアーセナルがボールを持つ展開になるだろう。ウェストハムは勝利したニューカッスル戦でもハイプレスに出て行く意欲は失っていないものの、リトリートする時にはきっちりと4-5-1で守るという意識はあった。ニューカッスル以上に押し込まれることが予想されるアーセナル戦ではより後ろに引く意識が強くなると考える。
もちろん、プレスに出て切れくれる分には歓迎だ。縦に間延びする分、アーセナルとしてはおいしいスペースが転がることになる。自陣で相手のプレス隊を引き寄せつつ、浮いたライン間に縦パスを刺す、もしくはCHかウーデゴールがサイド流れる動きから中盤を引き出してもいいだろう。
SBに実力者を揃えているウェストハムとの大外のマッチアップはハードだがサイド攻撃自体には勝機はあるだろう。特に直近よく活用しているウーデゴールの大外、もしくは低い位置に流れる形とウーデゴールが空けた位置にCHが登場する形は刺さる可能性がある。フォレスト戦のライスは代表例と言えるだろう。
ウェストハムの守備は軒並み横スライドへのリアクションがあまり得意ではなく、特に4バックの時はレーンを空けることも。だからこそ、先制点は重要。ウェストハムに割り切りを許さない程度には前に出てきてもらえる環境を作るのが一番効くように思う。
先制された際のニューカッスルは完全に慌てて早い攻撃に終始してしまった。ゆったりと食いつかせるステップを先に入れないと、ウェストハムの体を張れる守備陣には強引な裏への一発勝負には耐えられるだけの個の力がある。攻略するには足を止めるような揺さぶりが必要。もちろん、その要素の1つは先に挙げたようにCHがウーデゴールの位置に登場し、DFラインの手前でフリーの状態でボールを持つことになる。
守備においてはアントニオとのマッチアップも重要だが、調子がいいのは右のボーウェン。アーセナルであればもちろん渡り合える可能性は十分にあるが、なるべく高い位置で食い止めつつワンサイドゲームに持ち込み、一方的に攻め続けるのが理想だろう。
もちろん、自陣に誘引することが出来ればよりチャンスは広がるが、両翼のスピードを生かしたウェストハムのカウンターの可能性を削ぐのが先である。もし、ウェストハムがアーセナルのWGにダブルチームを付ければボーウェンやサマーフィルのカウンターの位置は低くなるはずだ。
サカにダブルチームをつかれてしまうと一見攻略は難しくなるように思えるが、今のアーセナルの右サイドの出力を維持できればむしろメリットの方が勝る可能性もある。大外のサカのサポートはウーデゴール、ティンバーだけでなく中盤や前線からあらゆる選手が顔を出している。ダブルチームをしてくればサカがマークを引き付ける分、右サイドに顔を出すほかの選手はフリーになりやすい。
自由な右サイドへの顔出しはポジションがやや乱れることもあるが、今の右サイドならば攻撃を完結させてしまうメリットの方が上だろう。もちろん、そうした要素を嫌がって1on1となれば、サカには個人で解決することが出来る力がある。
相手の出方に対応した攻略のプランを組める強さが今の右サイドにはある。この試合でもそこを存分に発揮できれば、久しぶりのリーグ戦の連勝が見えてくるはずだ。