Fixture
明治安田 J1リーグ 第33節
2025.10.4
京都サンガF.C.(3位/17勝8分7敗/勝ち点59/得点56/失点34)
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川崎フロンターレ(7位/14勝10分8敗/勝ち点52/得点59/失点44)
@サンガスタジアム by kyocera
戦績
近年の対戦成績

直近10回の対戦で京都の3勝、川崎の5勝、引き分けが2つ。
京都ホームでの戦績

直近10戦で京都の2勝、川崎の7勝、引き分けが1つ。
Head-to-head
- 川崎は直近4試合の京都線で勝利がない。
- 直近5試合でホームチームの勝利がないカード。
- 直近8試合で得点で決めているチームは全て奇数のスコア。
- 19時開催の試合においては川崎が京都に5連勝中。
スカッド情報
- ラファエル・エリアスは前節負傷により途中交代。マルコ・トゥーリオはベンチ外が続く。
- ジョアン・ペドロは累積警告により出場停止。
- 平賀大空は代表活動により不在。
- 米本拓司は左足の中足骨骨折により離脱中。
- エリソンは累積警告による出場停止から復帰。
- 山本悠樹は累積警告による出場停止。
- 大関友翔、神田奏真は代表活動により不在。
- 欠場が続いていた大島僚太はフルトレーニングに復帰。
- 丸山祐市、車屋紳太郎は長期離脱中。
- ジェジエウもベンチ外が続く。
予想スタメン

Match facts
- 勝ち点59はすでにクラブ記録を更新済み。現在J1で17勝。あと1勝すればJ1におけるクラブ新記録を達成する。
- 56得点も過去最多を少なくとも9得点更新している。
- 今シーズン、現在の順位表における7位以上のチームに負けていない(W4,D5)
- 直近3試合の敗戦はすべて0-1。
- ラファエル・エリアスは出場した直近7試合の公式戦で7得点。
- 不在時のリーグ戦は今季5勝2分1敗。
- 長沢駿は川崎相手に出場したリーグ戦で10試合で4得点を決めているが勝利したことがない(D2,L8)
- 公式戦直近9試合で1敗だけ(W5,D3)。
- 勝ち点1を積めば昨季の勝ち点を超える。
- アウェイの公式戦では5試合負けなし(W3,D2)。
- 関西でのアウェイゲームは直近8試合で勝利がない(D2,L6)。
- 京都のアウェイは2試合連続で勝ち点を得ている。
- ビハインドから得た勝ち点は19で京都、C大阪と並んでリーグ最多。
- 5月以降に伊藤達哉が公式戦で決めた11得点のうち5得点はアディショナルタイムに決めたもの。
予習
第30節 清水戦

第31節 町田戦

第32節 C大阪戦

展望
変わらぬ強度の狭間に見られる改善
柏戦の引き分けで川崎の今季最大到達可能勝ち点は70。38試合制になった今のJ1においては優勝チームがこの数字を下回ることは考えにくいだろう。というわけで川崎のリーグタイトルへの道は個人的には完全に閉ざされたと考えている。今節の対戦相手は優勝への扉が未だに閉ざされていないチームとの対戦。京都のホームに乗り込んでの一戦に挑む。
今季の京都は序盤戦はダークホース扱いだったが、すっかり優勝候補の一角として定着。タイトル獲得経験がある上位チームと見事に渡り合っている。その成績を支えるのはMatch factsで触れた上位勢への無類の強さ。リーグ戦での敗北は全て中位勢に集約されており、上位勢には負けなし。前節の柏は上位勢にはからっきし勝てていないので、京都の戦績とは対極の傾向で優勝争いをしているということとなる。
基本的なフォーメーションは4-3-3。今までのシステムと全く同じ。方向性も同じで攻守に強度を押し出しながら縦に速い展開にめっぽう強いスカッドとなっている。
特色はなんといっても前線の面々だろう。特に原とエリアスの2人は抜群。トゥーリオも優秀なのだが、今季は欠場する試合が多く、なかなか多くのプレータイムで貢献できていない状況となっている。代わって3人目の前線としては同じく長身の長沢か、中盤と同じように動いて運動量で勝負する松田が選ばれるケースが多い。
この大砲たちにいかにいい形でボールを届けるかが課題となる。もっとものお手軽なロングボールは「大砲」の1人である原がターゲット役に。単純な収める強さもさることながら、原が面倒なのは移動式の起点であること。スタートポジションのワイドのWGだけでなく、インサイドに絞りながら縦方向にも動きをつけて持ち場から離れながら揺さぶりをかけていく。
中央を固めて原だけでは厳しいシチュエーションの際はサイド攻撃に移行。3~4枚でのポゼッションからフリーマンを作ってクロスを上げていく。サイドチェンジを使いながら幅広く攻撃しているというよりは片側サイドに人を集めて、ボックス内と人数をかけるところを偏在化させていく形の方が多い。
クロスはファーへのインスイング型が主流。左のIHに入ることが多い平戸からこうしたクロスが飛んでくることが多い。シンプルな高さに加えて逆サイドのIH、SBが飛び込みやすい形でファーサイドに余らせる形を積極的に作りにいく。
改善が見られているのはプレス耐性だろう。以前はとっとと蹴ってしまうイメージであったが、町田戦ではプレス回避からテンポを掴む形も。福田のインサイドに入ってくるようなドリブルやIHの降りるアクションによって町田が後半の勝負手として仕掛けてきたマンツーマンのプレスを外して主導権を握っていた。クロスの精度とショートパスでのテンポづくりの両面で平戸は試合ごとに重要さを増している感がある。
非保持においてはやはり走力が重要。重量級の前線ながらもプレスバックしながら中盤を助けられるのがこの3トップの厄介なところ。縦に速いテンポを作り出して呼吸をさせないような守備は本来であれば自分たちの首を絞めるものであるけども、京都に関してはそれが思いっきり得意な土俵となっている。
スライドしたら逃さない
京都は上位にいるのでもちろん抑えるのが難しいチームである。攻撃の終点であるエリアスがいるかどうかで攻略の難易度は大きく変わるだろう。ボックス内での強度や角度のあるところからでも枠を捉えることができるシュートレンジは非常に脅威。フロンターレキラーの長沢も空中戦で強さを見せてはいるが、エリアスとはさすがに脅威の度合いは異なる。
エリアスが出てきた場合はサイドの封鎖をきっちり行うのがいいだろう。枚数をかけたサイドの攻略に対して中盤をスライドさせながら脱出を許さない。なかなかクロスが上がってこない状況になると、業を煮やしたエリアスがサイドにボールを受けに顔を出すことがある。
こうなると、ボックス内からエリアスを締め出すことができるので非常に大きい。サイドの封鎖をきっちり行い、クロスを上げさせないことでエリアスをボックスから遠ざけるという副産物を生み出すのが理想。長沢がCFだったとしてもクロスを上げさせないような枚数をかけたスライドをすれば、チャンスは遠ざかってしまう。
ポジショニングとしては同サイドにスライドしても脱出を許してしまうケースがあるのは今の川崎の難しいところ。三丸のゴールシーンのように、きっちりと同サイドに閉じ込めるべきシーンにおいて横断を許してしまうと、ミドルやサイドチェンジにめっぽう弱くなってしまう。そうなることは防ぎたい。
攻撃においては基本的には上がる両SBの背後から陣地回復を狙うことはできる。ボールを奪ったら、マルシーニョ、伊藤で外のレーンから陣地回復して、人数が揃う前に攻め切る形を狙っていきたい。
押し込んだ際にはセットプレーも狙い目だ。太田は優秀なGKではあるが、ハイボールの飛び出しに関しては思い切りよく出ていったもののさわれないケースが少なくはない。GKが飛び出したくなる位置に蹴って競り勝つことにフォーカスすれば枠内に飛ばすことができれば即得点という可能性もあるだろう。
ゲームコントロールの観点で言えば試合のテンポを京都相手にお付き合いをするかは気になるところ。今の川崎の強みを考えると、オープンな状態で殴り勝つ可能性もなくはないが、今後の川崎が目指す方向性がそちらでいいのかは微妙だろう。
得点をたくさんとっているスタイルはファンからすれば魅力的かもしれないが、リーグで1番の得点を取っていたって7位であれば満足とはいかないだろう。目先の勝ち点が重要ではない状況なので、指揮官本人が「恥ずかしい」と口にしたクローズドな守備の出来の引き上げに取り組む姿勢に本格的に取り組んでも良いと思う。
きっちりとボールを捕まえて、味方を意識したポジションを取りながらラインを上げながら相手を押し返す。今季序盤に見られながらもいつの間にか雲散霧消してしまった4-4-2できっちりゾーンを組む形に腰を据えて取り組むことは長谷部政権でのタイトルを取るには遅かれ早かれ必要な部分だと思う。
オープンな展開で今の戦力を最適化する路線は個人的にはどこかで頭打ちになる予感がしている。仮にそのスタイルで優勝をしたところで週に2試合のスケジュールには絶対に耐えられないはず。持続可能な強さを作り上げるために開幕当初の強力なゾーンを取り戻す試みを本格化するには悪くないタイミングのように思う。
【参考】
transfermarkt(https://www.transfermarkt.co.uk/)
soccer D.B.(https://soccer-db.net/)
Football LAB(http://www.football-lab.jp/)
Jリーグ データサイト(https://data.j-league.or.jp/SFTP01/)
FBref.com(https://fbref.com/en/)
日刊スポーツ(https://www.nikkansports.com/soccer/)