Fixture
プレミアリーグ 第36節
2025.5.11
リバプール(1位/25勝7分3敗/勝ち点82/得点81 失点35)
×
アーセナル(2位/18勝13分4敗/勝ち点67/得点64 失点31)
@アンフィールド
戦績
過去の対戦成績

過去5年間の対戦でリバプールの6勝、アーセナルの2勝、引き分けが6つ。
リバプールホームでの成績

過去10回の対戦でリバプールの5勝、引き分けが5つ。
Head-to-head from BBC sport
- リバプールはミケル・アルテタが先発していた試合である2012年9月の2-0での敗戦以降、プレミアのホームのアーセナル戦では負けていない。
- アーセナルは直近5試合のリバプールとのリーグ戦で無敗(W2,D3)。最も長い無敗のランは2007-11の8戦無敗。
スカッド情報
- アルネ・スロットによるとコナー・ブラッドリーはフィットしており先発の見込み。よって、退団が発表されたトレント・アレクサンダー=アーノルドはベンチスタートが濃厚。
- ジョー・ゴメスは依然として欠場。ヴィルジル・ファン・ダイクが出場すればプレミア300試合出場となる。
- ガブリエル・ジェズス、ガブリエウ・マガリャンイス、冨安健洋、カイ・ハヴァーツは欠場。リカルド・カラフィオーリはリーグ戦復帰の見込み。同じくPSG戦でベンチ入りしたジョルジーニョにもスカッド入りの可能性がある。
Match facts from BBC sport
- 97-98のアーセナル、05-06のチェルシーに次いで、タイトルを決めた直後に連敗したプレミア3つ目のチームになる可能性がある。
- リーグ戦の連敗になれば2023年の3~4月以来。対戦相手はボーンマスとマンチェスター・シティ。
- 9月14日のノッティンガム・フォレスト戦以降、15試合ホームでのリーグ戦では負けがない(W13,D2)
- ヴィルジル・ファン・ダイクはプレミアリーグ300試合出場達成の可能性。オランダ人でこの記録を達成したのはイェロメ・ボアテング(384)、デニス・ベルカンプ(315)、エドウィン・ファン・デル・サール(313)に次いで4人目。
- モハメド・サラーは298試合のプレミア出場で185得点を挙げており、あと2得点でアンディ・コールの歴代3位の得点記録に並ぶ。この185得点の中にはアーセナル戦での11得点が含まれており、これより多く得点を挙げている相手はマンチェスター・ユナイテッドとトッテナムだけ。
- サラーは今季のリーグ戦で46のゴール関与。93-94のアンディ・コールと94-95のアラン・シアラーが樹立したプレミア記録にあと1で並ぶ。当時は42試合制だった。
- サラーは今季プレミアで18アシスト。プレミア記録である02-03のティエリ・アンリと19-20のケビン・デ・ブライネがマークした20アシストまであと2つ。
- 2023年12月〜2024年1月以来の公式戦3連敗。
- 4連敗になればアーセン・ヴェンゲルのラストシーズンとなった2018年の2月〜3月以来のこと。
- 勝っている状況から21ポイントを落としており、19-20シーズンに樹立したクラブ記録に並ぶ。
- 今季のプレミアの31失点のうち、12失点はPKを除いたセットプレーから。39%という割合はプレミアの中で最も高い。
- ブカヨ・サカは直近5試合のリバプールとのプレミアでの試合で4得点。しかし、直近3試合のアンフィールドでの出場では得点もアシストも記録していない。
予習
第33節 レスター戦

第34節 トッテナム戦

第35節 チェルシー戦

今季ここまでの道のり

予想スタメン

展望
チャンピオンの付け入る隙は?
年明けのアーセナルの国内コンペティションの目標はこの試合を優勝争いの雌雄を決する一戦にすることだった。だが、ご存知の通り、現状はリバプールはすでに優勝を決めてウイニングラン状態。アーセナルは勝ち点70に届かず、2位を守れるかどうかの瀬戸際となっている。
CLでのベスト16での敗退は残念ではあったが、今季のイングランドにおいては間違いなくリバプールがベストチーム。アーセナルが2位を守るためにはベストチームの本拠地で勝ち点を積み重ねる必要がある。
アーセナルはCLという大目標も失いテンション的には難しい一戦となる。1週間の間が空いたリバプールに比べて日程的にもハードなのは間違いない。
しかしながら、直近のリバプールの出来を見ると付け入る隙はあると思う。今季の年間ベストチームがリバプールであることは論を待たないが、ここ数試合の出来は幾ばくかのトーンダウンが感じられる部分がある。
今季のリバプールの快進撃の源は中盤の総入れ替えが1年遅れで実り、ポゼッション局面での安定感を作れたことが多い。前線とバックラインはすでに核となる選手がいるので、そこを繋ぐセクションでグラフェンベルフ、マック=アリスターが年間を通して柱として稼働できたのが大きなプラス要素となる。SBは離脱者が目立ちはしたが、最終ラインのコナテ(少し怪我もあったが例年に比べれば)とファン・ダイクは実質通年稼働に成功。安定感のあるシーズンを過ごした。
中盤のコンダクターは中央とサイドにバランスよく顔を出しつつ、インサイドへのポスト、アウトサイドのWGを起点とした1on1をきっちりと使っていく。以前であれば右のサラーに傾倒していた(今季も悪い時期はサラーへの依存が目立った部分がある)が、中央をきっちりと使ってナローなスペースのコンビネーションから抜け出すアクションをすることで、サラー一辺倒の崩しにならなかったことが大きい。
直近でやや気になるのはこの中央とサイドをバランスよく崩すところまでいくフローがややチグハグになっているところ。トッテナム戦の立ち上がりやチェルシー戦のように横断パスで引っ掛けて相手にカウンターを与える機会は少なくない。チェルシー戦ではアンカーの遠藤の長いレンジのパスが割と咎められていた印象。残りのシーズンでスロットがどのようなメンバーを組んでくるかはわからないが、中盤の構成やコンディション次第ではアーセナル戦で同じことが起こっておかしくは無い。
守備は前からのチェイシングをベースにしているが、枚数をきっちりと合わせるようなマンツーマンベースのハイプレスではない。特にサラーの後方は埋めるのに苦労しているし、今のコンディションではサラー自身のプレスバックも気まぐれな節がある。負けたレスターやトッテナムでもサラー周辺のスペースからのキャリーは使えていたりした。
一方でボックス内での守備は依然として強固さを感じる部分。CBがスピードとパワーの両面で凄みがあるので、正面衝突は避けたいところはある。だが、チェルシー戦ではファン・ダイクがパーマーを捕まえにいったのに逃してしまったあたりなどボックスの外に釣り出された時の判断には怪しさを感じる部分もある。ガッチリと構えられる前に、スペースに出るかどうかの駆け引きをすることができれば穴を開けられる可能性はあるはずだ。
CBには背走を強いる
アーセナルは勝てば勝ち点70に到達。この試合までの他会場の結果に関係なく、自力で5位以内を確定させることができる。ただ、個人的には問題としたいのはそうした数字の話ではなく士気の話。単純にここで王者相手に敗れてしまうと、このシーズンはなんだったのか感が強くなってしまうかもしれない。
今はファンのスタンスもまちまちで今シーズンをどのように捉えるかは人によってかなりばらつきがあるように思う。個人的にはそれを擦り合わせる必要もないと思うが、多くのファンが前を向いてシーズンを終われるのであればそれに越したことはないだろう。
王者として君臨したリバプール相手に勝利を挙げる(たとえ相手にとっては消化試合でも)ことは多くのファンが前を向くきっかけになる。リーグタイトルという大目標は叶えることはできなかったが、長年勝利のないアンフィールドの未勝利記録を打ち止めにするチャンスはまだ残されている。来季に向けて抱えている荷物を一つでも降ろしたいというのが個人的な考えだ。
勝つために狙いたいのは立ち上がり。リバプールの自陣付近のビルドアップのミスは立ち上がりに見られることが多い。パスミスがきっかけではないが、揺さぶりをかけながらカウンターでシャープに仕留めるというスタンスはチェルシーの試合運びを見習いたいところ。アーセナルはハイプレスでより高い位置からエラーを引き起こすための揺さぶりをかけていきたい。
自陣からのキャリーとなれば使いたいのはサラーの背後。キヴィオルが幅を取り、サラーを引き寄せることができればライスのサイドフローや自由に動くルイス=スケリーを誰が監視するのかが不透明になる。ラヤを絡めたパスワークで自陣に相手のCF陣を引き付け、キヴィオルのマークにサラーを引っ張り出す。これが重要なポイントになる。中盤でフリーの選手を作り、リバプールのバックラインを背走させた形を作り、CBの判断にエラーを引き起こさせたい。
守備において押し込まれた際には大外からの連携で深さをとったところが起点となることが多い。抜け出し切れれば、トッテナム戦のディアスのように逆サイドのWGが飛び込んでフィニッシュに絡むし、抜け出しきれなかった場合はマイナスにできたスペースからミドルを積極的に飛ばしてくる。
まずはハーフスペースの裏抜けをケアし、抜け出しからのラストパスを防ぐこと。そして、そこから素早くラインアップを行いミドルを防ぐこと。くしくもこれはパリ戦で見られた課題と同じ。日程的には辛いものがあるが、強いチームが仕掛けてくる揺さぶりにきっちりと食らいつき、背負っている荷物を1つアンフィールドにおいてシーズンを終えたいところだ。