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「Catch up Premier League」~Match week 12~ 2025.11.22-11.24

目次

バーンリー【17位】×チェルシー【3位】

寄り道しながらバーンリーを振り切る

 今年最後の代表ウィーク明けの試合はターフ・ムーア。チェルシーは10月に続き、代表ウィーク明けにランチタイムのアウェイゲームをぶち込まれたこととなる。

 総じて、バーンリーは2週間のインターバルを使ってチェルシーをよく研究してきたなという印象を受けた。4-3-3でトップのフレミングはアンカー役のサントスを監視。3バックに対しては特にCCBへは深追いをせず、アンカーと両サイドを牽制することを優先する。

 チェルシーはアダラバイオかサンチェスがなんとかしなければ構造のズレを作れない状況。だが、この2人は周囲の連携から打開策を見つけることができず。バーンリーに対して苦戦する。

 バーンリーでは保持でも準備の跡が伺える格好。インサイドに絞るウォーカー+デフォルトの3センターという数の論理でプレスを誘発したところから縦に差し込みつつ前進する。中盤の段差を作る動きの刺さり方はパーカーがこのチームにポゼッションを落とし込みたい本気度を感じるものだった。

 右に流れるウゴチュクはアタッキングサードへの侵入の決め手。ククレジャはトランジッション時にはいないし、いたとしてもワイドのチャウナの監視が基本線なので、サイドに流れるウゴチュクを捕まえきれない。ここからマイナス方向の折り返しからのミドルはバーンリーの狙い目だった。

 スペースを作って、そこから加速してという流れは作れていたバーンリーだが、シュートのところまでに徐々に選択肢が狭まっていく分、チェルシーは最後の体の投げ出しが間に合った感。オープンな形でサンチェスを脅かすシーンは意外と少なかった。

 保持ではなかなか構造的なズレを生み出せなかったチェルシーだが、力技でリカバリーを図っていく。ネトのところは行けそうではあったが、ギッテンスとデラップがややブレーキ気味。プレー選択と精度がなかなか刺さり切らなかった感があった。

 しかし、先制点の場面はようやく前線同士が繋がった感があった。ギッテンスからのクロスに飛び込んだのはネト。ボックス内にエンソが入り込めたことも含めてバーンリーに選択肢を突きつけられた形であった。

 先制点の場面ではククレジャが抜け出したように徐々にバーンリーは不定形ポジショニング型の選手を捕まえきれないように。ククレジャ以外ではジョアン・ペドロの移動がチェルシーに刺さった感がある。先制点以降は明確にチェルシーペースで試合が流れた。

 後半も流れは前半の終盤と同じ。チェルシーはウォーカーとトゥアンゼベの間とチャウナの背後のスペースを集中的に攻めることで攻略していく。

 チェルシーが安全な選択肢を取る傾向ということもあり、バーンリーはなかなか非保持からリズムを掴めず。ならば、保持から縦パスを差し込んでいきたいところだが、チェルシーの中盤は対応に慣れてきた印象で前半のように上手く試合運ぶことができなかった。

 チェルシーは左サイドにグストを投入。いつも右サイドでジェームズとやっていることを左サイドでククレジャとのデュオに移植する形で攻めていく。ただ、色々攻撃のバランスを変えたこともあり、少し守備のバランスは怖いところ。攻撃もやや淡白でぼんやりした時間帯となった。

 ぼやけた終盤を迎えたチェルシーに勝利を確実にもたらす追加点をもたらしたのは右サイドからの攻撃。ネトとグイウで右サイドを押し切ると、マイナスの折り返しをエンソが仕留めてリードを奪う。

 このゴールで試合は決着。寄り道をしながらも難しいアウェイゲームを制したチェルシーだった。

ひとこと

 チェルシー、次に勝てば1試合平均勝ち点が2.0に乗ることになる。アーセナル戦はさらに上に行けるかの試金石になる試合となる。

試合結果

2025.11.22
プレミアリーグ 第12節
バーンリー 0-2 チェルシー
ターフ・ムーア
【得点者】
CHE:37′ ネト, 88′ エンソ
主審:ピーター・バンクス

リバプール【8位】×ノッティンガム・フォレスト【19位】

2年連続で難攻不落を陥落させる

 難攻不落のスタジアムとして知られているアンフィールド。しかし、昨年この舞台でフォレストは勝利を上げている。あれから監督人事を軸に大きな変化があったフォレストだが、相性の良さは生きているかは気になるところだろう。

 序盤は相性の良さを全面に生かすような形でハイプレスに出るフォレスト。リバプールはこのハイプレスを掻い潜り、サイドからキャリー。ガクポは1枚剥がすことができていたし、サラーは縦突破からマイナスの折り返しで決定機。早々に押し込まれてボックス内の緊急対応に追われるフォレストだった。

 特にサラーは今季の中では相当上位のパフォーマンス。突破までのキレと突破した後のリリース後のプレーの選択にはきれが見られた。

 ボールを奪ってもローブロックのため反撃のきっかけを掴むことができないフォレスト。前進が上手くいかない状況の中でひたすら受ける展開が続く。しかし、そうした最中でジェズスが粘りからCKを獲得。このCKをムリージョが叩き込んで先制。コナテ、できればこのCKに続くボールはキープしたいところであった。

 直後もコナテは淡白なプレーでジェズスにネットを揺らされてしまう。このプレー自体はハンドが取られて許されることとなったが、結局のところボックス内での対応のゆるさは彼らしくなかったのは心配である。

 ゴール取り消しで2点目が入らなかったところで試合のテンポは沈静化。リバプールはサイドからの攻撃を再開するが、追いつくことはできず。試合はフォレストのリードでハーフタイムを迎える。

 後半、フォレストはいきなり追加点。左サイドからのクロスを仕留めてさらにリードを広げる。得点の型としては前半にリバプールが取れなかったシーンにとてもよく似ている。そういう意味も含めてリバプールにとっては悔いが残る失点だったと言えるだろう。

 一方的に押し込みつつサイド攻撃に徹しているリバプール。しかし、なかなか得点を掴むことができず、カウンターからサイドでボールを運ばれてしまう。スロットはファイアーフォーメーションに移行するが、グラフェンベルフが最終ラインにスライドした結果、中盤の構成力をカバーすることはできなかった。

 そんなリバプールを尻目にフォレストは追加点。右サイドからハッチンソンが相手の守備を手玉に取ると、ギブス=ホワイトがゴール。これで完全に相手の心を折る。

 アンフィールドはまたしてもフォレストを前に沈黙。監督が変わってもジンクスは変わらず、フォレストはアンフィールドでの連勝を果たした。

ひとこと

 撤退守備の攻略は正直なんとかなるかなと思ったが、カウンターから失点を繰り返す形は想定外と言えるだろう。

試合結果

2025.11.22
プレミアリーグ 第12節
リバプール 0-3 ノッティンガム・フォレスト
アンフィールド
【得点者】
NFO:33′ ムリージョ, 46′ サヴォーナ, 78′ ギブス=ホワイト
主審:アンディ・マドレー

ボーンマス【9位】×ウェストハム【18位】

受けに回って2点リードを溶かす

 前節はまさかのアストンビラ戦での完敗を喫したボーンマス。就任後初勝利を飾り、勢いに乗るウェストハム相手に巻き返しを図る一戦だ。

 ボーンマスはらしさを出していくアグレッシブな立ち上がり。トランジッションからサイドに展開することで一気に縦に進んでいく形を作る。対するウェストハムもこれに真っ向から対抗。マイナスのパスに合わせて列を上げることでボーンマスのバックラインに対するプレスを強めていく。

 見応えがある序盤戦の割には先制点は非常にあっさりした印象。ウェストハムは結果的にロングボール一発で打開をした格好。ウィルソンがボールを収めると、そのまま一気にゴールまで運んでいった。見事なシュートではあるが、守備視点ではセネシが入れ替わられてしまい、トリュフォーが巻き取られてしまい、ミトロビッチが準備ができていなかった印象だ。

 先制したことでウェストハムの守備はやや撤退モードに。ボーンマスはポゼッションからチャンスメイクを狙っていく展開。相手のMFラインの手前から背後にボールをガンガン入れていくことで攻略の糸口を探っていく。ウェストハムは相手のミスに乗じたカウンターでチャンスを作っていく流れだ。

 スコアを動かしたのはまたしてもウェストハム。セットプレーからまたしてもウィルソンがゴールを決めてリードをさらに広げる。

 後半、ウェストハムは明確なベタ引きでローブロックでボーンマスを迎え撃つ。ボーンマスは前半の終盤から左右に振りながら効果的にクロスを入れることはできたので、ボールを持たせてもらい押し込める状況が続く状況を進んで作ってくれるのは喜ばしいことだったはずだ。

 時間はかかったものの、ボーンマスは反撃。サイドで攻撃的なカードとして投入されたヒメネスのカットインがPKを誘発。このゴールを仕留めたボーンマスは1点差に迫る。

 すると、同じく交代で入ったウナルが大仕事。バックスから自由にボールを持つセネシからの縦パスを一気にゴールまで持っていく形で試合を振り出しに戻す。

 後半のウェストハムは流石に受け過ぎてしまった感。一発の裏抜けによる陣地回復がほぼ効かず、一方的に殴られ続ける展開。これではボーンマスの攻撃を交わすのはさすがに難しい。

 最後はアレオラのファインセーブによってなんとか勝ち点1を守ったウェストハム。2点のリードを溶かしてしまうという非常に勿体無い幕切れとなった。

ひとこと

 ウェストハムは後半の無策感がもったいなかった。

試合結果

2025.11.22
プレミアリーグ 第12節
ボーンマス 2-2 ウェストハム
ヴァイタリティ・スタジアム
【得点者】
BOU:69′(PK) タヴァニア, 81′ ウナル
WHU:11′ 35′ ウィルソン
主審:トーマス・ブラモール

ウォルバーハンプトン【20位】×クリスタル・パレス【10位】

厳しい新指揮官の船出

 低迷しているチームが次々と浮上のきっかけをつかむ中で完全において行かれたウルブス。ついにヴィトール・ペレイラを解任し、新監督としてミドルスブラを率いていたロブ・エドワーズを招聘。ここからのグレートエスケープに挑む。

 初戦となるのはホームのパレス戦。ウルブスは5-3-2という昨今のウルブスの仕組みの中ではオーソドックスな陣形で迎え撃つ。しかしながら、序盤に主導権を握ったのはアウェイのパレス。3-2型の前からのウルブスのプレスはスペースがスカスカ。パレスは3センターの間と脇を使いながら余裕をもって敵陣に進んでいく。

 フリーの選手ができたらそこから一気に背後を狙うランで進撃。加速したサールやマテタはウルブスにとっては脅威以外の何物でもなく、ぎりぎりの対応をひたすら強いられる状況が続く。スカスカの前からのプレスによって、こうした状況を作られるケースが常態化しているウルブスは立ち上がりからピンチが続くこととなった。

 ウルブスに反撃のにおいがあったのはセットプレー。ジョアン・ゴメスの直接FKの跳ね返りはクレイチーの目の前に転がる大チャンスだったが、これを仕留めることができず。続くチャンスとなったラーセンの抜け出しも含めてあわやという場面が続く形となった。

 得点にはつながらなかったがこの2つのあわやというシーンが一方的なパレスぺースに水を差すことに。よりフラットな状態でスコアレスのまま試合はハーフタイムを迎えることとなった。

 後半、ウルブスは2トップにボールを当てながら丁寧に前を向く選手を作りながら前進。ポイントを作りながら縦に急ぎすぎない形からチャンスを作っていく。抜け出す選手は作りやすくはなったが、パレスの対応は冷静で抜け出す選手を先手をとりながらつぶし続ける。

 ウルブスの入りは悪くなかったがスコアを動かしたのはパレス。セットプレーの二次攻撃から跳ね返りを押し込んだのはムニョス。前半にクレイチーが仕留めきれなかった決定機をものにして前に出る。

 このゴールでポゼッションの安定感が出たパレス。左右に揺さぶりつつ落ち着いてボール保持から主導権を握る。ピノの見事なゴールはエドワーズの就任初戦の勝利という野望を打ち砕くには十分すぎるスーパーな一撃だったといえるだろう。

 交代選手が力を出せないウルブスは終盤に沈黙。監督交代が急激な浮上につながることはなく、新監督にとっては厳しい船出となった。

ひとこと

 悪い意味であまり色が出ていないのが気になるところ。

試合結果

2025.11.22
プレミアリーグ 第12節
ウォルバーハンプトン 0-2 クリスタル・パレス
モリニュー・スタジアム
【得点者】
CRY:63′ ムニョス, 69′ ピノ
主審:アンソニー・テイラー

ブライトン【11位】×ブレントフォード【12位】

水際の逆転勝利

 序盤からボールを持つのはブライトン。前がかりにプレスに来るブレントフォードと真っ向勝負。右サイドにボールを逃しながらフリーの選手を使ってボールを運んでいく。

 攻撃の起点となっていたのは右サイド。ミンテにボールを渡しつつ、インサイドに入っていく動きに対して大外をウィーファーが追い越すことでチャンスを作っていく。

 一方のブレントフォードはチアゴへのロングボールからチャンスメイク。この日がデビュー戦となったボスカリにとってはハードな試験と立ち向かうこととなる。ここにボールが収まれば左右のWGからスピード勝負を挑むことも。試合はポゼッションのブライトン、カウンターとブレントフォードとコントラストがくっきりした展開となった。

 そうした状況において試合を動かしたのはブレントフォード。カウンターからボスカリの背後を取る形で縦に速い攻撃に成功すると、そのままPKを獲得。このPKを仕留めたチアゴが先制ゴールを決める。

 以降はブライトンがポゼッションベースで試合を動かしにいく。だが、試合は膠着。あと一歩剥がすためのきっかけが掴めない状態が続き、スコアを動かせないままハーフタイムを迎えてしまう。

 後半、ブライトンは2枚の選手交代を敢行。ダンク、デ・クーパーという交代した選手をおいた左サイドからブライトンはポゼッションを敢行。大外にカディオールを起きつつ、インサイドにゴメスとデ・クーパー、アヤリなどが左サイドから試合を作っていく。

 詰まったと判断した場合は左に入ったダンクから大きなサイドチェンジから展開。右サイドからミンテ、ウィーファーがスペースがある状態でボックスに入っていくことで前半よりはブレントフォードのゴールに迫るシーンを少しずつ作っていく。

 ブレントフォードは後半は自陣に釘付け。裏抜けの動きがない分、ブライトンの攻撃は受けきれそうな気もしないでもなかったがサイドからシャーデやワッタラがドリブルで進んでいくシーンはあまり多くはなかった。

 ブライトンは突っかかりながら進んでいくラターによるチャンスメイクか、もしくは右サイドに展開するミンテからの1on1で勝負を仕掛けていく。回数を重ねながらミンテからの仕掛けで強引に同点ゴールを切り拓く。好調のウェルベックがこれに合わせてゴール。試合を振り出しに戻す。

 ブレントフォードはチアゴのキープから左サイドのルイス-ポッターでチャンスを作っていく。だが、機会という面でブレントフォードはブライトンになかなか及ばない。押し込むブライトンは再びミンテのソロ活からヒンシェルウッドのミドルで勝ち越し。逆転に成功する。

 ブレントフォードはクロスからホールディングでPKを獲得するが、これをフェルブルッヘンがストップ。水際でリードを守ったブライトンが逆転勝利を決めた。

ひとこと

フェルブルッヘン、紛れもなくヒーロー。

試合結果

2025.11.22
プレミアリーグ 第12節
ブライトン 2-1 ブレントフォード
アメリカン・エキスプレス・コミュニティ・スタジアム
【得点者】
BHA:71’ ウェルベック, 84‘ ヒンシェルウッド
BRE:29‘(PK) チアゴ
主審:ジョン・ブルックス

フラム【15位】×サンダーランド【4位】

らしくない粘り強い流れ

 プレミアリーグは上位だけでなく下位チームも混戦模様。アストンビラをはじめとして序盤戦に苦戦を強いられていたチームが徐々に上り調子になっている中で、まだ浮上の気配が見えないフラムには焦りが募っている。今節の相手はサンダーランド。首位相手の勝ち点奪取で自信を深めている昇格組との一戦だ。

 序盤からボールを持つのはフラム。サンダーランドはサイドに追い込むようなプレスを仕掛けていこうとするが、フラムは左右に動かしながらをこれを回避し、逆にサイドに押し込んでいく。

 サンダーランドの攻撃はよりシンプル。GKからの左サイドへのロングボールで陣地回復する。逆サイドからは大外を取ったところからヒュームのハーフスペース突撃を行っていくなど、サイドの先にチャンスを繋げていく。

 ただ、サンダーランドがサイドから押し上げてくるタイミングはフラムにとってはカウンターのチャンス。ウィルソンが推進力を見せたところからシュートまで持っていくなど、縦に鋭い攻撃においては優勢という状況。押し込むフェーズをきっちり作るところと、手早く攻めるところの両面でフラムが主導権を握る立ち上がりとなった。

 しかしながら、フラムはなかなかゴールまで進むことができずに苦戦。ケビンが抜け出したところから決定機を迎えるなど、チャンスがないことはなかったが、限られた機会でボールタッチが足につかずに完全にフイにしてしまう。

 バッシーのところはやや攻守に不安定なところもあったが、それ以外は安定した試合運びを見せたフラム。だが、スコアはついてこず。スコアレスのままでハーフタイムを迎える。

 後半もフラムはポゼッションから左右に揺さぶる形でスタート。延々とサイドから押し込むことでブロック攻略からきっかけを探っていく。

 サンダーランドは後半15分を過ぎたところから徐々にリカバリー。ジャカを起点に左右に揺さぶることにより陣地回復から押し返していく。

 交代で入った選手のフィーリングが良かったのはフラムの方。今季ここまでなかなか流れに乗れていないスミス・ロウが鋭さを見せながらゴールに向かっていく意識を見せている。

 ようやく奪った先制点も交代選手から。左サイドからクロスを上げたのはチュクウェゼ。このクロスをヒメネスが仕留めてフラムは84分になんとか前に出ていく。

 終盤はアーセナル戦での成功体験もある2トップ化でフラムのゴールに迫っていうサンダーランド。しかしながら、この日は意地が勝ち点につながらず。フラムは2試合ぶりの勝ち点3で15位に浮上した。

ひとこと

 今季の流れに逆らうような結果。フラムはこの日は粘り強く優勢の時間を重ねることができていた。

試合結果

2025.11.22
プレミアリーグ 第12節
フラム 1-0 サンダーランド
クレイヴン・コテージ
【得点者】
FUL:84′ ヒメネス
主審:ダレン・イングランド

ニューカッスル【14位】×マンチェスター・シティ【2位】

スコア推移が強度を維持する助けに

 CLでは順調な戦いを進めている一方で国内での戦いには明らかに満足できない内容が続いているニューカッスル。一刻も早くペースを取り戻して上位進出のきっかけを掴みたいところ。ホームのシティ戦は当然難しい相手ではあるが、復調の兆しが見えてくる内容にしたい。

 ニューカッスルの内容の難の大きい要素を占めるのは守備のソリッドさが出てこないこと。構えて受けてしまう時に顕著ということもあり、この試合ではオールコートマンツーのハイプレスから勝負。好調のフォーデンにはギマランイスをずらして当てるなど、噛み合わせまで意識したものに。すぐさまジョエリントンの潰しから決定機を迎えるなど、ニューカッスルには成果があった。

 しかし、シティもすぐにハーランドが抜け出す場面を作り出すなど決定機を創出。やり返しでの手応えを感じさせる立ち上がりだった。

 少ない保持の局面ながらもニューカッスルは丁寧に裏抜けのシチュエーションを整備することでチャンスメイク。クリーンな抜け出しを作り、一撃のインパクトを高めてはいたがドンナルンマが凄まじい存在感でシュートを悉く弾き飛ばす。ヴォルテマーデが弾かれ続ける一方で、バーンズには完全にドンナルンマを外すことができた決定機があったが、このシュートは枠外に飛ぶこととなった。

 シティは少しずつ押し込む局面を作っていく。マンツー気味の状況の中で違いになったのはドク。アウトサイドだけでなくインサイドに入ることで相手の守備から浮くことができていた。

 逆にニューカッスルは定位置にドクがいないことにより、こちらのサイドに逃せば即時奪回を回避することができる。それでもドクのサイドから攻め込むオライリーを含めて基本的にはシティが優位の状態で前半を進めたと言っていいだろう。

 後半、早々にCKからチャンスを迎えたニューカッスルだが、基本的にペースを握るのはシティ。ライン間のドクとベルナルドからチャンスメイク。機会的には優位でややニューカッスルは苦しい状況。しかし、その状況を見事に打開。中央をスラローム的に外したギマランイスから突破すると、最後はバーンズが先制。ようやくドンナルンマの壁を打ち破る。

 しかし、すぐにシティは反撃。セットプレーからの波状攻撃でディアスがゴールを切り拓く。

 急に現れたゴールラッシュはニューカッスルのターンで終幕。こちらもセットプレーからバーンズが再び仕留めて2分でリードを取り戻す。

 終盤は5バックにシフトし、ひたすら跳ね返しを行っていくニューカッスル。なんとか逃げ切りに成功しホームでのシティ撃破を達成した。

ひとこと

 やや間延びしながらも常にリードをキープするというスコア推移に助けられていい状況を保つことができたニューカッスル。

試合結果

2025.11.22
プレミアリーグ 第12節
ニューカッスル 2-1 マンチェスター・シティ
セント・ジェームズ・パーク
【得点者】
NEW:64′ 70′ バーンズ
Man City:68′ ディアス
主審:サム・バロット

リーズ【16位】×アストンビラ【6位】

後半の主導権を活用した逆転勝利

 リバプール戦での敗戦をホームでリカバリーし、見事なバウンスバックを果たしたアストンビラ。中断明けは難所で有名なエランド・ロードでの一戦に挑む。

 率直に言えば、前半はなかなか奇妙な試合だった。どちらのチームも構えながらのブロック守備を組んだことにより、相手のバックラインにとりあえずボールを持たせる構造なのはいいとして、出されたボールに対してのアプローチが遅れてしまいファウルという流れがひたすら繰り返されることに。

 特にアストンビラはその傾向が強かった感があった。前から捕まえに行けず、変なファウルを犯す。そこから許したセットプレーで先制点を許すという悪い流れに飲み込まれた感があった。

 保持においても、パスのスピードが遅いせいかリーズがプレスのスイッチを入れたタイミングでのギアアップができず。なかなか前進のきっかけを掴むことができなかった。

 ただ、試合はリーズペースというよりは先に述べたように乱戦の様相。接触からのファウルで試合が止まる頻度が異常に多く、流れがいちいち切れてしまうことが多かった。そうした時間帯は大体は10-15分くらいで終わるのだけども、この試合に関しては立ち上がりの3-40分はそうした流れを引きずっていたように思う。

 前半の終盤にようやくアストンビラがこの流れから脱した感。ミドルゾーンからのポストを成立させて、背後に抜け出すシーンを作りながらゴールに迫っていく。だが、同点弾までは手にすることができず。試合はリーズのリードでハーフタイムを迎える。

 後半も前半の終盤と流れが陸続き。アストンビラはポゼッションから試合を進めて乱戦ムードはすっかり沈静化する。

 右サイドのからの突破でアストンビラは同点ゴール。一手遅れてサイドの守備が間に合わなかったリーズに対して、マレンの折り返しからトウキック気味に素晴らしいシュートを見せたロジャーズ。技ありのゴールで試合を振り出しに戻す。

 その後は攻め切れず、ややフラットな展開に戻したリーズ。互いに選手交代からテコ入れを図るが、試合を動かしたのは交代選手ではなく素晴らしいFK。近すぎると思われた距離のFKでロジャーズが難なく相手の頭を抜きながら枠内シュートを叩き込んでのゴールをゲット。逆転まで持っていく。

 直後にジェームズの突破からネットを揺らしたリーズだが、これはゴールに押し込んだキャルバート=ルーウィンのハンドで取り消しの憂き目に遭ってしまう。リーズは以降も攻め立てるが、最後まで流れを取り戻せないまま試合は終了。アストンビラが後半の主導権をうまく活用した逆転勝利を果たした。

ひとこと

 ロジャーズ、唸らされるくらいに技あり。

試合結果

2025.11.23
プレミアリーグ 第12節
リーズ 1-2 アストンビラ
エランド・ロード
【得点者】
LEE:8′ ヌメチャ
AVL:48′ 76′ ロジャーズ
主審:ロベルト・ジョーンズ

アーセナル【1位】×トッテナム【5位】

ミスに左右されない流れ

 レビューはこちら。

 上位勢に勝ち点を落とす結果が多かった土曜日。アーセナルにとっては2位との勝ち点差を広げる、トッテナムにとってはCL出場権争いにキャッチアップする大きなチャンス。ローカルライバルを叩いて上にジャンプアップを目論む両軍によるノースロンドンダービーだ。

 トッテナムは5-4-1でのスタート。ただ、ベタ引きが前提というわけではなく、前から捕まえにいくアクションはそれなりに。だが、アーセナルはこのハイプレスを見切る。サイドにボールをつけた時はトッテナムによって追い込まれた感がなくもなかったが、サカが背負うことができる影響で特に問題はないという感じ。

 トッテナムを安定して押し込めるようになったアーセナルは右サイドに人を集める形で攻略を敢行。サカ、ティンバーでウドジェ、オドベール、パリーニャを引き寄せることで中央にスペースを作るとこのスペースでメリーノとエゼが大暴れ。自由なバイタルから浮き玉でのラストパスと豪快なミドルのコンボからチャンスを作っていく。

 アーセナルの前半のチャンスはことごとくこの形から。先制点となるメリーノ→トロサールのラストパスもハーフスペースで時間を作ったティンバーが時間を作った賜物。裏へのパスから完璧なコントロールでシュートまで持っていったトロサールが試合を動かす。

 さらにはエゼもこれに続く。バイタルの侵入からドリブルでコースを作ると、コンパクトなモーションから力強いシュートでヴィカーリオを打ち破る。

 前進のきっかけを掴めず、撤退守備でも相手を封じることができなかったトッテナム。後半は4バックに移行して攻撃に軸足を置いた修正を行なっていく。だが、守備の修正がままならないまま、1分足らずでアーセナルにさらなるゴールを許してしまう。

 意地を見せたいトッテナムはリシャルリソンとパリーニャによってアーセナルのビルドアップを咎めたところからのショートカウンターで追撃。リードを2点に縮める。

 だが、このミス起因の失点にもアーセナルはバタバタせず。バランスのいいポゼッションと粘り強い守備から少しずつ流れを取り戻す。すると、カウンターから4点目。メリーノ、トロサールとスピードをなんとか落とさず進んだカウンターを完結させたのはエゼ。メルカートで両軍のファンを賑わせた10番がダービーでも主役となるハットトリックを決める。

 最初から最後までトッテナムを寄せ付けないまま完勝を果たしたアーセナル。バイエルン、チェルシーと大一番が続く1週間に向けて弾みのつく勝利を挙げた。

ひとこと

 ミスが出ても大崩れしないダービーの流れに逆らうアーセナルの強さが際立った。

試合結果

2025.11.23
プレミアリーグ
第12節
アーセナル 4-1 トッテナム
エミレーツ・スタジアム
【得点者】
ARS:36′ トロサール, 41′ 46′ 76′ エゼ
TOT:55′ リシャルリソン
主審:マイケル・オリバー

マンチェスター・ユナイテッド【7位】×エバートン【13位】

10人で鬼門攻略を達成

 モイーズにとっては鬼門であり苦い思い出のあるオールド・トラフォード。復調気配と落胆を繰り返しているシーズンとなっているユナイテッドとの一戦でいい思い出をこのスタジアムで作ることができるかというマンデーナイトのゲームだ。

 序盤からマンツー気味のハイプレスで飛ばしていくエバートン。しかし、降りていくディアロやエンベウモの反転から加速を許すなどあまり展開はハマっていない感。

 ユナイテッドは前からのプレスで中盤に厳しくマークにいくなど非保持でも悪くない立ち上がり。エバートンはゲイェのワンツーから中盤のマークを少しずつ剥がしていく形で対応する。

 ややユナイテッドが優勢だった試合はワンプレーで激変。エンベウモのファストブレイクからの対応を巡り、キーンとゲイェが激突。攻守に多少のミスはあった場面だが、味方をぶん殴るほど?と思うようなシーンでゲイェが激昂。レアな味方同士の争いで退場者を出す。

 この退場でエバートンは4-4-1にシフト。SHがサイドの守備に重めのフォローをすることで対応。必然的にユナイテッドは一方的なポゼッションに。左右にボールを揺さぶりながら、スペースの空いているところを狙いながら前進していく。

 しかしながら、エバートンも10人ながら抵抗。エンジアイを軸としたファストブレイクだけでなく、左右に動くバリーをポストプレーで活用し、テンポを落とすことできっちりと時間を作っていく。

 前からのプレスに出ていけないユナイテッドを尻目にエバートンは先制。マークがあいまいになったガーナーから縦パスを受けたデューズバリー=ホールがゴールを決める。

 非保持でも手ごたえ十分のエバートン。スライドとプレスバックからサイドを封鎖し、マイナスのパスに対してはきっちりとラインを上げて抵抗する形を見せていく。

 ブルーノの抜け出しなど3-2-5のフレームから外れる枠組みからもチャンスを作りに行くユナイテッドだが、エバートンの対応は冷静。ライン間のディアロも理不尽さを発揮するまでには至らない。エンベウモはフラストレーションをためる展開となってしまった。

 後半、ユナイテッドはワイドにディアロをスライドさせてマウントを投入。幅を使った攻撃を進め、WB→WBのクロスでチャンスを作っていく。押し下げたところからのミドルシュートも含めて、ユナイテッドは多様な攻撃を展開。エバートンは前半のような陣地回復ができなくなってしまい、押し込まれる状況が続いてしまうこととなる。

 だが、もう一歩の詰めるところの形を作ることができないユナイテッド。雑な形が目立ってしまい、エバートンに自陣までの陣地回復の形を許してしまうこととなってしまう。

 終盤は再びゴールに迫るユナイテッドだがピックフォードはファインセーブを連発。終盤は水際で踏ん張ることに成功したエバートンが10人のままでオールド・トラフォード制圧を達成した。

ひとこと

 ゲイェのせいで突然の10人ブロック崩しチャレンジで課題をあぶりだされるユナイテッド。若干とばっちり感がある。

試合結果

2025.11.24
プレミアリーグ 第12節
マンチェスター・ユナイテッド 0-1 エバートン
オールド・トラフォード
【得点者】
EVE:29′ デューズバリー=ホール
主審:トニー・ハリントン

今節のベストイレブン

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