
総取り決戦から装いを変えて
昨年のこのカードといえばEL決勝だろう。情けないシーズンを全て帳消しにするために喉から手が出るほど欲しいCL出場権をかけての一番となった。今年は6位対8位。まだまだ国内の順位が勝負することができる両軍の一戦となる。
見た目的には4-2-3-1と3-4-2-1の噛み合わせ。しかしながら、保持時に3-2-5に変形することが定番のトッテナムにとっては非保持のユナイテッドと噛み合うこととなる。
そのため、工夫をしたのは前線の配置。1トップ+2シャドーが多かったここまでだが、この日は前線のリシャルリソンとトップ下のシモンズという形でトップ下を棲み分けていく。
確かにこれで前線の配置はズレる。その一方で、バックスは3トップに噛み合わされる形に苦戦。唯一浮くヴィカーリオもフィードの精度で勝負するタイプではないとなれば、ショートパスから前線に届けるケースがなかなか生み出されないという苦しいところがあった。
配置の面で優位を取れないのはユナイテッドも一緒。しかしながら、ユナイテッドは体を相手にぶつけながらキープをできるCF陣がいる。この日はシェシュコがベンチスタートではあったが、ムベウモとクーニャの2人が上手く時間を作ることができていた。
前線の個の力を活かすカラーが強かったユナイテッドは前半のうちに先制。左右に揺さぶる中で浮いたムベウモが見事にゴールを叩き込んだ。
このゴールでユナイテッドはさらに勢いに乗った印象。チェックが遅れるトッテナムに対して、前線はターンから推進力を出していくことでトッテナム陣内に侵攻。優位のままハーフタイムを迎える。
後半、トッテナムは選手交代を敢行。消えていたコロムアニに代えて、オドベールを投入。前線の構造を元来の形に近いように戻す。
ユナイテッドはリードをしたこともあり、リトリート成分が強い方向に舵を切る。バックスの噛み合わせに苦戦していたトッテナムとしては相手のラインが下がったことにありがたさを感じつつも、今度は前線が噛み合った状態を解消できないというジレンマに悩まされることとなった。
なかなかきっかけをつかめなかったトッテナムを救ったのはテル。ボックス内の華麗な身のこなしでシュートの隙間を作ると、豪快な一撃を突き刺す。
終盤に試合を振り出しに戻したトッテナムはAT突入直後にリシャルリソンのゴールで逆転。一気に試合をひっくり返す。
熱い逆転勝利を手にしたかに思えたトッテナムだが、ほぼラストプレーでユナイテッドもデ・リフトがゴール。終盤10分で目まぐるしく戦況が入れ替わった一戦はドローで決着することとなった。
ひとこと
テルの一撃、加入後で一番価値があるものだったように思える。
試合結果
2025.11.8
プレミアリーグ 第11節
トッテナム 2-2 マンチェスター・ユナイテッド
トッテナム・ホットスパー・スタジアム
【得点者】
TOT:84′ テル, 90+1′ リシャルリソン
Man Utd:32′ ムベウモ, 90+6′ デ・リフト
主審:サム・バロット
