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「懸念を飲み込めるか」~2026.4.11 プレミアリーグ 第32節 アーセナル×ボーンマス レビュー

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レビュー

プレスを超えるポイント

 チャンピオンズリーグの間に迎えるプレミアはランチタイムキックオフ。ホームという救いがあるとはいえ、相手はボーンマス。タフな要素満載でアーセナルはこの第32節に挑むこととなる。

 立ち上がり、まずはポゼッションからボールを動かしていくアーセナル。ウーデゴールがいない分、いつも通りというわけにはいかないものの、中盤が移動しながらラヤからの縦パスを探りにいく。

 ボーンマスは高い位置からプレスに来るが、バックラインから強引に捕まえにいくというよりは中盤で網を張って取るというイメージ。ラインは高いが、やや静的という意味でプレスの性格はシティに似ているかもしれない。中盤の位置関係はやや縦に入ることが多く、クリスティかスコットが前に出る。シティに例えることを続けてみると、カラバオ的な4-2-4というよりは、ベルナルドが自由に前プレ隊に加わるという普段着の4-1-3-2のような構えの方が近かった。

 ボーンマスのプレスはアーセナルの右サイドへ誘導。アーセナルはこの勝負をかわすというよりは真っ向から受けて立ったように見えた。

 スビメンディがサイドに流れた9分のようにアーセナルは低い位置で3人の連携から交わすことができれば問題なし。ただし、3人以上がうまく絡めないとなると話は別。プレッシャーが多くかかるマドゥエケには対面のトリュフォーに捕まってしまう。

 アーセナルは右サイドにフローするギョケレシュ、ハヴァーツがフォローに入る。右サイドをサポートする。サイドの奥に選択肢を取りに行くイメージである。

 ボーンマスは左右のCBがポジションを離れることを特に問題とはしておらず、ヒルやセネシは持ち場を離れて出ていくことをいとわない。ここはアーセナルの前線とのガチンコ勝負となっていく。

 縦に進む際のルートがアバウトになってしまうとアーセナルとしてはよくない。相手のCHが出てきたタイミングでその逆を取り、中央にフリーマンを作ってから前進ができた方がよい。ボーンマスのCHとの駆け引きがまずはアーセナルの前進のキーになりそうなところであった。

右ユニットの受け渡しの切れ目

 ボール保持に回ればボーンマスもポゼッションを敢行。序盤は久しぶりのスタメンとなったルイス=スケリーを突くようなロングボールもあったが、基本的にはボールを動かしながらショートパスをつけることができるルートを探っていく。

 きっかけになりそうだったのはLCBのセネシ。CHはサリーし、ややポジショニングはワイド寄りだ。このセネシに対して、アーセナルはマドゥエケが外切りのプレスを敢行する。

 ボーンマスのビルドアップのポイントはこの右サイドの前がかりなプレスをよけきれるかどうか?ボーンマスは左サイドでタヴァニア、トリュフォーが位置を変えることでプレスを乱していく。マドゥエケが前に出ていく場合はスビメンディが左サイドに流れる形。ホワイトと連携しながらサイドを防衛する。その際はハヴァーツが中盤で位置を下げて、クリスティを監視する。

 もちろん、これはマドゥエケが外切りのハイプレスに出ていく前提。前から追うとなった時にこの形に変形する。

 失点シーンはこの受け渡しが中途半端になった。右サイドのホワイトとマドゥエケだけでボーンマスの左サイドユニットを監視しきれず。スビメンディがサイドへのカバーのスイッチが入った分、マドゥエケがハイプレスに出ていくモードのような陣形の要素が入り込んだ。

 スビメンディがサイドのフォローにいったにもかかわらず、ハヴァーツが中盤に下がらず前に出ていったことでクリスティが浮くことに。ハヴァーツ、スビメンディの2人ともから解放されたクリスティは左サイドの背後にラストパスを通す。

 跳ね返って失点につながったのは運ではあるだろう。だが、運が悪ければ入るような状況を生み出してしまったのがそもそもアーセナル的ではない。前からの守備の乱れが背後を取られるホワイトのエラーを呼び込み、そのまま失点につながった。

 アーセナルがビルドアップでCHを超えられるかというポイントがあったように、ボーンマスはこのアーセナルの右ユニットを乱すことができるか?というのがポイントになってくる。相手の逆を取って加速するということに関してボーンマスは優位にあったということができるだろう。

 もっともアーセナル側も逆を取れているシーンもあった。ラヤからハヴァーツにパスが通ったシーンは完全にボーンマスの背後を突くことができていた。ただ、この日のアーセナルには2列目のクオリティが伴わず。このシーンではハヴァーツのパスがエラーとなった。

 キャッチした後のトランジッションも含めて、アーセナルはラヤを主体として相手の中盤の背後のスペースを狙っていく。ピッチのミドルゾーンくらいにフリーの選手を作り、左サイドの裏からマルティネッリが勝負をかけたいところだが、ここもヒルとヒメネスがカバーすることで無効化する。

 それでも何とか前半のうちにゴールを生み出したアーセナル。CKから得たハンドによるPKをギョケレシュが仕留めて追いつく。アーセナルは悪い流れの中で同点にして見せた。

 そこから先は一進一退。時折バランスを崩すアーセナルの右サイドが脆さを見せつつ大きなピンチには至らず。試合はタイスコアでハーフタイムを迎える。

3枚交代が停滞を生む

 前半は多くの論点があったような試合だったが、後半は論じる部分の局面としては相当絞られたように思う。主に右のユニットをメインとしたアーセナルのプレス回避とボーンマスのプレスのつばぜり合い。アーセナルは前に出やすいクリスティの背後から前に進むトライをしていく。

 構造としてアーセナルは十分に狙い通りにボーンマスのCHの背後までの見通しを作ることができたといっていいだろう。しかしながら、ハヴァーツがハンドを犯してしまったり、あるいはその手前のタイミングでサリバがマドゥエケにパスを出すのを躊躇したりなどで、穴が開いた状況に対して適切なアクションを起こすことができず。

 ハヴァーツのハンドは仕方ないにしても、右サイドのサリバとホワイトのビルドアップの機能性はあまりにも微妙。浮いたスペースにCHが顔を出さずにビルドアップが詰まる場面ももちろんあったのだが、この場面はサリバやホワイトのためらいから前進の機会を逃したように見えた。

 仕組み的にはアーセナルには攻略の端緒が見えていた状態。アーセナルは3枚交代を敢行。おそらくはパスでボーンマスの背後を抜けた先を見据えての交代なのだろう。その部分では物足りないハヴァーツを含めて、アーセナルは2列目の総とっかえを行う。

 しかしながら、この変更は裏目に出たように見えた。大きかったのはそれでもうまくいく兆しがあったミドルゾーンでのギャップ作りが放棄されてしまったこと。ホワイトが蹴っ飛ばしたがってしまうなど後方のプレー選択もあるが、前の選手の引き取るアクションやマドゥエケの背負いながらなんとかキープするアクションが消えたことで、前進の確実性が下がる。エゼの各所へのフォローもいまいちだった。

 さらにもう1つ厄介だったのはボーンマスの左サイドからの攻撃が復活してしまったこと。ダウマンが入ったことでアーセナルの右のユニットの守備の約束事が薄れてしまい、左サイドからのボーンマスの攻め筋が勢いを取り戻す。

 自陣からのビルドアップでは手づまりな分、相手が攻め気を取り戻してトランジッションの成分を取り戻した分、アーセナルは食らいついていたともとることができる。行ったり来たりをしながら、どちらのものでもない時間が続く。終盤にブーストがかからない試合が散見されるボーンマスにとってもここからが本領を問われる展開となった。

 そうした中で得点を決めたのはボーンマス。アーセナルのビルドアップを引っかけたところから見事な3人の絡み方でクリーンにスコットが抜け出すことに成功。アーセナルとしてはブルックスを咎めるところが遅れたのが致命的。ライスが飛び込むにはリスクがあったが、ガブリエウがサイドに出ていた分、潰すトライはしてよかったように思う。いずれにしても中盤における制限の薄さが大惨事に至ってしまった。

 アーセナルは右に置いたダウマンからクロスを打っていく形。インサイドにはジェズスとギョケレシュを置くことで進めていく。終盤にはガブリエウを前に移動。中盤とのリンクアップの仕事を増やしたジェズスからラストパスが出たが、これはヒメネスが紙一重のブロックで防衛する。

 最後までネットを揺らすことができなかったアーセナル。あまりにも手痛い敗戦を喫することとなってしまった。

あとがき

 ボーンマスのプレス回避にそれなりに手こずっていたが、基本的には出足が勝るボーンマス相手に縦にガンガン蹴っていっても自分たちのペースに引き寄せられていたかは微妙なところである。なので方向性自体は肯定できた。が、クオリティが足りなかったというのがこの試合における結論となる。

 いなかった選手がプラスをもたらしてくれる部分はもちろんあるだろう。サカとマドゥエケがローテできれば違うし、カラフィオーリやインカピエがもたらすものもある(この試合のルイス=スケリーはMF的なロールをうまくやったが)。ウーデゴールが戻ってくればビルドアップの機能性も上がるだろう。

 その一方でCHの顔出し頻度の問題だけは現有の戦力だけで解決策があまり見えてこないのが正直なところ。戻る可能性がある部分、楽観的な展望を持つことが難しい部分。両方を飲み込みながら重要な1週間に立ち向かうこととなる。

試合結果

2026.4.11
プレミアリーグ
第32節
アーセナル 1-2 ボーンマス
エミレーツ・スタジアム
【得点者】
ARS:35′(PK) ギョケレシュ
BOU:17′ クルーピ, 74′ スコット
主審:マイケル・オリバー

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