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「Catch up UEFA Nations League」~UEFA Nations League Group A3 第1節 イタリア×ドイツ~ 2022.6.4

■イタリアの新星、ド派手なご挨拶

 グループステージはスペインと同居。他の2チームはやや力が落ちると見られるが、一つミスを犯すと計算が狂うのが2強が同居する組分けの怖さ。ドイツはロシア大会で韓国に敗れてGS最下位で姿を消している。GSから油断はならない。

 一方のW杯のイタリアはそのドイツを下回る戦績だ。EUROでは優勝を収めたものの、北マケドニアに不覚をとってしまった今大会のW杯予選ではすでに敗退。2大会連続のW杯不出場がすでに決まっている。つまり、この一戦は2年後のEUROに向けた再構築のための戦い。両者のこの試合の位置付けは微妙に異なる。

 立ち上がりからボールを持ったのはアウェイのドイツ。広く距離をとるCBに加えて、縦関係を作るCHのキミッヒとゴレツカが自由度の高いポジションをとり、イタリアのプレスの的を絞らせない。イタリア側はCBは完全に放置、落ちていくキミッヒにもほとんど興味を示さず、中央は撤退してコンパクトさを優先にする構えである。

 ドイツは2列目がグッと横幅を狭く取る傾向が強かった。左のサネは大外とハーフスペースが半々くらいであったが、右のグナブリーは常にイタリアの2列目の背後に陣取り『プレスに行ったらそこからボール受けるけどいい?』とイタリアに対して脅しをちらつかせていた。

 イタリアは下がって受け気味の形ではあったが、ペッレグリーニとポリターノに徐々に迷いが出てくる。ドイツのCBが幅をとるため、自身に向かってくるようにボールをキャリーするからである。

 ドイツは保持におけるSBの高さを左右非対称に設定することが多かった。左のケーラーは低い位置をとる一方で、右のヘンリヒスは高い位置をとる。これはそのまま先に挙げた同サイドのWGのプレースタイルと一致する。大外を駆け上がってくるヘンリヒスがいる右はグナブリーが絞るけど、左はサネが外に張ることもある!といった具合である。

 イタリアにとって面倒だったのはトップにいるヴェルナー。イタリアの最終ラインがライン間を狙うドイツの2列目に対して迎撃体制に入ってラインを上げた瞬間に裏に抜けてくるからである。25分のヘンリヒス→ヴェルナー→ミュラーの流れなどは最終ライン裏を狙うヴェルナーを活用した好例だ。

 ただ、ドイツの狙いはあくまでも真ん中。ライン間の2列目に楔を入れて前を向く形を作ることこそ、ドイツの攻撃のメインディッシュという感じだった。

 一方のイタリアは押し込まれる展開になったが、攻撃の形を作ることができている。主役になったのはスカマッカ。リュディガー、ズーレという屈強なDFに対しても問題なく背負ってポストを行うことができる。キープ力も秀逸でヒールも使いこなすスカマッカにとっては味方の攻め上がる時間を作るのはお手のもの。彼の存在がイタリアの陣地回復を大いに助けた。

 相手陣まで押し込むことができたら、ドイツにも隙がある。即時奪回が刺さればドイツは強力ではあるが、撤退守備においてはハイプレスほどの精度はないように見える。少なくともイタリアにとっては攻め込む隙があったと言えるだろう。主役になったのはフラッテージ。大外に張り出すポリターノが作った時間でカットインするスペースを生み出し、前半の終盤には反撃の旗手として存在感を振るった。

 守備に関しても徐々にライン間を閉める意識が高まったイタリア。時間を経過するごとに慣れていっている感じは流石にイタリア代表という感じである。ライン間を閉められた上に強烈な対人に晒される機会が増えたドイツはやや苦しい展開に。イタリアはスカマッカのポストで時間をもらった2列目が躍動。ピッチを横切るパスをスピーディに繰り出しながら攻撃の時間を増やしていく。

 ややフラットな展開になったところで先手を奪ったのはイタリア。決め手になったのはこの試合が代表デビューになった18歳のニョントだ。ポリターノに代わって右サイドに入ると、いきなり対面のケーラーを出し抜いてエリアにラストパス。これをペッレグリーニが決めて先手を奪う。デビューから5分でドイツ相手にアシスト。これ以上ないド派手な代表デビューである。

 しかし、ドイツも同じく右サイドを切り裂いて同点に。決めたのはエリアに詰めたキミッヒだった。以降の試合はドイツペースに。イタリアのWGが保持のアクセント型になったこと、マンマークで相手を捕まえ続けた中盤に疲弊が見られたこと、そして交代選手のテスト色が強かったことなど、イタリアが勝利とは違う方向に舵を切ったことも関係あるだろう。

 それでもイタリアはゴールを破らせることを許さず。テストしながらも要所を締めたイタリアがドイツに勝利を持って行かせない意地を見せた。

試合結果
2022.6.4
UEFAネーションズリーグ
グループA3 第1節
イタリア 1-1 ドイツ
スタディオ・レナト・ダッラーラ
【得点者】
ITA:70′ ペッレグリーニ
GER:73′ キミッヒ
主審:スルジャン・ヨバノビッチ

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